3 / 115
ジュエリーミミック(3)“実食パート”
しおりを挟む
【一品目:ジュエリーミミックのファルシ~宝石風~】
「じゃあボクはまずはこの詰め物から食ーべよっと」
ラーナが炭をよけ鍋の蓋を開けると、熱気と共にジャスミンの香りがブワーッと辺り一面に立ち昇る。
二人はその空気を胸いっぱいに吸い込むと、思わず感嘆の声を上げた。
「良い香りーーー」
「美味しそーーー」
「楽しみね!」
「うん! そうだねぇ」
覗き込んだ鍋の中には紅く輝く光沢を持ったミミック。
水分が表面を覆い、まるで本物の宝石の様にキラキラと光っている、ラーナは満面の笑みを浮かべ、一段と小さなナイフで切り分ける。
「うわぁーー!!」
先程よりも大きく感嘆の声を上げると、切り分けた身をナイフで突き刺し、自慢の大きな口に運ぶ。
(さっきはすっごい、えぐかったけど大丈夫かな?)
リリはその姿を不安そうに横目でチラチラと見ては、反応を気にしていた。
「あーーん、モグモグ……」
(だ、大丈夫かしら……ゴクリ)
一瞬でクリクリとした目が見開き、ラーナの真っ赤な瞳がいつもよりキラキラと輝く。
「美味しぃーー!!」
「っえ、ほんとぉ?」
(自分で作っといてなんだけど……あのえぐ味よ? ラーナは毒でも食べられるからそう思うだけなんじゃ)
まだ訝しげな表情をしたリリ、対してラーナは明るく「騙されたなぁ」と言った。
「騙されたって、何がよ?」
「リリがすっごく怒ってたから、どうなのかと思ったけど、美味しいじゃんかー」
「生だとそうだったの!」
「そんなこと言ってぇ、リリはいつも大げさだからなぁ」
ラーナはリリの頬を突きながら言う。
「つつかないでよ、わたしには、ラーナ、の……指は、大きい! のよ!」
「フフッ、ごめんね!」
興奮冷めやらぬラーナは、指を両手で抑え抵抗するリリに謝ると、ジュエリーミミックを切り分け始めた。
手際よく準備をされてしまったので、リリには覚悟を決めて食べるしか選択肢が残されてはいない。
「本当に大丈夫?」
「スパイシーで最高だよ?」
「それは中の詰め物がでしょ?」
「大丈夫だよー、自分で作ったんでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど……」
生の時のえぐみが忘れられず、本当に嫌そうにミミックを見るリリ。
目をつぶり、思い切って口に入れ、苦々しい表情のまま噛み締める。
『プチッッ! ジュワー!』
口の中で響く音が心地いい!
その後に、パン粉からは香ばしく焼けた香りと、スパイスのエスニックな香りが一気に鼻を抜ける。
(んー、香り最高!)
噛めば噛むほどプリップリッと心地のよい食感が口の中で弾ける。
生の時とのあまりのギャップに、リリは目をパチクリとさせながら呟く。
「……あれ? ……お、美味しい……わ」
「でしょー、ボクももう一口たーべよ!」
ラーナはリリを覗き込むと満面の笑顔で答え、また食べる。
「んんーーーー!!」
手足をバタバタさせて体全体で美味しさを表現する。
「相変わらず可愛い反応するわね!」
リリはいつもラーナの反応を見ては、心が温かくなりほっこりしているのは内緒だ。
フフフッと笑い、自分も改めて口に運ぶ。
「んー、美味しい! 今回は当たりね!」
(ちゃんと食べるとマテ貝の味がするわ、砂漠で貝が食べられるなんてちょっと感動ー)
心の中で歓喜を上げるリリ、横ではパクパクと勢い止まらず食べ進めるラーナ。
あまりの勢いに、リリが気づいた時にはジュエリーミミックの宝石は無くなっていた。
「リリつぎつぎー! どんどん食べるぞー」
ラーナは小柄だが、見た目に似合わず用意した分を全て食べる化け物級の大食漢。
今回も備蓄の殆ど費やしたというのに、その食欲はとどまることを知らない。
(保存食の意味って……ま、いっか)
「クエストも終わったし、なんとかなるでしょ」
リリはラーナの気持ちのいい食べっぷりを横から眺めることにした。
【2品目:ジュエリーミミックのブイヤベース】
「スープ、スープー」
鼻歌交じりにスープの入った鍋に手を伸ばすラーナに、流石にリリは軽く諫めた。
「そんなに焦ると、のどに詰まらせちゃうわよ?」
「ダメだよー」
「なにがダメなの?」
「はやく食べなきゃー」
「ご飯は消えて無くなったっりしないんだから、ゆっくり食べればいいじゃない」
「いーや、出来立ての美味しさは減っちゃうじゃん」
叱るように答えるラーナ、それを聞いてリリは少し感動した。
「っえ? それって……」
「せっかくリリが美味しくなるように考えて作ってくれたんだから、一番美味しい状態で食べたいんだよ、ボクは」
「ラーナ」
(そんな風に思ってたのね、嬉しくなっちゃうわ)
リリの顔はとろけてしまいそうなほど、にやけていた。
「そんな風に思って食べてくれるのは、ほんとーに嬉しいわ!」
今度はラーナがえへへっと恥ずかしそうに笑い、頭を掻く。
リリはラーナに対しては気持ちをそのまま口に出すと決めていた。
それはラーナの過去や生い立ちに関係するのだが、これもまた別のお話。
「でも落ち着いて食べてね」
「うん!」
「じゃあどーぞ!」
「ありがとう、いただきまーす」
ズズズッっとスープを飲む、そのまま無言でミミックをスプーンで掬い口に運ぶ。
「うん、薄いね」
「あれっ? そんなに?」
先程までの優しさは何処に行ったのか、真顔でリリを見たラーナは、素直に感想を言う。
「塩味しかしないよ」
「身の味は?」
「ミミックの味は何もしない」
「焼いても、煮てもだめかー」
「期待してたのにー」
「ごめんね」
辛辣な感想だが、未知の生き物に未知の味ばかりのこの世界である。
食べられる物なのか、それすら疑わしい数々のモンスターで料理を考えてきたリリにとって、素直な反応をしてくれるラーナほど助かるものはない。
(まじかー、失敗かー、まぁ食べてみるか)
ラーナの感想をしっかりと胸に止め、リリも食べてみることにする。
(んん? 出汁が出てない……これじゃ香り付けした塩味薄めのスープじゃない)
「やっぱりジュエリーミミックの身は、味がないのかなぁ?」
リリは首を傾げながらも淡々と食べ、呟く。
「宝石は美味しかったから作り方じゃない?」
「確かに、なら……」
(食べられなくもないけど、食感も噛み終わったガムみたいなのよねぇ)
リリの頭の中では地球で学んだ調理知識、更にはこの世界《ドラコニス大陸》で得た数少ない経験、全てを頭の中でフル回転するが、結論は出なかった。
「これは失敗ね!」
リリはテヘッと言い、ペロッと舌を出す。
(改善の余地しかないけど……今回はまぁしょうがない)
「残念だねぇ」
「今までもっと酷いものはあったし、食べられる分マシなほうよ」
「ボク達も贅沢な悩みを持つようになったねぇ」
どんな過去を思い出したのか、二人は顔を見合わせ、ハハハと乾いた声で笑う。
「リリはおかわりいる?」
「わたしはもう満腹
「じゃあ残りは、ボクが食べちゃうね」
失敗したスープも、ラーナの胃の中にあっという間に収まってしまった。
(よく食べるなぁ、あれで太らないんだからずるいわよねぇ)
リリは明後日な事を考え両手で頬杖をつく、そして満点の星空の下、ラーナの気持ちのいい食べっぷりをニコニコと眺めていた。
生き物は食べていかなければ生きていけない。
そんな当たり前のことを現実で意識したものがどんなにも少ないのであろうか。
食べる事に、呪われた生き物である『人』。
腐ったブドウからワインを作り、毒のある根のジャガイモを食べ、だだの菌であるキノコを食べる。
美味しいものが食べたい、という欲求が抑えられないのであろう。
ある偉人はこう言った
「新しいご馳走の発見は、人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」
本人達は絶対に思っていないし認めないだろうが、モンスターを食べ続ける彼女達は、もっとも幸福な生き方をしているのかもしれない。
ふとしたことで異世界に転生してしまった不幸で不憫な妖精リリ。
彼女の欲望にまみれた、楽しい楽しいサバイバル旅が、いま始まる!!
「じゃあボクはまずはこの詰め物から食ーべよっと」
ラーナが炭をよけ鍋の蓋を開けると、熱気と共にジャスミンの香りがブワーッと辺り一面に立ち昇る。
二人はその空気を胸いっぱいに吸い込むと、思わず感嘆の声を上げた。
「良い香りーーー」
「美味しそーーー」
「楽しみね!」
「うん! そうだねぇ」
覗き込んだ鍋の中には紅く輝く光沢を持ったミミック。
水分が表面を覆い、まるで本物の宝石の様にキラキラと光っている、ラーナは満面の笑みを浮かべ、一段と小さなナイフで切り分ける。
「うわぁーー!!」
先程よりも大きく感嘆の声を上げると、切り分けた身をナイフで突き刺し、自慢の大きな口に運ぶ。
(さっきはすっごい、えぐかったけど大丈夫かな?)
リリはその姿を不安そうに横目でチラチラと見ては、反応を気にしていた。
「あーーん、モグモグ……」
(だ、大丈夫かしら……ゴクリ)
一瞬でクリクリとした目が見開き、ラーナの真っ赤な瞳がいつもよりキラキラと輝く。
「美味しぃーー!!」
「っえ、ほんとぉ?」
(自分で作っといてなんだけど……あのえぐ味よ? ラーナは毒でも食べられるからそう思うだけなんじゃ)
まだ訝しげな表情をしたリリ、対してラーナは明るく「騙されたなぁ」と言った。
「騙されたって、何がよ?」
「リリがすっごく怒ってたから、どうなのかと思ったけど、美味しいじゃんかー」
「生だとそうだったの!」
「そんなこと言ってぇ、リリはいつも大げさだからなぁ」
ラーナはリリの頬を突きながら言う。
「つつかないでよ、わたしには、ラーナ、の……指は、大きい! のよ!」
「フフッ、ごめんね!」
興奮冷めやらぬラーナは、指を両手で抑え抵抗するリリに謝ると、ジュエリーミミックを切り分け始めた。
手際よく準備をされてしまったので、リリには覚悟を決めて食べるしか選択肢が残されてはいない。
「本当に大丈夫?」
「スパイシーで最高だよ?」
「それは中の詰め物がでしょ?」
「大丈夫だよー、自分で作ったんでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど……」
生の時のえぐみが忘れられず、本当に嫌そうにミミックを見るリリ。
目をつぶり、思い切って口に入れ、苦々しい表情のまま噛み締める。
『プチッッ! ジュワー!』
口の中で響く音が心地いい!
その後に、パン粉からは香ばしく焼けた香りと、スパイスのエスニックな香りが一気に鼻を抜ける。
(んー、香り最高!)
噛めば噛むほどプリップリッと心地のよい食感が口の中で弾ける。
生の時とのあまりのギャップに、リリは目をパチクリとさせながら呟く。
「……あれ? ……お、美味しい……わ」
「でしょー、ボクももう一口たーべよ!」
ラーナはリリを覗き込むと満面の笑顔で答え、また食べる。
「んんーーーー!!」
手足をバタバタさせて体全体で美味しさを表現する。
「相変わらず可愛い反応するわね!」
リリはいつもラーナの反応を見ては、心が温かくなりほっこりしているのは内緒だ。
フフフッと笑い、自分も改めて口に運ぶ。
「んー、美味しい! 今回は当たりね!」
(ちゃんと食べるとマテ貝の味がするわ、砂漠で貝が食べられるなんてちょっと感動ー)
心の中で歓喜を上げるリリ、横ではパクパクと勢い止まらず食べ進めるラーナ。
あまりの勢いに、リリが気づいた時にはジュエリーミミックの宝石は無くなっていた。
「リリつぎつぎー! どんどん食べるぞー」
ラーナは小柄だが、見た目に似合わず用意した分を全て食べる化け物級の大食漢。
今回も備蓄の殆ど費やしたというのに、その食欲はとどまることを知らない。
(保存食の意味って……ま、いっか)
「クエストも終わったし、なんとかなるでしょ」
リリはラーナの気持ちのいい食べっぷりを横から眺めることにした。
【2品目:ジュエリーミミックのブイヤベース】
「スープ、スープー」
鼻歌交じりにスープの入った鍋に手を伸ばすラーナに、流石にリリは軽く諫めた。
「そんなに焦ると、のどに詰まらせちゃうわよ?」
「ダメだよー」
「なにがダメなの?」
「はやく食べなきゃー」
「ご飯は消えて無くなったっりしないんだから、ゆっくり食べればいいじゃない」
「いーや、出来立ての美味しさは減っちゃうじゃん」
叱るように答えるラーナ、それを聞いてリリは少し感動した。
「っえ? それって……」
「せっかくリリが美味しくなるように考えて作ってくれたんだから、一番美味しい状態で食べたいんだよ、ボクは」
「ラーナ」
(そんな風に思ってたのね、嬉しくなっちゃうわ)
リリの顔はとろけてしまいそうなほど、にやけていた。
「そんな風に思って食べてくれるのは、ほんとーに嬉しいわ!」
今度はラーナがえへへっと恥ずかしそうに笑い、頭を掻く。
リリはラーナに対しては気持ちをそのまま口に出すと決めていた。
それはラーナの過去や生い立ちに関係するのだが、これもまた別のお話。
「でも落ち着いて食べてね」
「うん!」
「じゃあどーぞ!」
「ありがとう、いただきまーす」
ズズズッっとスープを飲む、そのまま無言でミミックをスプーンで掬い口に運ぶ。
「うん、薄いね」
「あれっ? そんなに?」
先程までの優しさは何処に行ったのか、真顔でリリを見たラーナは、素直に感想を言う。
「塩味しかしないよ」
「身の味は?」
「ミミックの味は何もしない」
「焼いても、煮てもだめかー」
「期待してたのにー」
「ごめんね」
辛辣な感想だが、未知の生き物に未知の味ばかりのこの世界である。
食べられる物なのか、それすら疑わしい数々のモンスターで料理を考えてきたリリにとって、素直な反応をしてくれるラーナほど助かるものはない。
(まじかー、失敗かー、まぁ食べてみるか)
ラーナの感想をしっかりと胸に止め、リリも食べてみることにする。
(んん? 出汁が出てない……これじゃ香り付けした塩味薄めのスープじゃない)
「やっぱりジュエリーミミックの身は、味がないのかなぁ?」
リリは首を傾げながらも淡々と食べ、呟く。
「宝石は美味しかったから作り方じゃない?」
「確かに、なら……」
(食べられなくもないけど、食感も噛み終わったガムみたいなのよねぇ)
リリの頭の中では地球で学んだ調理知識、更にはこの世界《ドラコニス大陸》で得た数少ない経験、全てを頭の中でフル回転するが、結論は出なかった。
「これは失敗ね!」
リリはテヘッと言い、ペロッと舌を出す。
(改善の余地しかないけど……今回はまぁしょうがない)
「残念だねぇ」
「今までもっと酷いものはあったし、食べられる分マシなほうよ」
「ボク達も贅沢な悩みを持つようになったねぇ」
どんな過去を思い出したのか、二人は顔を見合わせ、ハハハと乾いた声で笑う。
「リリはおかわりいる?」
「わたしはもう満腹
「じゃあ残りは、ボクが食べちゃうね」
失敗したスープも、ラーナの胃の中にあっという間に収まってしまった。
(よく食べるなぁ、あれで太らないんだからずるいわよねぇ)
リリは明後日な事を考え両手で頬杖をつく、そして満点の星空の下、ラーナの気持ちのいい食べっぷりをニコニコと眺めていた。
生き物は食べていかなければ生きていけない。
そんな当たり前のことを現実で意識したものがどんなにも少ないのであろうか。
食べる事に、呪われた生き物である『人』。
腐ったブドウからワインを作り、毒のある根のジャガイモを食べ、だだの菌であるキノコを食べる。
美味しいものが食べたい、という欲求が抑えられないのであろう。
ある偉人はこう言った
「新しいご馳走の発見は、人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」
本人達は絶対に思っていないし認めないだろうが、モンスターを食べ続ける彼女達は、もっとも幸福な生き方をしているのかもしれない。
ふとしたことで異世界に転生してしまった不幸で不憫な妖精リリ。
彼女の欲望にまみれた、楽しい楽しいサバイバル旅が、いま始まる!!
0
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる