転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 メイドが紅茶とケーキを置いて去るのを待ち話を始める。

「まさか、公爵本人が来るとは思いませんでした。」

「元公爵だよ。それにこう言う話は間に人を挟むと色々と齟齬が生じる可能性があるからね。」

「出歩いて大丈夫なんですか?」

「ここは安全なんだろう?」

 まあ、僕が居る限りは元公爵に指一本触れさせる気は無いが、それにしても肝が据わっているな。

「早速ですが、『救済の箱舟』の話を聞きたいのですが。」

「うむ、何処から話せば解り易いかな。君は確か冒険者もやっているんだよな?それもSランク冒険者だとか。」

 僕は黙って頷く。

「冒険者ギルドにSランク冒険者が何人いるか知っているか?」

「えっと、現在は11人と聞いています。」

「ふむ、冒険者ギルドと言う組織が出来、ランク制度が生まれて1000年近い。Sランク冒険者と言う存在が現れたのは500年程度前だ。そして、Sランク冒険者と言うのは常に10人前後しかいない。これがどう言う事か解るかね?」

「何者かの意思が介在していると?」

「冒険者ギルドとは別にある組織が存在する、仮に闇ギルドと名付けて置こう。そこにはSランク冒険者に相当する者が数百人居て、SSランクとも呼べるものが30人は居ると言う。更にSSSランクに相当する者が最低でも5人は居るそうだ。」

「んー、強さの基準がイマイチ解りませんね。SSSランクってどの位強いのでしょうか?」

「Sランクの強さは解るよな?例えば災害級の魔物、ドラゴンとしようか、これをパーティーで倒せるのがSSランク、単独で倒せるのがSSSランクと言った感じかな。」

「僕や弟子のクラ―ネルは単独でブラックドラゴン位なら瞬殺出来ますが、SSSランクの力があると思って良いですか?」

「いや、それが本当ならもう1個位Sが増えるかもしれんな。なるほど、奴らが君の事を気にしていた理由が解った気がするよ。」

 ん?僕って『救済の箱舟』に目を付けられてたのか?

「でな、そう言った力のある集団が存在すると、当然集まった素材を換金する必要が出て来る。まあ、そうやって生まれたのが闇ギルドだ。闇ギルドは徐々に裏の世界で力を付けて来た。裏ギルドなどとも取引をしたり、個人的に商会と繋がりを持ったりしているうちに、この王都の半分を支配するに至った。」

 王都の半分が既に闇ギルドに支配されて居ると言うのか?

「その存在に目を付けた団体がある。それが『救済の箱舟』だ。元々『救済の箱舟』と言うのは理念のみの小さな宗教団体だった。しかし、彼らは力を手に入れてしまった。本来なら交わるはずの無い2つの団体を結び付けた物、それは麻薬だ。」

「麻薬ですか?」

「ああ、元々『救済の箱舟』は麻薬を利用して組織を拡大して来た。闇ギルドの首魁はそのやり方を模倣しようとして、『救済の箱舟』に組織ごと飲み込まれてしまったんだ。」

「なるほど、あの狂信的なまでの忠誠心の正体は麻薬ですか。」

 道理で横の繋がりが出て来ないはずだ、繋がりは麻薬だったのか。

「現在『救済の箱舟』を主導しているのは5長老と呼ばれる5人の老人だ。老人と言っても見た目は若い。若返りの秘薬を常用しているらしい。正確な年齢は判らない。」

「若返りの秘薬と言えば、公爵も使用していますよね?その割に顔色が良くありませんが?」

「ああ、実は胸を蝕まれてね。万能薬を飲んだのだが、完治はしなかった。だが、まだ数年は持つだろう。」

 胸?肺かな?肺がんだと厄介だな。

「魔法を掛けさせてもらっても宜しいでしょうか?」

 そう言ってリカバリーとパーフェクトヒールを無詠唱で掛けて置く。

「お?胸の苦しいのがスッキリとした。君は魔法も使うのだな。」

「いえ、僕は基本魔法使いですよ。剣も使うと言うのが正しいですね。」

「ほう?面白いな。」

「続きをお願いします。5長老の下はどうなっているんですか?」

「ふむ、5長老の下には幹部と呼ばれる7人の精鋭が居る。実質組織を動かしているのはこの7人だな。闇ギルドのメンバーに命令しているのもこの7人だ。」

「その中核メンバー以外はどうなっているんでしょうか?実は外から『救済の箱舟』を探ってみたのですが、手掛かりが途中で途切れるんですよね。」

「ふむ、それは裏ギルドが関わっているからだ。『救済の箱舟』が中心核だとすれば裏ギルドは手足になる。」

「裏ギルドは完全に『救済の箱舟』に飲み込まれているんですか?」

「いや、裏ギルドはかなり大きな組織だ、その中でも麻薬に関わって居る者が『救済の箱舟』に力を貸している。」

 なるほど、捕まったら自殺する程の忠誠心を持った外部の人間と言うのは考えにくいと思っていたが、麻薬が絡んでいるのか。

「麻薬はこの王都でどの位広まっているんですか?」

「現在、この王国に麻薬を禁止する法は無い。王都だけで言えば6割。王国全土なら4割が麻薬に汚染されている。」

「そんなに浸透しているんですか?」

「ああ、だが、麻薬=救済の箱舟では無い所が厄介な所だ。麻薬が救済の箱舟の資金源になって居るのは確かだが、裏ギルドも麻薬を扱っている。」

「麻薬の製造工場や栽培場所とか判らないんですか?」

「それなんだがな、麻薬は錬金魔法で作成されているのでは無いかと思われる。」

 自然の麻薬では無く合成麻薬なのか?それは厄介だな。

「とりあえず、現国王に掛け合って麻薬取締法を作って貰いましょう。」

「今まで合法だったものが急に違法になると最悪暴動が起こる可能性があるぞ。」

「困りましたね。国家転覆の資金源になってるんですよね?」

「一番良いのは救済の箱舟を潰して麻薬が出回る量を減らす事だな。」

 ここでもネックは救済の箱舟なのか。

「一つ聞きたいのですが、救済の箱舟の何処を潰したら一番ダメージが大きいですか?」

「そうだな、やはり実行部隊の闇ギルドを潰すのが一番ダメージになると思うぞ。」

「闇ギルドをまとめて何処かに引っ張り出す方法って無いですか?」

「ふむ、そう言う方法があったとして、闇ギルドの精鋭と互角に戦える戦力を揃えられるか?」

「あー、僕は魔法使いだと言いましたよね?この王都位なら一瞬で消し飛ばせますよ。」

 これは誇張でも何でもない。封印の腕輪をしたままでも、その位は可能だ。

「ある意味『救済の箱舟』より君の方が恐ろしいな。」

「そうですか?僕は正義の味方ですよ?」

「解った。そう言う事なら一つ作戦がある。君を闇ギルドの中心部に連れて行けば良いのだろう?」

 ん?元公爵の雰囲気が変わった。死ぬ気か?

「その場所に行くに当たって、僕の弟子も連れて行って良いでしょうか?」

「クラ―ネル君かい?」

 ほう?そこまで調べているとは流石だな。

「その通りです。彼には実戦を体験させてやりたいのでお願いします。」

「良いだろう。」

 これで、元公爵の命をクラ―ネルに任せて自由に戦える。

 その後、具体的な作戦を話し合い、13時過ぎには何事も無かったように馬車で帰って行った。

 一応サーチを掛けていたが元公爵を付けている様な気配は無かった。あの元公爵も謎な人物だな。

 さて、作戦決行は3日後だ。クラ―ネルとも打ち合わせをしなければならない。そして、闇ギルドを叩き潰したら、今度は救済の箱舟を潰す作戦を考えないとな。やる事が沢山ある。

 翌日の朝、稽古の後、クラ―ネルと闇ギルドとの対決についての作戦を話し合う。クラ―ネルには元公爵を守る事を優先させてもらう事にする。恐らく元公爵は死を覚悟しているだろう。それを守るのは意外に面倒だ。これを成功させればクラ―ネルの経験値もあがるだろう。

 そして、作戦決行の日、前回と同じように10時きっかりに元公爵が僕の家を訪れる。僕とクラ―ネルは既に戦闘態勢を整えて待っていた。
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