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近衛隊長パンサー
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「「「「「 ウオォォォォォ!! 」」」」」
「パンサー様~~~」
「隊長ーーーーー」
獣王を守護する近衛隊を束ねる近衛隊長であり、長年の間獣王国最強と謳われた戦士長ザックスをも上回る実力なのではないかと云われるパンサー。
その実力と共に後輩たちの面倒見も良く、自身の部下のみならず戦士団内からの信頼も厚い。
それに加え端正な顔立ちも相まって老若男女問わず絶大な人気を博している。
対するゼリックも獣王国始まって以来の天才と称されてはいるが、まだまだ実績・実力の上ではパンサーの足元にも及ばない。
そのため決勝戦が開始される前から観客たちの間では『どちらが勝つのか』ではなく『ゼリックはどこまでパンサーに太刀打ち出来るのか』という話になっていた。
そして、ここにそれを面白く思わない少女が一人・・・。
「もーーーう!みんなパンサー様の応援ばかりして!!兄様が本気を出せばパンサー様にだって勝てるんだから!!!!!」
「アハハハハ。本当にユニはゼリック贔屓だね」
「お父様!贔屓しているわけではありませんわ。私は事実を言っているのです!!」
「そうか、そうか、それは悪かった。して…ザックス、お主はこの対決をどう見る?」
「そうですね…。まぁ~何事もなければ間違いなくパンサーの勝ちでしょう」
「ザックス様まで!?息子である兄様を応援しようとは思わないのですか?」
自身の周りでさえもゼリックが勝つと思っている者がおらず、厳しい評価ばかりを耳にしてユニの機嫌はますます悪くなる。
「落ち着いてください、ユニ様。先ほど申し上げました通り“何事もなければ”パンサーの勝利は揺るがないでしょう」
「ほほう。何かが起こると言いたいのか?ザックス」
「それは分かりません。戦士としての経験値も技量も両者には圧倒的な差が存在しています。しかし、ゼリックには我々にも計り知れない力が宿っておりますので・・・」
「雷獣の力か・・・。確かに、その力が完全に目覚めているとするならば可能性はあるかもしれんな」
「フンッ!お二人とも兄様の実力を見誤っておりますわ。最近では雷獣の力も少しずつ使えるようになっていますし、日々の鍛錬だって欠かしておりません。絶っっっっっ対に兄様が勝ちます!!」
試合開始を前にして次第に熱を帯びていく観客たち。
そんな試合会場の様子とは対照的に相見えた二人の戦士は冷静であった。
「これはこれは、随分と大きくなられましたなゼリック殿。獣王国始まって以来の天賦の才、しかと拝見させて頂きましょう」
「ご冗談を。現獣王国最強の戦士と云われているパンサー様から見れば私などただの若輩者。こちらとしましてはただただ胸をお借りする所存です」
「アハハハハ。冗談まで上手くなったようだ。獣王国最強は君の父上であるザックス様だ。私などまだまだ遠く及ばないよ」
「父ももう老体ですから。そろそろ世代交代してもらわないと」
「いやはや恐れ多い」
「フフフッ、そうですね。父に聞かれでもしたら大事です。今の話は内密にお願いします」
「承知した。それでは始めようか!!」
双方ともに熱い想いを内に秘め、笑顔で握手を交わす。
実際パンサー自身も十八歳の青年に負けるつもりなど毛頭なく、この試合の中でその技量を測り、あわよくば近衛隊に招き入れようと考えていた。
戦士長ザックスの子にして獣王国始まって以来の天才を自身の手で鍛え上げようと目論んでいたのだ。
そんなパンサーの思惑など知る由もないゼリックは、ただただ純粋にパンサーという強者に対して自分の力がどこまで通用するのか、それとも全く通用しないのか、今自身がいる立ち位置を知るための絶好の機会だと考え胸を躍らせていた。
「それでは両者構え ────── 始め!!」
「「「「「 ウオォォォォォ!! 」」」」」
開始の合図と共にまず仕掛けたのはゼリック。
これまでの戦いでも見せた高速移動でパンサーの懐に潜り込むと勢い良く剣を斬り上げる。
キーーーーーン ──────── 。
しかし、ゼリックによって放たれた初手は難なく受け止められる。
身体能力と動体視力に優れた獣人族の者たちでさえも驚くスピードにも関わらずパンサーは顔色ひとつ変えることはない。
ヒュンッ ─────── キーーーン!
ヒュンッ ─────── キーーーン!
ヒュンッ ─────── キーーーン!
休む間もなく剣撃を繰り出すゼリックに対して、表情ひとつ変えずにただただ冷静にそれを受け流していくパンサー。
そして、その状況に対して先に痺れを切らしたのはゼリックであった。
これまでの斬撃とは違いスピード重視からパワー重視の一撃を撃ち下ろす。
「ウオォォォォ」
ガキーーーーーン ─────── 。
しかし、渾身の一撃もパンサーに受け止められてしまい顔を顰めるゼリック。
ググッ ─────── ブウォン!!
そんなゼリックの一撃を受け止めたパンサーは両腕に力を込めこれを払い飛ばす。
「うっ…うわっ!?」
ゼリックの身体が宙を舞う。
十八歳とはいえ二メートル近い巨体である。
それを軽く弾き飛ばすほどのパワーがあの細身の身体のどこから生み出されるのか。
悔しそうにしながらも、ますますパンサーに興味を抱くゼリックなのであった。
「クソッ…」
「まさかもう終わりかな?正直言って期待外れだ。それと同時に戦士団の不甲斐無さを痛感している」
「ハハッ、まだまだこれからですよ。やっと身体が温まってきたところですから ────── ね!!」
ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ。
ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ。
さらに速度を上げるゼリック。
どうやらこれまでのスピードは本気ではなかったようだ。
そして、っ見ている者たちが目で追うのも苦労するほどのスピードをもってパンサーに襲い掛かる。
ブンッ!ブンッ!ブンッ!
キーンッ!キーンッ!キーンッ!
「「「「「 ウオォォォォォ!! 」」」」」
猛攻を仕掛けるゼリックの奮闘を目の当たりにし大きな歓声が沸き起こり、会場のボルテージは一気に跳ね上がる。
それは実力主義の獣人族にとって自分よりも強い者に挑むことを良しとする風習からくるものであった。
しかし、この歓声はゼリックの奮闘に対してのものであり、決して彼の勝利を信じて起きたものではない。
確かにゼリックは天才である。
それにあぐらをかくこともなく日々厳しい鍛錬も続けている。
それでも今の現状でパンサーに勝てると思っている者などユニを除いて一人としていない。
そして、それを表すかのように攻めても攻めても傷一つ付けられていないのであった。
「ウオォォォォ」
ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!
スッ ─── スッ ─── スッ ─── スッ ─── スッ ─── 。
そうしてゼリックがパンサー攻略に手をこまねいている内に、とうとう現獣王国におけるトップオブトップの戦士が動き出す。
キーーーーーン!! ──────── 。
最大出力で打ち下ろされたゼリックの一撃を弾き飛ばすとパンサーの纏う空気が一気に変わる。
これまでが後輩に剣術を指南する指導官だとするならば、今目の前で静かに殺気を放っているその姿こそが戦場で戦うパンサーの真の姿なのであった。
「それでは、次はこちらから参るとしようか」
「パンサー様~~~」
「隊長ーーーーー」
獣王を守護する近衛隊を束ねる近衛隊長であり、長年の間獣王国最強と謳われた戦士長ザックスをも上回る実力なのではないかと云われるパンサー。
その実力と共に後輩たちの面倒見も良く、自身の部下のみならず戦士団内からの信頼も厚い。
それに加え端正な顔立ちも相まって老若男女問わず絶大な人気を博している。
対するゼリックも獣王国始まって以来の天才と称されてはいるが、まだまだ実績・実力の上ではパンサーの足元にも及ばない。
そのため決勝戦が開始される前から観客たちの間では『どちらが勝つのか』ではなく『ゼリックはどこまでパンサーに太刀打ち出来るのか』という話になっていた。
そして、ここにそれを面白く思わない少女が一人・・・。
「もーーーう!みんなパンサー様の応援ばかりして!!兄様が本気を出せばパンサー様にだって勝てるんだから!!!!!」
「アハハハハ。本当にユニはゼリック贔屓だね」
「お父様!贔屓しているわけではありませんわ。私は事実を言っているのです!!」
「そうか、そうか、それは悪かった。して…ザックス、お主はこの対決をどう見る?」
「そうですね…。まぁ~何事もなければ間違いなくパンサーの勝ちでしょう」
「ザックス様まで!?息子である兄様を応援しようとは思わないのですか?」
自身の周りでさえもゼリックが勝つと思っている者がおらず、厳しい評価ばかりを耳にしてユニの機嫌はますます悪くなる。
「落ち着いてください、ユニ様。先ほど申し上げました通り“何事もなければ”パンサーの勝利は揺るがないでしょう」
「ほほう。何かが起こると言いたいのか?ザックス」
「それは分かりません。戦士としての経験値も技量も両者には圧倒的な差が存在しています。しかし、ゼリックには我々にも計り知れない力が宿っておりますので・・・」
「雷獣の力か・・・。確かに、その力が完全に目覚めているとするならば可能性はあるかもしれんな」
「フンッ!お二人とも兄様の実力を見誤っておりますわ。最近では雷獣の力も少しずつ使えるようになっていますし、日々の鍛錬だって欠かしておりません。絶っっっっっ対に兄様が勝ちます!!」
試合開始を前にして次第に熱を帯びていく観客たち。
そんな試合会場の様子とは対照的に相見えた二人の戦士は冷静であった。
「これはこれは、随分と大きくなられましたなゼリック殿。獣王国始まって以来の天賦の才、しかと拝見させて頂きましょう」
「ご冗談を。現獣王国最強の戦士と云われているパンサー様から見れば私などただの若輩者。こちらとしましてはただただ胸をお借りする所存です」
「アハハハハ。冗談まで上手くなったようだ。獣王国最強は君の父上であるザックス様だ。私などまだまだ遠く及ばないよ」
「父ももう老体ですから。そろそろ世代交代してもらわないと」
「いやはや恐れ多い」
「フフフッ、そうですね。父に聞かれでもしたら大事です。今の話は内密にお願いします」
「承知した。それでは始めようか!!」
双方ともに熱い想いを内に秘め、笑顔で握手を交わす。
実際パンサー自身も十八歳の青年に負けるつもりなど毛頭なく、この試合の中でその技量を測り、あわよくば近衛隊に招き入れようと考えていた。
戦士長ザックスの子にして獣王国始まって以来の天才を自身の手で鍛え上げようと目論んでいたのだ。
そんなパンサーの思惑など知る由もないゼリックは、ただただ純粋にパンサーという強者に対して自分の力がどこまで通用するのか、それとも全く通用しないのか、今自身がいる立ち位置を知るための絶好の機会だと考え胸を躍らせていた。
「それでは両者構え ────── 始め!!」
「「「「「 ウオォォォォォ!! 」」」」」
開始の合図と共にまず仕掛けたのはゼリック。
これまでの戦いでも見せた高速移動でパンサーの懐に潜り込むと勢い良く剣を斬り上げる。
キーーーーーン ──────── 。
しかし、ゼリックによって放たれた初手は難なく受け止められる。
身体能力と動体視力に優れた獣人族の者たちでさえも驚くスピードにも関わらずパンサーは顔色ひとつ変えることはない。
ヒュンッ ─────── キーーーン!
ヒュンッ ─────── キーーーン!
ヒュンッ ─────── キーーーン!
休む間もなく剣撃を繰り出すゼリックに対して、表情ひとつ変えずにただただ冷静にそれを受け流していくパンサー。
そして、その状況に対して先に痺れを切らしたのはゼリックであった。
これまでの斬撃とは違いスピード重視からパワー重視の一撃を撃ち下ろす。
「ウオォォォォ」
ガキーーーーーン ─────── 。
しかし、渾身の一撃もパンサーに受け止められてしまい顔を顰めるゼリック。
ググッ ─────── ブウォン!!
そんなゼリックの一撃を受け止めたパンサーは両腕に力を込めこれを払い飛ばす。
「うっ…うわっ!?」
ゼリックの身体が宙を舞う。
十八歳とはいえ二メートル近い巨体である。
それを軽く弾き飛ばすほどのパワーがあの細身の身体のどこから生み出されるのか。
悔しそうにしながらも、ますますパンサーに興味を抱くゼリックなのであった。
「クソッ…」
「まさかもう終わりかな?正直言って期待外れだ。それと同時に戦士団の不甲斐無さを痛感している」
「ハハッ、まだまだこれからですよ。やっと身体が温まってきたところですから ────── ね!!」
ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ。
ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ。
さらに速度を上げるゼリック。
どうやらこれまでのスピードは本気ではなかったようだ。
そして、っ見ている者たちが目で追うのも苦労するほどのスピードをもってパンサーに襲い掛かる。
ブンッ!ブンッ!ブンッ!
キーンッ!キーンッ!キーンッ!
「「「「「 ウオォォォォォ!! 」」」」」
猛攻を仕掛けるゼリックの奮闘を目の当たりにし大きな歓声が沸き起こり、会場のボルテージは一気に跳ね上がる。
それは実力主義の獣人族にとって自分よりも強い者に挑むことを良しとする風習からくるものであった。
しかし、この歓声はゼリックの奮闘に対してのものであり、決して彼の勝利を信じて起きたものではない。
確かにゼリックは天才である。
それにあぐらをかくこともなく日々厳しい鍛錬も続けている。
それでも今の現状でパンサーに勝てると思っている者などユニを除いて一人としていない。
そして、それを表すかのように攻めても攻めても傷一つ付けられていないのであった。
「ウオォォォォ」
ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!
スッ ─── スッ ─── スッ ─── スッ ─── スッ ─── 。
そうしてゼリックがパンサー攻略に手をこまねいている内に、とうとう現獣王国におけるトップオブトップの戦士が動き出す。
キーーーーーン!! ──────── 。
最大出力で打ち下ろされたゼリックの一撃を弾き飛ばすとパンサーの纏う空気が一気に変わる。
これまでが後輩に剣術を指南する指導官だとするならば、今目の前で静かに殺気を放っているその姿こそが戦場で戦うパンサーの真の姿なのであった。
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