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第10章 第9話
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タカミは、この戦いで死ぬのは遣田と自分だろうと思っていた。ユワの死も覚悟していた。
以前にも考えたことがあったが、これがもし物語であったなら、ショウゴが主人公であり、レインとユワをヒロインとし、ショウゴがレインやタカミと共に、遣田ハオトや新生アリステラと戦う物語なのだと。
もう一組の主人公やヒロインとなるとなるべき存在は一条とハルミだったが、一条はすでに死んでしまっていたから、彼の役割をタカミがあくまで脇役として担う物語なのだと考えていた。
ユワをまた死なせてしまうかもしれないし、自分もまた死ぬかもしれないが、ショウゴとレインが遣田を倒すことに成功し、ハルミだけは連れ戻すことができるだろうと。
新生アリステラは壊滅するが、アリステラ人と人類は共存の道を選び、世界は災厄の時代を乗り越え、世界を救ったふたりはその復興にも尽力していく。
ふたりのことはもちろん、この世界に生きる者すべてをハルミが支え、世界は長い時間をかけて完全に元通りとまではいかないものの復興していく。
そうやって人類の未来は続いていく。
それが、タカミが思い描いていた物語だった。
だが物語ではなく現実で実際に死んだのはショウゴであり、ユワであり、ハルミであり、一条とハルミの子どもであり、そして遣田だった。
残されたのは、レインとタカミだけだった。
「本当に、ショウゴさんはもうどこにもいないんですね……」
レインはショウゴの日本刀「白雪」を鞘にしまうと、
「わたくしが作って差し上げたこれだけが、ショウゴさんの形見になってしまいました」
愛おしそうに抱きしめた。
ショウゴがレインと対遣田用の策を練っていたように、タカミもまた、遣田が憑依しているのがユワの身体ではなく一条の身体のままであったなら、あるいはソウゴという少年の体を乗っ取った遣田をハルミがあのような手で殺さなければ、対遣田用の策があった。
結局、使うチャンスがなかったが、彼は彼なりに戦力になろうとしていた。彼の物語の主人公になろうとしていた。
だが、そのどちらにもなれなかった。
「すまない……ぼくは何の役にも立てなかった……」
自分が死ねばよかった、死ぬべきだった、タカミはそう口にしようとしたがやめた。レインを悲しませるだけだと思ったからだ。
あるいは彼女に、「本当にそうですよ、どうしてあなたが生きているんですか」と言われてしまうのが怖かっただけだったのかもしれなかった。
レインがそんな女性ではないことは知っていたが、大切な人を失った直後なのだ。
いくら平静を装っていても、いつ感情的になってしまうかわからない。
タカミもまた、ショウゴだけでなく、ユワとハルミのふたりを失っていたから、平静を装うだけで精一杯だったから彼女の気持ちはよくわかった。
「いつまでもここにいても仕方がありません。帰りましょう」
レインはゲートをその場に作り出した。ゲートは、やはり先程のものより一回り小さかった。
彼女はずっと感染対策のバリアを、彼女とタカミのふたり分張り続けていてくれたため、もしかしたらもう体力や精神の限界が近かったのかもしれなかった。
「お先に失礼しますね」
ゲートをくぐろうとしたレインは、
「タカミさん、あれは一体何でしょうか?」
リアルロボットアニメのコックピットのように全天周囲モニターになっていた女王の間の外に、何かを見つけた。
そこには、女王の間に向けて手のひらをかざす、6枚の翼を持ち、6本の脚を持つ、上半身だけはヒト型の、空に浮かぶ機械のような何かがいた。
その手のひらにはエーテルが集まっており、女王の間に向けて遣田が放ったものと同じ「業火連弾」を突然撃ってきた。
女王の間の半分が一瞬で跡形もなく吹き飛んだ。
そこには、ユワが玉座や壁ごと氷の麒麟の角に串刺しになっており、体中の水分を失い干からびたハルミの死体が転がっていたが、何もかもがなくなってしまった。
「まさか、まだ遣田という人がわたくしたちを?」
「いや、たぶん違うと思う」
業火連弾を使うことができ、機械の体を持つ謎の存在は、半壊した女王の間に降り立った。
「こいつはたぶん、歴代の女王たちの記録をインストールした人造人間兵士たちのひとりだよ。
女王たちの人格が生まれて、より戦闘に特化した形に体を変化させたんだ」
だが、どうやらアリステラの歴代の女王たちは、タカミとレインを、そして人類を、敵と見なしてしまったようだった。
名もわからない女王は、両手の手のひらと、6枚の機械の翼にエーテルを集めていた。
そのそれぞれが、炎、氷、風、土、雷の五つの魔法に加え、さらに3種類の魔法を発動させようとしていた。
新生アリステラによる災厄の時代は終わろうとしていた。
だが、どうやら新たな災厄の時代をタカミとレインのふたりはその手で産み出してしまったようだった。
以前にも考えたことがあったが、これがもし物語であったなら、ショウゴが主人公であり、レインとユワをヒロインとし、ショウゴがレインやタカミと共に、遣田ハオトや新生アリステラと戦う物語なのだと。
もう一組の主人公やヒロインとなるとなるべき存在は一条とハルミだったが、一条はすでに死んでしまっていたから、彼の役割をタカミがあくまで脇役として担う物語なのだと考えていた。
ユワをまた死なせてしまうかもしれないし、自分もまた死ぬかもしれないが、ショウゴとレインが遣田を倒すことに成功し、ハルミだけは連れ戻すことができるだろうと。
新生アリステラは壊滅するが、アリステラ人と人類は共存の道を選び、世界は災厄の時代を乗り越え、世界を救ったふたりはその復興にも尽力していく。
ふたりのことはもちろん、この世界に生きる者すべてをハルミが支え、世界は長い時間をかけて完全に元通りとまではいかないものの復興していく。
そうやって人類の未来は続いていく。
それが、タカミが思い描いていた物語だった。
だが物語ではなく現実で実際に死んだのはショウゴであり、ユワであり、ハルミであり、一条とハルミの子どもであり、そして遣田だった。
残されたのは、レインとタカミだけだった。
「本当に、ショウゴさんはもうどこにもいないんですね……」
レインはショウゴの日本刀「白雪」を鞘にしまうと、
「わたくしが作って差し上げたこれだけが、ショウゴさんの形見になってしまいました」
愛おしそうに抱きしめた。
ショウゴがレインと対遣田用の策を練っていたように、タカミもまた、遣田が憑依しているのがユワの身体ではなく一条の身体のままであったなら、あるいはソウゴという少年の体を乗っ取った遣田をハルミがあのような手で殺さなければ、対遣田用の策があった。
結局、使うチャンスがなかったが、彼は彼なりに戦力になろうとしていた。彼の物語の主人公になろうとしていた。
だが、そのどちらにもなれなかった。
「すまない……ぼくは何の役にも立てなかった……」
自分が死ねばよかった、死ぬべきだった、タカミはそう口にしようとしたがやめた。レインを悲しませるだけだと思ったからだ。
あるいは彼女に、「本当にそうですよ、どうしてあなたが生きているんですか」と言われてしまうのが怖かっただけだったのかもしれなかった。
レインがそんな女性ではないことは知っていたが、大切な人を失った直後なのだ。
いくら平静を装っていても、いつ感情的になってしまうかわからない。
タカミもまた、ショウゴだけでなく、ユワとハルミのふたりを失っていたから、平静を装うだけで精一杯だったから彼女の気持ちはよくわかった。
「いつまでもここにいても仕方がありません。帰りましょう」
レインはゲートをその場に作り出した。ゲートは、やはり先程のものより一回り小さかった。
彼女はずっと感染対策のバリアを、彼女とタカミのふたり分張り続けていてくれたため、もしかしたらもう体力や精神の限界が近かったのかもしれなかった。
「お先に失礼しますね」
ゲートをくぐろうとしたレインは、
「タカミさん、あれは一体何でしょうか?」
リアルロボットアニメのコックピットのように全天周囲モニターになっていた女王の間の外に、何かを見つけた。
そこには、女王の間に向けて手のひらをかざす、6枚の翼を持ち、6本の脚を持つ、上半身だけはヒト型の、空に浮かぶ機械のような何かがいた。
その手のひらにはエーテルが集まっており、女王の間に向けて遣田が放ったものと同じ「業火連弾」を突然撃ってきた。
女王の間の半分が一瞬で跡形もなく吹き飛んだ。
そこには、ユワが玉座や壁ごと氷の麒麟の角に串刺しになっており、体中の水分を失い干からびたハルミの死体が転がっていたが、何もかもがなくなってしまった。
「まさか、まだ遣田という人がわたくしたちを?」
「いや、たぶん違うと思う」
業火連弾を使うことができ、機械の体を持つ謎の存在は、半壊した女王の間に降り立った。
「こいつはたぶん、歴代の女王たちの記録をインストールした人造人間兵士たちのひとりだよ。
女王たちの人格が生まれて、より戦闘に特化した形に体を変化させたんだ」
だが、どうやらアリステラの歴代の女王たちは、タカミとレインを、そして人類を、敵と見なしてしまったようだった。
名もわからない女王は、両手の手のひらと、6枚の機械の翼にエーテルを集めていた。
そのそれぞれが、炎、氷、風、土、雷の五つの魔法に加え、さらに3種類の魔法を発動させようとしていた。
新生アリステラによる災厄の時代は終わろうとしていた。
だが、どうやら新たな災厄の時代をタカミとレインのふたりはその手で産み出してしまったようだった。
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