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第3章 第9話
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女王曰く、アリステラ語は、その文法などから世界で唯一無二の言語と言われている日本語に、非常に似通っているという。
それは、日本語のルーツがアリステラにあり、日本における漢字伝来以前に使用されていたという神代文字もまた、アリステラの文字だからだという。
それが本当なら、日本人は大陸からの移民であったり、日ユ同祖論にあるようなユダヤ人と祖先を同じくするわけではなく、同じ大陸からの移民であってもアリステラと祖先を同じくする民族であるか、太古の時代にアリステラの俗国であったということだろう。
アリステラは、秋月文書などの古文書の研究者たちが考えたように、やはり数百年前に滅亡したのではなく、数千年前に滅亡した超古代文明のひとつなのかもしれない。
この国の建国神話が実際にあった出来事を参考にしているのなら、高天原がアリステラに当たる可能性もある。
あまりに万能すぎるエーテルも、有機物をベースとしたナノマシンだと考えれば納得がいかないわけでもなかった。
清き水から生まれるというのなら、微生物を元に作り出されたものかもしれない。微生物の中には電気で生きるものが存在するし、バイオテクノロジーの分野では微生物から電気を作る研究も、災厄の前の時代には行われていたはずだ。
大気中に存在するだけで電子機器を起動する電力に電波、それに脳内に運ばれたエーテルが一定量に達すると可能になるという脳による多言語の自動翻訳、それほどのナノマシン技術があれば、アリステラは人体を人為的に進化させることもできたかもしれない。
たとえば、秋月文書などに登場する巨人の存在だ。大きさこそ誇張されているだろうが巨人が本当に実在した可能性はゼロではない。
アリステラの大地が緑豊かで飢饉知らずだったのも、すべてナノマシンによるものだと説明がつくだろう。
では、なぜ滅んだ?
伝承や創作の中にあるアトランティスやムーもまた、強大な科学力を持ちながら一夜にして海中に没し滅んだとされているが、どちらも科学力に対し滅亡の仕方にあまりに無理がある。
神の怒りを買ったためなど理由付けがされているが、あくまで伝承であり創作だから許されているようなものだ。
アリステラがそう簡単に滅ぶわけがなかった。
考えられるのは、ナノマシンに頼りすぎたことによる「グレイグー」だ。
自己増殖性を有するナノマシンが、無限に増殖することによって地球上を覆い、火山の大噴火や巨大隕石の衝突の後の粉塵のように、太陽の光が地上に届かなくなり氷河期を迎えたか。
いや、それならば、人類の今日の発展はなかった。
アリステラと共に人類はすべて滅亡していただろう。
「アリステラがどんな国家であったのかについては、世界にはほとんど記録が残されていないでしょう」
ようやく本題が始まってくれた。
いつの間にか彼女は大きな古文書を抱いていた。
「アリステラについて記された日本に存在する古文書、秋月文書や富嶽文書、比良坂暦、サタナハマアカは、すべてこの『ブライ聖典』を元にしています。
ブライとは、アリステラの父。
アリステラピノアとはアリステラの父を支えるアリステラの母。
この聖典は、アリステラがかつてこの世界とは異なる世界に存在した時代に記されたもの。
アリステラとは、この世界とは異なる世界から、国家ごとこの世界に転移してきた国なのです。
逆にアトランティスやムー、レムリアやメガラニカは、この世界からアリステラが存在していた世界に転移しました」
「異世界から国家ごと飛ばされて来た国だと……?」
にわかには信じられない話だった。
一個人が異世界に転移や転生する、災厄前の時代に流行ったライトノベルとはあまりにスケールが違いすぎた。
「それがおよそ10万年前のこと。
まだこの世界の人類、ホモサピエンスが、ネアンデルタール人などの別の人類の可能性を滅ぼしていた時代の話です」
ホモサピエンスが人類の別の可能性を滅ぼしていなければ、ネアンデルタール人らは進化し、この世界は今頃異世界のようにエルフやドワーフなどといった亜人が存在する世界になっていたという。
女王の手にはさらに別の古文書が現れた。それがどこからか転移してきているかのように見えるのは、エーテルによるものなのだろうか。
「こちらの古文書は、この世界に転移した後に記された『アンフィス叙事詩』と呼ばれるもの。
アリステラの英雄アンフィスと彼の弟子たちについて記された英雄譚です。
この叙事詩には、当時のアリステラの女王の命を受けた英雄アンフィスが、13人のネアンデルタール人らを自らの弟子とし、またアリステラの竜騎士団などの軍を率い、あなた方の先祖となるホモサピエンスと、大陸の奪い合いをすることになったとあります。
ですが、先に戦いを仕掛けたのは、我々ではなくホモサピエンスの方でした。
そしてアリステラは、その強大な軍事力で大陸全土を支配しました。
しかし、この世界にはエーテルが存在しませんでした。アリステラには、転移の際に同時に持ち込まれた大気の中に含まれていたエーテルしか存在しなかったのです。
100年あまりでエーテルは枯渇し、アリステラの軍事力は著しく落ちてしまいました」
軍事力の落ちたアリステラは、ホモサピエンスの反撃にあい、滅亡を迎えた。そのときにネアンデルタール人らも滅びることとなった。
それが10万年前に起きた出来事だという。
それは、日本語のルーツがアリステラにあり、日本における漢字伝来以前に使用されていたという神代文字もまた、アリステラの文字だからだという。
それが本当なら、日本人は大陸からの移民であったり、日ユ同祖論にあるようなユダヤ人と祖先を同じくするわけではなく、同じ大陸からの移民であってもアリステラと祖先を同じくする民族であるか、太古の時代にアリステラの俗国であったということだろう。
アリステラは、秋月文書などの古文書の研究者たちが考えたように、やはり数百年前に滅亡したのではなく、数千年前に滅亡した超古代文明のひとつなのかもしれない。
この国の建国神話が実際にあった出来事を参考にしているのなら、高天原がアリステラに当たる可能性もある。
あまりに万能すぎるエーテルも、有機物をベースとしたナノマシンだと考えれば納得がいかないわけでもなかった。
清き水から生まれるというのなら、微生物を元に作り出されたものかもしれない。微生物の中には電気で生きるものが存在するし、バイオテクノロジーの分野では微生物から電気を作る研究も、災厄の前の時代には行われていたはずだ。
大気中に存在するだけで電子機器を起動する電力に電波、それに脳内に運ばれたエーテルが一定量に達すると可能になるという脳による多言語の自動翻訳、それほどのナノマシン技術があれば、アリステラは人体を人為的に進化させることもできたかもしれない。
たとえば、秋月文書などに登場する巨人の存在だ。大きさこそ誇張されているだろうが巨人が本当に実在した可能性はゼロではない。
アリステラの大地が緑豊かで飢饉知らずだったのも、すべてナノマシンによるものだと説明がつくだろう。
では、なぜ滅んだ?
伝承や創作の中にあるアトランティスやムーもまた、強大な科学力を持ちながら一夜にして海中に没し滅んだとされているが、どちらも科学力に対し滅亡の仕方にあまりに無理がある。
神の怒りを買ったためなど理由付けがされているが、あくまで伝承であり創作だから許されているようなものだ。
アリステラがそう簡単に滅ぶわけがなかった。
考えられるのは、ナノマシンに頼りすぎたことによる「グレイグー」だ。
自己増殖性を有するナノマシンが、無限に増殖することによって地球上を覆い、火山の大噴火や巨大隕石の衝突の後の粉塵のように、太陽の光が地上に届かなくなり氷河期を迎えたか。
いや、それならば、人類の今日の発展はなかった。
アリステラと共に人類はすべて滅亡していただろう。
「アリステラがどんな国家であったのかについては、世界にはほとんど記録が残されていないでしょう」
ようやく本題が始まってくれた。
いつの間にか彼女は大きな古文書を抱いていた。
「アリステラについて記された日本に存在する古文書、秋月文書や富嶽文書、比良坂暦、サタナハマアカは、すべてこの『ブライ聖典』を元にしています。
ブライとは、アリステラの父。
アリステラピノアとはアリステラの父を支えるアリステラの母。
この聖典は、アリステラがかつてこの世界とは異なる世界に存在した時代に記されたもの。
アリステラとは、この世界とは異なる世界から、国家ごとこの世界に転移してきた国なのです。
逆にアトランティスやムー、レムリアやメガラニカは、この世界からアリステラが存在していた世界に転移しました」
「異世界から国家ごと飛ばされて来た国だと……?」
にわかには信じられない話だった。
一個人が異世界に転移や転生する、災厄前の時代に流行ったライトノベルとはあまりにスケールが違いすぎた。
「それがおよそ10万年前のこと。
まだこの世界の人類、ホモサピエンスが、ネアンデルタール人などの別の人類の可能性を滅ぼしていた時代の話です」
ホモサピエンスが人類の別の可能性を滅ぼしていなければ、ネアンデルタール人らは進化し、この世界は今頃異世界のようにエルフやドワーフなどといった亜人が存在する世界になっていたという。
女王の手にはさらに別の古文書が現れた。それがどこからか転移してきているかのように見えるのは、エーテルによるものなのだろうか。
「こちらの古文書は、この世界に転移した後に記された『アンフィス叙事詩』と呼ばれるもの。
アリステラの英雄アンフィスと彼の弟子たちについて記された英雄譚です。
この叙事詩には、当時のアリステラの女王の命を受けた英雄アンフィスが、13人のネアンデルタール人らを自らの弟子とし、またアリステラの竜騎士団などの軍を率い、あなた方の先祖となるホモサピエンスと、大陸の奪い合いをすることになったとあります。
ですが、先に戦いを仕掛けたのは、我々ではなくホモサピエンスの方でした。
そしてアリステラは、その強大な軍事力で大陸全土を支配しました。
しかし、この世界にはエーテルが存在しませんでした。アリステラには、転移の際に同時に持ち込まれた大気の中に含まれていたエーテルしか存在しなかったのです。
100年あまりでエーテルは枯渇し、アリステラの軍事力は著しく落ちてしまいました」
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