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王城の密談
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放課後、俺とライオネル殿下は馬車に乗り込み、王城へと向かった。
「キート、光属性が適正と知ったときは驚いただろう。私でも信じられず2回聞いたくらいだから本人はもっとだろう?」
馬車の中、ライオネル殿下がいつもの完璧な笑顔で話しかけてくる。
「俺も驚きました。てっきり、火属性だけと思っていたので」
「適性検査から入学式まで、たしか一週間もなかったはずだが、どのくらいの訓練を積んだんだ?君の火の剣技も、見たところ騎士団長を凌ぐ勢いだ」
「それが、もう地獄の特訓でして……母上からは魔力の基礎を嫌というほど叩き込まれ、父上からは火を剣に纏わせる技を教わりました。特訓のせいで、ここ最近は体がボロボロでしたよ」
俺がそう言って肩をすくめると、殿下は楽しそうに笑った。
「ハハッ、それはご両親も張り切っただろうなあ。君が剣術だけでなく、魔術にも興味を持ってくれて」
「はい。剣術の世界だけじゃいけないと思ったんです。おかげで視野が広がり料理という(推しへの餌付けのため)趣味ができました」
「料理か。昼食中に聞いたが、君が料理までできるとはね。驚きだよ」
殿下はそう言って、感心したように頷いた。
「簡単なものしか挑戦してないですが、これからは剣術以外のことにも挑戦しようと思っていて。それに、フィルが俺のサンドイッチを美味しいって言ってくれて嬉しかったからな…」
俺がそこまで話すと、殿下の瞳がキラリと光った。
「そうか、そうか…フィルね。それはよかった」
殿下はそう言って、何か含みのある笑顔で微笑んだ。
馬車は王城に到着した。
俺たちは、馬車から降りると、城内を歩き、ライオネル殿下の私室へと向かった。
扉が開くと、そこには豪華な装飾が施された部屋が広がっていた。前世を思い出してからはこの部屋に来るのは初かもしれない。
ライオネル殿下は、扉を閉め、護衛の騎士たちに人払いをする。
「二人きりだ。キート、話がある」
殿下がそう言うと、俺は緊張で体がこわばった。
殿下は、部屋の隅にある台座に手をかざすと、透明なドームのようなものが部屋全体を覆った。
「遮音の魔道具だ。これで、外に声が漏れることはない」
雰囲気がガラリと変わった。いつもの完璧な笑顔は消え、真剣な眼差しで俺を見つめるライオネル殿下。俺は、この呼び出しが、ただの雑談ではないことを悟った。
「キート、単刀直入に言う。陛下から呼び出しがあり、私の婚約者についての話が出た」
「婚約者、ですか?」
「ああ。私はまだ婚約者を決めていない…まあ、お前もだがな。国王である陛下は、国にとって有益な存在を伴侶に選んでほしいと考えている。その中で、陛下は私に、光属性持ちを婚約者に迎え入れることを提案された」
(まさか…)
俺は驚いてライオネル殿下を見つめた。
「光属性の魔術師は、この国でも希少な存在。ウィルと…そして、キート。お前もだ」
ライオネル殿下はそう言って、俺の目をじっと見つめてきた。
「家柄で言えば、公爵家の君なら申し分ない。だが、ウィルを婚約者として迎える場合、家柄は伯爵家でしかない。さらに、ウィルはまだ光属性の力を開花させていない。貴族や国民に認めさせるには相当な苦労となるぞ、と陛下は心配されていた」
ライオネル殿下の言葉に、俺は胸が締め付けられた。
「陛下は言われた。ウィルが光属性を持っていようが、使えなくては意味がないと。そこで、陛下は私に、ウィルを婚約者にするなら、双子の片割れであるフィルを悪役に仕立て、乗り越えるべき障害として利用することを提案された」
殿下の言葉を理解するのに時間がかかった。しかし、理解してからは怒りの感情が浮かんできた。ゲームの世界で、なぜフィルが悪役として存在することになったのか、その理由が今、明らかになった。
(陛下が、そんなことを…?)
俺は、ゲームの強制力だと思っていたが、それは、国王という絶対的な権力者によって仕組まれた、卑劣な計画だったのだ。
「もちろん、私はそんなことを許すはずはないだろう?」
ライオネル殿下の瞳に、怒りの炎が宿っていた。
俺は、殿下もフィルを大切に思っていることに気づき、安堵した。俺がこの世界に介入したことにより殿下の考えを変えられたのかもしれない。
「殿下……」
「キート。お前がフィルのことをなんとも思っていなかった場合、私は遠慮せず陛下に言われるがままにフィルを悪役に仕立てただろう。しかし、君がどれほどフィルのことを大切に思っているか、見ていて分かった。だからこそ、私は、君の友として、そして王族として、そんなことはさせない。フィルを悪役にするなんて、そんな馬鹿げた計画は、この私…そして、お前がが阻止してみせよう」
ライオネル殿下の言葉に、俺は胸が熱くなった。
「陛下には、ウィルの光の力を開花させることを強く主張した。そして、その協力を君に頼みたい。私に協力してほしい、キート」
俺は迷うことなく、頷いた。
「もちろんです!」
俺の返事に、ライオネル殿下は安堵の表情を浮かべた。
「しかし、殿下。こちらからもお願いがあります。フィルは闇属性ということもあり周りからも嫌われてしまっています。ウィルを婚約者とする場合、そこは改善すべきだと思います。ご協力願えますか?」
俺は、フィルを守るため、ライオネル殿下にそう問いかけた。
「キートの言う通りだ。フィルが闇属性持ちであるから、近づくべきでないという国民の昔からの意識を変えるのは大変かもしれない。だからこそ、我々が動かねばならない」
ライオネル殿下の言葉に、俺は深く頷いた。
「俺も、フィルを救いたいです。俺たちの手で、みんなが幸せになれる未来を掴みましょう」
俺は、殿下と強く視線を交わした。
ライオネル殿下は、俺の言葉に満足そうに微笑んだ。
「ああ。私も君に協力しよう」
俺たちは、フィルの運命を変えるため、そしてゲームの世界の理不尽な結末を覆すため、王城の密室で、二人だけの作戦を練り始めた。
俺たちの戦いは、今、始まったばかりだ。
「キート、光属性が適正と知ったときは驚いただろう。私でも信じられず2回聞いたくらいだから本人はもっとだろう?」
馬車の中、ライオネル殿下がいつもの完璧な笑顔で話しかけてくる。
「俺も驚きました。てっきり、火属性だけと思っていたので」
「適性検査から入学式まで、たしか一週間もなかったはずだが、どのくらいの訓練を積んだんだ?君の火の剣技も、見たところ騎士団長を凌ぐ勢いだ」
「それが、もう地獄の特訓でして……母上からは魔力の基礎を嫌というほど叩き込まれ、父上からは火を剣に纏わせる技を教わりました。特訓のせいで、ここ最近は体がボロボロでしたよ」
俺がそう言って肩をすくめると、殿下は楽しそうに笑った。
「ハハッ、それはご両親も張り切っただろうなあ。君が剣術だけでなく、魔術にも興味を持ってくれて」
「はい。剣術の世界だけじゃいけないと思ったんです。おかげで視野が広がり料理という(推しへの餌付けのため)趣味ができました」
「料理か。昼食中に聞いたが、君が料理までできるとはね。驚きだよ」
殿下はそう言って、感心したように頷いた。
「簡単なものしか挑戦してないですが、これからは剣術以外のことにも挑戦しようと思っていて。それに、フィルが俺のサンドイッチを美味しいって言ってくれて嬉しかったからな…」
俺がそこまで話すと、殿下の瞳がキラリと光った。
「そうか、そうか…フィルね。それはよかった」
殿下はそう言って、何か含みのある笑顔で微笑んだ。
馬車は王城に到着した。
俺たちは、馬車から降りると、城内を歩き、ライオネル殿下の私室へと向かった。
扉が開くと、そこには豪華な装飾が施された部屋が広がっていた。前世を思い出してからはこの部屋に来るのは初かもしれない。
ライオネル殿下は、扉を閉め、護衛の騎士たちに人払いをする。
「二人きりだ。キート、話がある」
殿下がそう言うと、俺は緊張で体がこわばった。
殿下は、部屋の隅にある台座に手をかざすと、透明なドームのようなものが部屋全体を覆った。
「遮音の魔道具だ。これで、外に声が漏れることはない」
雰囲気がガラリと変わった。いつもの完璧な笑顔は消え、真剣な眼差しで俺を見つめるライオネル殿下。俺は、この呼び出しが、ただの雑談ではないことを悟った。
「キート、単刀直入に言う。陛下から呼び出しがあり、私の婚約者についての話が出た」
「婚約者、ですか?」
「ああ。私はまだ婚約者を決めていない…まあ、お前もだがな。国王である陛下は、国にとって有益な存在を伴侶に選んでほしいと考えている。その中で、陛下は私に、光属性持ちを婚約者に迎え入れることを提案された」
(まさか…)
俺は驚いてライオネル殿下を見つめた。
「光属性の魔術師は、この国でも希少な存在。ウィルと…そして、キート。お前もだ」
ライオネル殿下はそう言って、俺の目をじっと見つめてきた。
「家柄で言えば、公爵家の君なら申し分ない。だが、ウィルを婚約者として迎える場合、家柄は伯爵家でしかない。さらに、ウィルはまだ光属性の力を開花させていない。貴族や国民に認めさせるには相当な苦労となるぞ、と陛下は心配されていた」
ライオネル殿下の言葉に、俺は胸が締め付けられた。
「陛下は言われた。ウィルが光属性を持っていようが、使えなくては意味がないと。そこで、陛下は私に、ウィルを婚約者にするなら、双子の片割れであるフィルを悪役に仕立て、乗り越えるべき障害として利用することを提案された」
殿下の言葉を理解するのに時間がかかった。しかし、理解してからは怒りの感情が浮かんできた。ゲームの世界で、なぜフィルが悪役として存在することになったのか、その理由が今、明らかになった。
(陛下が、そんなことを…?)
俺は、ゲームの強制力だと思っていたが、それは、国王という絶対的な権力者によって仕組まれた、卑劣な計画だったのだ。
「もちろん、私はそんなことを許すはずはないだろう?」
ライオネル殿下の瞳に、怒りの炎が宿っていた。
俺は、殿下もフィルを大切に思っていることに気づき、安堵した。俺がこの世界に介入したことにより殿下の考えを変えられたのかもしれない。
「殿下……」
「キート。お前がフィルのことをなんとも思っていなかった場合、私は遠慮せず陛下に言われるがままにフィルを悪役に仕立てただろう。しかし、君がどれほどフィルのことを大切に思っているか、見ていて分かった。だからこそ、私は、君の友として、そして王族として、そんなことはさせない。フィルを悪役にするなんて、そんな馬鹿げた計画は、この私…そして、お前がが阻止してみせよう」
ライオネル殿下の言葉に、俺は胸が熱くなった。
「陛下には、ウィルの光の力を開花させることを強く主張した。そして、その協力を君に頼みたい。私に協力してほしい、キート」
俺は迷うことなく、頷いた。
「もちろんです!」
俺の返事に、ライオネル殿下は安堵の表情を浮かべた。
「しかし、殿下。こちらからもお願いがあります。フィルは闇属性ということもあり周りからも嫌われてしまっています。ウィルを婚約者とする場合、そこは改善すべきだと思います。ご協力願えますか?」
俺は、フィルを守るため、ライオネル殿下にそう問いかけた。
「キートの言う通りだ。フィルが闇属性持ちであるから、近づくべきでないという国民の昔からの意識を変えるのは大変かもしれない。だからこそ、我々が動かねばならない」
ライオネル殿下の言葉に、俺は深く頷いた。
「俺も、フィルを救いたいです。俺たちの手で、みんなが幸せになれる未来を掴みましょう」
俺は、殿下と強く視線を交わした。
ライオネル殿下は、俺の言葉に満足そうに微笑んだ。
「ああ。私も君に協力しよう」
俺たちは、フィルの運命を変えるため、そしてゲームの世界の理不尽な結末を覆すため、王城の密室で、二人だけの作戦を練り始めた。
俺たちの戦いは、今、始まったばかりだ。
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