転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
230 / 308

230

しおりを挟む
 翌朝、何時もの西の草原に来ている。昨日、基礎は教えたので、今日はいきなり模擬戦から始めたいと思う。

「武器無し。攻撃魔法無し。使って良いのは身体強化魔法のみと言うのがルールだ。最初は僕は手出ししないので思い切ってやってみろ。」

 クラ―ネルの戦闘センスは悪く無い。だが、経験が圧倒的に足りない。なので帝国でフローネル嬢を教えた時の様には行かない。

 慣れていれば全身が武器となるのだが、慣れない内はどうしても手足しか攻撃の手段が無い。子供の喧嘩の様な攻撃になってしまう。

 良くも悪くもクラ―ネルは理論派だ。なので最初の内は30分戦っては、今の戦いのどこが悪かったのかを指摘する。これを既に3回繰り返している。

 かなり疲れて来たのか、良い具合に体の力が抜け、動きがスムーズになってきているのだが、クラ―ネルは気が付いているのだろうか?

「さて、30分経過したので一旦休憩だ。だいぶ動きは良くなって来ているが、まだ攻撃がぎこちないな。次からは僕も少し攻撃をする。手加減するから安心しろ。僕の攻撃の仕方を見て、どう言う攻撃方法が有効なのかを学んでくれ。」

「解りました。しかし、昨日のSランクの人と、ここまで差があるとは思いませんでした。」

「昨日の彼は純粋な魔法使いだからな。パーティーで戦うならあれでも良いのかもしれないが、ソロでも戦える魔法使いになりたいなら、体術や剣術も学んでおいた方が良いぞ。」

 次の30分でクラ―ネルをボコボコにした。もちろん手加減はしてある、しないと死んじゃうしね。

 回復魔法を掛けながら、アドバイスをして行く。

「どうだ?実際に攻撃を喰らってみて、何か気が付いた点はあるか?」

「そうですね、魔法が使えればもう少し対抗できたなと思いました。後は、手足だけでなく、肘や肩、背中等も武器になるんですね。」

 やはりクラ―ネルにはセンスがある。

「クラ―ネルが、魔法を使いたいと思ったタイミングが、攻撃のチャンスなんだよ。そこで魔法の代わりにどんな攻撃が出来るか、それを考えながら戦ってみると良いだろう。」

 およそ6時間程稽古をしたが、クラ―ネルの攻撃は1発も当たらなかった。

「まあ、最初はこんなもんだろうな。正直、思ったよりはかなり動けている。センスはあると思うので磨く事だな。明日は狩りに出る。続きは明後日だ。」

「自分では結構強くなったつもりで居たんですが、全然でした。今、ドラゴンと戦ったら、こんな風に何も出来ずに負けるのでしょうか?」

 僕はハイヒールをクラ―ネルにかけてから、その質問に答えた。

「そうだな。今日は魔法と武器を封じたからな。魔法と武器があれば、ドラゴンでもそれなりに戦えるとは思うが、クラ―ネルは少し魔法に頼り過ぎている部分がある。そこを改善しないと勝つのは難しいかもしれないな。」

「なるほど、その為の体術訓練なのですね?」

 その日から体術と狩りを交互に行い、6日特訓したら1日休むと言う形にした。週休1日と言う奴だ。

 そして、1か月が過ぎる。この頃にはクラ―ネルの体術もそれなりの形になって来た。多分、Aランク冒険者なら武器無しで戦えるだろう。そして、明日は遂にクラ―ネルが子爵家に入る日だ。

「明日は子爵家に入るから狩りは出来ないな。休みにしようと思う。明後日は出て来られるか?」

「はい、子爵家の皆様と話し合いはしてあります。朝の10時から午後の5時までは自由にさせて貰えるようになっています。」

 ほう?クラ―ネルなりに休みの日を有効に使っていた様だ。

「そう言えば、マリーカ嬢とはデートしたのか?」

「デートと言う程大げさな物ではありませんが、何度か買い物とか食事とか一緒に行きました。そう言えば、侯爵家で貰ったケーキがまた食べたいと言われたのですが、レシピは貰えませんか?」

「白い方は再現が難しいので無理だが、土産に持たせた方ならレシピは上げても良いぞ。」

「それで十分です。あれも美味しかったですからね。」

 僕はストレージからレシピの紙を取り出してクラ―ネルに渡した。

「何時も持ち歩いているんですか?」

「ああ、こう言う事は結構あるんでな。」

 最近では公爵経由でレシピを聞いて来る者も多い。なので、疑似バニラエッセンスも徐々に流通し始めている。

「もう一つ相談があるのですが、お金はどのタイミングで入れたら良いのでしょうか?」

「明日、おそらく歓迎の晩餐会が開かれるだろう。その時になるべく多くの人が見ているタイミングで子爵に白金貨10枚を渡せ。」

「歓迎の晩餐会ですか?それは婚約では普通に行われる儀式なのですか?」

「そうだな。通常なら行われるが、行われなくても夕食は食べるだろう?その時でも構わない。持参金だと言って渡せ。そして、毎月月初めに白金貨5枚を子爵家に入れる事を約束しろ。」

「わざわざ皆の前で言うのですか?」

「ああ、それでクラ―ネルの立場が決まる。月に白金貨5枚。年に換算すると白金貨60枚だ。これはその辺の伯爵家より多い。レンツェル子爵家は裕福になる。それをもたらすのはクラ―ネルだ。当然、子爵も使用人も一目置くようになるだろう。」

 クラ―ネルはリドリル家では、その見た目から侮られていた。しかし、最初にかます事でレンツェル子爵家ではそうならない様にしておきたい。

「それは、実質当主ってのを明日から始めるって事で良いのでしょうか?」

「いや、実質当主は正式に結婚した後だな。今は、家族と使用人の信頼を得る事に注力する時期だ。もちろんマリーカ嬢も含めてな。」

「解りました。その為にも早く強くならないとイケませんね。」

「そうだな。狩りは順調だ。月に白金貨5枚は余裕で払えるだろう。貯蓄もキッチリ出来ているだろう?ならば、次のステップとして、時空魔法と魔法の無効化を教えるつもりだ。並行して覚えなければイケない事が増えるが、クラ―ネルなら問題無いと考えている。」

「はい。エイジさんの期待に応えられる様頑張ります。」

 さて、明日はどうなる事やら、明後日の報告を大人しく待つしかないのが辛いな。

 翌日は久しぶりに大森林の間引きに行って来た。4時間程掛けて大型の魔物を中心に狩って行く。

 ギルドで白金貨20枚分換金し、王城でも白金貨20枚分を置いて来る。残りは帝国のギルドで換金しよう。

 家に帰り子供達と戯れているとセリーがやって来た。

「クラ―ネルさんは大丈夫でしょうか?」

「ああ、あいつは見た目はあんなだが、性格は意外にしっかりとしているぞ。昔の僕より貴族らしいんじゃないかな?」

「どうも彼を見ていると母性本能が機能すると言うか、保護しなければイケない気がするんですよね。」

 それってクラ―ネルと子供を同一視してるって事にならないか?

「まあ、最初のインパクトが強かったからな。明日になれば結果が判る。セリーにも伝えるよ。」

 翌朝、西門で待ち合わせをしてある。無事に出て来れるか心配だったが、何時もの格好でクラ―ネルは現れた。

「まずは門を出よう、話はその後だ。」

 2人で門を潜り草原に向かい歩き出す。

「で、何かあったのか?その顔は何か話したいって顔に見えるが?」

「基本的には上手く行きました。が、ちょっと白金貨年間60枚は刺激が強すぎたようです。」

「ん?どう言う事だ?」

「現在の子爵家の収入は月に白金貨2枚。年間で言うと白金貨24枚です。国からの支援金を合わせても年間白金貨39枚で家を回しているのだそうです。」

「なるほど、いきなり収入が3倍になるって事か。子爵が年間白金貨24枚、クラ―ネルが、60枚、国から15枚。併せて。白金貨99枚か、伯爵家でもそこまで稼いでいる家は少ないだろうな。」

 でも、収入が増えて悪い事は無いと思うんだが?

「子爵はとりあえず、使用人の賃金を倍にするとだけ発表しました。使用人は大騒ぎでしたね。その後、子爵に呼ばれて、貴族は金を回すのが使命だとは解って居るが、使い道が判らん。と嘆いていました。」

「ああ、そう言うのは自然と慣れるものだから大丈夫だよ。最初は貯金でもして置けば良い。もし、クラ―ネルに余裕があるのなら、家を建て替えてみたらどうだ?」

「家の建て替えですか?」

「子爵は新築をする事は許されない。だが、リフォームは自由だ。そこで家を2回に分けて改築するんだ。実質新築だが、リフォームの範疇って言う裏技だな。」

「なるほど、提案してみます。」



 
しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

処理中です...