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第1章 誕生編
第19話 ケセド川攻略戦4・ぎゅうぎゅう
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蛇巨獣サーペントを何とか倒すも、突然現れた翠玉色で二足歩行の牛頭巨獣に俺は冷や汗が止まらなかった。その怪物——仮称“牛魔王”が大きく息を吐く。それだけで突風が起こり周囲のものが吹き飛んでいった。
右手には大木のような棍棒を持っている。自作かな? 危ないので凶器の所持はいけませんよ!
冗談を言っている間に敵は魔王城の上から大跳躍。ワニの巨大骨を踏み砕きながら着地した。衝撃で地鳴りが起き、砂煙が舞い上がる。息つく暇もなく牛魔王が煙を引きながら鎧兵達の前に現れた。
「な、はぇぇ!」
兵達を動かす間もなく、敵は棍棒を一閃。
「か、神よ!」
「ぬぁぁ!」
「ぐわあああ!」
兵達が事前にプログラムしておいた断末魔の叫びを上げながらスクラップになっていく。一撃で二十体は破壊された。やばいやばい!
さらに鎧兵の一体を鷲掴みにされた。よし、そのまま丸呑みにしろ! 体内で暴れてやる!
しかし、そんな淡い期待を裏切るように、敵は兵を空中にふわりと投げ、野球のノックをする様に打ち飛ばした。球となった鎧兵が他の兵に当たり見事両者砕け散る。器用すぎんだろ!
落ち着け俺。固まって動くのは一網打尽にされるからまずい。一旦、川の上へ、は傾斜が急過ぎて無理か。仕方ない、比較的大きな岩の裏に退避だ。が、そう考えている間にもぶん投げられた兵が兵に当たり消されていく。投打お上手だねぇ。二刀流選手だ。メジャーリーグ行け。ちきしょう。
やられながらも数体を岩の裏に退避させた。だが。
「ヌウウウウ!」
裂帛の気合とともに筋肉の塊であろう左腕で隠れていた岩ごと殴られて破壊された。どんなパワーしてんだよ!
負けじと川の外にいる兵が矢で応戦。だがそれもダンスでもするみたいに上半身をヌルヌル動かして回避された。デカいくせに器用さもあるのかよ。チートだろ。
敵はダム前の兵を破壊し尽くして大きく息を吐く。目玉をギョロギョロと動かして次の獲物を視認すると川沿いに向けて跳躍した。空中で三回転した後、鎧兵に接近。そのまま空中後ろ回し蹴りで十体ほど一蹴された。
何それ。俺もやりてぇよ。くそっ。
間髪を容れず、サマーソルトキックで土ごと蹴り飛ばされて星になった。さらに岩に潰されて動けなくなった兵はサッカーボールキックで蹴られて森の奥に吸い込まれていった。プロレス団体にでも所属してはいかがですか?
その後もやりたい放題。倒すことも、隠れることも、逃げることさえ許されない。
「ダメだこれ」
この戦力じゃ勝てない。こうなったら自壊させて撤収、は勿体ないな。せめて次に繋がる何かを掴まないと!
しかし、その後も何もさせて貰えず散っていき、時間だけが過ぎていった。
——そして何も掴めぬまま、ついに俺の聖騎士団は壊滅した。
「あーくそ! どうやって倒すんだよ。あれ」
後ろに倒れ込もうとすると、後頭部に硬いものが当たる。
「痛っ!」
振り返ると再出現して部屋を出そびれた鎧兵と鎧馬が所狭しと転がっていた。当然部屋は穴だらけ、家具はぐちゃぐちゃ。
あー、興奮して気付かなかった。ぎゅうぎゅう詰めだねぇ。牛だけに。いやここにいるのは馬か。そもそも牛由来の言葉か? 何言ってんだ俺。もーやだもー。
冗談を言ってみたものの、絶望的な敵を前に俺の心は音を立てて折れていた。
右手には大木のような棍棒を持っている。自作かな? 危ないので凶器の所持はいけませんよ!
冗談を言っている間に敵は魔王城の上から大跳躍。ワニの巨大骨を踏み砕きながら着地した。衝撃で地鳴りが起き、砂煙が舞い上がる。息つく暇もなく牛魔王が煙を引きながら鎧兵達の前に現れた。
「な、はぇぇ!」
兵達を動かす間もなく、敵は棍棒を一閃。
「か、神よ!」
「ぬぁぁ!」
「ぐわあああ!」
兵達が事前にプログラムしておいた断末魔の叫びを上げながらスクラップになっていく。一撃で二十体は破壊された。やばいやばい!
さらに鎧兵の一体を鷲掴みにされた。よし、そのまま丸呑みにしろ! 体内で暴れてやる!
しかし、そんな淡い期待を裏切るように、敵は兵を空中にふわりと投げ、野球のノックをする様に打ち飛ばした。球となった鎧兵が他の兵に当たり見事両者砕け散る。器用すぎんだろ!
落ち着け俺。固まって動くのは一網打尽にされるからまずい。一旦、川の上へ、は傾斜が急過ぎて無理か。仕方ない、比較的大きな岩の裏に退避だ。が、そう考えている間にもぶん投げられた兵が兵に当たり消されていく。投打お上手だねぇ。二刀流選手だ。メジャーリーグ行け。ちきしょう。
やられながらも数体を岩の裏に退避させた。だが。
「ヌウウウウ!」
裂帛の気合とともに筋肉の塊であろう左腕で隠れていた岩ごと殴られて破壊された。どんなパワーしてんだよ!
負けじと川の外にいる兵が矢で応戦。だがそれもダンスでもするみたいに上半身をヌルヌル動かして回避された。デカいくせに器用さもあるのかよ。チートだろ。
敵はダム前の兵を破壊し尽くして大きく息を吐く。目玉をギョロギョロと動かして次の獲物を視認すると川沿いに向けて跳躍した。空中で三回転した後、鎧兵に接近。そのまま空中後ろ回し蹴りで十体ほど一蹴された。
何それ。俺もやりてぇよ。くそっ。
間髪を容れず、サマーソルトキックで土ごと蹴り飛ばされて星になった。さらに岩に潰されて動けなくなった兵はサッカーボールキックで蹴られて森の奥に吸い込まれていった。プロレス団体にでも所属してはいかがですか?
その後もやりたい放題。倒すことも、隠れることも、逃げることさえ許されない。
「ダメだこれ」
この戦力じゃ勝てない。こうなったら自壊させて撤収、は勿体ないな。せめて次に繋がる何かを掴まないと!
しかし、その後も何もさせて貰えず散っていき、時間だけが過ぎていった。
——そして何も掴めぬまま、ついに俺の聖騎士団は壊滅した。
「あーくそ! どうやって倒すんだよ。あれ」
後ろに倒れ込もうとすると、後頭部に硬いものが当たる。
「痛っ!」
振り返ると再出現して部屋を出そびれた鎧兵と鎧馬が所狭しと転がっていた。当然部屋は穴だらけ、家具はぐちゃぐちゃ。
あー、興奮して気付かなかった。ぎゅうぎゅう詰めだねぇ。牛だけに。いやここにいるのは馬か。そもそも牛由来の言葉か? 何言ってんだ俺。もーやだもー。
冗談を言ってみたものの、絶望的な敵を前に俺の心は音を立てて折れていた。
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