60 / 115
8話、クエスト受注(8)
しおりを挟む
やり取りを静かに黙って見ていたラーナが、ソフィアに答える。
「1つ目は普通に無理! 2つ目の保証はしない! とりあえず、知ってることを教えて」
「オークちゃんが聞きたいのは、どんな内容だいっ? 私が答えられることかなっ?」
「サンドワームの狩り方と弱点」
「ほーう、前向きだねっ!」
「早く教えて!」
ラーナの言葉に、ソフィアは目を輝かせて答える。
「弱点はあえて言えば頭だねっ、狩り方は音でおびき寄せて、砂から出てきたところで頭を大人数でめった刺し、もしくは潜られないぐらいの深手を追わせるって感じかなっ? アン合ってる?」
「あぁ合ってるよ」
「それは良かった」
「補足をすると、腕に自信がある戦士なら時間はかかるが一人でもやれないことはない、割とノロマだからな、情報は貴重なものだ、これ以上は有料だ!」
アンはぶっきらぼうに答えた、ソフィアはうんうんと頷いている。
(いやいやいや、教えてよ!)
「どうだい? オークちゃんはこの話を聞いて、やれそうかい?」
(ほぼ情報なくない? 音でおびき出せる、割とノロマ、それぐらいしかわたしにはわかんなかったわよ?)
「わかった、それで充分」
「っえ? ラーナ本当に?」
「報酬用意して待ってて、行くよ、リリ」
ラーナはリリの疑問には答えずに、スタスタと早足で外へ出ていく。
リリはオロオロと三人を見る。
アンが「大丈夫だから、気にするな」と言い、ウインクをする。
(えぇ! 大丈夫じゃないって)
リリが振り返ると、ラーナは思ったよりも先にいた。
泣く泣く情報収集は諦めて、丁寧にお嬢様風のお辞儀をする。
「では、皆様お騒がせしました。待ってぇ、ラーナー!」
(ラーナは本当に大丈夫なの? 色々な意味で……)
門の手前でようやくラーナに追いつくリリ。
ラーナは、自分がアミュレットを2つ持っていることに気づいたので、門の前で待っていたのだ。
「ごめんね、リリ」
「何が? 勝手にクエストを決めたこと?」
「そうじゃなくて……」
言いづらそうにしているラーナに、リリは明るく言葉を返した。
「良いの良いの、わたしはなにも気にしていないわ、ぜーんぶオッケー!」
「でも、リリも辛い目に……」
(別にそこまで気を回さなくても、ラーナが思ってるよりも、気にしていないわよ?)
「どうってこと無いってぇ、さっきはラーナの方が絶対に大変だったんだし」
「……そう?」
「そうそう、街ではいつもあんな感じなの?」
「大体は無視しとけば、なんてことはないよ」
「ふーん、ならいいわ!」
終始、明るいリリとフードを目深に被り俯くラーナ。
「リリ……」
「っま、今回、第一目標だった、クエストの受注は出来たんだし、万事オッケー」
「ありがとう」
「良いわよー、さぁ行こー!」
リリはラーナのフードを引っ張り門を出ようとした。
その時、二人を呼び止める声がする。
「ちょっと待ったー!」
(ん? この声はソフィア?)
「ハァ、ハァ……君たちぃ、焦り過ぎだよ」
「どうされたのです? ソフィアさん」
「私も連れて行っておくれよ」
(っえ? やだ、ソフィアってなんか不気味だし)
リリは出かかった言葉を、すんでのところで飲み込む。
「というか、君たちはサンドワームを倒したあとに何で運ぶつもりだったんだい? まさか引っ張って持って来られるとは、思っていないだろう?」
「っあ、確かに……」
「ボクが、食べられるだけ食べながら来るから大丈夫」
返事を聞いた二人は対照的な反応をした。
リリは呆れて、ソフィアは腹を抱えて笑いだす。
(ラーナ、流石にそれは食いしん坊過ぎるでしょ)
「ハーハッハッ、これはいい、やっぱり君たちは本当に面白いねぇ」
笑い過ぎて、ソフィアは息を整えつつ話し出した。
「はぁー、はぁー、普段の討伐ならそれでいいが、私としては肝が腐ってしまったら困るからね、ここは私に従ってくれないかい?」
ソフィアがいっていることはごもっともだが、リリは断りたかった。
(ラーナは、気にしていないみたいだけど、わたしにはソフィアって苦手だわー)
しかしリリ達には乗り物なんて用意はできない、お金どころかツテの一つも無いのだ。
「まぁ君たちは気にしないでいいさっ、私が4頭立ての馬車を借りてくるからそれで行こうじゃないか、頼むからね! 経費は私が出すから、頼むよ、ねぇ!」
(4頭立て馬車って相当高いんじゃない? もしかして後で請求されるとか?)
すがる様に頼むソフィア、リリはそこまでしてついて来たい理由が気にはなっているものの、二人に断る選択肢そのものがない。
「なーに、君たちは心配なんてしなくていい、御者は私が勤めるからねっ、サンドワーム狩りにハイ・オークとの道行きじゃ誰も受けてくれないだろう?」
(一言余計だけど実際その通りなんだよなぁ)
バツの悪そうにうなだれるリリを見て、ソフィアはまくし立てるように話し出した。
「決まりだ! 門を出て真っ直ぐ行ったところの双子岩、あそこがわかりやすくていい感じだね。見てくれ、2つ同じ大きさの岩が並んでいるだろう? あそこで待ち合わせをしよう、小一時間ほど待っていてくれるかい? それじゃあまた後で会おうか、アデュー!」
ソフィアは一気に喋り、勝手に約束を取り付け、嵐のように去っていった。
二人はキョトンとしたまま、門の前で立ち尽くす。
「リリ、どうする?」
「勝手な人だけどあそこまで言われたら、連れていくしかないんじゃない?」
「だよねー」
リリ達は、衛兵にクエストに行くとだけ報告をし、アミュレットを返して、ソフィアが双子岩と呼んでいた場所へと向かう。
日が昇り切ってジリジリとした太陽の日差しが二人を照らす。
「1つ目は普通に無理! 2つ目の保証はしない! とりあえず、知ってることを教えて」
「オークちゃんが聞きたいのは、どんな内容だいっ? 私が答えられることかなっ?」
「サンドワームの狩り方と弱点」
「ほーう、前向きだねっ!」
「早く教えて!」
ラーナの言葉に、ソフィアは目を輝かせて答える。
「弱点はあえて言えば頭だねっ、狩り方は音でおびき寄せて、砂から出てきたところで頭を大人数でめった刺し、もしくは潜られないぐらいの深手を追わせるって感じかなっ? アン合ってる?」
「あぁ合ってるよ」
「それは良かった」
「補足をすると、腕に自信がある戦士なら時間はかかるが一人でもやれないことはない、割とノロマだからな、情報は貴重なものだ、これ以上は有料だ!」
アンはぶっきらぼうに答えた、ソフィアはうんうんと頷いている。
(いやいやいや、教えてよ!)
「どうだい? オークちゃんはこの話を聞いて、やれそうかい?」
(ほぼ情報なくない? 音でおびき出せる、割とノロマ、それぐらいしかわたしにはわかんなかったわよ?)
「わかった、それで充分」
「っえ? ラーナ本当に?」
「報酬用意して待ってて、行くよ、リリ」
ラーナはリリの疑問には答えずに、スタスタと早足で外へ出ていく。
リリはオロオロと三人を見る。
アンが「大丈夫だから、気にするな」と言い、ウインクをする。
(えぇ! 大丈夫じゃないって)
リリが振り返ると、ラーナは思ったよりも先にいた。
泣く泣く情報収集は諦めて、丁寧にお嬢様風のお辞儀をする。
「では、皆様お騒がせしました。待ってぇ、ラーナー!」
(ラーナは本当に大丈夫なの? 色々な意味で……)
門の手前でようやくラーナに追いつくリリ。
ラーナは、自分がアミュレットを2つ持っていることに気づいたので、門の前で待っていたのだ。
「ごめんね、リリ」
「何が? 勝手にクエストを決めたこと?」
「そうじゃなくて……」
言いづらそうにしているラーナに、リリは明るく言葉を返した。
「良いの良いの、わたしはなにも気にしていないわ、ぜーんぶオッケー!」
「でも、リリも辛い目に……」
(別にそこまで気を回さなくても、ラーナが思ってるよりも、気にしていないわよ?)
「どうってこと無いってぇ、さっきはラーナの方が絶対に大変だったんだし」
「……そう?」
「そうそう、街ではいつもあんな感じなの?」
「大体は無視しとけば、なんてことはないよ」
「ふーん、ならいいわ!」
終始、明るいリリとフードを目深に被り俯くラーナ。
「リリ……」
「っま、今回、第一目標だった、クエストの受注は出来たんだし、万事オッケー」
「ありがとう」
「良いわよー、さぁ行こー!」
リリはラーナのフードを引っ張り門を出ようとした。
その時、二人を呼び止める声がする。
「ちょっと待ったー!」
(ん? この声はソフィア?)
「ハァ、ハァ……君たちぃ、焦り過ぎだよ」
「どうされたのです? ソフィアさん」
「私も連れて行っておくれよ」
(っえ? やだ、ソフィアってなんか不気味だし)
リリは出かかった言葉を、すんでのところで飲み込む。
「というか、君たちはサンドワームを倒したあとに何で運ぶつもりだったんだい? まさか引っ張って持って来られるとは、思っていないだろう?」
「っあ、確かに……」
「ボクが、食べられるだけ食べながら来るから大丈夫」
返事を聞いた二人は対照的な反応をした。
リリは呆れて、ソフィアは腹を抱えて笑いだす。
(ラーナ、流石にそれは食いしん坊過ぎるでしょ)
「ハーハッハッ、これはいい、やっぱり君たちは本当に面白いねぇ」
笑い過ぎて、ソフィアは息を整えつつ話し出した。
「はぁー、はぁー、普段の討伐ならそれでいいが、私としては肝が腐ってしまったら困るからね、ここは私に従ってくれないかい?」
ソフィアがいっていることはごもっともだが、リリは断りたかった。
(ラーナは、気にしていないみたいだけど、わたしにはソフィアって苦手だわー)
しかしリリ達には乗り物なんて用意はできない、お金どころかツテの一つも無いのだ。
「まぁ君たちは気にしないでいいさっ、私が4頭立ての馬車を借りてくるからそれで行こうじゃないか、頼むからね! 経費は私が出すから、頼むよ、ねぇ!」
(4頭立て馬車って相当高いんじゃない? もしかして後で請求されるとか?)
すがる様に頼むソフィア、リリはそこまでしてついて来たい理由が気にはなっているものの、二人に断る選択肢そのものがない。
「なーに、君たちは心配なんてしなくていい、御者は私が勤めるからねっ、サンドワーム狩りにハイ・オークとの道行きじゃ誰も受けてくれないだろう?」
(一言余計だけど実際その通りなんだよなぁ)
バツの悪そうにうなだれるリリを見て、ソフィアはまくし立てるように話し出した。
「決まりだ! 門を出て真っ直ぐ行ったところの双子岩、あそこがわかりやすくていい感じだね。見てくれ、2つ同じ大きさの岩が並んでいるだろう? あそこで待ち合わせをしよう、小一時間ほど待っていてくれるかい? それじゃあまた後で会おうか、アデュー!」
ソフィアは一気に喋り、勝手に約束を取り付け、嵐のように去っていった。
二人はキョトンとしたまま、門の前で立ち尽くす。
「リリ、どうする?」
「勝手な人だけどあそこまで言われたら、連れていくしかないんじゃない?」
「だよねー」
リリ達は、衛兵にクエストに行くとだけ報告をし、アミュレットを返して、ソフィアが双子岩と呼んでいた場所へと向かう。
日が昇り切ってジリジリとした太陽の日差しが二人を照らす。
0
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる