転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 翌朝、拠点でアデルと合流し、南エリアに向かう。ミリアの治療院は、9時には第一陣の患者が押し寄せる。

 間に合う様に急ぎ、南エリアに向かう。

 到着した時には既に診療が始まっていた。僕は集まっている40人程度の人達にエリアハイヒールを掛けた。

 南エリアは元々5000人規模の貧民街だったはずだ、だが、ここの所の人口増加で、1万人規模にまで膨れ上がっている。

 ミリアの治療院はこのエリア唯一の病院だ。当然のごとく人が押し寄せる。

 エリアハイヒールで完治した人も多いはずなのだが、それが評判を呼んでしまい、更に人が押し寄せる原因になってしまったらしい。

「なあ、ミリア。料金は取っているのか?」

「ああ、ある時払いの催促無しだな。実質無料だ。」

「それで、暮らして行けるのか?」

「ハンター時代の貯蓄を崩しながら生活していたが、そろそろ底を尽く。一応、患者が料金代わりに食料を置いて行く事もあるので、食べるには困らないかな。」

「それって、結構深刻なのでは?」

「どうなんだろう?このエリアではまだ良い方だとは思うが?」

 駄目だな、貧民街に染まり過ぎて金銭感覚も麻痺している様だ。

「まあ良い。次の患者が来るまでに練習をするぞ。」

 次の患者が来るのは午後の1時だ、それまでの数時間、ミリアに回復魔法を教えながらアデルにも同じ事を覚えさせる。

 回復魔法と言うのは基本は一緒だ、違うのは知識になる。より人体の知識を持っている方が高位の回復魔法を使えると言う事になる。なので、実践より理論を優先させている。

 一部では回復魔法は神への信仰が強い程高位の回復魔法を使えると言われているが、それは完全な間違いだ。医療が発展しているはずの帝国でも未だに高位の回復魔法を使える魔法使いは少ないのはその辺に理由がありそうだ。

 ミリアもアデルも、信仰心云々の知識は無かったようで、素直に僕の理論を受け入れている。おかげで2人共ハイヒールまでは使える様になった。

 実際にはハイヒールで殆どの患者に対処出来るのだが、僕はエクストラヒールまで教えるつもりだ。これを覚えると、状態回復魔法を使う必要がなくなるからだ。

 流石に、この短期間ではパーフェクトヒールは教えられない。最低でも2~3年は掛かるだろう。パーフェクトヒールが使えれば、死んでさえいなければ蘇生させられると言うエリクサーを再現できる。また、時間が経過していても欠損の再生も可能だ。

 まあ、欠損の再生は、時間があまり経っていなければエクストラヒールでもそれなりに可能だ。完全にとはいかないが、切られた腕をくっつける位は出来る。

 もう一つ、リカバリーと言う魔法がある。これは状態回復魔法の上位魔法になる。これを覚えると、病気の治療が楽になる。ハンターにはあまり縁のない魔法だが、治療院なら必要になるだろう。

 リカバリーは病気になる前の状態に戻す魔法だ。回復魔法に時空魔法の概念を取り入れている。少し難しいかもしれないが、覚えて貰うつもりだ。

 僕は1日3回の診療タイムをエリアハイヒールで短縮し、ミリアに回復魔法の理論を詰め込んで行く。

 その日は5時で切り上げた。ミリアは自主訓練をすると言って居た。明日は来れない事を伝えて治療院を後にする。アデルを家まで送ってから伯爵邸に戻ると6時を過ぎていた。

 家に帰り急ぎ食堂へ向かう。フローネル嬢とリアンは食事をせずに待っていた様だ。先に食べていても構わないのに。

「済まない。遅れた。」

「いえ、問題ありません。」

 基本フローネル嬢もリアンも僕にあまり意見をしない。王国ではセリーが僕の行動をセーブする形になっているが、帝国にはそのポジションが居ない。正式に結婚すればまたパワーバランスが変わるのかもしれないが、出来れば、セリーの様な、僕を叱れる人物が居た方が良いのだと思う。

 悪い事をしたのに叱られないと言うのは最初は良いが、徐々に苦しくなってくる。こう言う時は起こられた方が気が楽になる物だ。

 フローネル嬢が北の王国について報告してくる。どうやら状況は予想以上に悪い様だ。

「戦争は回避出来ないのか?」

「現在、王国と共和国の両方から同盟の申し込みが来ています。父は、この両方の同盟を蹴る事に決めたようです。」

「そうなると、王国と共和国が同盟を結んでしまうのではないか?」

「それは、ありませんね。現状、弱っているのは王国です。王国は国を守る為に同盟を結びたいと考えて居ます。しかし、共和国は同盟を組んで戦争をしたいのです、2つの国の思惑が違う以上、同盟は成立しません。」

「ふむ、そうなると、シナリオ的には、共和国が王国に攻め入ると言う図式になるのかな?」

「それが、一番可能性が高いですね。ただ、そうなると帝国の動き次第で戦況が大きく変わります。もしかすると共和国は王国に攻め入る前に帝国に何か仕掛けをするかもしれません。」

 なるほど、共和国としては王国に攻め込んでいる間に帝国には大人しくして置いて貰いたい訳だ。

「どんな手で来るか予想は付くのか?」

「解りません。現在各国ともドラゴン対策で忙しいはずです。この状況で何かを仕掛けるには人材的にも資金的にも厳しいと思われます。多分、最小限の労力で最大限の効果を上げる事を目指してくるでしょう。」

 つまりは具体的な事は全く分からないと言う事だね。

「王国にも共和国にも注意を払わないとイケないとは、皇帝陛下には苦労を掛ける事になりそうだな。」

「でも、他の国と違ってドラゴン対策に手をかけなくて良い分だけ、余裕がありますから、大丈夫だと思いますよ。」

 まあ、あの古龍の件は皇帝にも伝わっているからな。それに、いざとなったらフローネル嬢が前線に出ると言えば、兵も納得するだろう。

 その時は僕が先回りをして事件を解決しないとイケないだろうが。

 ゆっくりと食事を楽しんで、自室に戻る。えっと、今日はフローネル嬢の部屋にお邪魔する番だったかな?

 翌日は狩りに出る。アデルを鍛えながらの狩りだが、思ったよりスムーズに進んだ。レモーネとバレッタが絶好調なので、一人頭白金貨5枚分の獲物は楽々と狩れた。アデルも索敵魔法はほぼ完ぺきだ。後は支援魔法と攻撃魔法の使いどころを覚えればSランクも夢では無い。

 更に回復魔法を順調に覚えている。回復魔法が使えると言うのは昇級試験では考慮される項目なので、もしかしたらアデルが一番伸びたのかもしれないな。

 少し早めに狩りを切り上げて、ギルドで換金後、拠点の食堂で軽く一杯打ち上げをする。レモーネが明日から1週間休みにすると宣言をした。どうやら、レモーネとバレッタの2人がSランク試験に挑戦するらしい。その最終調整だそうだ。

 僕も手伝おうかと提案したが、ここは自分たちの力で乗り切らないと意味が無いそうだ。

 さて、1週間休みとなると、ここは治療院に行って集中的にアデルとミリアを鍛えるチャンスだな。そう言うと、アデルがお手柔らかにと引きつった笑いを浮かべていた。

 翌日から1週間、思いっきりスパルタでアデルとミリアを鍛えた。結果、2人はギリギリでエクストラヒールとリカバリーを会得するのだが、翌日ミリアがダウンして、僕が治療院を手伝う羽目になったのは、どうなんだ?

 アデルはレモーネとバレッタのSランク昇級試験を見に行った。僕も行きたかったんだけどな。

 結果は2人共合格だそうだ。これで、『鈍色の刃』はSランクパーティーへと昇格した。

 ギルマスの課題はクリアしたよね?まあ、まだアデルがSランクになるまではこのパーティーで行くけどね。

 ちなみに治療院は、徐々に患者数が減って来た。これは悪い事では無い。完治した患者がそれだけ多いと言う事だ。それでも未だに1日100人以上の患者が来る。どれだけ各地から流れて来ているのだろう?

 完治した患者は、仕事を見つけ、このエリアを抜け出る者も出て来た。良い傾向だ。それだけでも、この治療院の存在価値がある。

「なあ、本当に私と結婚して、治療院に専念しないか?」

 ミリアは未だにこんな事を言っている。
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