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予想通りクラ―ネルはマリーカ嬢を魔道具屋のお婆さんに紹介した様だ。かなりお世話になったらしいからな。
「ドラゴンの素材は高く売れたか?」
「ええ、初めてドラゴンを狩った事を報告したら、血液10本と目玉2個、それに肝臓。合わせて白金貨300枚で買ってくれました。」
ほう?あの婆さんにしては高く買ってくれたな。ご祝儀価格かな?
「ちなみにドラゴン丸々1体で売ると白金貨500枚から700枚って言った所だ。それを考えると解体して売った方が儲かるって言う意味が解ったろう?」
「残った素材はどうしたら良いのでしょうか?」
「冒険者ギルドを通して、オークションにかけると良いぞ。あとは自分で使える物は使った方が良いかな。例えば牙なんかはドラゴンソードにしてからオークションにかけると値段が数倍に跳ね上がるぞ。」
「血液が沢山残っているんですが、これは何に使うんでしょう?」
あれ?お婆さんは説明しなかったのか?
「血液はそのままでも万能薬として使われる。クラ―ネルの使うエクストラヒールより効果が高いぞ。更に上級ポーションと混ぜると、上級万能薬になる。これは劣化版エリクサーとも呼ばれる位の高位のポーションだ。」
「へぇ、自分でも作れますか?」
「そうだな、それ程難しくは無いが、クラ―ネルは回復魔法が使えるからあまり意味が無いんじゃ無いか?」
「血液が沢山残ってるので販売用に作ろうかと。」
「上級万能薬はオークションで高値が付くが、いっぺんに大量出品すると値段が下がるぞ。その辺は上手く調整しろよ。」
と、僕たちが商売の話をしていると、横では女性陣が増築改築の話で盛り上がっていた。
「立ち話も何だから、喫茶店にでも入るか?」
商業地域なので喫茶店もあちこちにある。適当な店に4人で入った。
「家の改築は順調なのか?」
「はい、今、一回目の改築が3分の1程度進んだ所ですね。相当古い物件だったので、皆さん大喜びですよ。」
「でも仮住まいはきつく無いか?」
「いや、宿屋だと考えれば、そう悪く無いですよ。」
「マリーカさんも大丈夫?」
「そうですね、若干の不便はありますが、新しい家が出来る事を思えば苦にはなりませんね。」
やはり、新しい家と言うのは相当な魅力らしい。これで子爵家でのクラ―ネルの立場がぐっと上がるだろう。
「ゼルマキア侯爵家でも何やら増築をしていると聞きましたが、あの大きな家でも増築が必要なんですか?」
あれ?今日はマリーカ嬢が饒舌だ。クラ―ネルが一緒だからか?
「実は子供達の為に家庭教師を雇いたいと思いまして。うちは子供が5人居ますので、一人に一人家庭教師を雇うと5人増える事になります。なので、増築部分に家人の寝室を移して、母屋の方に使用人を住まわせる形にしたいと思っています。」
マリーカ嬢と波長が合うのかセリーも饒舌だ。
そんな感じで楽しい時間を過ごしていた時、事件は起こった。
外で大きな音が聞こえ、人々の叫び声や悲鳴が上がっている。僕とクラ―ネルは女性陣を残して、外へ飛び出した。
馬車事故だ。子供、10歳位の女の子が馬車に引かれたらしい。野次馬をかき分け現場に辿り着くと、下半身が潰された、女の子が見えた。
状況は良くない。このままだと数分で女の子は死ぬだろう。下半身は潰され千切れかけている、出血も多い。
クラ―ネルが魔法を発動しようとするのを止める。
「待て、これを使え。」
ストレージから小瓶を取り出し、クラ―ネルに渡す。
「これは?」
「エリクサーだ、彼女に振りかけてやれ。」
クラ―ネルが飛ぶ様に女の子に近づき、エリクサーを全身に振りかける。
女の子の体が一瞬淡く光り、時間を逆行する様に傷が治って行く。
周囲の野次馬からおお!と声が上がる。
僕はストレージから毛布を1枚取り出して、クラ―ネルに投げて渡す。女の子の体は治るが、着ていた服までは元には戻らないからだ。
クラ―ネルが、素早く女の子を毛布で包み。道の端に連れて行き横たわらせる。女の子は恐怖感から震えている。
「もう大丈夫だよ。どこか痛い所あるかい?」
クラ―ネルが女の子に優しく語り掛ける。女の子はゆっくりと首を横に振った。
僕がやっても良かったのだが、こう言う修羅場をクラ―ネルに経験させて置きたかったので、クラ―ネルに任せてみた。
女の子が助かったのが判ると野次馬が蜘蛛の子を散らす様に消えていく。そう言えば、この子の親はどうしたんだ?
それから5分程経った時に、女の子の母親と思しき人物が駆けつけて来た。
「ミルア!あなたが馬車に引かれたって聞いて、怪我は?」
「このお兄ちゃんが助けてくれたの。」
ミルアと呼ばれた子がクラ―ネルを指さす。
「ありがとうございます。私の家は小さな商会をやっております。些少ではございますが、お礼を差し上げたいと。」
「いや、お礼だなんて。子供が怪我をしていたら助けるのは当然ですよね?」
って、僕に振るなよ。
「商会ですか?何を扱っている商会でしょうか?」
野次馬が居なくなったのでセリーとマリーカ嬢が店から出て来た。
「うちは、公爵様の扱っている商品を少量ですが、取り扱わさせて頂いています。」
ほう?って事は、帝国のレシピや本等を扱っているのかな?
「セリー。悪いが、この方の商会について詳しく聞いて置いて貰えるか?後で呼び出すかもしれないって事も伝えて置いてくれ。あと、お礼は要らないって言って置いてね。」
「私の身分を明かしても良いのでしょうか?」
「ああ、構わない。」
そう言って今度はクラ―ネルに向きなおす。
「クラ―ネル。さっき、魔法を使おうとしたよな?」
「はい、エクストラヒールを使わないと助からないと思って。」
「いいか、良く聞けよ。この王国でエクストラヒールが使えるのは大司祭か聖女だけだ。」
「え?エイジさんも使えますよね?」
「そう。だから、人前では絶対に使わない。エクストラヒールを使える事が知られたら、教会に強制的に連れて行かれるぞ。」
現在の教会は以前ほど邪悪では無いが、その権威を取り戻すのに必死だ。なので、クラ―ネルの存在が知られたら、まず手を出してくると考えた方が良い。
「では、さっきみたいな場合はどうするのが正解だったのでしょう?」
「まず、無詠唱でハイヒールを掛ける。これで若干だが時間が稼げる。そして、クラ―ネルのアイテムボックスにはドラゴンの血が入っているだろう?それを飲ませるんだ。ドラゴンの血はそのままでも万能薬と同じ効果がある。これで、90%は回復する。そして、仕上げにもう一度ハイヒール。これで、エクストラヒール以上の効果が得られる。」
「なるほど、僕が魔法に頼り過ぎって言う意味がやっと解りました。しかし、エイジさんはエリクサーを持っていたんですね。ビックリしました。」
「まあ、ちょっとした伝手でね。それより、僕がエクストラヒールより上位の魔法を使えるのは知ってるよな?なんで、僕に声を掛けなかった?」
そう言うとクラ―ネルが、がっくりと項垂れた。
「僕のエクストラヒールで助けられると勝手に判断してしまいました。そうですよね、ここは僕が出るよりエイジさんが出た方が上手くやれた場面でした。」
「まあ、そうだな。でも、僕が居ない場合はクラ―ネルが自分で判断しなければならない。もう一度言う、エクストラヒールは人前で使うな。これを頭に入れた上で動け。」
「解りました。それと、上級万能薬の作り方をなるべく早く教えて下さい。その薬があれば、エリクサーと同等の効果があるんですよね?」
僕は思わず苦笑した。切り替えの早い奴だな。
セリーが女性から話を聞き終わったのを機に、親子と別れて、4人で貴族街に帰る事にした。
「あなた。彼女の商会を何に使う予定ですか?」
「ああ、クラ―ネルの商売の手助けをして貰おうと思ってね。向こうの商会も儲かるし、クラ―ネルは販路が確保出来る。双方共に利の有る良い話だと思うぞ。」
「え?僕が商売をするんですか?」
「ああ、僕の弟子なら商売も出来ないと駄目だぞ。」
「エイジさんには何時まで経っても追い付けない気がします。」
クラ―ネルが天を仰いだ。
「ドラゴンの素材は高く売れたか?」
「ええ、初めてドラゴンを狩った事を報告したら、血液10本と目玉2個、それに肝臓。合わせて白金貨300枚で買ってくれました。」
ほう?あの婆さんにしては高く買ってくれたな。ご祝儀価格かな?
「ちなみにドラゴン丸々1体で売ると白金貨500枚から700枚って言った所だ。それを考えると解体して売った方が儲かるって言う意味が解ったろう?」
「残った素材はどうしたら良いのでしょうか?」
「冒険者ギルドを通して、オークションにかけると良いぞ。あとは自分で使える物は使った方が良いかな。例えば牙なんかはドラゴンソードにしてからオークションにかけると値段が数倍に跳ね上がるぞ。」
「血液が沢山残っているんですが、これは何に使うんでしょう?」
あれ?お婆さんは説明しなかったのか?
「血液はそのままでも万能薬として使われる。クラ―ネルの使うエクストラヒールより効果が高いぞ。更に上級ポーションと混ぜると、上級万能薬になる。これは劣化版エリクサーとも呼ばれる位の高位のポーションだ。」
「へぇ、自分でも作れますか?」
「そうだな、それ程難しくは無いが、クラ―ネルは回復魔法が使えるからあまり意味が無いんじゃ無いか?」
「血液が沢山残ってるので販売用に作ろうかと。」
「上級万能薬はオークションで高値が付くが、いっぺんに大量出品すると値段が下がるぞ。その辺は上手く調整しろよ。」
と、僕たちが商売の話をしていると、横では女性陣が増築改築の話で盛り上がっていた。
「立ち話も何だから、喫茶店にでも入るか?」
商業地域なので喫茶店もあちこちにある。適当な店に4人で入った。
「家の改築は順調なのか?」
「はい、今、一回目の改築が3分の1程度進んだ所ですね。相当古い物件だったので、皆さん大喜びですよ。」
「でも仮住まいはきつく無いか?」
「いや、宿屋だと考えれば、そう悪く無いですよ。」
「マリーカさんも大丈夫?」
「そうですね、若干の不便はありますが、新しい家が出来る事を思えば苦にはなりませんね。」
やはり、新しい家と言うのは相当な魅力らしい。これで子爵家でのクラ―ネルの立場がぐっと上がるだろう。
「ゼルマキア侯爵家でも何やら増築をしていると聞きましたが、あの大きな家でも増築が必要なんですか?」
あれ?今日はマリーカ嬢が饒舌だ。クラ―ネルが一緒だからか?
「実は子供達の為に家庭教師を雇いたいと思いまして。うちは子供が5人居ますので、一人に一人家庭教師を雇うと5人増える事になります。なので、増築部分に家人の寝室を移して、母屋の方に使用人を住まわせる形にしたいと思っています。」
マリーカ嬢と波長が合うのかセリーも饒舌だ。
そんな感じで楽しい時間を過ごしていた時、事件は起こった。
外で大きな音が聞こえ、人々の叫び声や悲鳴が上がっている。僕とクラ―ネルは女性陣を残して、外へ飛び出した。
馬車事故だ。子供、10歳位の女の子が馬車に引かれたらしい。野次馬をかき分け現場に辿り着くと、下半身が潰された、女の子が見えた。
状況は良くない。このままだと数分で女の子は死ぬだろう。下半身は潰され千切れかけている、出血も多い。
クラ―ネルが魔法を発動しようとするのを止める。
「待て、これを使え。」
ストレージから小瓶を取り出し、クラ―ネルに渡す。
「これは?」
「エリクサーだ、彼女に振りかけてやれ。」
クラ―ネルが飛ぶ様に女の子に近づき、エリクサーを全身に振りかける。
女の子の体が一瞬淡く光り、時間を逆行する様に傷が治って行く。
周囲の野次馬からおお!と声が上がる。
僕はストレージから毛布を1枚取り出して、クラ―ネルに投げて渡す。女の子の体は治るが、着ていた服までは元には戻らないからだ。
クラ―ネルが、素早く女の子を毛布で包み。道の端に連れて行き横たわらせる。女の子は恐怖感から震えている。
「もう大丈夫だよ。どこか痛い所あるかい?」
クラ―ネルが女の子に優しく語り掛ける。女の子はゆっくりと首を横に振った。
僕がやっても良かったのだが、こう言う修羅場をクラ―ネルに経験させて置きたかったので、クラ―ネルに任せてみた。
女の子が助かったのが判ると野次馬が蜘蛛の子を散らす様に消えていく。そう言えば、この子の親はどうしたんだ?
それから5分程経った時に、女の子の母親と思しき人物が駆けつけて来た。
「ミルア!あなたが馬車に引かれたって聞いて、怪我は?」
「このお兄ちゃんが助けてくれたの。」
ミルアと呼ばれた子がクラ―ネルを指さす。
「ありがとうございます。私の家は小さな商会をやっております。些少ではございますが、お礼を差し上げたいと。」
「いや、お礼だなんて。子供が怪我をしていたら助けるのは当然ですよね?」
って、僕に振るなよ。
「商会ですか?何を扱っている商会でしょうか?」
野次馬が居なくなったのでセリーとマリーカ嬢が店から出て来た。
「うちは、公爵様の扱っている商品を少量ですが、取り扱わさせて頂いています。」
ほう?って事は、帝国のレシピや本等を扱っているのかな?
「セリー。悪いが、この方の商会について詳しく聞いて置いて貰えるか?後で呼び出すかもしれないって事も伝えて置いてくれ。あと、お礼は要らないって言って置いてね。」
「私の身分を明かしても良いのでしょうか?」
「ああ、構わない。」
そう言って今度はクラ―ネルに向きなおす。
「クラ―ネル。さっき、魔法を使おうとしたよな?」
「はい、エクストラヒールを使わないと助からないと思って。」
「いいか、良く聞けよ。この王国でエクストラヒールが使えるのは大司祭か聖女だけだ。」
「え?エイジさんも使えますよね?」
「そう。だから、人前では絶対に使わない。エクストラヒールを使える事が知られたら、教会に強制的に連れて行かれるぞ。」
現在の教会は以前ほど邪悪では無いが、その権威を取り戻すのに必死だ。なので、クラ―ネルの存在が知られたら、まず手を出してくると考えた方が良い。
「では、さっきみたいな場合はどうするのが正解だったのでしょう?」
「まず、無詠唱でハイヒールを掛ける。これで若干だが時間が稼げる。そして、クラ―ネルのアイテムボックスにはドラゴンの血が入っているだろう?それを飲ませるんだ。ドラゴンの血はそのままでも万能薬と同じ効果がある。これで、90%は回復する。そして、仕上げにもう一度ハイヒール。これで、エクストラヒール以上の効果が得られる。」
「なるほど、僕が魔法に頼り過ぎって言う意味がやっと解りました。しかし、エイジさんはエリクサーを持っていたんですね。ビックリしました。」
「まあ、ちょっとした伝手でね。それより、僕がエクストラヒールより上位の魔法を使えるのは知ってるよな?なんで、僕に声を掛けなかった?」
そう言うとクラ―ネルが、がっくりと項垂れた。
「僕のエクストラヒールで助けられると勝手に判断してしまいました。そうですよね、ここは僕が出るよりエイジさんが出た方が上手くやれた場面でした。」
「まあ、そうだな。でも、僕が居ない場合はクラ―ネルが自分で判断しなければならない。もう一度言う、エクストラヒールは人前で使うな。これを頭に入れた上で動け。」
「解りました。それと、上級万能薬の作り方をなるべく早く教えて下さい。その薬があれば、エリクサーと同等の効果があるんですよね?」
僕は思わず苦笑した。切り替えの早い奴だな。
セリーが女性から話を聞き終わったのを機に、親子と別れて、4人で貴族街に帰る事にした。
「あなた。彼女の商会を何に使う予定ですか?」
「ああ、クラ―ネルの商売の手助けをして貰おうと思ってね。向こうの商会も儲かるし、クラ―ネルは販路が確保出来る。双方共に利の有る良い話だと思うぞ。」
「え?僕が商売をするんですか?」
「ああ、僕の弟子なら商売も出来ないと駄目だぞ。」
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クラ―ネルが天を仰いだ。
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