転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 神殿は広い、200メートル×300メートルはあるだろう。高さは30メートル程度ある。そのほぼ中央に祭壇はある。そこの下から邪竜ガンドロスの気が漏れて来る。

 やがて気が強くなり、ビリビリと神殿が振動する。ベルクロスを残して、皆はそれぞれ後方へ下がる。何かあったら遠慮なく手出しするよって顔してるよ。

 トルネロスは祭壇を睨みつけている。僕は下がる様に促す。

「来ますよ。」

 トルネロスが戦闘態勢を取るが、更に下がらせる。

「まずはベルクロスに任せてやってくれ、奴はガンドロスに借りがあるからな。」

 振動が更に激しくなる。崩れたりはしないよな?

 そう思った途端、祭壇を中心に直径30メートル程の円状に、床が抜けた。ベルクロスは軽くバックステップで後ろに下がる。

 邪竜様の復活だ。禍々しい気に相応しい、禍々しい姿のドラゴンが、ゆっくりと浮上してくる。

 あれ?やけに小さく無いか?グリーンドラゴンとあまり変わらないぞ。

「なぁ、トルネロス。ガンドロスってあんなに小さいのか?」

「そうですね、サイズから行けば神竜の中でも最小でした。ただし、その代わり、スピードはどの神竜より早かったですね。」

 ほう?スピードファイターなのか。神殿がでかいから邪竜もでかいのかと思っていた。

 ガンドロスはトルネロスの顔をチラリと見た後、ベルクロスの顔を見て、驚いた様な顔をした。何故お前が生きている?そんな風に思っている感じに見えた。

「しかし、ベルクロス一人に任せて大丈夫なんですか?全員で戦った方が勝機が高いと思うのですが?それに、ベルクロスはあの姿のまま戦うつもりなんでしょうか?」

「この広さだとドラゴン2体は戦いづらいでしょ?それにベルクロスはあの姿でも十分強いよ。」

 ガンドロスが、穴を避けて床に着地する。同時にベルクロスが、戦闘態勢に入る。ベルクロスの気が解放される。

「これは?ベルクロスは一体この短期間でどんな修行をしたんですか?」

「まあ、その辺は後で本人に聞いて下さい。始まりますよ。」

 ガンドロスもベルクロスの気に驚いた様で、ブレスを吐く動作に入る。しかしそれは悪手だ。ドラゴンの最大火力はブレスだが、予備動作が長すぎる。その隙を逃すベルクロスでは無い。

 穴を挟んで対峙していたベルクロスが消えたと思ったら、次の瞬間、ガンドロスの顎を蹴り上げていた。当然ブレスはキャンセルされる。

 怒ったガンドロスは牙と爪でベルクロスに襲い掛かるが、冷静さを失ったら負けだよ。ベルクロスはその攻撃をことごとく余裕で躱す。

 スピードファイターのガンドロスがスピード勝負で負けている。それに激高したのか、ガンドロスの攻撃が雑になる。ベルクロスはそれを見逃さない。腹部に強烈な蹴りを叩き込んだ。

 邪竜の体が一瞬歪んだ様に見えた。多分内臓まで達しているだろう。

「驚きですね。あそこまで完璧にガンドロスに攻撃を通すとは。しかし、ガンドロスは再生能力も強力です。あの程度のダメージでは数分で回復しますよ。」

「うーん。大丈夫じゃないかな。」

 ガンドロスが怯んだ隙に、ベルクロスは翼を掴んだ。小さな人間が巨大なドラゴンの翼を力で引きちぎった。ガンドロスが悲鳴の様な声を上げる。

 ガンドロスが狂ったように暴れる。こうなると隙だらけだ。ベルクロスは冷静にダメージを入れて行く。

「そろそろだな。トルネロス、準備は良いか?神格を持った者は神格を持つ者にしか殺せない。タイミングが来たら合図をする、奴の心臓を抜き取れ。」

 ダメージが蓄積して行きガンドロスの再生が追い付かなくなって来ている。再びブレスの兆候。ベルクロスはガンドロスの首をへし折った。それでもまだガンドロスは抵抗を止めない。ベルクロスは折れた首を爪で引き裂いた。更に心臓あるいは魔石を狙って蹴りを叩き込む。

 ようやくガンドロスの動きが止まる。

「トルネロス。今だ!奴の心臓を抜き取れ!!」

 準備をしていたトルネロスが竜の姿に変化しながらガンドロスに飛び掛かる。そして、心臓に深々と突き刺さる爪。ズルリと引き抜かれる心臓。

 確か、長く生きたドラゴンの心臓には魔力機関が繋がっているんだったな。心臓を抜き取ればそれも止まるはずだ。

 動いていた心臓が徐々に弱まりやがて止まる。多分これで終わりかな?

 トルネロスが人の姿に戻る。裸では無い。服も再生させた様だ。

「こんなに呆気なく終わるとは思いませんでした。」

「この死体はどうする?」

「放って置けば消滅します。魔力機関も神格も失ったので、肉体を維持する事が出来なくなるんですよ。」

「じゃあ、外に出ようか?ここは空気が悪い。」

 そう言って皆で地上に転移する。

「トルネロスは神界に戻るんだろう?」

「はい、私の使命は終わりましたので。」

「悪いが、ベルクロスも連れて行ってくれないか?神界に戻れるだけの力は持っている。多分、神界に戻れば神格も再び手に入るだろう。」

「解りました。私より強いのですから、元の神竜に戻るのは当然でしょう。」

「ベルクロスもそれで良いな?」

「私は一度死んだ身です。ブラスマイヤー様の為にも神界でこの世界の為に頑張ります。」

「って事で、竜王の爺さんはどうする?」

「ん?儂か?そうじゃのう。儂も遊んでばかりはおれんからそろそろ次の大陸に行くとしよう。」

 どうやら竜王の爺さんは定期的に世界を巡って、ドラゴンの様子を見て回って居るらしい。

「じゃあ、他の2人は一緒に帰るか?」

 ルシルとライザが頷く。

「滅多な事じゃ死なないと思うけど、元気でな!」

 3匹のドラゴンに挨拶をして、家に転移する。

 こうして、邪竜復活騒動は呆気なく終わった。時間にして1時間と言った所だ。

 結局、僕は何もしなかったな。まあ、その方が楽だから良いんだけどね。

 家に着いたら、子供たちと戯れる。1時間程遊んで風呂に入る。

 セリーに聞いたら子供たちは昼間の内に風呂に入れて居るらしい。嫁たちは子供たちと一緒に入るか、僕が出た後に入るらしい。

 僕は何時もの様に応接室で風呂上がりのお茶を飲んでいる。

 さて、邪竜討伐も終わったし、僕の事を皆に話すのは何時にしようか?

 まだセリーがアレクを生んで間もないから、もう少し待つか?でも、早い方が良いよな?

「ちょっと良いか?」

 ん?ブラスマイヤーの方から話しかけて来るのは珍しいな。

「どうした?」

「ちょっと不味い事になりそうだ。」

「不味い事?」

「ああ、ローレシアの事は覚えているか?」

「えっと、僕を神界から突き落とした元大賢者の神様だよね?」

「うむ、そのローレシアが地上に降りて来る。」

「え?神様って地上に降りる事は無いんじゃ無かったの?」

「あー、今回は特例中の特例だそうだ。」

 って言うか、ブラスマイヤーって今まで神様と連絡取り合ってたの?

「で、なんで、それが不味いんだ?」

「それは本人に聞いてくれ。もうそろそろ来るぞ。」

「え?」

 どう言う事?って言うか心の準備が出来て無いんだけど。

 その時、突然時が止まった。動いているのは僕だけだ。正確に言えばブラスマイヤーも動けるのだが、それはこの際どうでも良い。

 カメラのフラッシュの様に一瞬光が走り。気が付くと目の前にローレシアが居た。

「久しぶりね。えっとエイジ君で良いかしら?」

 何とでも呼んで下さい。

「特例と言う話ですが、どう言ったご用件でしょうか?」

「そんなに畏まらなくて良いわ。普段ブラスマイヤーと話す様に話なさい。」

「はぁ?」

 何と言うか流石神様、神々しい美しさだ。圧倒されても仕方あるまい。エルフの美しさとはまた次元が違う。

「実は、だいぶ前から議論はしていたのだけど、今日、神界に戻ったベルクロスを見て確信しました。あなたの力は人間界に置いて置くには強すぎるの。」

「それは一体どう言う事になるのでしょうか?」

「あなたの力は、神と同等かそれ以上。そんな強大な力を地上に置いておいたらどうなるか、少し想像すれば判るわよね?あなたがもし理性を失ったら?地上はあっという間に滅びるわよ。」

「でも、ルシルとライザが居れば止めてくれるかもしれませんよ?」

「あの2人も危険ね。今日、私が地上に降りたのはあなた達3人の処遇を決める為よ。」

 処遇?確かにこれは不味い事態だ。
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