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避けられぬ未来
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ガルディア王国国王レオンハルトの想いも虚しく獣王国からの使者ドラーとの交渉は決裂してしまった。
自国の王の想いを無下にするようなその態度にそれまで黙って見守っていたドルーマンを筆頭とした文官たちから声が上がる。
「貴様!陛下の心遣いを無下にするとは何事か!!万死に値する」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「我々の使節団は獣王国によって酷い目に合わされたんだ。こいつも同じ目に合わせてやりましょう」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「ハルトマンのことを思うと・・・。貴様、五体満足で帰れると思うな!」
「「「そうだ!そうだ!」」」
怒りに震える文官たちからドラーに対してハルトマンたち使節団と同じ目に合わせてやれという声が上がる。
もちろん気持ちは分からなくないが、そんな事をしてしまってはもう後戻りは出来なくなってしまう。
そして、相手と同じことをするということは自分たちが非難している相手と同じ状態になるということである。
それは本当に自分たちが望んでいることなのであろうか。
───────── 否 。
そんなところにガルディア王国の意思など存在しない。
その事を十分に理解しているからこそ、ドラーは文官たちよから怒号を浴びせられようとも余裕な表情で笑みを浮かべるのであった。
「おいおい、オイラに戦闘の意思は無いんだぜ。ガルディア王国はまた無抵抗な獣人を傷付けるつもりなのかい?」
「そんな事は私がさせない。気を悪くしたのであれば、家臣たちの非礼を詫びよう。そしてドラー殿、戦争に関してだが・・・考え直してもらうことは出来ぬだろうか」
文官たちの怒号を制止し、彼らから出された提案を一蹴した国王レオンハルト。
そして、あえて挑発的な態度をみせるドラーに対して三度戦争の回避を願い出たのであった。
しかし、その願いに対する返答はレオンハルトの望むものとはならなかった。
「ガルディア王よ、残念ながらその願いは聞き入れられない。というか、オイラにそんな権限は無いからね。オイラの意思なんて関係ない。獣王国は獣王の意思によってのみ動く」
非常なまでの言葉がレオンハルトの心に突き刺さる。
そして、そんな彼に追い討ちをかけるようにドラーが衝撃的な事実を告げる。
「それからよく聞け!ガルディア王国よ!!そこにガルディアの意思があろうと無かろうと、獣人族は同胞の死を決して許すことはない!!」
「なっ・・・」
ここで初めて今回襲われた獣人の中に死者が出ていたことを知ったガルディア王宮の者たち。
商人の一団が襲われ負傷者多数との報告は受けていたのだが、その中に死亡者がいるというものは無かったのだ。
それ故、レオンハルトたちの動揺は計り知れないものであった。
「そ…それは、本当なのか・・・」
「今回の件では二十名全員が負傷させられ、そのうち男女二名の命が奪われた。そして、その二人には小さな子供がいて、その幼い二人もその現場にいたんだよ!」
衝撃的な事実を知らされレオンハルトを含む全員が言葉を失ってしまった。
静まり返る広間 ──────── 。
その中でゆっくりと立ち上がるドラー。
そして、ショックを隠しきれないレオンハルトに対して「報いを受けろ」とだけ言い残し、その場を去ったのだった。
─────────────────────────
ドラー無きあと、謁見の間には玉座に腰掛けたまま呆然とするレオンハルトの姿があった。
失意の国王に対して側に仕えていた聖騎士長アーサーが声を掛ける。
「陛下、如何なさいますか?」
「・・・・・」
アーサーの声は確かにレオンハルトの耳に届いていた。
しかし、その瞬間のレオンハルトは話し方を忘れてしまったかのように沈黙し続けたのだった。
ガルディア王国とそこに住まう全ての種族にとっての平和と安寧を目指してきた。
そんな国王の姿を間近で見てきた家臣たちには、その沈黙の意味も、その心痛の深さも想像に難しくはなかった。
それでも時間は待ってはくれない。
どれほど望まぬ未来であったとしても全ての者に必ず明日はやってくる。
「陛下」
「・・・・・」
「陛下!!」
「ああ、すまない」
やっとのことで絞り出すように言葉を吐き出したレオンハルト。
しかし、そこには覇気というものが一切感じられなかった。
心配する家臣たちを前に再びレオンハルトが言葉を発する。
「アーサー」
「はい」
「もう避けることは出来ぬのだろうか」
「難しいでしょうね。我々の意思とは関係なく獣王は戦争がしたいようですので、こちらとしてもただただやられるわけにはいきません」
アーサーはあえて厳しい言葉を選ぶ。
自国の王であり幼少の頃より切磋琢磨してきた友でもあるレオンハルトの気持ちを誰よりも理解しているからこそ、生半可な言葉で淡い夢をみせるよりも今は現実と向き合うべきだと判断したからである。
そして、国王であるレオンハルトの判断が遅れるとそれがそのままガルディア王国の損害に繋がってしまうことも理解してのことであった。
「フゥーーー・・・。皆、情けない姿を見せてしまったな」
「いえ、決してそのようなことは・・・。陛下の心中お察し致します」
「まぁ~我々の心中がどのようであろうとも相手は攻めてくるでしょうから。こちらもそれ相応の準備をしておかなければなりません」
これからガルディア王国と獣王国ビステリアによる戦争が始まる。
ガルディアの地が戦禍に見舞われ、数多くの者たちがそれに巻き込まれることになるだろう。
しかし、それを知りただ指を咥えて待っているわけにはいかない。
レオンハルトは腹を括り、その覚悟を以って意思を固める。
そして、これ以上情けない姿を見せるわけにはいかないと自身へと視線を送る家臣たちに真っ直ぐ力強い視線を返した。
さらに今回の件に関してはガルディア王国の力を一つに合わせる必要があると考え、冒険者ギルドのギルドマスターであるメリッサと商業ギルドのギルド長であるフッガーを王城に召喚することを決めたのであった。
自国の王の想いを無下にするようなその態度にそれまで黙って見守っていたドルーマンを筆頭とした文官たちから声が上がる。
「貴様!陛下の心遣いを無下にするとは何事か!!万死に値する」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「我々の使節団は獣王国によって酷い目に合わされたんだ。こいつも同じ目に合わせてやりましょう」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「ハルトマンのことを思うと・・・。貴様、五体満足で帰れると思うな!」
「「「そうだ!そうだ!」」」
怒りに震える文官たちからドラーに対してハルトマンたち使節団と同じ目に合わせてやれという声が上がる。
もちろん気持ちは分からなくないが、そんな事をしてしまってはもう後戻りは出来なくなってしまう。
そして、相手と同じことをするということは自分たちが非難している相手と同じ状態になるということである。
それは本当に自分たちが望んでいることなのであろうか。
───────── 否 。
そんなところにガルディア王国の意思など存在しない。
その事を十分に理解しているからこそ、ドラーは文官たちよから怒号を浴びせられようとも余裕な表情で笑みを浮かべるのであった。
「おいおい、オイラに戦闘の意思は無いんだぜ。ガルディア王国はまた無抵抗な獣人を傷付けるつもりなのかい?」
「そんな事は私がさせない。気を悪くしたのであれば、家臣たちの非礼を詫びよう。そしてドラー殿、戦争に関してだが・・・考え直してもらうことは出来ぬだろうか」
文官たちの怒号を制止し、彼らから出された提案を一蹴した国王レオンハルト。
そして、あえて挑発的な態度をみせるドラーに対して三度戦争の回避を願い出たのであった。
しかし、その願いに対する返答はレオンハルトの望むものとはならなかった。
「ガルディア王よ、残念ながらその願いは聞き入れられない。というか、オイラにそんな権限は無いからね。オイラの意思なんて関係ない。獣王国は獣王の意思によってのみ動く」
非常なまでの言葉がレオンハルトの心に突き刺さる。
そして、そんな彼に追い討ちをかけるようにドラーが衝撃的な事実を告げる。
「それからよく聞け!ガルディア王国よ!!そこにガルディアの意思があろうと無かろうと、獣人族は同胞の死を決して許すことはない!!」
「なっ・・・」
ここで初めて今回襲われた獣人の中に死者が出ていたことを知ったガルディア王宮の者たち。
商人の一団が襲われ負傷者多数との報告は受けていたのだが、その中に死亡者がいるというものは無かったのだ。
それ故、レオンハルトたちの動揺は計り知れないものであった。
「そ…それは、本当なのか・・・」
「今回の件では二十名全員が負傷させられ、そのうち男女二名の命が奪われた。そして、その二人には小さな子供がいて、その幼い二人もその現場にいたんだよ!」
衝撃的な事実を知らされレオンハルトを含む全員が言葉を失ってしまった。
静まり返る広間 ──────── 。
その中でゆっくりと立ち上がるドラー。
そして、ショックを隠しきれないレオンハルトに対して「報いを受けろ」とだけ言い残し、その場を去ったのだった。
─────────────────────────
ドラー無きあと、謁見の間には玉座に腰掛けたまま呆然とするレオンハルトの姿があった。
失意の国王に対して側に仕えていた聖騎士長アーサーが声を掛ける。
「陛下、如何なさいますか?」
「・・・・・」
アーサーの声は確かにレオンハルトの耳に届いていた。
しかし、その瞬間のレオンハルトは話し方を忘れてしまったかのように沈黙し続けたのだった。
ガルディア王国とそこに住まう全ての種族にとっての平和と安寧を目指してきた。
そんな国王の姿を間近で見てきた家臣たちには、その沈黙の意味も、その心痛の深さも想像に難しくはなかった。
それでも時間は待ってはくれない。
どれほど望まぬ未来であったとしても全ての者に必ず明日はやってくる。
「陛下」
「・・・・・」
「陛下!!」
「ああ、すまない」
やっとのことで絞り出すように言葉を吐き出したレオンハルト。
しかし、そこには覇気というものが一切感じられなかった。
心配する家臣たちを前に再びレオンハルトが言葉を発する。
「アーサー」
「はい」
「もう避けることは出来ぬのだろうか」
「難しいでしょうね。我々の意思とは関係なく獣王は戦争がしたいようですので、こちらとしてもただただやられるわけにはいきません」
アーサーはあえて厳しい言葉を選ぶ。
自国の王であり幼少の頃より切磋琢磨してきた友でもあるレオンハルトの気持ちを誰よりも理解しているからこそ、生半可な言葉で淡い夢をみせるよりも今は現実と向き合うべきだと判断したからである。
そして、国王であるレオンハルトの判断が遅れるとそれがそのままガルディア王国の損害に繋がってしまうことも理解してのことであった。
「フゥーーー・・・。皆、情けない姿を見せてしまったな」
「いえ、決してそのようなことは・・・。陛下の心中お察し致します」
「まぁ~我々の心中がどのようであろうとも相手は攻めてくるでしょうから。こちらもそれ相応の準備をしておかなければなりません」
これからガルディア王国と獣王国ビステリアによる戦争が始まる。
ガルディアの地が戦禍に見舞われ、数多くの者たちがそれに巻き込まれることになるだろう。
しかし、それを知りただ指を咥えて待っているわけにはいかない。
レオンハルトは腹を括り、その覚悟を以って意思を固める。
そして、これ以上情けない姿を見せるわけにはいかないと自身へと視線を送る家臣たちに真っ直ぐ力強い視線を返した。
さらに今回の件に関してはガルディア王国の力を一つに合わせる必要があると考え、冒険者ギルドのギルドマスターであるメリッサと商業ギルドのギルド長であるフッガーを王城に召喚することを決めたのであった。
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