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最終章 聖戦編
第129話 デュラハン戦1・冒険家ニートン
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王都東側。巨大化した首なし騎士デュラハンが出現していた。北側にいる俺は見守りで、戦うのは冒険家ニートン率いる鎧兵団だ。
猪のような中年男ニートンは顔半分を覆うヒゲをさすりながら得意満面な表情を浮かべていた。
「これだけの鎧兵が全てタダで使えるなんて素晴らしいドン。タダならいくらでも頑張れるドン」
うーん、ケチらしくて素晴らしいね。
「デュラハンめ、今までよくも追い回してくれたな。今度はこちらが追い詰める番だドン」
「おやおや、その声はニートンさんですね。お久しぶりです」
デュラハンから教皇ホロウの声がする。おじいさんのように優しい声だが、どこか奥に闇を感じさせる不気味さも兼ね備えている。
「へぇ、喋れるたぁ驚きだドン」
「私は教皇ホロウ。お忘れですか?」
「あいにく悪党の声や名前は覚えない主義だドン。どうせ次に会う時は捕まっているか、死んでいるからなドン」
「ふふ、面白いですね。神に仕える私に逆らうのですか?」
「ここだけの話、神より金だドン」
バチが当たるぞ。
「それによく考えたら教皇様に金品もらったことないから何の義理もないドン」
どこまでも現金なやつだな。
「死んでしまってはお金も無駄になってしまいますよ?」
「死ななければいいドン」
ニートン無敵過ぎるだろ。
暖簾に腕押しを悟ったデュラハンは肩をすくめる。
「どうやら何を言っても無駄なようですね。神の裁きを与えましょう。悔い改めなさい」
首なし馬がいななく。直後、一瞬で距離を詰め、黒い刃の一振りで鎧兵を百体近く吹き飛ばした。
「あ! ワシの鎧兵を壊すな! もったいないドン!」
ケチ臭いことを言うなよ。まぁ消費を抑えてくれると助かるが。
ニートンの操作する鎧兵が再び振るわれる敵の斬撃をかわす。彼は素早く動ける風鎧兵を中心に運用していた。
「ワシは今まであらゆる巨獣から逃げてきた男だドン。その程度の攻撃は当たらないドン」
誇って言うことかよ。でもニートンを登用したのにはここに理由がある。コイツは果実の一族ではなく無能力だが、巨獣を回避する嗅覚に優れている。何年も一人で巨獣図鑑を描くために奔走していたし、巨獣に関してはプロフェッショナルだ。
「避けているだけでは勝てませんよ?」
デュラハンが煽る。
「ふん、棒を振ってるだけのヤツに言われたくないドン」
そのセリフの直後、首なし馬の足元が爆発した。地雷だ。鎧モグラに地面を掘らせてこっそり仕掛けたのだろう。
「いやぁ素晴らしい威力だドン。この戦いが終わったら鎧兵を売って稼ぐドン」
こら、俺のだぞ。
ニートンを呆れた目で見ている間に、敵を覆っていた煙が晴れていく。デュラハンのシルエットが見える。馬の足が黒い炎のようなものに包まれていて、それがシールドになったのか無傷だった。
「フフフ」
デュラハンが不敵に笑う。そしてその場で剣を振る。飛ぶ斬撃とでもいうべき黒い波が、いくつもの鎧兵を真っ二つにした。
「な、なんだぁ!?」
驚いている間にデュラハンが一騎当千を体現するように蹂躙していく。
「ひ、ひぇぇ。キャロブゥ、助けてくれドン」
その指名に近くにいた貧民街のボス、キャロブゥはヤレヤレといった感じで返事をする。
「ニィさん、任せてくだせぇ。このポテト隊でボコボコにしてやるぜぇ」
No.99ポテトばっかの鎧兵が紙容器に詰めたフライドポテトのごとくギッチギチに並んでいた。
……うん、まぁ、欲望に忠実でいいんじゃないか?
ただ、マッシュポテトにされない事を祈ろう。
猪のような中年男ニートンは顔半分を覆うヒゲをさすりながら得意満面な表情を浮かべていた。
「これだけの鎧兵が全てタダで使えるなんて素晴らしいドン。タダならいくらでも頑張れるドン」
うーん、ケチらしくて素晴らしいね。
「デュラハンめ、今までよくも追い回してくれたな。今度はこちらが追い詰める番だドン」
「おやおや、その声はニートンさんですね。お久しぶりです」
デュラハンから教皇ホロウの声がする。おじいさんのように優しい声だが、どこか奥に闇を感じさせる不気味さも兼ね備えている。
「へぇ、喋れるたぁ驚きだドン」
「私は教皇ホロウ。お忘れですか?」
「あいにく悪党の声や名前は覚えない主義だドン。どうせ次に会う時は捕まっているか、死んでいるからなドン」
「ふふ、面白いですね。神に仕える私に逆らうのですか?」
「ここだけの話、神より金だドン」
バチが当たるぞ。
「それによく考えたら教皇様に金品もらったことないから何の義理もないドン」
どこまでも現金なやつだな。
「死んでしまってはお金も無駄になってしまいますよ?」
「死ななければいいドン」
ニートン無敵過ぎるだろ。
暖簾に腕押しを悟ったデュラハンは肩をすくめる。
「どうやら何を言っても無駄なようですね。神の裁きを与えましょう。悔い改めなさい」
首なし馬がいななく。直後、一瞬で距離を詰め、黒い刃の一振りで鎧兵を百体近く吹き飛ばした。
「あ! ワシの鎧兵を壊すな! もったいないドン!」
ケチ臭いことを言うなよ。まぁ消費を抑えてくれると助かるが。
ニートンの操作する鎧兵が再び振るわれる敵の斬撃をかわす。彼は素早く動ける風鎧兵を中心に運用していた。
「ワシは今まであらゆる巨獣から逃げてきた男だドン。その程度の攻撃は当たらないドン」
誇って言うことかよ。でもニートンを登用したのにはここに理由がある。コイツは果実の一族ではなく無能力だが、巨獣を回避する嗅覚に優れている。何年も一人で巨獣図鑑を描くために奔走していたし、巨獣に関してはプロフェッショナルだ。
「避けているだけでは勝てませんよ?」
デュラハンが煽る。
「ふん、棒を振ってるだけのヤツに言われたくないドン」
そのセリフの直後、首なし馬の足元が爆発した。地雷だ。鎧モグラに地面を掘らせてこっそり仕掛けたのだろう。
「いやぁ素晴らしい威力だドン。この戦いが終わったら鎧兵を売って稼ぐドン」
こら、俺のだぞ。
ニートンを呆れた目で見ている間に、敵を覆っていた煙が晴れていく。デュラハンのシルエットが見える。馬の足が黒い炎のようなものに包まれていて、それがシールドになったのか無傷だった。
「フフフ」
デュラハンが不敵に笑う。そしてその場で剣を振る。飛ぶ斬撃とでもいうべき黒い波が、いくつもの鎧兵を真っ二つにした。
「な、なんだぁ!?」
驚いている間にデュラハンが一騎当千を体現するように蹂躙していく。
「ひ、ひぇぇ。キャロブゥ、助けてくれドン」
その指名に近くにいた貧民街のボス、キャロブゥはヤレヤレといった感じで返事をする。
「ニィさん、任せてくだせぇ。このポテト隊でボコボコにしてやるぜぇ」
No.99ポテトばっかの鎧兵が紙容器に詰めたフライドポテトのごとくギッチギチに並んでいた。
……うん、まぁ、欲望に忠実でいいんじゃないか?
ただ、マッシュポテトにされない事を祈ろう。
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