転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 クラ―ネルに帝国を案内してから、訓練でのクラ―ネルに変化が出た。やる気と言うか、積極性が出て来たのだ。

 基本、受け身のクラ―ネルが自分から進んで行動を起こすのは珍しい。

 おそらく、早く帝国に行ってやりたい事があるのでは無いかと推測している。

 僕はと言うと、クラ―ネルの神の欠片を破壊するかどうかで悩んでいる。現状クラ―ネルの体から怒りの精霊を取り出す方法は神の欠片を砕くと言う方法しか思いつかない。

 神の欠片を砕いても、現在のクラ―ネルならば耐えきれる所まで鍛えたつもりだ。だが、神の欠片を砕かなくて済む方法があるのでは無いかと言う希望を捨てた訳では無い。

 神の欠片を砕けば、一時的とは言え、かなり魔法の威力が落ちるだろう。クラ―ネルがそれに耐えられるのかどうかが心配だ。

 もう一点、気になる事がある。何故精霊王は怒りの精霊を殺さずに封印したのかという点だ。そこに何かがあると思うのだが、ブラスマイヤーにも竜王の爺さんにもルシルにも解らないと言われた。

 そもそも邪精霊でない精霊が何故封印されたのかと言うのも謎だ。一度精霊王に会って話を聞く必要があるかもしれない。

 そう言えば、クラ―ネルの家が半分完成したらしい。1週間ほど休みを挟んで、残りの半分の工事が始まるそうだが、家人と数名の使用人は母屋に戻れるとかでテンションが上がっている様だ。

 ちなみに僕の家の増築はまだ1か月位かかるそうだ。そうそう風呂は立派なのが完成してます。まだ入れないけどね。

 ポルト商会はだいぶ安定して来た様だ。リバーシとクラ―ネルのお陰で儲かって仕方がないと言った感じらしい。

 ここの所のクラ―ネルは魔道具と狩りで月に白金貨500枚は優に稼いでいる。まあその分出て行くお金も大きいが、半分以上は貯金出来ているはずだ。

 レンツェル子爵家は急激に裕福になり、周囲からも注目の的になって居るらしい。まあ、特に子爵家の金遣いが荒くなったとか言う訳では無いのだが、家を改築したり家人の給料が倍になったりと言うのはメイドネットワークですぐに噂が広まる。

 そして、そう言う噂が立つと訳の分からない親戚や知人と名乗る人物が現れるのは何処の世界でも一緒だ。

 まあ、今の所実害は無い様なので静観しているが、クラ―ネルの実家である、リドリル家が何も言って来ないのがちと不気味ではある。

 ある日の狩りの帰り。僕は思い切ってクラ―ネルに話をしてみた。

「なぁ、クラ―ネル。現状、魔法を使わなくてもドラゴン位は退治できる自信はあるだろう?」

「そうですね。だいぶ鍛えられましたからね。」

「もし、今突然魔法が使えなくなったらどうする?」

「さあ、どうするでしょうか?自分でも分かりませんね。」

「実は、クラ―ネルに話して置かないとイケない事がある。」

 それが真面目な話だと分かったのか、クラ―ネルは歩を止めた。

「クラ―ネルは神の欠片と言うのを知っているか?」

「いえ、知りません。」

「まあ、簡単に言うと魔物の魔石の様な物が人間にもある。だいたい2人に1人位の割合で持っていて、クラ―ネルのは他の人に比べて特別大きい。」

「大きいと問題があるのですか?」

「いや、神の欠片が大きいと魔法が上手く使える。悪い事では無い。だが、クラ―ネルの場合、特別大きいと言ったろう?そこで問題が生じた。精霊王に目を付けられたんだ。」

「精霊王ですか?」

「そうだ。精霊王はクラ―ネルの神の欠片に怒りの精霊フューリーを封印した。」

「封印?僕はどうなるのですか?」

「正直判らない。怒りの精霊は強い怒りの波動に反応して暴走する事があるそうだが、明日暴走するかもしれないし、死ぬまで暴走しないかもしれない。」

「僕にはどうする事も出来ないのでしょうか?」

「一つ方法がある。神の欠片を砕いて、怒りの精霊を解き放つと言う荒業だ。」

「解き放たれた精霊はどうなるのでしょう?」

「おそらくだが、精霊界に戻って行くだろうな。正常な状態ならば。」

 クラ―ネルが心臓のあたりに手を持って行く。

「神の欠片を砕いたら僕は魔法が使えなくなるのでしょうか?」

「いや、全く使えないと言う訳では無い。一般人と同じレベルになるだけだ。また修行をすれば、今の力を取り戻せる。だが、時間は掛かる。」

「なるほど、それでエイジさんは魔法を使わなくとも冒険者を続けられる力を僕に与えてくれたんですね。」

 あれ?意外に冷静だな。もしかして、怒りの精霊と一緒にクラ―ネルの怒りの感情も封印されている?

「まあ、無理に封印を解く必要は無いかもしれない。人間と精霊では流れている時間が違う。だが、確実性を取るなら神の欠片は砕いて置いた方が良い。すぐに結論の出る話では無いだろう。考えて置いてくれ。」

「一つ聞いても良いですか?僕が魔法を使えなくなってから元に戻るまでの間、エイジさんが居るのと居ないのではどの位の違いがありますか?」

「おそらくだが、この世界の住人は漏れなく魔法が使える。そしてクラ―ネルはその使い方を知っている。一時的に魔法の力が弱っても、力を取り戻すのにそう時間は掛からないと考えている。まあ、僕が傍についていた方が若干だが時間短縮になるかもしれないな。」

 そう言うとクラ―ネルは覚悟を決めた目でこう言った。

「では、砕いて下さい。僕の体の中に危険な物をずっと持ち続けるのは周りの人間も危険にさらすと言う事ですよね?それは僕には許容できません。」

「良いのか?時間はまだ十分あるぞ?」

「知らない間はそれで済みますが、知ってしまったら、一刻も早く取り除きたいと思いますね。正直、自分の体の中に何かが居るって言うのはすごく気持ちが悪いですよ。」

 クラ―ネルはずっと胸のあたりを押さえている。まるでそこに怒りの精霊を感じている様にも見える。

 実を言うと神の欠片を砕かなくても、取り出すと言う方法もある。しかも取り出した方が肉体へのダメージは少ない。だが、このメリットを捨ててでも、僕は砕くと言う選択肢を選ぶ、それは、砕いた欠片の一番大きな欠片が、新しい神の欠片として機能する可能性に賭けてみたいのだ。

 肉体のダメージは回復魔法で何とでもなる。しかし、神の欠片の恩恵は抜きとってしまったらゼロだ。砕く事で僅かな希望が残る。クラ―ネルの神の欠片は特別大きい。この大きさにより、精霊を封印されてしまったのだが、果たして、どの位の大きさまで小さくすれば封印が解けるのだろうか?

 もし、半分砕いた所で精霊の封印が解ければ、半分の大きさの神の欠片は残る事になる。

 正直、今の段階で打てる手段はこれ位しか見つからなかった。

「本当に良いのか?最悪死ぬぞ?」

「死んだ位なら何とでもなるんでしょう?」

 どうやらクラ―ネルの覚悟は本物らしい。ならばこちらも覚悟を決めるか。

「クラ―ネル、体の力を抜いて、何があっても抗うな。」

 僕は真眼を発動して、クラ―ネルの神の欠片を捉える。初めて見るが確かに大きい。

 まずは10分の1を砕く。見えない手を伸ばして神の欠片を握りつぶす感じだ。

 クラ―ネルが、くっと声を出す。痛いのか?更に続けて10分の1の大きさを握りつぶす。まだ封印は解けない。

「苦しいだろうが、もう少し我慢しろ。」

 僕は更に10分の1の大きさを握りつぶした。これで神の欠片は10分の7の大きさになった。まだ反応は無い。

 まだ駄目か?もう一度試す。神の欠片は10分の6の大きさになった。次の粉砕で神の欠片は半分になる。

 神の欠片を握りつぶそうと見えない手を伸ばした時、それは起こった。クラ―ネルの口から怒りの咆哮が上がったのだ。

 これは封印が解けたと捉えて良いのか?

「クラ―ネル!」

 僕の声にクラ―ネルは反応しない。どうなっている?クラ―ネルの体に憑依したのか?精霊にそう言う能力があるとは聞いていないぞ。

 急いで真眼からサーチに切り替える。精霊の反応は?まだ、クラ―ネルの体の中だ。精霊の封印に神の欠片が耐えられるギリギリのラインを超えたって事か?ならば、もう一度神の欠片を握りつぶし、半分にすれば、封印は解けると言う事になる。

 サーチから真眼に戻す。だが、クラ―ネルが苦しんでいて藻掻いている為狙いが定まらない。
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