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痛み分け
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「アンタ相当強いね~。ガルディア王国といえば聖騎士長アーサー及び十二の剣が有名だけど、まさかそれ以外にもこんな猛者がいるなんて困ったもんだよん」
十二支臣の中でも好戦的かつ武闘派でもあるタイガードが率いる軍団をたった一人で壊滅させた老紳士。
そんな仲間の窮地に駆けつけたバルバドールであったのだが、急な新手の登場にも慌てる素振りを見せないどころか何ひとつ臆することなく近づいてくるその男に畏敬の念を抱かずにはいられなかった。
千五百を超える数をもって攻め込んできた獣王国の軍団を打ち負かしただけでは飽き足らず、さらに相手の息の根を止めようとしている。
はっきり言って分はかなり悪い。
負傷者も多く、単身で駆けつけたバルバドールと負傷したタイガードでは勝てる可能性は万に一つも無いだろう。
よって今取るべき行動はただ一つ。
兎にも角にも一目散に逃げることだ。
しかし ────── 、
迫りくる圧倒的な存在を前にそれは可能なのか ────── 。
その場にいる全ての獣人が同じことを考えていた。
万全の状態であれば身体能力で勝る獣人族に分があるかもしれない。
しかし、今は全員が大なり小なり傷を負っており、大きな負傷を抱えている者を連れて逃げるとなるとさらに難しくなることは明白である。
そんな状況の中で突然バルバドールが老紳士に話しかける。
「オイラは獣王国ビステリア十二支臣が一人“飛翔バルバドール”。せっかく一戦交えるわけだしね~。アンタの名前くらい聞かせてくれよん」
「侵略者ごときに名乗る名などありませんよ」
「おやおや?ガルディアの戦士は相手への敬意も持ち合わせてないのかよん?」
バルバドールからのあからさまな挑発を受けた老紳士は歩を進めることを止める。
そして、目の前にいる獣人族たちに見せつけるように大きな溜め息を吐いたのだった。
「ハァ~・・・。なんの前触れもなく唐突に侵攻してきておいて、獣風情が“敬意”について説きますか? ───── まぁ~いいでしょう。私は冒険者ギルド ギャシャドゥル支部で支部長をしております“ホーク”と申します。それでは私の名もお伝えしたことですし、侵略者どもには全員死んでもらいましょうか」
バルバドールからの要求通りに自身の正体を明かした冒険者ギルド ギャシャドゥル支部長ホーク。
名乗り終えたことで改めて目の前の敵を殲滅すると宣言したのだが、その後もホークに対して話しかけ続けるバルバドールなのであった。
それは、まるで何かを待っているかのように ───────── 。
「いや~まさか冒険者ギルドの支部長自らお越しになるとはね~。支部長ってのはそんなに暇なのかい?」
「いえいえ、仕事は山のようにあるのですが、どこぞの馬鹿どもが我がギャシャドゥルに対して良からぬことをしに来ましたのでね。さっさと駆除しようかと思いまして」
「それで支部長が自ら出張ってくるとはね~。他の冒険者たちは頼りにならないのかよん?」
「フフフフフッ、ご心配には及びません。皆さん優秀な冒険者の方々ばかりですよ。今回はたかだか千五百程度の獣の群れとのことでしたので、冒険者の方々の手を煩わせる必要もない上、老いぼれた私一人でも事足りると判断したまでです」
「クワックワックワッ。ガルディアにはよっぽど優秀な戦士が多くいるみたいだね~。全盛期のアンタと戦わなくて良かったよん」
両者の間で腹の探り合いが続く。
丁寧な言葉とは裏腹にその裏では激しい戦いが繰り広げられている。
それでも両者の力の差は歴然であり、バルバドールによる口撃を全ていなしプレッシャーをかけ続けるホーク。
両者ともに笑みを浮かべてはいるもののバルバドールの精神はかなり疲弊していたのだった。
「いや~こっちから仕掛けておいて悪いんだけどさ、今日のところは見逃してもらえないかい?」
「フフフフフッ。突然攻めてきたかと思えば、自分たちの分が悪くなるや否や今度は見逃してくれですか。本当に自分勝手な輩ですね」
「クワックワックワッ。自分のやりたいようにやるってのが獣王国だからね~」
「なんとも身勝手な種族。所詮は獣か…。それでは獣を狩るのに容赦など必要ありませんね」
「おっとっとっ。こいつは困ったね~」
もはや語らう必要も無し。
再び歩みを進め始めるホーク。
先程と変わらぬ絶望的な状況が近づいてきているにも関わらず、何故かバルバドールだけは笑みを浮かべていたのだった。
「これから皆殺しにされるというのに、いったい何がそんなに可笑しいのですか?」
「いやいや、アンタが恐くて全身の羽毛が抜け落ちそうだよん。ただ・・・ここで死ぬってことは無さそうだね~」
「???」
バルバドールがそう言い終えたその時、ホークの後方より大きな爆発音が鳴り響く。
ドーーーーーン!!
ドーーーーーン!!
ドーーーーーン!!
それに反応したホークが振り向くとギャシャドゥルの街で複数の爆発が起こっていた。
よく見るとギャシャドゥルの街上空に十数名の獣人の姿が確認でき、次々と爆弾を投下していたのだった。
そして、それを見たホークはゆっくりとバルバドールへ視線を向けた。
「クワックワッ。そう睨むなよん」
「私の街を攻撃したこと・・・必ず後悔させてあげますからね」
「そいつは恐ろしいね~。まぁ~今は一刻も早く街へ戻ったほうがいいと思うよん」
氷のように冷たい視線を飛ばすホークに対して苦笑いを浮かべつつ街への帰還を促すバルバドール。
そして、ホークは急ぎ足でギャシャドゥルの街へと向かい、難を逃れた獣王国の軍団もギャシャドゥル攻めを諦めて引き上げることとなった。
こうしてガルディア王国と獣王国ビステリアの主要戦力同士による第一ラウンドは痛み分けとなったのであった。
十二支臣の中でも好戦的かつ武闘派でもあるタイガードが率いる軍団をたった一人で壊滅させた老紳士。
そんな仲間の窮地に駆けつけたバルバドールであったのだが、急な新手の登場にも慌てる素振りを見せないどころか何ひとつ臆することなく近づいてくるその男に畏敬の念を抱かずにはいられなかった。
千五百を超える数をもって攻め込んできた獣王国の軍団を打ち負かしただけでは飽き足らず、さらに相手の息の根を止めようとしている。
はっきり言って分はかなり悪い。
負傷者も多く、単身で駆けつけたバルバドールと負傷したタイガードでは勝てる可能性は万に一つも無いだろう。
よって今取るべき行動はただ一つ。
兎にも角にも一目散に逃げることだ。
しかし ────── 、
迫りくる圧倒的な存在を前にそれは可能なのか ────── 。
その場にいる全ての獣人が同じことを考えていた。
万全の状態であれば身体能力で勝る獣人族に分があるかもしれない。
しかし、今は全員が大なり小なり傷を負っており、大きな負傷を抱えている者を連れて逃げるとなるとさらに難しくなることは明白である。
そんな状況の中で突然バルバドールが老紳士に話しかける。
「オイラは獣王国ビステリア十二支臣が一人“飛翔バルバドール”。せっかく一戦交えるわけだしね~。アンタの名前くらい聞かせてくれよん」
「侵略者ごときに名乗る名などありませんよ」
「おやおや?ガルディアの戦士は相手への敬意も持ち合わせてないのかよん?」
バルバドールからのあからさまな挑発を受けた老紳士は歩を進めることを止める。
そして、目の前にいる獣人族たちに見せつけるように大きな溜め息を吐いたのだった。
「ハァ~・・・。なんの前触れもなく唐突に侵攻してきておいて、獣風情が“敬意”について説きますか? ───── まぁ~いいでしょう。私は冒険者ギルド ギャシャドゥル支部で支部長をしております“ホーク”と申します。それでは私の名もお伝えしたことですし、侵略者どもには全員死んでもらいましょうか」
バルバドールからの要求通りに自身の正体を明かした冒険者ギルド ギャシャドゥル支部長ホーク。
名乗り終えたことで改めて目の前の敵を殲滅すると宣言したのだが、その後もホークに対して話しかけ続けるバルバドールなのであった。
それは、まるで何かを待っているかのように ───────── 。
「いや~まさか冒険者ギルドの支部長自らお越しになるとはね~。支部長ってのはそんなに暇なのかい?」
「いえいえ、仕事は山のようにあるのですが、どこぞの馬鹿どもが我がギャシャドゥルに対して良からぬことをしに来ましたのでね。さっさと駆除しようかと思いまして」
「それで支部長が自ら出張ってくるとはね~。他の冒険者たちは頼りにならないのかよん?」
「フフフフフッ、ご心配には及びません。皆さん優秀な冒険者の方々ばかりですよ。今回はたかだか千五百程度の獣の群れとのことでしたので、冒険者の方々の手を煩わせる必要もない上、老いぼれた私一人でも事足りると判断したまでです」
「クワックワックワッ。ガルディアにはよっぽど優秀な戦士が多くいるみたいだね~。全盛期のアンタと戦わなくて良かったよん」
両者の間で腹の探り合いが続く。
丁寧な言葉とは裏腹にその裏では激しい戦いが繰り広げられている。
それでも両者の力の差は歴然であり、バルバドールによる口撃を全ていなしプレッシャーをかけ続けるホーク。
両者ともに笑みを浮かべてはいるもののバルバドールの精神はかなり疲弊していたのだった。
「いや~こっちから仕掛けておいて悪いんだけどさ、今日のところは見逃してもらえないかい?」
「フフフフフッ。突然攻めてきたかと思えば、自分たちの分が悪くなるや否や今度は見逃してくれですか。本当に自分勝手な輩ですね」
「クワックワックワッ。自分のやりたいようにやるってのが獣王国だからね~」
「なんとも身勝手な種族。所詮は獣か…。それでは獣を狩るのに容赦など必要ありませんね」
「おっとっとっ。こいつは困ったね~」
もはや語らう必要も無し。
再び歩みを進め始めるホーク。
先程と変わらぬ絶望的な状況が近づいてきているにも関わらず、何故かバルバドールだけは笑みを浮かべていたのだった。
「これから皆殺しにされるというのに、いったい何がそんなに可笑しいのですか?」
「いやいや、アンタが恐くて全身の羽毛が抜け落ちそうだよん。ただ・・・ここで死ぬってことは無さそうだね~」
「???」
バルバドールがそう言い終えたその時、ホークの後方より大きな爆発音が鳴り響く。
ドーーーーーン!!
ドーーーーーン!!
ドーーーーーン!!
それに反応したホークが振り向くとギャシャドゥルの街で複数の爆発が起こっていた。
よく見るとギャシャドゥルの街上空に十数名の獣人の姿が確認でき、次々と爆弾を投下していたのだった。
そして、それを見たホークはゆっくりとバルバドールへ視線を向けた。
「クワックワッ。そう睨むなよん」
「私の街を攻撃したこと・・・必ず後悔させてあげますからね」
「そいつは恐ろしいね~。まぁ~今は一刻も早く街へ戻ったほうがいいと思うよん」
氷のように冷たい視線を飛ばすホークに対して苦笑いを浮かべつつ街への帰還を促すバルバドール。
そして、ホークは急ぎ足でギャシャドゥルの街へと向かい、難を逃れた獣王国の軍団もギャシャドゥル攻めを諦めて引き上げることとなった。
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