転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
139 / 308

139

しおりを挟む
 異常気象騒ぎが収まった。次に待っているのはセリーの出産だ。予定ではもうそろそろのはず。

 12月も中盤に入り、僕の生活も落ち着いている。朝の稽古は邪竜の復活が近いので、対策でも取るのかと思ったら、何時もと変わらない稽古だった。

 稽古後は帝国の道場へ向かう。冬が正常に戻ったせいか、子供たちが元気に模擬戦をやっている。僕は様子を見ながら時々アドバイスを送る。そうこうしていると門下生たちがパラパラと集まり出し、師範が揃った所で今日の稽古開始だ。この道場はもう僕が突然抜けても大丈夫だろう。今は週休2日だが、今の感じだと、週に2日も来れば良いかもしれない。

 2時には上がって魔道具店へ飛ぶ、こちらも順調だ。暖房の魔道具は売り上げが落ちるかもと心配したのだが、普通に売れているそうだ。まあ、寒い帝都には暖房器具が必需品なのかもしれない。他の商品も一定数は必ず出ると言う。魔道具店の売り上げとしては驚異的な数字だそうだ。他の魔道具屋ってそれでやって行けるのか?

 そう言えば、2人の魔道具職人希望者の女性はかなり仕上がって来ている。今はエドワードに頼んで、彼女たちが作った魔道具を店で試験的に販売しているが、もう少し経験を積んだら、独立させようと思っている。独立して自分の店を持っても良いし。卸に転向しても構わない。

 リリ達5人は僕が居なくても教科書があれば自分たちを高められるだろう。道場に週1日来ているが、僕が居なくても稽古の仕方は解って居るはずだ。

 3時前には王国へ戻る。子供たちと戯れて、4時には風呂に入る。4時半から6時までは自由時間だ。この時間を利用して魔道具を作ったり、お茶を飲んでまったりしたり、嫁たちと話をしたりする。

 6時には夕食だ。7時まで1時間かけてゆっくりと食事を楽しむ。7時になると各自部屋へと戻る。その後は大人の時間だ。

 まあ、僕の一日はこんな感じだ、時々予定の無い行動を取る事もあるが、基本はこの流れで生活している。僕的には結構スローライフしていると思うのだが、本当のスローライフってどんなのか知らないしな。

 話は変わるが、最近ライザが大人しい。朝の稽古には必ず出ているので体調が悪い訳では無さそうだ。

「最近、部屋に閉じ籠っていると聞くが何をしてるんだ?」

「一人で妊娠する研究です。」

「え?」

「人間の生殖行動は学びましたので、それを科学的に再現出来ないかと研究をしています。」

 どうやらライザはブレない様だ。

 もう一人、アスアスラの所へは相変わらず週に1回は行っている。セリーが怖いので6時前には帰るが、顔を見るだけでも何かホッとする物がある。

 基本帝国の道場が無い日に行くので朝に行く事が多い。タイミング的にはルーラが教会へ行っている時間だ。僕らは朝楽しんでから、ゆっくりと過ごすと言う逆転生活をしているのだが、これが意外にスリリングで楽しい。あ、3人での買い物は控えてます。

 そう言えばルーラは6歳になった。そこで、剣術と魔法を本格的に稽古し始めたそうだ。アスアスラはルーラを冒険者にするつもりなのだろうか?

 と言う事で僕はこの生活を楽しんでいる。時々事件も起きるが、その位の刺激はあった方が良い。何も無かったらきっと退屈だろう。

 突然異世界に飛ばされて2年半。僕は現状で満足しているのだが、ブラスマイヤーが言うには、何らかの意思が働いて、何らかの使命を持って、この世界に来たのでは無いかと推測している様だ。

 神の世界は退屈だとブラスマイヤーから何度も聞かされている。ならば人間界で楽しく暮らしたい。しかし、僕の体は神の体、人よりも長く生きるらしい、もしかしたら死なない可能性もあるとか。

 やはり、この辺の事情は親しい人には話しておくべきだろう。特にセリーとアリアナには話さない訳には行かないだろう。子供達にはまだ話しても理解出来ないだろうし、ルシルは一緒に稽古しているから、ある程度気が付いているだろう。

 しかし、今はタイミングが悪い。セリーが出産し、邪竜を討伐した後に話すのがベストだと思っている。

 それに子供たちの体の中の神の欠片と言うのも謎だ、それが将来どの様な影響を及ぼすのか、僕自身にも解って居ない。竜王の爺さんにもそこまでは解って居ない様だし。実際に影響が出てからでは無いと何とも言えないのかもしれない。

 そして、それから丁度1週間後の早朝。セリーが産気づいた。流石に5人目ともなるとメイドたちの動きも慣れてきている。産婆が呼ばれるがまだ破水していないとの事で、一旦メイドたちに食事を取らせる休憩を入れる。

 丁度今日は道場が休みで良かった。ルシル達の稽古は僕抜きでやって貰おう。

 僕は休憩時間中にセリーと少しだけ話す。破水したら男子禁制になるからね。

「気分はどうだ?」

「陣痛は苦しいですが、赤ちゃんが生まれる喜びに比べればなんて事ありません。」

「セリーは強いな。いや、強くなったな。」

「もうすぐ2児の母ですからね。」

 よく考えたら17歳で2児の母って現代日本ならニュースになりそうだ。この世界では現代日本の常識が通じない。

「お産が始まったら僕には何もする事が無い。今のうちに何かして欲しい事は無いか?」

「では、アリアナの時の様なキスをお願いします。」

 メイドが居るが構わずキスをする。

「これで良いか?」

「終わった後もお願いしますね。」

 僕は苦笑して部屋を出た。

 さて、エルの時はかなり難産だった。今回はどうなるだろう?

 考えても仕方が無いので、僕も食事を取りに食堂へ向かった。食べて置かないと体が持たないかもしれないからね。

 本格的に陣痛が襲い、破水したのが、9時半だ。僕は何時もの様に応接室で産まれて来るのを待つ。

 6時間が経とうとした頃俄かにセリーの部屋が騒がしくなった。生まれたのか?

 応接室に、メイドが1人飛び込んで来た。

「どうした?」

「それが、赤ちゃんの頭が大き過ぎて、このままでは死産になるかもと産婆さんが言っています。これ以上は母子共に危険だと。」

 ああ、そうだった、この世界には帝王切開が無いんだったな。

「解ったすぐに行く。」

 僕は応接室を出てセリーの部屋へ向かう。セリーの部屋へ入ろうとするとメイドたちが止めるが振り切り中へ押し入る。

「母子共に危険なんだろう?後は任せろ。」

 僕はまず、セリーと子供にパーフェクトヒールを掛ける。これで時間が稼げるだろう。

 頭が大きいと言うだけなら会陰切開でも行けるが、それだけが理由では子供が死産と言うのはおかしい。多分へその緒が首に巻き付いているのだろう。

 産婆を下がらせて、よく切れるミスリルのナイフを取り出す。それから麻痺の魔法を掛け麻酔の代わりにする。

「何をする気ですか?」

 産婆が青い顔で尋ねて来た。

「帝王切開と言う技法だ。魔法が使えないと難しいが、こう言う時に母親が先に死んだら有効なので覚えて置くと良い。」

 僕は、躊躇わずに陰毛の上部を横に切り裂く。血が飛び散るのを魔法で抑え込む。更に子宮を見つけ切り開き、赤ん坊を引きずり出す。思った通り首にへその緒が巻き付きチアノーゼ状態だ。赤ん坊にヒールを掛け、産婆に渡す。僕はセリーの体にもう一度パーフェクトヒールを掛けた。傷口は完全に消えた。

「魔法使いの仕事はここまでだ。後は頼んだぞ。」

 そう産婆に言い、部屋を後にする。

 再び応接室に戻り、お茶を頼む。男の子だったな。名前を考えないと。帝王切開で産まれたから『ガイウス』なんてどうかな?ブラックジョークになりそうだ。

 およそ30分程でメイドが呼びに来た。

 セリーの部屋に行くと、セリーが子供に授乳していた。

 産婆が母子共に健康ですと。言い。部屋を出て行った。まるで何も無かったような顔が印象的だった。

「セリー良かったな。2人目も男の子だ。」

「当然です。男の子を生むって決めてましたから。名前は考えて置いてくれましたか?」

「ああ、『アレクサンダー』通称『アレク』だな。」

「あなたの命名は変わってますね。でも嫌いじゃありません。」

 僕はセリーに近づき優しくキスをする。

「お疲れ様。ゆっくり休みなよ。」

 さて、これで、残すビッグイベントは邪竜討伐だけになった。今年はもう何も起こらないでくれよ。

 そう祈りながら1人で部屋に戻った。夕食まで何しよう?

しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

処理中です...