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思い出した
しおりを挟む「キート、それでは本当に士官学校への入学で良かったのだな?」
この国には剣術、魔術、学術のそれぞれに特化した学校があり基本的には貴族の者しか通うことが出来ない。平民が通えない訳では無いが、入学金やら学園への寄付金を払うことができる者は少ないだろう。
「ええ、父上。我がルベル家は代々騎士団長を務めてきた家系。剣術こそが正義であり魔術など学ぶつもりはありません」
私は幼き頃から剣と共に過ごし成長してきた。14歳になった今ではルベル家の騎士であろうと負けないくらいに強くなっており同じ世代など剣術で負ける気がしない。父上には一度も勝ったことがないが…
しかし魔術の方はというと一度も触れたことがない。適正属性すらも協会にて調べたことはないが、ルベル家の人間の大抵は適正属性が火らしいからきっと自分もそうだろうくらいな気持ちだ。
私は剣一筋で生きていく。これからも魔術をするつもりはないと思っており、周りもその気持ちを知っている。
「ああ、その通りだキート。剣術こそ、武術こそが正義であるというのは私も同意する。だがしかし、殿下はきっと魔術学園に入学されるぞ?お前が守らなくて誰が守るというのだ?!」
確かに、私は殿下の側近候補であり学園卒業後は側近として盾と剣となって必ずお守りするつもりである。だからと言って魔術を学びに行く気にもなれないし、魔術学園の方には魔術を得意とする側近候補が通い殿下を守ってくれるだろう。
「父上、魔術学園にはきっとアーヴィスが通うことになるでしょう。必ず彼がライオネル殿下をお守りして………ライオネル?……ヘドワート?…ぐっ、……」
その2人の名前を言葉に出した瞬間一気に様々な情報が頭に入ってきた。頭が割れそうなくらい痛くなり立っていられずに倒れ込んでしまった。
「キート?キート!!どうしたんだ?!おい、誰か来てくれ!」
父上、声のボリュームをお下げください…
父上の脳筋らしい馬鹿でかくよく頭に響いてくれる声に耳も頭もやられながらぷつんと意識がなくなった。
ー➖・➖ー➖・➖ー➖・➖ー➖・➖ー
誰かが啜り泣く声が聞こえてきて、意識が浮上した。まだ夢の中のような気分でゆっくりと目を開けると横にいたのはボロボロと泣く銀髪美人さんだった。確かこの方は…
「母上、そんなに泣かれてどうされたのです?」
母上は線が細く、このルベル家の暑苦しい人間とはかけ離れた存在だ。しかしこの見た目に騙されてはいけない。昔は自分より強い人としか結婚しないと言い、求婚相手達を氷の魔術でバタバタと倒してきたとても強いお方だ。そして、そんな母上に見事勝ちハートを射止めたのが父上だったと…この話何回も両者から聞いてきいたし、有名な話らしいから覚えてしまった。
「キート!よかったわ、目が覚めたのね…病気なんて1回もかかって来なかった貴方が倒れたって聞いて何かの嘘かと思って来てみたら、本当に血の気を失ってベットに横たわっているんですもの、驚いてしまいましたわ」
「ご心配おかけしてしまい申し訳ございませんでした、もうなんともありませんので大丈夫です」
「本当に目が覚めて良かったわ……さあもう少し休んでいなさい。旦那様とお医者様をお呼びして参ります。何かお腹に入りそうかしら?」
「ありがとうございます、母上。今はお腹が空いてないので大丈夫です」
なんです、母上?顔面で信じられないと全力で表したようなお顔になられて。
「………キートがお腹空いていないなんて…?!直ぐにお医者様に診てもらわなくてわ!」
そんな人を食い意地張った人間みたいに思わないでくださいよ!私、別に太ってないですよね?なんて反論させてもらう暇なく母上は慌ててお医者様を呼びに行ってしまった。
さあ、1人の時間を貰えたことだし先程頭に流れ込んだ俺の記憶の方を整理していきますか…
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