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第9章 第5話
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2026年10月31日に起きたのは、巨大地震と大津波による日本列島の分断や水没だけではなかった。
ヤルダバの首都アルコンに存在した、翡翠色の巨大な建造物を台風の目とする超巨大台風が移動し始めたのだ。
移動したのは台風だけでなく、翡翠色の巨大な建造物は常に台風の目の中にあり、台風と共に移動していた。
「新生アリステラは、アリステラの『城塞戦車キャッスルチャリオット』をまがい物のエーテルで再現していたのですね」
タカミのパソコンのモニターに映るその映像を見たレインはそう言い、
「アリステラが元々存在した世界で、2つの大陸を蹂躙した、戦車のように移動可能なアリステラの城ですわ」
何が起きているのかわからず、ぽかんとしているタカミとショウゴに、10万年前の女王の記憶を引き出してタカミたちに説明した。
アリステラが存在したのは実際には異世界などではなく、地球から56億7000万光年離れた銀河にあるひとつの惑星だったという。
その軍事力に絶大な自信を持っていたアリステラは、他国へ侵略する際、常にその国の軍事拠点や首都、主要都市すべての制圧が成功することを前提に考えていたそうだ。
制圧後に他国のそれらを利用して新たに部隊の補給などが可能な拠点を作り、さらなる侵略の準備を整えるわけではなく、それらすべてを完膚なきまでに叩き潰すことで一切の抵抗もできなくするようにする。
そして、アリステラの首都機能そのものを常に最前線に移動させ、周辺諸国に防衛のための時間を与えることなく、さらなる侵略をすぐにでも開始できるように作られたのが、この「城塞戦車」だということだった。
日本の戦国時代に例えるなら数万の兵だけでなく、城そのものが移動しながら攻撃してくるだけでなく、兵たちが食糧や水、物資の補給をも行いながら攻めこんでくるようなものというわけだ。
戦車のように移動可能な城を作れたのは、どんな金属よりも硬く軽い結晶化したエーテルが存在したからであり、それを活かせるだけの技術があったからこそできたことだが、考えることがかの第六天魔王よりも恐ろしかった。一体どちらが野蛮なホモサピエンスなのかもはや怪しかった。
「キャッスルチャリオットが完成しているなら、その操縦や攻撃を補助する『魔導人工頭脳シド』の再現にも成功しているはず……
まさか、『飛翔艇オルフェウス』や『人造人間兵士サタナハマアカ』も……?」
アリステラには城塞戦車による陸からの蹂躙だけでなく、オルフェウスと呼ばれる戦艦級の大きさを誇る飛翔艇が量産され、空からの爆撃による蹂躙も行われていたそうだ。
戦国時代に浮遊する巨大な戦艦がいくつも現れ、空襲を受けたならひとたまりもなかっただろう。太平洋戦争時や現代に起きたアメリカによるアフガニスタンやイラクでの戦争、ロシアによるウクライナ進攻でさえ、戦闘機やドローンによる空襲は恐ろしいものであったのだ。
「俺、新生アリステラは、てっきり天変地異や疫病だけで人類を滅ぼすつもりだと思ってた」
「ぼくもだよ。だけど、どうやら本気を出してきたみたいだな」
新生アリステラの戦略の急な変更には何か理由があるはずだった。
その理由はもしかしたらレインにあるのかもしれなかった。
彼女は今、アリステラの歴代の女王や女王となる資格を持っていた者たちの10万年に渡る知識や記憶、経験を持っている。
それは昨日の夜までの彼女にはなかったものであり、タカミたちは歴代の女王たちが新生アリステラの女王であるアリステラピノアではなく、レインを真の女王に選んだからではないかと考えていた。
だからこそ、新生アリステラは巨大地震と津波により、日本という島国ごと彼女を消そうとしたのではないだろうか。
だが、彼女やタカミたちがいる雨野市だけは、その厄災を免れた。
「追い詰められているのは、ぼくたち人類ではないのかもしれないね。
野蛮なホモサピエンス相手になりふりかまってられないほど、新生アリステラは追い詰められているんだ」
でも、誰に?
タカミたちのそばにいる、たったひとりの女の子に。
ヤルダバの首都アルコンに存在した、翡翠色の巨大な建造物を台風の目とする超巨大台風が移動し始めたのだ。
移動したのは台風だけでなく、翡翠色の巨大な建造物は常に台風の目の中にあり、台風と共に移動していた。
「新生アリステラは、アリステラの『城塞戦車キャッスルチャリオット』をまがい物のエーテルで再現していたのですね」
タカミのパソコンのモニターに映るその映像を見たレインはそう言い、
「アリステラが元々存在した世界で、2つの大陸を蹂躙した、戦車のように移動可能なアリステラの城ですわ」
何が起きているのかわからず、ぽかんとしているタカミとショウゴに、10万年前の女王の記憶を引き出してタカミたちに説明した。
アリステラが存在したのは実際には異世界などではなく、地球から56億7000万光年離れた銀河にあるひとつの惑星だったという。
その軍事力に絶大な自信を持っていたアリステラは、他国へ侵略する際、常にその国の軍事拠点や首都、主要都市すべての制圧が成功することを前提に考えていたそうだ。
制圧後に他国のそれらを利用して新たに部隊の補給などが可能な拠点を作り、さらなる侵略の準備を整えるわけではなく、それらすべてを完膚なきまでに叩き潰すことで一切の抵抗もできなくするようにする。
そして、アリステラの首都機能そのものを常に最前線に移動させ、周辺諸国に防衛のための時間を与えることなく、さらなる侵略をすぐにでも開始できるように作られたのが、この「城塞戦車」だということだった。
日本の戦国時代に例えるなら数万の兵だけでなく、城そのものが移動しながら攻撃してくるだけでなく、兵たちが食糧や水、物資の補給をも行いながら攻めこんでくるようなものというわけだ。
戦車のように移動可能な城を作れたのは、どんな金属よりも硬く軽い結晶化したエーテルが存在したからであり、それを活かせるだけの技術があったからこそできたことだが、考えることがかの第六天魔王よりも恐ろしかった。一体どちらが野蛮なホモサピエンスなのかもはや怪しかった。
「キャッスルチャリオットが完成しているなら、その操縦や攻撃を補助する『魔導人工頭脳シド』の再現にも成功しているはず……
まさか、『飛翔艇オルフェウス』や『人造人間兵士サタナハマアカ』も……?」
アリステラには城塞戦車による陸からの蹂躙だけでなく、オルフェウスと呼ばれる戦艦級の大きさを誇る飛翔艇が量産され、空からの爆撃による蹂躙も行われていたそうだ。
戦国時代に浮遊する巨大な戦艦がいくつも現れ、空襲を受けたならひとたまりもなかっただろう。太平洋戦争時や現代に起きたアメリカによるアフガニスタンやイラクでの戦争、ロシアによるウクライナ進攻でさえ、戦闘機やドローンによる空襲は恐ろしいものであったのだ。
「俺、新生アリステラは、てっきり天変地異や疫病だけで人類を滅ぼすつもりだと思ってた」
「ぼくもだよ。だけど、どうやら本気を出してきたみたいだな」
新生アリステラの戦略の急な変更には何か理由があるはずだった。
その理由はもしかしたらレインにあるのかもしれなかった。
彼女は今、アリステラの歴代の女王や女王となる資格を持っていた者たちの10万年に渡る知識や記憶、経験を持っている。
それは昨日の夜までの彼女にはなかったものであり、タカミたちは歴代の女王たちが新生アリステラの女王であるアリステラピノアではなく、レインを真の女王に選んだからではないかと考えていた。
だからこそ、新生アリステラは巨大地震と津波により、日本という島国ごと彼女を消そうとしたのではないだろうか。
だが、彼女やタカミたちがいる雨野市だけは、その厄災を免れた。
「追い詰められているのは、ぼくたち人類ではないのかもしれないね。
野蛮なホモサピエンス相手になりふりかまってられないほど、新生アリステラは追い詰められているんだ」
でも、誰に?
タカミたちのそばにいる、たったひとりの女の子に。
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