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2話、出会い(3)
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サーーー、、、
乾いた風が砂の大地を吹き抜ける、風は不毛な地で砂だけを巻き上げていた。
百合の上には太陽のみ、雲ひとつない晴天、耳を澄ましても風が吹き抜ける音しか聞こえない。
「満点の青空! これは気持ちい……」
満面の笑みでそう言いかけて、百合は口をつぐむ、改めて周りを見渡すと、眼下にはただただ広大な砂漠が広がっていた。
「いやいやいやいや、なによこの状況! いきなり砂漠エリアのど真ん中って、あり得ないでしょー!?」
取り敢えず叫んでみたが、もちろん何の返事も返ってこない。
(こういうのってさぁ、普通は街スタートじゃないの?)
「わたしはチュートリアルを求めます、ステータスオープン!」
言ってはみたが、やはり不発に終わる。
「でーてーよー!」
その後も何度か言葉を変え、言い方や口調を変え叫んでみるが、少しも反応がない。
一段落すると砂漠の熱気に気づく、意識したとたんにジリジリとした熱を感じる。
「あっついっ!! ここ物凄く熱いんだけど!」
(直射日光だけじゃなくて、照り返しも半端ない……ってか)
「見渡す限り地平線しかないんですけどー」
元の世界では、こんな風景は見たことがない。
(この砂漠はどこまで続いてるの? 持ち物もないし、歩いて向かうにしてもどっちに……)
「あれっ、詰んでない?」
本当にどうしたらいいのかわからなくなった百合は、なんとなく心の中で遺書をしたためる。
拝啓。
お父さん、お母さん、お元気ですか?
わたしはとても元気です。先に異世界に行く不幸をお許しください。
今、わたしは見ず知らずの異世界にいます。
辿り着いた先、そこは一面の砂漠でした。
ここで生き抜くのは大変そうです。
もしかしたら、わたしの二回の人生を合わせても、お二人の半分もいかないかもしれません。
親不孝な娘ですが、生んでくれたこと「だけ」は感謝しています。
喧嘩は程々に、どうかご健勝で。
かしこ
(さて……と)
「やってくれたな、あの……くそじじぃ! なぁにが大魔導士だ、ふざけやがって、コノヤロー」
(予備知識もなしに、とんでもない所にわたしを転移させやがって! 普通そんなことはしないでしょ! 元の世界ならクレーム案件よ!)
頭の中でも言葉でも文句を言う百合。
これでもかと地団太を踏むが、あまりの熱気に直ぐに止めることにした。
「暴れたら余計に……ってか、違和感があるわね? ……なにかがおかしいわ」
はた、と気づいた違和感。百合は大きく息を吸って、遥か遠くの地平線に視線を向けた。
(目線? というか立体感? それとも遠近感? 全体のバランスがおかしい)
「っえ? なんだろ」
悩む百合だったが結論は出そうもない。
その時、下から声が響いた!!
「誰? なんでそこにいるの? ボクの日記の上で踊らないで」
「ッ!!!?」
とびあがるほどびっくりしたのか、百合は思わず口を手で覆った。
(ビックリしたー、思いっきり叫ぶところだったじゃない)
百合は、フゥーと細く長く息を吐き、焦って高鳴る心を落ち着けた。
(まさか下から声が出てくるとは誰も思わないわよ……まぁ返事は必要よね、社会人の常識だし……アハハ)
異世界に来てまで社会人という言葉を使ってしまう自分にバカバカしさを感じた百合。
そんな自分を内心で笑うが焦っていたのであろう。
(えーっと、ファンタジーっぽい挨拶ってどうすればいいの?)
「こ、こんにちは……。可愛い、お、お嬢さん、ごきげん、よう?」
(わたしなにやってるの? お嬢様口調へたくそ過ぎでしょ!)
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうな百合に少女が下から語りかける。
「なんだ……おむかえ、かな?」
「お迎えって、どういう意味です?」
「ボク……もうすぐ死ぬんでしょ?」
「え? 死ぬ!?」
「だから、迎えにきたんでしょ……」
「死の迎え……それはバンシーとか死神とかじゃない? わたしって、死神なの?」
(あれ? エルフなんじゃあ? もしかしてダークエルフとか?)
少女の声と会話が、砂漠でどうしたらいいのかと悩んでいた百合の頭を、更に混乱へ誘う。
「うーん……違う気がする、かも?」
少女の声は下から響いている、それはそうだろう。
「というか、お嬢さん? 多分ですけど……」
「ん?」
「身体、埋まってますよ?」
まるで内緒話をするかのようにリリが言う。
「うん、知ってる……」
地面に埋まった少女は、ゆっくりと体を起こした。
「ヒィッ!?」
あまりにも驚きすぎて、今度は我慢できず悲鳴をあげてしまった百合。
ゆっくりと身体を起こした少女は、百合の何倍どころの騒ぎではない。
とにかく大きい、巨人という言葉ですら、ちっぽけに聞こえるほどの大きさだ。
「で、でっかぁー!」
大きな少女がパンッ、パンッと、これまた大きな手で体の砂を払った。
すると下にいた百合に砂の雨が土砂降りのように降ってきた。
「うわっぷっぷ……」
(全身マントと相まって、なんだかアーティスティックな高層ビルみたい。こわー……)
「も、もしかしてー、巨人さんですかぁー?」
気が動転していたのか百合は、ついつい失礼な聞き方をしてしまった。
少女は口をつぐんでいるのか、押し黙ったままだ。
(やっば、怒らせちゃったかも、まぁ異世界だし、巨人族ぐらい居るよ……ね)
乾いた風が砂の大地を吹き抜ける、風は不毛な地で砂だけを巻き上げていた。
百合の上には太陽のみ、雲ひとつない晴天、耳を澄ましても風が吹き抜ける音しか聞こえない。
「満点の青空! これは気持ちい……」
満面の笑みでそう言いかけて、百合は口をつぐむ、改めて周りを見渡すと、眼下にはただただ広大な砂漠が広がっていた。
「いやいやいやいや、なによこの状況! いきなり砂漠エリアのど真ん中って、あり得ないでしょー!?」
取り敢えず叫んでみたが、もちろん何の返事も返ってこない。
(こういうのってさぁ、普通は街スタートじゃないの?)
「わたしはチュートリアルを求めます、ステータスオープン!」
言ってはみたが、やはり不発に終わる。
「でーてーよー!」
その後も何度か言葉を変え、言い方や口調を変え叫んでみるが、少しも反応がない。
一段落すると砂漠の熱気に気づく、意識したとたんにジリジリとした熱を感じる。
「あっついっ!! ここ物凄く熱いんだけど!」
(直射日光だけじゃなくて、照り返しも半端ない……ってか)
「見渡す限り地平線しかないんですけどー」
元の世界では、こんな風景は見たことがない。
(この砂漠はどこまで続いてるの? 持ち物もないし、歩いて向かうにしてもどっちに……)
「あれっ、詰んでない?」
本当にどうしたらいいのかわからなくなった百合は、なんとなく心の中で遺書をしたためる。
拝啓。
お父さん、お母さん、お元気ですか?
わたしはとても元気です。先に異世界に行く不幸をお許しください。
今、わたしは見ず知らずの異世界にいます。
辿り着いた先、そこは一面の砂漠でした。
ここで生き抜くのは大変そうです。
もしかしたら、わたしの二回の人生を合わせても、お二人の半分もいかないかもしれません。
親不孝な娘ですが、生んでくれたこと「だけ」は感謝しています。
喧嘩は程々に、どうかご健勝で。
かしこ
(さて……と)
「やってくれたな、あの……くそじじぃ! なぁにが大魔導士だ、ふざけやがって、コノヤロー」
(予備知識もなしに、とんでもない所にわたしを転移させやがって! 普通そんなことはしないでしょ! 元の世界ならクレーム案件よ!)
頭の中でも言葉でも文句を言う百合。
これでもかと地団太を踏むが、あまりの熱気に直ぐに止めることにした。
「暴れたら余計に……ってか、違和感があるわね? ……なにかがおかしいわ」
はた、と気づいた違和感。百合は大きく息を吸って、遥か遠くの地平線に視線を向けた。
(目線? というか立体感? それとも遠近感? 全体のバランスがおかしい)
「っえ? なんだろ」
悩む百合だったが結論は出そうもない。
その時、下から声が響いた!!
「誰? なんでそこにいるの? ボクの日記の上で踊らないで」
「ッ!!!?」
とびあがるほどびっくりしたのか、百合は思わず口を手で覆った。
(ビックリしたー、思いっきり叫ぶところだったじゃない)
百合は、フゥーと細く長く息を吐き、焦って高鳴る心を落ち着けた。
(まさか下から声が出てくるとは誰も思わないわよ……まぁ返事は必要よね、社会人の常識だし……アハハ)
異世界に来てまで社会人という言葉を使ってしまう自分にバカバカしさを感じた百合。
そんな自分を内心で笑うが焦っていたのであろう。
(えーっと、ファンタジーっぽい挨拶ってどうすればいいの?)
「こ、こんにちは……。可愛い、お、お嬢さん、ごきげん、よう?」
(わたしなにやってるの? お嬢様口調へたくそ過ぎでしょ!)
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうな百合に少女が下から語りかける。
「なんだ……おむかえ、かな?」
「お迎えって、どういう意味です?」
「ボク……もうすぐ死ぬんでしょ?」
「え? 死ぬ!?」
「だから、迎えにきたんでしょ……」
「死の迎え……それはバンシーとか死神とかじゃない? わたしって、死神なの?」
(あれ? エルフなんじゃあ? もしかしてダークエルフとか?)
少女の声と会話が、砂漠でどうしたらいいのかと悩んでいた百合の頭を、更に混乱へ誘う。
「うーん……違う気がする、かも?」
少女の声は下から響いている、それはそうだろう。
「というか、お嬢さん? 多分ですけど……」
「ん?」
「身体、埋まってますよ?」
まるで内緒話をするかのようにリリが言う。
「うん、知ってる……」
地面に埋まった少女は、ゆっくりと体を起こした。
「ヒィッ!?」
あまりにも驚きすぎて、今度は我慢できず悲鳴をあげてしまった百合。
ゆっくりと身体を起こした少女は、百合の何倍どころの騒ぎではない。
とにかく大きい、巨人という言葉ですら、ちっぽけに聞こえるほどの大きさだ。
「で、でっかぁー!」
大きな少女がパンッ、パンッと、これまた大きな手で体の砂を払った。
すると下にいた百合に砂の雨が土砂降りのように降ってきた。
「うわっぷっぷ……」
(全身マントと相まって、なんだかアーティスティックな高層ビルみたい。こわー……)
「も、もしかしてー、巨人さんですかぁー?」
気が動転していたのか百合は、ついつい失礼な聞き方をしてしまった。
少女は口をつぐんでいるのか、押し黙ったままだ。
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