転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 アスアスラは3か月ほどでランクをCまで上げていた。悪くはない速度だ。週に一度ランクアップ試験があるのでなるべく受ける様にとアドバイスしたのだが、彼女は真面目な性格らしく律義に毎回受けていた。だが、得意の弓はランクアップ試験の項目に無いので、剣か魔法で受ける事になる。そうなると剣は素直過ぎる。魔法は発動までのラグがあると言う事で、この結果になった。

 GランクからEランクまでは順調に進んだのだが、Dランクが最初の壁になった。これは僕が練習に付き合う事で、魔法の発動速度を上げて、何とか乗り切った。その後も週に1度は練習に付き合っている。

 そして遂に先日Cランクに上がったと言う訳だ。エルフの国では対人戦と言う概念が無いらしく。それに戸惑ったと言うのもあるだろう。

 まあ、無事に彼女は魔法使いとして一人前の冒険者になった訳だ。

 ソロの彼女だが、週に金貨30枚は稼げる様になっている。これは他のCランク冒険者よりかなり稼ぎが良い。やはり祖国で狩人としての実績がある分、魔物に対する嗅覚や判断力が優れているのであろう。

 稼げる様になった彼女は、家を出る事を願い出た。

「エイジ様、何時までもここに世話になって居る訳には行きません。幸い稼げる様になって来たので、ここを出て1人で暮らしてみたいと考えています。」

「んー、構わないけど、ここに居た方が便利じゃない?僕も練習相手になれるし、国に帰る方法を探すにしても、1人じゃ大変でしょ?」

「確かにここでの暮らしは大変便利ですが、そうそう甘えてばかりもいられません。国へ帰る方法は自分でなんとか探してみます。それに、ここはちょっとギルドから遠すぎます。」

 あ、なるほど、最後のが本音か?確かに貴族街から冒険者ギルドって遠いんだよね。ギルドの近くなら冒険者用の貸家が多くある。貸家は月に銀貨7~8枚で借りられるので彼女位の稼ぎがあれば余裕だろう。

 それに貸家なら家具類が残っている場合が多いので毛布1枚買えば生活を始められる。あれ?アスアスラって料理とか出来るのかな?まあ、食堂も多いから大丈夫か。

「まあ、決めたのなら止めはしないけど、この国で君の存在は特別だ。何かあったら僕に報告に来る事。これだけは約束してくれ。」

「解りました。それから助けて頂いたお礼はいずれ返します。」

「礼は特に気にしなくて良いよ、それより練習相手が欲しくなったら何時でも来て構わないからね。」

 こうしてアスアスラは我が家から出て行った。リアンが寂しそうな顔をしていた。まあ、1か月以上彼女の専属メイドだったからな。

 ちなみにセリーとアリアナはあからさまにホッとした顔をしていた。どう言う事だ?

 それから5日後、セリーが産気づいた。アリアナの時で慣れたのか、メイドたちがテキパキと動いている。やがて産婆がやって来た。

 男の僕はする事は無いのだが出かける訳には行かないだろう。応接室で一人気をもんでいる。

 産気づいたのが昼前、既に5時間近くたっているがまだ生まれない。アリアナの時も早朝まで掛かったなと思い出し。厨房へ行き、ワンハンドで食べられる物を作る。見習い君に食パンを焼いて貰い。カツサンドを作ってみた。キャベツが無いのでサニーレタスの様な野菜で代用する。とんかつを揚げ片面にソースをかけ、片面にはマヨネーズを付ける。ちなみにこの世界にもマスタードはある。なのでマスタードをほんの少しだけ入れてみた。

 出来上がったカツサンドを3つに切り分ける。後は見習い君に任せる。奮闘しているメイドたちに交代で食べさせる様に指示を出して置く。

 やがて夜が更け寝る時間になる。全員が起きていてもしょうがないので、手の空いた者から順番で寝る様にと指示する。

 流石に僕は寝る訳に行かないので起きている。しかし、幾ら待っても生まれない。既に朝日が昇り始めている。

 気になってセリーの部屋を覗きに行くが、メイドに止められた。どうしようかと考えていたらアリアナが部屋から出て来た。

「どんな様子だ?」

「かなり難産になりそうだと産婆さんは言っています。思ったよりも赤ちゃんが大きいようです。」

 この世界は医療が進んでいない。多分帝王切開とか無いんだろうな。自然分娩だけが出産方法だから、死産や新生児の死亡率が高いのだろう。

 僕にもう少し医療の知識があれば、魔法でどうにかする事が出来るんだけどなぁ。今は産婆さんの知識と経験に任せるしかない。

 結局生まれたのは昼過ぎだった。産気づいてから丸1日以上掛かった。

 母子共に健康と聞いて崩れ落ちそうになった。子供は男の子だった。

「セリー、よく頑張ったな。」

「あなた、男の子ですよ。跡取りです。」

「ああ、良くやった。」

 その後セリーは子供に乳を与え、満足そうに微笑み、失神する様に眠った。

 次にセリーが目覚めたのは夕食前だった。

「あなた、名前は考えてくれましたか?」

「ああ、決めてあるぞ。エルリックだ。エルリック・フォン・ゼルマキア。それがその子の名前だ。」 

「エルリックですか。良い名前です。」

「セリーみたいに愛称が付けやすい名前が良いと思ってな。『エル』と呼ぼうと思う。」

「『エル』ですか?良いですね。」

 こうして我が家に跡取りが生まれた。いずれ侯爵家を継ぐ事になる子だ。しっかりと育てないとな。

 セリーは昨日から食事を取って居ないので胃に優しい物としてスープとプリンで食事を済ませた。

 翌日からまた平穏な日常に戻る。公爵家の面々が会いに来たそうだが、僕は席を外していた。王様も来る勢いだったそうだが、なんとか宰相が止めたらしい。外に出られる様になったら会いに行こう。

 と思って居たら王城から呼び出しが掛かった。

「すまんのう、わざわざ来てもらって。」

「えっと、子供はまだ連れて来れる状態じゃ無いですよ?」 

「そっちも気になるが、今日は別件じゃ。大森林じゃがどう思う?」

「どう思うと言うのはもしかして、手を入れるおつもりですか?」

「うむ、実は最近あそこから来る魔物の数が増えてのぉ。大規模討伐を行おうと考えている。」

「大規模討伐ですか?森林を切り開く訳では無いんですね?」

「いや、一部森林を切り開きかなり奥まで兵を進めたいと考えている。」

「具体的には何キロ位奥へ進むつもりですか?」

「出来れば最深部まで行きたいと考えているのだが、難しいだろうか?」

「大森林はおよそ80キロ程続いています。そして、その先には帝国と呼ばれる国があります。最悪戦争になりますよ?」

「何?大森林の先に国があると言うのか?」

「はい、しかも1つではありません。3つの国があり、その土地はこの国の2.5倍程になります。そしてそこに住む人の数はおよそ450万人。もし、この国の存在を知られたら、侵略される可能性がありますよ。」

「それは、真の話か?」

「はい、僕はフライが使えますので、大森林は飛び越える事が出来ます。」

「ふむ、そうなると討伐は計画を変更せんといかんな。」

「いっその事中止にしませんか?魔物は僕が何とかしますよ?」

「何とか出来るのか?」

「そうですね、大森林を傷つけず魔物だけを討伐すれば良いんですよね?可能ですよ。」

 あそこは一見木が多そうだが、大樹が多いだけで意外に中は動けるんだよね。

「解った。其方に一任しよう。」

「ありがとうございます。では討伐が済み次第、ご報告に上がります。」

「頼むぞ。それから討伐した魔物は王城へ持って来てくれ。生態系を調べたいと学者たちが申して居るでな。」

「解りました。」

 王城を辞してから家に転移し、考えに耽る。国王陛下には大森林侵攻を止めさせることに成功したが、帝国はどうだろう?これは一度帝国に行って見る必要があるかもしれない。

 帝国と言うと皇帝だよな?皇帝と聞くと支配とか侵略って言う単語が浮かんで来るのは偏見かな?それに頻繁に3国間で争ってるってブラスマイヤーが言ってたしな、まあ、実際に行って見ないと解らないけど、観光気分で行くのは危険かな?

 国が3つあるって事はこの王国より文明が発達している可能性もあるな。恐らく軍事力では向こうの方が上だろう。実際に戦争を体験しているとすると兵士の練度も向こうが上だ。単純な数の計算では測り切れないな。

 ああ、気になりだすと止まらないな、早速明日にでも行って見よう。
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