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2.伯爵令嬢リンシアは魔道具作りが楽しい
11話:超限定的な魔道具
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「エルドラシアに行くって……本気?エルドラシアまでは、片道2ヶ月もかかるよ?早馬を使っても1ヶ月半だ」
王太子殿下の言葉に、私は強く頷いた。
(今こそ、私の腕の見せどころだわ……!)
何せ、この一大プロジェクトのメンバーに抜擢されたのだ。魔道具作りこそ、私の本分。本領発揮である。
私は胸を張り、胸元に手を当てて答えた。
「それについては考えがありますわ」
目を瞬かせる王太子殿下に、私はにっこりと笑みを浮かべた。
「実は私、エルドラシアの卒業制作で面白いものを作りましたの。マリア先生のお墨付きですわ!」
そういうと、私はそっと自身の腕の袖口を捲りあげる。
手首まであるレースの手袋に嵌るのは、金の腕輪。
一見、ただの腕輪だけど──
「これ、疲労回復の腕輪ですの」
意気揚々と答えると、王太子殿下が唖然とした様子を見せる。ルーズヴェルト卿も、意表をつかれたようだ。
王太子殿下が何か答えるより早く、私は苦笑する。
「ですが、かなり限定的な仕様なのです。改良中ですが……現段階では一般普及は難しいと思いますわ」
私の言葉に、王太子殿下が前のめりになった。
何せ、過労死目前発言をした王太子殿下だ。疲労回復など、喉から手が出るほど欲しているだろう。
(だけど、本当に申し訳ないことに、これ、使い勝手が悪いのよ……!!)
一般普及にはまだまだ程遠く、大きな問題が3つも残っている。
王太子殿下は、目を輝かせて尋ねた。
「詳しく聞きたいな。限定的、というのは?これ、まだ魔法管理部に申請は出してないよね?」
矢継ぎ早に尋ねられ、私は肩を竦めて答えた。
「理由は3つありますわ。まず1つ目に、消費魔力が膨大です。数値化はしていませんが、恐らくエルヴァニア国民の平均魔力に匹敵するかと思いますわ。そして2つ目に──これが一番の問題なのですが、現時点では、エルヴァニア国内では私しか使えません」
何せ、魔道具の起動には、魔法構成の理解が必須だ。
卒業制作として提出したので、マリア先生ならいとも簡単に起動させてみせるだろうが──彼女以外は難しいだろう。
そもそも、魔道具の仕組みにはエルドラシア魔法学院で学んだ知識をふんだんに組み込んでいる。卒業制作なので、当然といえば当然なのだけど。
私の言葉に、王太子殿下は渋い顔になった。
あてが外れた、と思っているのだろう。
「それは確かに難しいね」
「ですから、これはまだ改良中なのですわ。未完成品ですから、魔道具管理部には申請しておりません」
「……でも、これが世に広まったらすごいことになるんじゃない?常識が覆りそうだ」
あなたは無茶な乱用をしそうなので、程々になさってくださいね、という言葉は呑み込んでおく。流石に王太子殿下に言えることではなからだ。
「あなたは魔道具を起動できるんでしょう?どうかな。私に使ってくれない?」
「……そうなると、私の魔力がすっからかんになるのですが」
私とて、魔力量が豊富なわけではない。
魔力量はごくごく平均的なので、魔道具を起動したら、しばらくは使い物にならない。私の言葉に、王太子殿下が肩を竦めた。
「だめかぁ。有給にしておくよ?」
「お断りしますわ。申し訳ないのですが、これは、魔法学院で提出した時よりかなり改良を施しておりますの。だから、どんな不具合が出るか分からないのですわ」
つまり、何が起きるか分からない、というわけなのである。
まあ……ミスったら爆発するような危うい構成にはしていないが、検証テストを通っていない魔道具を王族に使うわけにはいかない。
もし、何かしらの不具合が起きて、彼の身を害した場合、責任が取れないからだ。
私の言葉に王太子殿下は頷いて答えた。彼も納得しているようだ。
「でも、今これを出してくるということは、ある程度の安全面は保証されているんでしょう?」
「私が作成者ですもの。何か起きたとしても、ある程度は対処可能ですし、何とかしてみせます」
出来るかどうか、じゃない。やるのだ。
もし、エルドラシアに向かう途中で魔道具が暴走したとしても、対処してみせる。
最悪、壊してでも止める。作成者にはその責任がある。
そして、私は一般普及が難しいと考える、最大の理由を口にする。
「それに──王太子殿下。これが3つ目の理由なのですが」
言いにくそうにする私に、王太子殿下が首を傾げた。私は、彼の目を見て、はっきりと言った。
「……これ、馬用なのですわ」
「馬」
「はい」
言葉を繰り返す王太子殿下に、私は強く頷いて答えた。
王太子殿下の言葉に、私は強く頷いた。
(今こそ、私の腕の見せどころだわ……!)
何せ、この一大プロジェクトのメンバーに抜擢されたのだ。魔道具作りこそ、私の本分。本領発揮である。
私は胸を張り、胸元に手を当てて答えた。
「それについては考えがありますわ」
目を瞬かせる王太子殿下に、私はにっこりと笑みを浮かべた。
「実は私、エルドラシアの卒業制作で面白いものを作りましたの。マリア先生のお墨付きですわ!」
そういうと、私はそっと自身の腕の袖口を捲りあげる。
手首まであるレースの手袋に嵌るのは、金の腕輪。
一見、ただの腕輪だけど──
「これ、疲労回復の腕輪ですの」
意気揚々と答えると、王太子殿下が唖然とした様子を見せる。ルーズヴェルト卿も、意表をつかれたようだ。
王太子殿下が何か答えるより早く、私は苦笑する。
「ですが、かなり限定的な仕様なのです。改良中ですが……現段階では一般普及は難しいと思いますわ」
私の言葉に、王太子殿下が前のめりになった。
何せ、過労死目前発言をした王太子殿下だ。疲労回復など、喉から手が出るほど欲しているだろう。
(だけど、本当に申し訳ないことに、これ、使い勝手が悪いのよ……!!)
一般普及にはまだまだ程遠く、大きな問題が3つも残っている。
王太子殿下は、目を輝かせて尋ねた。
「詳しく聞きたいな。限定的、というのは?これ、まだ魔法管理部に申請は出してないよね?」
矢継ぎ早に尋ねられ、私は肩を竦めて答えた。
「理由は3つありますわ。まず1つ目に、消費魔力が膨大です。数値化はしていませんが、恐らくエルヴァニア国民の平均魔力に匹敵するかと思いますわ。そして2つ目に──これが一番の問題なのですが、現時点では、エルヴァニア国内では私しか使えません」
何せ、魔道具の起動には、魔法構成の理解が必須だ。
卒業制作として提出したので、マリア先生ならいとも簡単に起動させてみせるだろうが──彼女以外は難しいだろう。
そもそも、魔道具の仕組みにはエルドラシア魔法学院で学んだ知識をふんだんに組み込んでいる。卒業制作なので、当然といえば当然なのだけど。
私の言葉に、王太子殿下は渋い顔になった。
あてが外れた、と思っているのだろう。
「それは確かに難しいね」
「ですから、これはまだ改良中なのですわ。未完成品ですから、魔道具管理部には申請しておりません」
「……でも、これが世に広まったらすごいことになるんじゃない?常識が覆りそうだ」
あなたは無茶な乱用をしそうなので、程々になさってくださいね、という言葉は呑み込んでおく。流石に王太子殿下に言えることではなからだ。
「あなたは魔道具を起動できるんでしょう?どうかな。私に使ってくれない?」
「……そうなると、私の魔力がすっからかんになるのですが」
私とて、魔力量が豊富なわけではない。
魔力量はごくごく平均的なので、魔道具を起動したら、しばらくは使い物にならない。私の言葉に、王太子殿下が肩を竦めた。
「だめかぁ。有給にしておくよ?」
「お断りしますわ。申し訳ないのですが、これは、魔法学院で提出した時よりかなり改良を施しておりますの。だから、どんな不具合が出るか分からないのですわ」
つまり、何が起きるか分からない、というわけなのである。
まあ……ミスったら爆発するような危うい構成にはしていないが、検証テストを通っていない魔道具を王族に使うわけにはいかない。
もし、何かしらの不具合が起きて、彼の身を害した場合、責任が取れないからだ。
私の言葉に王太子殿下は頷いて答えた。彼も納得しているようだ。
「でも、今これを出してくるということは、ある程度の安全面は保証されているんでしょう?」
「私が作成者ですもの。何か起きたとしても、ある程度は対処可能ですし、何とかしてみせます」
出来るかどうか、じゃない。やるのだ。
もし、エルドラシアに向かう途中で魔道具が暴走したとしても、対処してみせる。
最悪、壊してでも止める。作成者にはその責任がある。
そして、私は一般普及が難しいと考える、最大の理由を口にする。
「それに──王太子殿下。これが3つ目の理由なのですが」
言いにくそうにする私に、王太子殿下が首を傾げた。私は、彼の目を見て、はっきりと言った。
「……これ、馬用なのですわ」
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