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授業終了後の放課後
メルティアとアグネスに、する事があるから先に帰って、と伝え一人で庭園に来た。
婚約解消も秒読みと見たわ!
私の考えだと、ウィルフォードとの婚約解消はできたとしても、すぐに次の婚約者が、宛がわれると思うのよね。
そこで、次の作戦を実行しなければならないのだ!
今回の作戦は淑女として恥ずかしい行いをしなくてはならない。
・・・本当に大分、悩んだ。
一流の淑女として教育してくれている母、妃教育を丁寧に教えてくださる王妃様。
私も、猫をいっぱい被れば、一流とは言えないが、ちゃんと淑女としての対応ができる。
だから、この1回だけ・・・。1回だけだから許してほしい。
私のこの先の未来が、かかっているのだから。と、心の中で言い訳をしたのだ。
そうして、無理やり気持ちを切り替える。
では早速、作戦の話をしよう。
放課後の今、お喋りをいている人、帰宅する人、本を読んでいる人など、庭園には人が点在している。
私は次の婚約者ができない様に(クリーヴランド家の令嬢は頭のネジが飛んでいる)と思わせ、婚約の打診をさせない事が目的だ。
・・・本当に苦肉の策だ。心が痛すぎる。
だが、ここで諦めれば、今までの事が全て無駄となってしまう。
それだけは回避したい。
なので、腹を括る。
そこで、考えたのがここで一芝居打つ事だった。
そう、それは、靴を脱ぎ、大声で歌うのだ!
前世、私が唯一得意だったのは歌う事だった。
カラオケもそうだけど、上司に連れて行かれたスナックで歌った時は、みんなが振り向いてくれるぐらいの腕前だったので、それなりに上手かったんだと思う。
よし。やるわよ!
気合を入れ直し、歌い始める。
やっぱり、みんな見ている。恥ずかしいけれど絶対に止めないわ!
もう少しよ。頑張れ!と自分にエールを送った、その時。
「ねーねー何歌ってるの?すごく綺麗な声と振付だね。
可憐な妖精みたいだ!」
・・・え?私?
曲調激しめのアニソンを全力で首振りして歌っている。どこが、可憐、だと?
後ろを振り返ると、目の前に青年が立っていた。
歳は私と同じぐらいだろうか。制服は着ていないので、ここの生徒ではないのだろう。
黒い髪に金色の瞳をした、恐ろしく顔の整った人だった。
・・・そして思った。
この状況で話しかけてくるなんて、尋常じゃない。
めちゃくちゃヤバい奴が釣れてしまった。
これは大変だ!
ヤバい奴に擬態している私が、本物に適うはずがない。
取り敢えず、靴持って退散だ!
脱兎の如く裸足で逃げるフェアリエルを笑顔で見ていた青年。
あんなに必死になって逃げちゃって。ははっ、かーわいい!
この国には面白い子がいるんだなぁ。
ちょっとは楽しめそうだ。
そう思って、青年もその場を後にするのであった。
踊りながら歌っていたフェアリエルの姿は、異国の歌を歌いながら綺麗な髪を靡かせ、飛んだり跳ねたりしている姿は、まさに、妖精のようだった。
周りから見ていた人の感想はフェアリエルの思惑とは全くの逆だったのだ。
皆、そんな現実離れをした光景に目を奪われていた、とは知らないフェアリエルだった。
そして、気後れせずに声を掛けたのが彼だけだったと言う話だ。
【その日の夜、王宮では・・・】
食事中、ウィルフォードが何の脈絡もなく言い放った。
「フェアリエルとの婚約を考え直そうと思います」
王妃はウィルフォードの初恋はフェアリエルだと知っていたし、それを陛下にも伝えていた。
まさか、ここまで拗らせているとは夢にも思わなかったのだ。
まさに、晴天の霹靂だった。
貴方、フェアリエルに恋をしているのよ!って言いたい。
だが、契約書に子供の気持ちを尊重しなくてはいけないとある。
・・・親は口出しできない。
王妃は息子の不甲斐のなさに絶句し、国王はそのままぶっ倒れて、王宮に混乱を招いたのは言うまでもない。
メルティアとアグネスに、する事があるから先に帰って、と伝え一人で庭園に来た。
婚約解消も秒読みと見たわ!
私の考えだと、ウィルフォードとの婚約解消はできたとしても、すぐに次の婚約者が、宛がわれると思うのよね。
そこで、次の作戦を実行しなければならないのだ!
今回の作戦は淑女として恥ずかしい行いをしなくてはならない。
・・・本当に大分、悩んだ。
一流の淑女として教育してくれている母、妃教育を丁寧に教えてくださる王妃様。
私も、猫をいっぱい被れば、一流とは言えないが、ちゃんと淑女としての対応ができる。
だから、この1回だけ・・・。1回だけだから許してほしい。
私のこの先の未来が、かかっているのだから。と、心の中で言い訳をしたのだ。
そうして、無理やり気持ちを切り替える。
では早速、作戦の話をしよう。
放課後の今、お喋りをいている人、帰宅する人、本を読んでいる人など、庭園には人が点在している。
私は次の婚約者ができない様に(クリーヴランド家の令嬢は頭のネジが飛んでいる)と思わせ、婚約の打診をさせない事が目的だ。
・・・本当に苦肉の策だ。心が痛すぎる。
だが、ここで諦めれば、今までの事が全て無駄となってしまう。
それだけは回避したい。
なので、腹を括る。
そこで、考えたのがここで一芝居打つ事だった。
そう、それは、靴を脱ぎ、大声で歌うのだ!
前世、私が唯一得意だったのは歌う事だった。
カラオケもそうだけど、上司に連れて行かれたスナックで歌った時は、みんなが振り向いてくれるぐらいの腕前だったので、それなりに上手かったんだと思う。
よし。やるわよ!
気合を入れ直し、歌い始める。
やっぱり、みんな見ている。恥ずかしいけれど絶対に止めないわ!
もう少しよ。頑張れ!と自分にエールを送った、その時。
「ねーねー何歌ってるの?すごく綺麗な声と振付だね。
可憐な妖精みたいだ!」
・・・え?私?
曲調激しめのアニソンを全力で首振りして歌っている。どこが、可憐、だと?
後ろを振り返ると、目の前に青年が立っていた。
歳は私と同じぐらいだろうか。制服は着ていないので、ここの生徒ではないのだろう。
黒い髪に金色の瞳をした、恐ろしく顔の整った人だった。
・・・そして思った。
この状況で話しかけてくるなんて、尋常じゃない。
めちゃくちゃヤバい奴が釣れてしまった。
これは大変だ!
ヤバい奴に擬態している私が、本物に適うはずがない。
取り敢えず、靴持って退散だ!
脱兎の如く裸足で逃げるフェアリエルを笑顔で見ていた青年。
あんなに必死になって逃げちゃって。ははっ、かーわいい!
この国には面白い子がいるんだなぁ。
ちょっとは楽しめそうだ。
そう思って、青年もその場を後にするのであった。
踊りながら歌っていたフェアリエルの姿は、異国の歌を歌いながら綺麗な髪を靡かせ、飛んだり跳ねたりしている姿は、まさに、妖精のようだった。
周りから見ていた人の感想はフェアリエルの思惑とは全くの逆だったのだ。
皆、そんな現実離れをした光景に目を奪われていた、とは知らないフェアリエルだった。
そして、気後れせずに声を掛けたのが彼だけだったと言う話だ。
【その日の夜、王宮では・・・】
食事中、ウィルフォードが何の脈絡もなく言い放った。
「フェアリエルとの婚約を考え直そうと思います」
王妃はウィルフォードの初恋はフェアリエルだと知っていたし、それを陛下にも伝えていた。
まさか、ここまで拗らせているとは夢にも思わなかったのだ。
まさに、晴天の霹靂だった。
貴方、フェアリエルに恋をしているのよ!って言いたい。
だが、契約書に子供の気持ちを尊重しなくてはいけないとある。
・・・親は口出しできない。
王妃は息子の不甲斐のなさに絶句し、国王はそのままぶっ倒れて、王宮に混乱を招いたのは言うまでもない。
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