異世界キャンプ チートどころか低スペックのまま転移させられた妖精は楽しい旅にする為にモンスターを美味しく料理してやろうと思います~

綾川鈴鹿

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9話、サウエムサンドワーム(2)

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 リリやラーナがまったりと馬車に揺られていたその頃……。
 豪華な刺繍の入った真っ黒なローブに身を包み、身の丈ほどの杖を抱えた少女が荷馬車に揺られている。
 御者をする人族の商人ドミニクが、荷台の少女に声を掛けた。

「イヴァお嬢ちゃん、もうすぐカルラ・オアシスにつくから、荷物の準備をしておいてくれ」

 彼女はイヴァンナ、薄い黒褐色の肌、ダークグレイの髪、尖った耳をしたダークエルフの少女だ。

「わかったのじゃ」

 イヴァが、んーっと身体を伸ばし杖を振ると、黒いモヤが現れた。

「砂漠の縦断は、思いのほかしんどかったのぉ」

 モヤから、数々の食材や布がポロポロと出て来た。
 それを同じく荷台に座り、イヴァを見ていたドミニクの妻カミラが声をかけた。

「イヴァちゃん、相変わらず凄い魔法ね!」
「魔力はそう使ってはおらんが、空間魔法が使えるものは少ないからのぉ」
「私たち人族には、魔法自体が特別なものよ」
「あぁ、それもそうじゃな」

 さも当り前であるかのような反応をするイヴァに、ドミニクが振り返らずに声をかける。

「そうさ、大きな馬車が借りられなかった時はどうしようかと思ったぜ」
「イヴァちゃんに会えたのは、幸運だったわ」
「依頼として受けたのじゃから、気にする必要はない」

 二人はかなり喜んでいる。
 その喜ぶ姿がイヴァの魔法の凄さを物語っていた。

 ガト、ゴト、ガタゴト……

 違和感に気づいたイヴァが、カミラに声をかける。

「カミラよ、揺れが激しくなっておらんかや?」
「そうかしら?」
「妾にはそう思えるが……」

 イヴァの言葉を聞き、カミラが外の様子を見ながら答える。

「砂漠を抜けて岩が混じり出したから、そのせいじゃない?」
「そうか、ドミニクよ、安全運転で頼むのじゃ」
「あいよ!」

 商人はそう答えた瞬間。

 ドゴォーーォ!!

 大きな音と共に、地面が大きく揺れた。

「うわぁー!!」
「キャー!!」
「なんじゃ、なんじゃ!?」

 馬車のすぐ横、地面から大きな生き物が勢いよく飛び出してきた。
 ドミニクがそれを見て呆気に取られる。

「あ、あれはっ……」
「馬車ごと飲み込むモンスター、サンドワームじゃ!」
「そんな、逃げようにもここは砂漠よ?」
「ラクダに乗って逃げるのじゃ、妾が囮をする」

 グアォオーーー!

 サンドワームが大きな鳴き声を上げ、三人を威嚇する。

「大丈夫か、カミラ!」
「こ、腰が……」

 その威圧感と恐怖で、カミラは荷台で腰が抜けて動けなくなっている。
 イヴァがカミラの手を握ると、一瞬でドミニクの元へと瞬間移動した。

「イ、イヴァちゃんはどうするの?」
「任せておけばよい、依頼として受けたのじゃ」
「で、でもこんな大きなモンスター……」
「気にする必要はないのじゃ、ほらっ行くのじゃ」
「イヴァ嬢ちゃん、俺たちの荷物は気にしなくていいからな!」

 イヴァが頷きラクダの尻を杖で叩くと、一目散に駆けていく。

「イヴァちゃーん!!」

 ラクダが走り抜け、カミラの叫び声が響く中、イヴァは小さく呟いた。

「さて、どうしようかのぉ」

 グギャアァー!

 今は様子を見ているサンドワームだが、直ぐにでも襲い掛かってくるだろう。

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