転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 今思えば皇帝が倒れた時に顔位覚えて貰って置けば良かったと感じる。あの時は皇帝を救う事で頭が一杯だったし、これ以上出世するのは不味いと考えていた。だが、あの時点で皇帝と誼を結んでおけば、帝国と王国の平和的な関係に繋がっていたかもしれない。

 どうも僕は、瞬間的な判断に弱い様だ。何故か後で後悔する事が多い。

 特にライザは不味いよな、早めに関係を切らないと。

 さて、帝国だが、この所きな臭い話が伝わって来る。帝国に隣接する2つの国、共和国と王国だが、この2つの国の国境付近で小競り合いが激化し、かなり大きな紛争になりつつあると言う話だ。

 皇帝は病み上がりと言う事もあり、現在帝国は静観している最中だが、もし、紛争が大規模な物になり、もし、どちらかの国がもう片方の国を侵略する事態にでもなると、帝国も黙っては居られなくなる。

 僕が飛んで行って紛争を沈める事は可能だが、他国の歴史に介入する気は無い。僕としては2つの国が馬鹿でない事を祈るしかない。あるいは帝国の介入による事態の鎮静化と言うのも選択肢として無い訳でも無い。

 どうも帝国民は、こう言った話に慣れている様で、特に動揺は見られない。商店街にに行っても皆普通に買い物をしている。時折、また戦争がどうのこうのと言う話をしている者も居るが、店のおっちゃんは慣れている様で適当に話を合わせている。

 ふむ、この程度の事はよくあるって事か?それとも帝国が侵略される事は無いって言う信頼なのかな?

 僕は帰り際に侯爵家を訪れた。

「実際の所、今回の紛争問題は、帝国ではどの程度重く捉えているのですか?」

「ふむ、君は若いから知らないのかもしれんが、こう言った紛争は良くあることだ。紛争が激化する事も珍しくは無い。だがな、ここ数百年そこから先に進んだ事は一度も無い。必ず、近い内に双方の兵は引く。いわゆるガス抜きみたいな物だな。」

「ガス抜きですか?一見すると攻め切って勝った方が有利に思いますが?」

「一時的にはな。だが、反撃が必ずある。双方ともに疲弊する訳だ。すると残った無傷の国はどっちの国を攻めるだろうね?」

「戦争しているのに冷静なんですね。」

「いや、常に怯えながら戦争をしているんだよ。」

「帝国としてはどうなんですか?」

「我が国はここ数十年、小競り合い以外でのまともな戦闘は行って居ない。多分死者も数十年で5人以下だろう。」

「それは何か理由が?」

「一つは3国間の相互不可侵条約が50年前に締結されていると言う事。もう一つはどの国もそれなりに豊かだと言う事かな。」

「なるほど、金持ち喧嘩せずって奴ですね。」

「そんな諺があるのかい?初めて聞いたが納得できるな。」

「では帝国の技術力が上がったのはここ数十年の話ですか?」

「ああ、そうだな。特にここ20年の発展は目を見張るものがある。」

 なるほど、ここ20年で急激に技術が進歩しているのか?だとすると20年前に何かあったか、帝国の武力が弱くなったことと関係がありそうだな。

「帝国の技術が凄いのは解りましたが、他の国はどうなんですか?」

「ん~、言われてみれば、他の2国もここ20年で大きく発展した気がするな。」

「それは偶然じゃ無いですよね?」

「考えてもみなかったが、確かに偶然で片づけられる問題じゃ無いな。ここ20年で何かが、あるいは誰かの意思が働いている可能性は高いな。」

「調べる方法って無いですかね?」

「なら皇帝に会ってみるかい?」

「何故、そこで皇帝の名が?」

「ここ20年の政策を引いていたのは皇帝だ、知らないはずが無いだろう?」

「言われてみればそうですが、僕が会えますか?」

「君は皇帝の命の恩人だ。忘れたのかい?」

「忘れては居ませんが、こっちは一介の子爵ですよ?」

「皇帝が君に興味を持っている。」

 それって、侯爵が色々と喋ったんでしょ?

「んー、考えて置きます。とりあえず独自に調べてみますよ。」

 侯爵家を辞して、図書館でも行こうかなと考えていた時。珍しくブラスマイヤーが発言した。

「この国にも黄昏の魔女の様な人物が居るのかもしれんな。」

「古代人が暗躍していると?」

「王国もそうだが、帝国の発展も不自然な気がする。考えられるとしたら古代人の存在だな。」

「でも、そうなると古代人の思惑が良く解らないな。」

「俺も神になる前は古代人だった。その俺が今地上に居るのも何か意味があるのかもしれん。そして、お前の存在も何らかの意思によるものかもしれんぞ。」

「これは、仮定の話だが、今の文明って危機に晒されてばかりの様な気がする。もしかしたら、放って置いたら滅びるんじゃないか?」

「今の文明が滅びない様に何者かの意思が働いていると考えているのか?」

「あくまでも仮定だが、他の神あるいはこの星の意思とかね。」

「ふむ、お前は面白い事を考えるな。」

「いや、ずっと考えていたんだよ、僕は何故この世界に来たのかってね。だいたい死んだ記憶も無いし、向こうの神に会った記憶も無いのに、なんでってね。」

「確かに、こっちの世界の神である俺にも解らない事が起きているのは理解している。そして事件は必ずお前の近くで起こっていると言う事もな。」

「さすがにここまで条件が揃えば僕も気づくよ。僕には何かするべき事があるのだろうとね。」

「それを探すのか?案外、その時になれば自然と判るのでは無いか?」

「どうだろう?両方の可能性を考えて動くよ。」

 さて、そろそろ王国へ帰らないとな。家に転移する。

 家は相変わらず平穏だ、ホッとする。子供たちと遊んでから、風呂に入る。久しぶりに一人で入った。

 風呂上がりに応接室で紅茶を飲みながら考え事をしているとセリーがやってきた。珍しい。こう言う時セリーはそっとして置いてくれるのだが。

「どうした?何か問題でも?」

「いえ、あなたの様子がおかしかったので様子を見に。」

「僕の様子?ああ、考え事をしてたからじゃ無いかな?」

「何か心配事でもあるのですか?」

「心配事とはちょっと違うのだが、実は帝国の皇帝に会ってみないかと言われてね。」

 その後、セリーに王国と帝国の未来の展望を話して聞かせる。

「まあ、あくまでも、こうなったら良いなって話だけどね。」

「難しいですね。そもそも言葉が通じないんですよね?」

 あ、やべっ、忘れてた。僕は普通に向こうの人と喋ってるからな。

「うん。翻訳の魔道具とか作れれば良いんだけどね。」

「そもそも、王国の人間は言葉が通じない人間と接触した事が無いですからね。その時点でどんな反応をするか想像も付きませんね。」

「一度セリーも行って見るか?」

「行って見たい気はありますが、今は妊娠中ですので止めて置きます。」

 何だろう?セリーと話をしたら少し楽になった気がする。やはり一人で抱え込むのは良くないって事だな。

 その後夕食を取り、ルシルと一緒に寝た。

 翌朝、稽古の後、帝国へ飛ぶ、道場には子供たちが集まり既に稽古を始めている。僕が現れると皆が集まって来る。子供達には魔法理論を解り易く教えている。これは子供たちが字が読めないと言う事もあり。教科書を渡せないからだ。

 中には字が読める子も居るかもしれないが、不公平になるのは良くない。正直子供たちの知識の吸収力は凄い。現在門下生が200人近くいるが、多分、この子達より魔法を理解出来ている門下生は半分以下だろう。

 現在、遊びに来ている子供たちは14名。その内8名は中級魔法まで使いこなす。中には子供たちに教えを乞う門下生まで出る始末だ。

 もし、このまま順調に育つならば、特待生として、無償で正式に門下生にしようと考えている者が3人居る。将来の幹部候補だな。

 30分過ぎるとベルたち4人が来た。彼女達は既にマルチタスクをマスターしているので、リリとは順番を変えて先にクロックアップを教えている。クロックアップは思考能力の速度アップだ。これとマルチタスクを組み合わせる事で絶大な効果を発揮する。特に実戦ではあまり大きな魔法は使わない、その代わり、小さな魔法を何種類も細かく使うのが効果的だ。

 味方の人数より敵が多い場合等に、クロックアップとマルチタスクの合わせ技が使えれば、あっという間に敵を殲滅する子も可能だ。

 リリには先に威力の大きい魔法を教えた。現在クロックアップを習得中だ。逆にこの子たちは威力の高い魔法より先にクロックアップを習得させている。

 さて、現状ではどっちが強いのだろうか?

 半年でリリを超えさせると約束したが、3か月の時点でかなり差が詰まったはずだ。それはベルたちも解って居ると思う。

 実際に学院では、ベルたち4人を特待生クラスへ編入させると言う話が出ているそうだ。ベルたちは特待生クラスを取るか、道場を取るかで悩んでいるそうだ。

 そこへ師範の2人が合流する。1人は金髪の男性で意外にマッチョなバーズ君。24歳だそうだが、魔法学院の卒業生である彼は、意外に多彩な魔法を知っている。ただ使い方が下手だ。もう一人は黒髪の女性で、エイダ。こちらは21歳と若いが師匠に付いて魔法を教えて貰ったらしく。威力は申し分ないのだが、柔軟性に欠ける運用をする。

 それぞれに課題を与えて鍛えて行く。時々師範がベルたちに教えを受けているのが笑える。

 正直、師範2人は帝国では魔法使いとして優秀な方である。僕が道場主でなければ、鍛える必要は無かったのかもしれない。だが、僕とリリの模擬戦を見た後では誰もが、自分の魔法はまだまだだと思った様だ。

 まあ、予定では数か月であのレベルまで持って行くつもりなんだけどね。
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