93 / 115
15話、とてつもなく大きな鶏肉(2)
しおりを挟む
「やっぱり大きいねぇ見てよこのサイズ! 美味しそー」
大きな樽に水を貯め悩むリリにむかって、内臓を両手いっぱいに抱えたラーナが頬を緩めて声をかける。
「っえ!? ラーナ、また血みどろじゃない!」
「ンフフ」
驚いて答えるリリだったが、ラーナの方は真っ赤に染まった姿で笑みを浮かべている。
「こんな大きいのはどう見ても食べ切れないって!」
「だったら、何日かに分ければいいじゃんか」
(分けるって言っても、どうやって……)
「っあ、イヴァ!」
「ん? なんじゃ?」
「収納魔法で仕舞った物って腐るの?」
「そりゃ腐るぞ?」
「今まで腐って無かったじゃない? 時が止まってるんじゃないの?」
「時は緩やかに進んどるし、温度の調節も出来んぞ」
「ってことは常温ってこと?」
「じゃな」
(ですよねー、この世界がラノベみたいに生易しかったら、わたしはこんな苦労はしてないわけで、そんな都合のいい展開があるわけないわよねー、わたし知ってたもんねーだ!)
改めて突き付けられた現実に軽く落胆したリリは、イヴァに向かって軽く愚痴をこぼした
「イヴァの魔法って、便利なのは便利なんだけどさぁ、絶妙に使えないわよねー」
「なんじゃと!?」
「どうせなら、ついでに時間も止めて、冷蔵にしておけばいいじゃない!」
溜息をつきながら答えたリリに、イヴァは憤慨して言い返す。
「リリ、お主が言うことが、どんなに難しいことか知ってるのかや?」
「わたしが知るわけないじゃない」
「異なる効果の魔法を同時に発動させるには、特別な制約をつけて縛らないといかんのじゃ、難しさはそうじゃな……火の燃え盛る大地で植物を育てるようなもんなんじゃ」
「……?」
(言いたい事はなんとなく分かるけど、絶妙に分かりづらい!!)
「イヴァ、そんなにイライラしてるとシワが増えるわよ? 年なんだからさー」
「怒らせとるのはどいつじゃ! 妾はダークエルフの中では若いほうじゃ!」
「まぁいいわ」
「よくないのじゃ!」
リリはイヴァの言葉を無視して言葉を続ける。
「で、普通のお肉ならどれぐらい持つの?」
「お主は……フゥー、そうじゃなー……ビックボアの生肉で10日ってとこじゃな」
「ビックボアってイノシシよね?」
「まぁそうじゃな」
リリとの一連のやり取りに疲れたのか、イヴァはスラスラと質問に答え、岩に座り足を組むと左手では杖を付き右手では頬杖をつく。
随分と無愛想な態度だが分からなくもない、リリ自身も若干からかいすぎたかなと心の中では思っていた、しかし今は料理が優先だ。
(前世の普通の肉は冷蔵庫で約3日が賞味期限、でもこの世界は賞味期限よりも消費期限だろうし、解体から10日保つなら冷暗所位には持つって感じかなぁ? これからはアイテムボックスじゃなくて冷暗所って呼ぼっと)
そんな無意味なことを考えながら、リリは結論を出す。
「イヴァごめんね、あとありがとう、とりあえず方針は決まったわ」
「…………あぁ、よかったのー、妾の分の野菜も頼むぞー」
「いつものハーブとオニオンで良い?」
無言でシッシッと手を振るイヴァ、問題は無いらしい。
リリはクスッと笑うと、ラーナの元に近づきつつ独り言を漏らす。
「とりあえず、内蔵は血抜きして片っ端から焼いて食べちゃうとして、胃と腸は念の為に捨てたほうが良いわよねー、身は……また燻製かぁ……この量……」
「っえ! 捨てちゃうの?」
リリの独り言が聞こえたのか、ラーナが反応した。
(この食いしん坊、耳までいいの!? ラーナのステータスだけバグってる、わたしにも少し分けて欲しいんですけど!)
リリは心の中で歯嚙みした後に、真面目に答えた。
「流石に家畜じゃないんだから、何を食べてるかわからない胃と腸はぜーったいにダメ!」
「ボクはお腹なんて壊さないってー」
「だめったらだめ」
「えぇ!!」
「守れないなら、わたしは作らないからね」
「……はぁい」
渋々納得したラーナと、今回も徹夜になることを悟ったリリ。
二人してハァーッと大きな大きなため息をついた。
そんな二人の話しを聞いていたクラウディアが話しかける。
大きな樽に水を貯め悩むリリにむかって、内臓を両手いっぱいに抱えたラーナが頬を緩めて声をかける。
「っえ!? ラーナ、また血みどろじゃない!」
「ンフフ」
驚いて答えるリリだったが、ラーナの方は真っ赤に染まった姿で笑みを浮かべている。
「こんな大きいのはどう見ても食べ切れないって!」
「だったら、何日かに分ければいいじゃんか」
(分けるって言っても、どうやって……)
「っあ、イヴァ!」
「ん? なんじゃ?」
「収納魔法で仕舞った物って腐るの?」
「そりゃ腐るぞ?」
「今まで腐って無かったじゃない? 時が止まってるんじゃないの?」
「時は緩やかに進んどるし、温度の調節も出来んぞ」
「ってことは常温ってこと?」
「じゃな」
(ですよねー、この世界がラノベみたいに生易しかったら、わたしはこんな苦労はしてないわけで、そんな都合のいい展開があるわけないわよねー、わたし知ってたもんねーだ!)
改めて突き付けられた現実に軽く落胆したリリは、イヴァに向かって軽く愚痴をこぼした
「イヴァの魔法って、便利なのは便利なんだけどさぁ、絶妙に使えないわよねー」
「なんじゃと!?」
「どうせなら、ついでに時間も止めて、冷蔵にしておけばいいじゃない!」
溜息をつきながら答えたリリに、イヴァは憤慨して言い返す。
「リリ、お主が言うことが、どんなに難しいことか知ってるのかや?」
「わたしが知るわけないじゃない」
「異なる効果の魔法を同時に発動させるには、特別な制約をつけて縛らないといかんのじゃ、難しさはそうじゃな……火の燃え盛る大地で植物を育てるようなもんなんじゃ」
「……?」
(言いたい事はなんとなく分かるけど、絶妙に分かりづらい!!)
「イヴァ、そんなにイライラしてるとシワが増えるわよ? 年なんだからさー」
「怒らせとるのはどいつじゃ! 妾はダークエルフの中では若いほうじゃ!」
「まぁいいわ」
「よくないのじゃ!」
リリはイヴァの言葉を無視して言葉を続ける。
「で、普通のお肉ならどれぐらい持つの?」
「お主は……フゥー、そうじゃなー……ビックボアの生肉で10日ってとこじゃな」
「ビックボアってイノシシよね?」
「まぁそうじゃな」
リリとの一連のやり取りに疲れたのか、イヴァはスラスラと質問に答え、岩に座り足を組むと左手では杖を付き右手では頬杖をつく。
随分と無愛想な態度だが分からなくもない、リリ自身も若干からかいすぎたかなと心の中では思っていた、しかし今は料理が優先だ。
(前世の普通の肉は冷蔵庫で約3日が賞味期限、でもこの世界は賞味期限よりも消費期限だろうし、解体から10日保つなら冷暗所位には持つって感じかなぁ? これからはアイテムボックスじゃなくて冷暗所って呼ぼっと)
そんな無意味なことを考えながら、リリは結論を出す。
「イヴァごめんね、あとありがとう、とりあえず方針は決まったわ」
「…………あぁ、よかったのー、妾の分の野菜も頼むぞー」
「いつものハーブとオニオンで良い?」
無言でシッシッと手を振るイヴァ、問題は無いらしい。
リリはクスッと笑うと、ラーナの元に近づきつつ独り言を漏らす。
「とりあえず、内蔵は血抜きして片っ端から焼いて食べちゃうとして、胃と腸は念の為に捨てたほうが良いわよねー、身は……また燻製かぁ……この量……」
「っえ! 捨てちゃうの?」
リリの独り言が聞こえたのか、ラーナが反応した。
(この食いしん坊、耳までいいの!? ラーナのステータスだけバグってる、わたしにも少し分けて欲しいんですけど!)
リリは心の中で歯嚙みした後に、真面目に答えた。
「流石に家畜じゃないんだから、何を食べてるかわからない胃と腸はぜーったいにダメ!」
「ボクはお腹なんて壊さないってー」
「だめったらだめ」
「えぇ!!」
「守れないなら、わたしは作らないからね」
「……はぁい」
渋々納得したラーナと、今回も徹夜になることを悟ったリリ。
二人してハァーッと大きな大きなため息をついた。
そんな二人の話しを聞いていたクラウディアが話しかける。
0
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる