100 / 271
第100話 集う救厄の聖者たち ①
しおりを挟む
10001人目の転移者・大和ショウゴは、彼の世界から転移してきたであろう空に浮かぶ大艦隊と戦うこの世界の戦士たちを眺めていた。
大艦隊と戦っているのは、テレビゲームで見た飛空艇のような、この世界のものだろう空を駆ける戦艦が一隻と、数人の戦士とドラゴンだけであった。
大艦隊は、転移してきてからしばらくの間、沈黙を続けていた。
だが、突然、数千発はあるであろう核ミサイルらしきものを発射した。
それは、30分程前のことだった。
しかし、たった一隻の戦艦から放たれた無数の翡翠色のビームのようなものが、核ミサイルをすべて撃墜していた。
その後、世界中に黄金の蝶が舞い、そしてドラゴンらしきものに股がったふたりの竜騎士(?)が大艦隊を相手に戦いはじめた。
黄金の蝶はショウゴのもとにも飛んできた。
彼がその蝶に触れると、彼の中にあった破壊衝動のようなものが消えていた。
なぜ自分は、今手に持っている合体銃剣を手にした直後、この世界の魔法使いらしい双子の少年たちを殺すようなことをしてしまったのか、自分でも理解できないほどに彼の心は洗われていた。
とんでもないことをしてしまった、と思った。
一度人を殺してみたかった?
そんなことを考えていた、そのときの、それまでの自分を、おぞましいとすら思えた。
彼は、物心ついたばかりの頃には、すでに有名私立小学校受験のための勉強をさせられていた。
6歳のとき、小学校の受験に失敗し、彼はようやくそのつらい日々から解放されると思った。
けれど違った。
両親から出来損ないや失敗作だとなじられ、中学校受験は今度こそ失敗するなと言われた。
公立の小学校に通いながら、塾にも通う、そんなこれまで以上に大変な生活があと6年間も続くのかと思った。
彼は6歳で世界に、そして両親に絶望した。
自分が合格出来なかった小学校に、妹が簡単に入学してみせたときに、彼は絶望だけでなく挫折を知った。
8歳のときだった。
妹が両親のように彼を馬鹿にすることがなかったことは幸いだった。
彼は劣等感を感じていたが、妹はそれまでと変わらず兄である彼を慕ってくれた。
妹には自分の苦しみはわからない。
しかし、6歳から片道一時間かかる学校に毎日電車通学をして、へとへとになって帰ってくる妹の苦しみも自分はわからない。
立場が違うからこそ、互いのことをよく話すようになり、理解しようとすることを覚え、より仲良くなることができた。
そんな妹と、小学校で出来た唯一の友人は、彼の心の支えだった。
友人には父親がおらず、母親は酒浸りであるらしく、祖父母に育てられていた。
家庭環境の共通点は、お互いに妹がいることくらいだった。
だが、妹のときと同様に、お互いの立場が違うからこそ、何でも話せた。
大切な友達だった。
しかし彼は、中学受験に合格して、ようやく妹がどれだけ大変な思いをしていたかを理解した。
公立の小中学校とは授業のレベルが違い過ぎていた。
公立の中学校で教わる以上のことを、妹は小学生のうちに学び、彼は公立の高校 以上、大学レベルのことまでを中学生のうちに学ばなければいけなかった。
クラスメイトたちは皆、彼より頭がよく、精神年齢が高いのか、それとも冷めているのか達観しているのか、あるいは諦めているのか、ドラマやアニメなどで公立の男子中高生がするような、しょうもないいさかいで喧嘩をすることは一度もなかった。
彼が知る限りクラスで起きた喧嘩は、
「無限大とは奇数か分数か」
「ゼロとは奇数か分数か」
という難問から発生した口論のふたつくらいだった。
無限大は奇数であり分数である、ゼロはそのどちらでもない、正しいかどうかはわからないが、クラスメイトたちはそのような結論に達し、喧嘩は数時間で終わった。
そんなクラスメイトたちばかりの中で、彼は勉強はついていくのがやっとだった。
妹とはより一層仲良くなれたが、友人とは疎遠になってしまった。
友人が行方不明になったとテレビのニュースで知るまで、その存在を忘れていたくらいだった。
距離が遠すぎて、戦士たちの姿は米粒よりも小さかったから、そこに彼の小学生時代の友人がいることまでは気づかなかった。
だが彼は、自分を尾行している者の存在には気づいていた。
尾行者はふたりだった。
そして、そのふたりの尾行者は、自分が殺してしまったはずの双子の少年たちだとわかった。
一体何が起きているのかはわからなかったし、なぜ自分がそのことがわかるのかもわからなかったが。
魔法使いのようであったから、もしかしたら幻覚か何かを見せられていたのかもしれない、と思った。
彼は振り返ると、姿の見えないふたりの尾行者に言った。
「さっきはごめん。
ごめんですむ問題じゃないけど、本当にごめん。
たぶん、俺、もう何年もずっと、頭がおかしくなってたんだと思う」
彼は、自分の頭が、もう何年も霧がかかったような、もやがかかったような、ずっとそんな感じがしていたことを話した。
よく物を壊したりしていた、と。
殺しはしなかったが、犬や猫を殺そうと考えたこともあった、と。
「でも、さっき、黄金の蝶に触れたときに、おかしくなってた頭がすっきりした。
やっと、自分を取り戻せた。そんな気が今してるんだ」
ライト・リズム・エブリスタと、リード・ビカム・エブリスタは、彼の言葉を聞くと姿を現した。
彼は、自分が人を殺していなかったことよりも、ふたりが生きていてくれたことが嬉しかった。
「信じていいんだな?」
「次また殺そうとしてきたら殺すぞ」
ふたりの問いに、ショウゴは「構わない」と答えた。そんなことは絶対にないから、と。
「一週間くらい前に、俺が元いた世界で友達が行方不明になったんだ。
俺が君らを殺そうとしたあの店に、その友達もこの世界に来ていることがわかるものがあった。
友達がまだ生きているなら会いたい。
一緒に帰れるなら帰りたい。
何が起きてるか知りたい。
だから、」
ふたりは、わかった、とだけ言い、背中に天使のような羽根を生やした。
その羽根は、ショウゴの背にも生えていた。
「大賢者様は飛空艇にはいないみたいだが、ピノアとステラがいるな? リード」
「あぁ、なんでかわかんないけど、少し前から、ピノアよりステラの方が何倍も強くなってるぞ、ライト」
「ステラのこの力は、アルビノの魔人っぽいな」
「あぁ、あともうひとりアルビノの魔人がいる。こいつは誰だかわからないな」
ふたりは、ショウゴにはまるで理解のできないやりとりをした後で、
「俺たちにも何が起きてるかわからない」
「だから、あの飛空艇にいる連中と合流する」
ついてこい、とふたりは言い、空に浮かびあがった。
ショウゴもそれをまねしてみた。
すると、彼もまた空に浮かぶことができたので驚かされた。
大艦隊と戦っているのは、テレビゲームで見た飛空艇のような、この世界のものだろう空を駆ける戦艦が一隻と、数人の戦士とドラゴンだけであった。
大艦隊は、転移してきてからしばらくの間、沈黙を続けていた。
だが、突然、数千発はあるであろう核ミサイルらしきものを発射した。
それは、30分程前のことだった。
しかし、たった一隻の戦艦から放たれた無数の翡翠色のビームのようなものが、核ミサイルをすべて撃墜していた。
その後、世界中に黄金の蝶が舞い、そしてドラゴンらしきものに股がったふたりの竜騎士(?)が大艦隊を相手に戦いはじめた。
黄金の蝶はショウゴのもとにも飛んできた。
彼がその蝶に触れると、彼の中にあった破壊衝動のようなものが消えていた。
なぜ自分は、今手に持っている合体銃剣を手にした直後、この世界の魔法使いらしい双子の少年たちを殺すようなことをしてしまったのか、自分でも理解できないほどに彼の心は洗われていた。
とんでもないことをしてしまった、と思った。
一度人を殺してみたかった?
そんなことを考えていた、そのときの、それまでの自分を、おぞましいとすら思えた。
彼は、物心ついたばかりの頃には、すでに有名私立小学校受験のための勉強をさせられていた。
6歳のとき、小学校の受験に失敗し、彼はようやくそのつらい日々から解放されると思った。
けれど違った。
両親から出来損ないや失敗作だとなじられ、中学校受験は今度こそ失敗するなと言われた。
公立の小学校に通いながら、塾にも通う、そんなこれまで以上に大変な生活があと6年間も続くのかと思った。
彼は6歳で世界に、そして両親に絶望した。
自分が合格出来なかった小学校に、妹が簡単に入学してみせたときに、彼は絶望だけでなく挫折を知った。
8歳のときだった。
妹が両親のように彼を馬鹿にすることがなかったことは幸いだった。
彼は劣等感を感じていたが、妹はそれまでと変わらず兄である彼を慕ってくれた。
妹には自分の苦しみはわからない。
しかし、6歳から片道一時間かかる学校に毎日電車通学をして、へとへとになって帰ってくる妹の苦しみも自分はわからない。
立場が違うからこそ、互いのことをよく話すようになり、理解しようとすることを覚え、より仲良くなることができた。
そんな妹と、小学校で出来た唯一の友人は、彼の心の支えだった。
友人には父親がおらず、母親は酒浸りであるらしく、祖父母に育てられていた。
家庭環境の共通点は、お互いに妹がいることくらいだった。
だが、妹のときと同様に、お互いの立場が違うからこそ、何でも話せた。
大切な友達だった。
しかし彼は、中学受験に合格して、ようやく妹がどれだけ大変な思いをしていたかを理解した。
公立の小中学校とは授業のレベルが違い過ぎていた。
公立の中学校で教わる以上のことを、妹は小学生のうちに学び、彼は公立の高校 以上、大学レベルのことまでを中学生のうちに学ばなければいけなかった。
クラスメイトたちは皆、彼より頭がよく、精神年齢が高いのか、それとも冷めているのか達観しているのか、あるいは諦めているのか、ドラマやアニメなどで公立の男子中高生がするような、しょうもないいさかいで喧嘩をすることは一度もなかった。
彼が知る限りクラスで起きた喧嘩は、
「無限大とは奇数か分数か」
「ゼロとは奇数か分数か」
という難問から発生した口論のふたつくらいだった。
無限大は奇数であり分数である、ゼロはそのどちらでもない、正しいかどうかはわからないが、クラスメイトたちはそのような結論に達し、喧嘩は数時間で終わった。
そんなクラスメイトたちばかりの中で、彼は勉強はついていくのがやっとだった。
妹とはより一層仲良くなれたが、友人とは疎遠になってしまった。
友人が行方不明になったとテレビのニュースで知るまで、その存在を忘れていたくらいだった。
距離が遠すぎて、戦士たちの姿は米粒よりも小さかったから、そこに彼の小学生時代の友人がいることまでは気づかなかった。
だが彼は、自分を尾行している者の存在には気づいていた。
尾行者はふたりだった。
そして、そのふたりの尾行者は、自分が殺してしまったはずの双子の少年たちだとわかった。
一体何が起きているのかはわからなかったし、なぜ自分がそのことがわかるのかもわからなかったが。
魔法使いのようであったから、もしかしたら幻覚か何かを見せられていたのかもしれない、と思った。
彼は振り返ると、姿の見えないふたりの尾行者に言った。
「さっきはごめん。
ごめんですむ問題じゃないけど、本当にごめん。
たぶん、俺、もう何年もずっと、頭がおかしくなってたんだと思う」
彼は、自分の頭が、もう何年も霧がかかったような、もやがかかったような、ずっとそんな感じがしていたことを話した。
よく物を壊したりしていた、と。
殺しはしなかったが、犬や猫を殺そうと考えたこともあった、と。
「でも、さっき、黄金の蝶に触れたときに、おかしくなってた頭がすっきりした。
やっと、自分を取り戻せた。そんな気が今してるんだ」
ライト・リズム・エブリスタと、リード・ビカム・エブリスタは、彼の言葉を聞くと姿を現した。
彼は、自分が人を殺していなかったことよりも、ふたりが生きていてくれたことが嬉しかった。
「信じていいんだな?」
「次また殺そうとしてきたら殺すぞ」
ふたりの問いに、ショウゴは「構わない」と答えた。そんなことは絶対にないから、と。
「一週間くらい前に、俺が元いた世界で友達が行方不明になったんだ。
俺が君らを殺そうとしたあの店に、その友達もこの世界に来ていることがわかるものがあった。
友達がまだ生きているなら会いたい。
一緒に帰れるなら帰りたい。
何が起きてるか知りたい。
だから、」
ふたりは、わかった、とだけ言い、背中に天使のような羽根を生やした。
その羽根は、ショウゴの背にも生えていた。
「大賢者様は飛空艇にはいないみたいだが、ピノアとステラがいるな? リード」
「あぁ、なんでかわかんないけど、少し前から、ピノアよりステラの方が何倍も強くなってるぞ、ライト」
「ステラのこの力は、アルビノの魔人っぽいな」
「あぁ、あともうひとりアルビノの魔人がいる。こいつは誰だかわからないな」
ふたりは、ショウゴにはまるで理解のできないやりとりをした後で、
「俺たちにも何が起きてるかわからない」
「だから、あの飛空艇にいる連中と合流する」
ついてこい、とふたりは言い、空に浮かびあがった。
ショウゴもそれをまねしてみた。
すると、彼もまた空に浮かぶことができたので驚かされた。
0
あなたにおすすめの小説
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる