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1.伯爵令嬢リンシアが幸せになるには
14話:魅了効果のある魔道具
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「ようこそ、過労死目前の対策本部へ。あなたを心から歓迎するよ、レディ・リンシア」
にっこり笑いながら、笑えない言葉を口にしたのは、この国の王太子、ヴィンセント・エルヴァニア殿下だった。
私は笑っていいのかどうか判断に困ったものの、結局、愛想笑いを顔に貼り付けることにした。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。王太子殿下」
☆
ルーズヴェルト卿の手紙には【都合のいい時に登城して欲しい】と書かれていた。
例の件で話がある──とのことだけど、例の件というのは十中八九……
(セリーナの話……よね)
違法魔道具使用の疑い、だったかしら。
あれから色んなことがあったので、随分昔のように感じる……が、まだあれから一ヶ月しか経っていないのである。
私も、先日の騒ぎの話をしたかったし、私がルーズヴェルト卿の言葉を断る理由はなかった。
日程調整を済ませ、約束の日になると私は登城した。
そして、案内の先には、王太子殿下とその側近ふたりが揃っていたのだ。
(王太子殿下の側近のふたり、ルシアン・ルーズヴェルトとフェリクス・フェルスターは聖女の取り巻きでもある……)
だけど、ルーズヴェルト卿が調査員だったことから、おそらくフェリクス・フェルスターも同様だろう。
そして私は、王太子殿下と笑えない挨拶を交わしたあと、私は彼に促されて腰を下ろした。
王太子殿下は、淡い金髪に薄緑色の瞳をした、繊細な美貌を持つ青年である。
そして側近の1人であるフェルスター卿は鮮やかな紫の髪に、青色の瞳。こちらも危うい色気のある美形だ。
ちなみに、フェルスター卿は、常に(女性関係で)社交界を賑わしているプレイボーイでもある。
ルーズヴェルト卿は言わずもがな。
この3人組は、見ているだけでも目の保養と、貴族令嬢から大変人気な方々なのである。
こんなに近くで話したのは、私も初めてだけど。
(王太子殿下がセリーナの取り巻きにフェルスター卿とルーズヴェルト卿をつけたのは、正解ね……)
憧れの貴公子たちを侍らせるのだ。大抵の令嬢は自尊心や優越感が満たされるだろうし、セリーナもそれは同様だろう。
そんなことを考えながら、私は王太子殿下の斜向かいのソファに腰を下ろした。
側近のフェルスター卿と、ルーズヴェルト卿のふたりは、私の対面にソファに着席した。
笑えない挨拶を交わしたところで、と私は顔を上げた。
「それで……過労死目前って何なのでしょう?王城冗談ですの?」
首を傾げて尋ねると、王太子殿下はニッコリと微笑んで答えた。
「まさか!冗談ならどれだけ良かっただろうね」
その声には、万感の思いがこもっている。私は、あら、と口元に手を当てた。
「では、ようこそ、ということは……」
「そう。つまり、あなたもこれから、我々の一員になるということだ。……これくらいは、あなたも予想していたと思うけれど?」
探るように煌めく彼の瞳に、私はそっとまつ毛を伏せた。
予想はしていた。なぜなら──
(ルーズヴェルト卿が例の話をした時点で、逃がす気なんてないに決まってるものね……!!)
秘密を知ったのなら、ハイ!あなたも共犯!というやつだもの。
しかも、聖女の違法魔道具使用の疑いなど、どこからどう流出してもだいぶ、いやかなりまずい情報。
ルーズヴェルト卿が私に伝えた時点で、彼は巻き込むつもりだったのだろう。
「ま、言葉遊びはこの辺でいいでしょ。まずは、レディ・リンシア。あなたの魔道具管理部の最終試験の結果なんだけど、合格が出たよ」
「!!」
驚いて、思わず顔を上げる。
(想像よりずっと早い。もしかして)
私の推測は、果たして大正解のようだった。私が察したのを感じ取ったのだろう。王太子殿下が、いたずらっぽい笑みを浮かべたからだ。
「そう、私が口利きした。魔法管理部は、私の直轄だからね」
「……殿下は、読心術を習得されていらっしゃいますの?」
「まさか。あなたが考えそうなことを口にしただけだよ。……さて、これで晴れてあなたも魔法管理部の一員となった。ああ、これ正式な通達書ね」
王太子殿下が目配せすると、壁際に控えていた従僕が1枚の書類を持ってきた。王太子殿下はそれを受け取ると、私に差し出してくる。
受け取り、書類を確認すると確かにそこには私の名前が記載されていた。
「それで──レディ・リンシア。ルシアンから話は聞いている。あなたには魔道具作りの才能があるそうだね」
「才能なんて大それたものではありませんが……得意としているのは、事実です」
「謙遜しなくてもいい。あなたが優秀な成績を修め、一年でエルドラシア魔法学院を卒業したのは私も知っている。魔道具製作科では歴代最高得点を打ち立てたとか」
それは事実なので、笑みを浮かべて答えておく。謙遜しなくてもいいとの言葉だったし。
私の反応に、王太子殿下は満足そうに、微かな笑みを浮かべる。
「つまりあなたは、魔道具のプロフェッショナルだ」
「プロフェッショナル……」
瞬きを繰り返すと、王太子殿下は先程とは打って変わって真剣な様子で、私に尋ねた。
「では、レディ・リンシア。あなたを魔道具作りの女王と見込んでの質問だ。あなたは……魅了効果のある魔道具の存在を知っている?」
にっこり笑いながら、笑えない言葉を口にしたのは、この国の王太子、ヴィンセント・エルヴァニア殿下だった。
私は笑っていいのかどうか判断に困ったものの、結局、愛想笑いを顔に貼り付けることにした。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。王太子殿下」
☆
ルーズヴェルト卿の手紙には【都合のいい時に登城して欲しい】と書かれていた。
例の件で話がある──とのことだけど、例の件というのは十中八九……
(セリーナの話……よね)
違法魔道具使用の疑い、だったかしら。
あれから色んなことがあったので、随分昔のように感じる……が、まだあれから一ヶ月しか経っていないのである。
私も、先日の騒ぎの話をしたかったし、私がルーズヴェルト卿の言葉を断る理由はなかった。
日程調整を済ませ、約束の日になると私は登城した。
そして、案内の先には、王太子殿下とその側近ふたりが揃っていたのだ。
(王太子殿下の側近のふたり、ルシアン・ルーズヴェルトとフェリクス・フェルスターは聖女の取り巻きでもある……)
だけど、ルーズヴェルト卿が調査員だったことから、おそらくフェリクス・フェルスターも同様だろう。
そして私は、王太子殿下と笑えない挨拶を交わしたあと、私は彼に促されて腰を下ろした。
王太子殿下は、淡い金髪に薄緑色の瞳をした、繊細な美貌を持つ青年である。
そして側近の1人であるフェルスター卿は鮮やかな紫の髪に、青色の瞳。こちらも危うい色気のある美形だ。
ちなみに、フェルスター卿は、常に(女性関係で)社交界を賑わしているプレイボーイでもある。
ルーズヴェルト卿は言わずもがな。
この3人組は、見ているだけでも目の保養と、貴族令嬢から大変人気な方々なのである。
こんなに近くで話したのは、私も初めてだけど。
(王太子殿下がセリーナの取り巻きにフェルスター卿とルーズヴェルト卿をつけたのは、正解ね……)
憧れの貴公子たちを侍らせるのだ。大抵の令嬢は自尊心や優越感が満たされるだろうし、セリーナもそれは同様だろう。
そんなことを考えながら、私は王太子殿下の斜向かいのソファに腰を下ろした。
側近のフェルスター卿と、ルーズヴェルト卿のふたりは、私の対面にソファに着席した。
笑えない挨拶を交わしたところで、と私は顔を上げた。
「それで……過労死目前って何なのでしょう?王城冗談ですの?」
首を傾げて尋ねると、王太子殿下はニッコリと微笑んで答えた。
「まさか!冗談ならどれだけ良かっただろうね」
その声には、万感の思いがこもっている。私は、あら、と口元に手を当てた。
「では、ようこそ、ということは……」
「そう。つまり、あなたもこれから、我々の一員になるということだ。……これくらいは、あなたも予想していたと思うけれど?」
探るように煌めく彼の瞳に、私はそっとまつ毛を伏せた。
予想はしていた。なぜなら──
(ルーズヴェルト卿が例の話をした時点で、逃がす気なんてないに決まってるものね……!!)
秘密を知ったのなら、ハイ!あなたも共犯!というやつだもの。
しかも、聖女の違法魔道具使用の疑いなど、どこからどう流出してもだいぶ、いやかなりまずい情報。
ルーズヴェルト卿が私に伝えた時点で、彼は巻き込むつもりだったのだろう。
「ま、言葉遊びはこの辺でいいでしょ。まずは、レディ・リンシア。あなたの魔道具管理部の最終試験の結果なんだけど、合格が出たよ」
「!!」
驚いて、思わず顔を上げる。
(想像よりずっと早い。もしかして)
私の推測は、果たして大正解のようだった。私が察したのを感じ取ったのだろう。王太子殿下が、いたずらっぽい笑みを浮かべたからだ。
「そう、私が口利きした。魔法管理部は、私の直轄だからね」
「……殿下は、読心術を習得されていらっしゃいますの?」
「まさか。あなたが考えそうなことを口にしただけだよ。……さて、これで晴れてあなたも魔法管理部の一員となった。ああ、これ正式な通達書ね」
王太子殿下が目配せすると、壁際に控えていた従僕が1枚の書類を持ってきた。王太子殿下はそれを受け取ると、私に差し出してくる。
受け取り、書類を確認すると確かにそこには私の名前が記載されていた。
「それで──レディ・リンシア。ルシアンから話は聞いている。あなたには魔道具作りの才能があるそうだね」
「才能なんて大それたものではありませんが……得意としているのは、事実です」
「謙遜しなくてもいい。あなたが優秀な成績を修め、一年でエルドラシア魔法学院を卒業したのは私も知っている。魔道具製作科では歴代最高得点を打ち立てたとか」
それは事実なので、笑みを浮かべて答えておく。謙遜しなくてもいいとの言葉だったし。
私の反応に、王太子殿下は満足そうに、微かな笑みを浮かべる。
「つまりあなたは、魔道具のプロフェッショナルだ」
「プロフェッショナル……」
瞬きを繰り返すと、王太子殿下は先程とは打って変わって真剣な様子で、私に尋ねた。
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