転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 披露宴の招待状を130通程送った。基本、僕より爵位が上なのは国王と公爵だけなので、この2人には確実に送らないと行けない。まあ2人共義父なので出席も確実だ。問題は3人の侯爵なのだが、一応同格なので礼儀として送る。まあ予想通り丁寧な欠席届けが返って来た。って言うか来てくれない方が助かる。

 僕自身が国王派なので国王派の貴族には招待状を送らないと行けない。それからジェレミーとホリーさん、ギルマスには招待状を出した。

 国王派でも地方に行っている貴族は出席が出来ない者もいる。また下級貴族は国王や公爵が出るので遠慮して断る者もいる。まあ、披露宴に出る金が無いとも言える。それでも当主の家族や子供を合わせるとかなりの人数になる。

 結婚式と違って披露宴はパーティーだ。貴族の子女にとっては結婚相手を探す絶好のチャンスらしい。貴族学院は15歳で卒業なので16歳以上の貴族は思ったより出会いが少ないらしい。特に同じ派閥が集まる披露宴は出席する親も子も何かしらの思惑を持っている。ましてや、派閥の長である国王が出席するのだ、目を掛けられれば出世もありうる。

 と言う事で250人あまりの出席者が見込まれる事となった。流石に僕の侯爵邸でも250人はキャパオーバーだ。一時的に庭に大きな屋根と板張りの床を設置して会場を拡大すると言う案が通った。これは魔法で行うのでコストが安いのが最大のメリットだ。

 一応この家は伯爵位を貰った時に侯爵に上がる事を前提に購入した家だ。なので使用人は40人以上。パーティー会場も150人は入れる仕様になっている。それなのに貴族なって初めて開くパーティーが250人オーバーってどうなの?まあ、過半数が下級貴族なので今回は乗り切れそうだけど、上級貴族ばかり集まったら1週間で改築しないと行けない所だったぞ。王様の無茶ぶりにも慣れたはずなのに。まだまだ貴族としては未熟って事か?

 来客の席や応対はセリーとルーメンさんに一任してある。僕は料理人との打ち合わせに力を入れている。まず、250人全員にドラゴン串を食べさせようと言う作戦だ。1人が100グラム程度と考えても25キロあれば足りる。これでは少し少ないので1人2本は食べられる様に用意しよう。それでも50キロだ。意外に減らないな。

 それからパーティー料理としてハンバーグを提供しようと思って居る。ローストビーフも出したい。唐揚げやフライドポテトも定番だよね。それ以外の料理は料理長に任せる。

 それから重要なのが甘味だ。女性客もかなり来る予定なので今までの甘味を惜しまず提供する様に伝えて置く。

 飲み物に関してはアルコールは普通で良いが、カフェオレとミルクティーをアイスで提供する様に伝えた。希望する者にはホットも提供するが基本はアイスだ。これは公爵家との繋がりを解り易く演出した物だ。

 それにしても250人は多い、仕方が無いので公爵家と伯爵家からも使用人を合わせて10名ほど借りた。これは後で埋め合わせしないとな。

 なんだかんだで白金貨30枚は掛かりますよとルーメンさんに言われたが、ピンと来ない。それって多いの少ないの?

 ドタバタしているうちに披露宴当日になってしまう。この日は朝から夕方まで貴族達が来たり帰ったりを繰り返すらしい。基本1人の貴族が2時間程度滞在するらしい。

 あれ?一遍に250人来る訳じゃ無いのか?だったら会場を広くしなくても間に合ったかな?

 ところがだ、蓋を開けてみると来た貴族が何故か帰らない。どんどん人数が増えて行く。おいおい、挨拶終わったら帰るんじゃないの?

 披露宴では主役の4人は食事が取れない。挨拶を受けなければならないからだ。一応朝食は取ったので、午後位はまでは持つが、その後が心配だ。血糖値が下がらない様に甘いカフェオレを飲みながら、ひたすら笑顔をキープし続ける。

 午後を回った頃、ギルマス、ジェレミー夫妻、ホリーさん夫妻が来てくれる。

「流石侯爵様豪勢な披露宴だな。にしても凄い人数だな。」

「いや、来てくれた人が帰らないんですよ。」

「そりゃ、あれが原因だな。」

 ギルマスが指さす方向には焼き立てのドラゴン串を給仕する使用人の姿がある。

「あれ?ドラゴンの肉だろう?あんなの喰ったら帰るに帰れなくなるぞ。」

 マジか?一応厨房には100キロ出して置いたけど足りるかな?

「美味しい甘味もありますので、そっちも堪能して下さい。」

 そんなやり取りをしているとざわめきが起こった。国王陛下のお出ましだ。公爵は朝から居るので、そこまで騒ぎにならなかったが、流石は陛下、存在感が違う。

「陛下、わざわざ足をお運び頂き恐縮です。」

「なに構わん、わしの養女の披露宴でもあるからの。しかし思ったよりも盛況じゃのぉ、結構結構。」

「陛下の派閥のお力と料理のお陰です。」

「これで、お主も我が派閥の重鎮じゃ、一層励めよ。」

「御意に。」

 これで、今日のイベントは終わったも同然だ。後は夕方を待つだけだな。

 結論から言うとドラゴン肉は足りなかったので追加で50キロ出した。甘味やその他の料理は十分な量を用意したので問題無し。カフェオレとミルクティーは好評だった。こう言う時に意外とソフトドリンクって蔑ろにされがちなんだよね。

 この日は食事が出来なかった僕ら4人と公爵の5人でドラゴンステーキを食べてお開きにした。

 また、この日は女性3人がぶっ倒れて寝てしまったので、一人でまったりと夜を過ごした。

 さて、冒険者や商店街のメンバーを集めた第2披露宴を企画したのだが、セリーの一言であっけなく消えてしまった。

「貴方は、彼らに貴族である事を隠しているのでは無いのですか?」

 そうだった~。何故気が付かなかったんだろうって言うか僕浮かれてました済みません。

 こうして、僕は日常へと戻るのであった。

 そして数日後、奇妙な客が僕を尋ねて来た。

 くすんだ銀髪に整った顔、鋭い眼光、それに抑えきれない殺気。敵か?

「失礼、敵ではありませんよ。トルネロスに聞いてやって参りました。あなたがブラスマイヤー様ですか?」

「ほう?お主がベルクロスか?生きておったとは驚きだ。」

「執念深い性質でして、奴に一矢報いるまでは死ねません。」

「その割にはだいぶ弱って見えるが?」

「流石に神に隠し事は出来ませんか。」

 あのー、話が全然見えないのですが?え?あとで教えるから黙ってろって?解りました。

「正直、邪竜ガンドロス復活まで私の魂は持たないでしょう。しかし、魂さえ正常ならばこの体は私が神竜だった時より強いはずです。」

「ほう?純粋な戦闘力ならば邪竜ガンドロスを倒せると?」

「私はそう確信しています。どうでしょう。この体、ブラスマイヤー様に使って貰えないでしょうか?」

「悪く無い提案だ。その体があれば神界に戻る事も出来るだろう。神界に戻れば新しい神の器も作る事が出来る。」

「では?」

「まあ、待て慌てるな。一つ試したい事がある。それを試してからでも遅くあるまい。」

「試したい事?」

「エイジ、こ奴の魂に時越えの魔法を掛けてみてくれ、-1万年だ。」

「魂に魔法をかけるのか?難しそうだな。やってみる。」

 魂と言うのは概念が漠然としているが、ブラスマイヤーとの接触の時確かに魂を感じた。あの感覚を思い出しながら目の前の男に魔法を掛ける。

「時越えの魔法、過去へ1万年!」

 かなり膨大な魔素が空気中から流れ込んで来る。このままでは爆発するのではと言う程濃い魔素が男の胸に吸い込まれて行く。そして1瞬の静寂。

「これは?体の力が漲る。」

「成功した様だな。ベルクロス、残念だが今のお前ではガンドロスには勝てない。こいつと一緒に俺の特訓を受ける気は無いか?」

「1万年の修行が無駄だったと言うのか?」

「無駄とは言わん。今のお前なら神竜に戻れるだろう。だが、ガンドロスに勝ちたいなら俺の特訓を受けろ。」

「解りましたブラスマイヤー様にお任せします。」

「よかったな。練習相手が出来たぞ。」

 ええ~、どう言う事か説明してよ。

 ベルクロスは例の空間で過ごすらしい。農作業しながら話を聞くと、ベルクロスと言うのはガンドロスに治らない傷を負わされ地上に落ちたもう一匹の神竜だそうだ。

 どうやらベルクロスは地上に落とされても神竜に戻る為の修行をしていたらしい。

 凄い執念だ、1万年も修行するなんて僕には考えられない。しかし、魂に傷を負わせるとはガンドロス恐ろしい敵だ。

「魂に傷を負うと神も神格を失うの?」

「ああ、神格を持つ者だけが神格を持つ者を殺せると言うのはそう言う事だ。」

「なるほど、つまり、魂を壊せば神も死ぬと言う事?」

「そうだ、基本不老不死の神も神には殺す事が出来る。神格を持つと言うのはそう言う事だ。」

「過去に神が闇落ちした例ってあるの?」

「無いな。」

「ではガンドロスが闇落ちした理由って?」

「解っていない。」

 ふむ、僕の様に異世界から魂が飛んできたりしてね。

 農作業を終えて、今日は家に帰る。色々考える事が多すぎる。
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