魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

文字の大きさ
108 / 208

混乱

しおりを挟む
コンコンコン ──────── ガチャッ。


「失礼致します」

「おい、軍議中だぞ!」

「申し訳ありません。ですが、緊急のご報告が ───── 」

「良い。申せ」


ガルディア王国国王であるレオンハルトを始め聖騎士長アーサー、筆頭魔法師ギュスターヴ、大臣ドルーマンによる軍議の最中に一人の兵士が会議室へと駆け込んできた。
その無礼に対してドルーマンが叱責しようとしたが、急を要するとのことでありレオンハルトはそれを受け入れたのだった。


「ハッ、新たに中間都市ギャシャドゥル周辺の五つの村や町が獣人族によって襲われました。今回は今のところ死亡者は確認されていないようですが、負傷者多数、家屋には火が放たれたとのことです」

「クッ…またか…。報告ご苦労、下がってよいぞ」

「ハッ、失礼致します」


報告を受けたレオンハルトは頭を抱える。
これまでにも同様の報告が連日されており、その全てが小さな村や町を狙ったものであった。
それによってレオンハルトたちも連日対応に追われ、打開策を見つけるべく夜通し軍議が開かれていたのだった。


「さてさて、どうしたものでしょうかね~」

「フゥー・・・。さすがに五日連続ともなると応えるな」


連日報告される被害の数々に頭を悩ませながらもこれ以上国民を傷つけさせるわけにはいかないと軍議を続けてきた。
しかし、大都市や中間都市だけならまだ守りようもあるのだが、その周辺に点在している無数の村や町まで全てを守ることは容易ではない。
その解決策を必死に探している中でのさらなる被害報告を前に歴戦の猛者であるアーサーやギュスターヴですらも疲労の色を隠せなくなっていた。


「今回はギャシャドゥル周辺か・・・」

「初日・二日目は商業都市ロコン周辺が襲われ、三日目は王都メルサ周辺、四日目はモア周辺、そして今日がギャシャドゥル周辺とバラバラで法則性もないですからね」

「しかし、少しずつ分かってきたこともありますぞ。今ガルディアに攻撃してきている部隊を率いているのは、虎の獣人・猿の獣人・鳥の獣人とのこと」


獣王国からの攻撃に対して受け身の状態が続いてはいたものの、少しずつではあるが敵の姿も見え始めていた。


「アーサー、そいつらに心当たりはあるか?」

「はい。恐らく十二支臣のやつらでしょう。報告されている風貌から察するに“猛獣タイガード”・“妖猿サルザール”・“飛翔バルバドール”であると思われます」

「十二支臣…。獣王国が誇る精鋭を送り込んできているにも関わらず王都メルサどころか大都市や中間都市を狙ってこないのは何故だと思う?」

「それはこちらの戦力を分散させるためでしょう。ガルディアと獣王国では戦力差があり過ぎますからな」

「そう単純な話であればどれほど楽か」

「何じゃギュスターヴ、わしが何も考えておらんとでも言いたいのか!!」

「ハァ~、そうカリカリするな。あの曲者として有名な獣王がただ戦力を分散させるためだけにこのようなまどろっこしいことをするのかという話だ」

「う~む。確かに揺動にしては単調過ぎるような気もするな」


四人で連日話し合っているにも関わらずなかなか打開策を見つけることが出来ず話もまとまらない。
すでにガルディア王国中に獣王国との戦争が始まる旨は通達してある。
兵士たちにも厳戒態勢を敷かせており、小さな村や町への巡回も増やしている。
それでも獣王国の攻勢は止まらない。
それどころか戦禍は広がる一方である。
そこにきて獣王国が誇る最高戦力『十二支臣』の登場。

問題は山積みだ。
そして次に何処が狙われるかも分からない。
それでも彼らには一刻も早い対処が求められている。


「陛下、恐れながら発言させて頂きますが・・・そろそろこちらから攻めるというのは如何でしょうか?」

「・・・・・」


これまでの軍議の中でもガルディア王国側から獣王国へ向けて進軍するという案は何度か出されていた。
その度にレオンハルトは躊躇していたのだ。
しかし、もはやそのような悠長なことを言っていられる場合ではなくなっている。


「アーサー、ギュスターヴ」

「「 ハッ 」」

「各軍の準備は?」

「我が軍及び全十二軍準備は出来ております」

「同じく我が魔法師団も準備出来ております」

「そうか・・・。それでは軍の編成が完了次第、獣王国ビステリアへ ────── 」


コンコンコン ──────── ガチャッ。


「度々失礼致します」

「今度は何じゃ!」

「獣王国に新たな動きがありました」

「して、次は何処だ?」

「ギャシャドゥルです。周辺の村や町を襲った一団が集結してそのままギャシャドゥルへと向かった模様。その数、千~千五百とのことです」

「なんだと!?それではすぐに聖騎士団を ────── 」

「陛下!お待ちください」

「??アーサー、何を言っているんだ。相手は千を超える数で攻めてきているんだぞ!すぐに応援を向かわせねば間に合わなくなる」

「ご安心ください。ギャシャドゥルでしたら近くに冒険者の街リザリオがあります。それにギャシャドゥルには ────── あの男がいます」



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


その頃、獣人族の軍団に迫られていたギャシャドゥルでは冒険者ギルドに事態の現状とその数が報告されていた。


冒険者ギルド ギャシャドゥル支部 ───── 支部長室。


「支部長」

「おやおやオリヴィアさん、いったい何事ですか?」

「獣人族の軍団がこちらに向かって来ております。その数、千~千五百程度。最近あちこちの村や町が獣人族に襲われていることを考えると、今回はここギャシャドゥルが狙われたのかと思われます。如何なさいますか?」

「フム・・・それは大変ですね~。これから獣王国との戦争が始まるということを考えると冒険者の皆さんをこんなところで負傷させるわけにはいきませんし・・・。分かりました、私が行きましょう」

「まっ…まさか、お一人で行かれるつもりですか?」

「ええ、そうですよ」

「相手は千を超す数ですよ。私もお供致します」

「フフフフフッ、美女に戦場は似合いませんよ。温かい紅茶でも準備しておいてください。それに千五百程度の獣相手でしたら老いたとはいえ私一人で十分ですよ」


この時、獣人族の軍団を率いていたのは猛獣タイガードであった。
血に飢えたこの男は獣王の命令を無視し、小さな村や町では満足出来ずに中間都市へ侵攻しようとしていたのだ。
しかし、この判断が大きな過ちであることをこの時のタイガードは知る由もなかった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...