転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 翌日、町と言うか王都全体がざわついている。

 闇ギルドと裏ギルドが壊滅的なダメージを受け、麻薬の供給が極端に減っているのだ。売人達も供給源から麻薬が手に入らなければ商売が出来ない。

 街の様子を見るに余程麻薬が浸透していたのが判る。

 さて、僕とクラ―ネルは、元公爵に呼ばれて護衛任務だ。元公爵は何をしようと言うのだろう?

「そろそろ種明かしをしても良いのでは?」

「なに、大した事をする訳では無い。ちと、演説をしようと思ってな。」

「演説ですか?」

「ああ、それで、この繁華街を選んだ。」

 元公爵の付き人が、街角に1段高い台を置く。公爵はそこに昇り、演説を始める。

「諸君。私はグルニージア元公爵。先代の公爵と言えば解って貰えるだろうか?私は長年、救済の箱舟と戦い続けて来た。そして勝利した。これからは麻薬は手に入らなくなる。麻薬に頼っていた者達は、悔い改め、まともな日常生活を送って貰いたい。」

 周囲の人々から嘘だ!とかそんな筈は無い!と言った言葉が投げかけられる、中には石を投げる者も居る。

 僕は物理障壁を張り元公爵を守る。

「俄かに信じられないのは解る。だが、麻薬が手に入らないのは何よりの証拠だとは思わんか?君たちは救済の箱舟を信じて来た。だが、救済の箱舟は君たちを利用しただけだ。そろそろ目を覚ます時が来たと思い知るが良い。」

 繁華街はざわめきに包まれる。皆半信半疑なのだろう。

「他でも演説するんですか?」

「いや、これで十分だ。こう言う噂は広まるのが早い。そう時間が掛からずに救済の箱舟の耳にも入るだろう。」

「狙いはなんです?」

「敵のあぶり出しだよ。実行部隊が居ない今、動くのは誰だろうな?」

「そう、上手く行きますか?」

「上の者は側近に命じる。その側近が居なくなったら、君ならどうする?」

「新しい側近を探します。」

「ふむ、闇ギルドの様な組織ならともかく、急に命じられた側近は果たして秘密を守り切れるだろうか?」

 なるほど、それが目的か?そう言えば闇ギルドの統括の様な存在は居ないのだろうか?

「救済の箱船は動きますかね?」

「動くだろうな。今、動かないと、資金源が大打撃を受ける。」

「麻薬ですか?次の手も読んでいると?」

「おそらく、私の発言を打ち消すために大量の麻薬を流すだろう。我々は売人を張って居れば新規の側近を捕縛出来る。ついでに麻薬も回収しないとな。」

 元公爵流石だな。長年救済の箱舟と渡り合っていただけあって、相手の出方を完全に読んでいる。これで武力があれば、救済の箱舟はもっと早く叩き潰せたのにな。

 何にせよ、知将の凄さと恐ろしさを知った。これが戦時だったら、彼一人で戦況をひっくり返せるだろう。もし、彼が国王になって居たらこの国はどうなっていたのだろう?

 元公爵の言う通りその日のうちに救済の箱舟は動いた。売人の動きを追っていた僕らは、大量の麻薬を卸す救済の箱舟の構成員を捕縛する事に成功した。

 構成員の記憶から、幹部の一人の名前が浮かび上がった。ルデリ子爵。現在の子爵では無くその父親だ。元子爵にあたる。

 ざっと調べた所、ルデリ子爵家は貧乏貴族の1つだ、その先代が救済の箱舟の幹部だとは誰にも解らないだろう。

 急いでルデリ子爵家に、元子爵を捕縛に行くが、既に蛻の殻だった。家族に話を聞くが、居場所は判らないらしい。

 こうなる事を予測していたのか?だとすれば、家族に話を聞いても手掛かりは出そうも無い。

 さて、また振り出しに戻ってしまった。どうする?いや、大量の麻薬は確保したから、また補充に誰かが現れる可能性があるのか?

「公爵、どうします?ルデリ子爵の名前にまでは到達しましたが、また手掛かりが途絶えてしまいましたね。」

「ふむ、そう悲観した物でも無いぞ、過去のルデリ子爵の行動範囲を洗えば何らかの手掛かりが得られるかもしれん。そっちは私の部下に任せたまえ。」

「僕らはどうしますか?」

「暫くは王都に麻薬が出回らない様にしてくれ。救済の箱舟の資金源を完全に絶つ事で、次の動きがみられるかもしれん。」

 僕とクラ―ネルは手分けして売人の動きを追い、取引が行われそうになると邪魔しに入る。

 大元の供給は途切れていても、売人が持っている在庫はそれなりにある。なので、個人との取引は途絶えない。僕らはなるべく、売人から麻薬を取り上げる事を優先する。

 要は使用者に麻薬が渡らなくなる事が重要なのだ、麻薬が手に入らない状況になれば、供給者がきっと動くと踏んでいる。

 翌日も僕とクラ―ネルは麻薬の売買潰しを行う。その間に元公爵はベルンツ男爵の名前を突き止めていた。どうやらこちらも現男爵では無く先代らしい。彼も幹部の一人だそうだ。

 元公爵と合流して、ベルンツ男爵邸に赴くが、先代の男爵は3日前から留守だそうだ。こうなると他の幹部達も、何処かに集合して僕らの追跡を躱そうとしていると考えた方が良さそうだ。

「先手を打たれましたかね?」

「いや、恐らくは、君の屋敷を襲撃する時点で、誰かしらの正体がバレる可能性を視野に入れていたのだろう。私としては、幹部の名前が解っただけでも、かなりの収穫だしな。」

 元公爵が言うにはルデリ子爵とベルンツ男爵の間になんらかの繋がりがみつかれば、そこから今まで謎だった5長老の正体に迫れるかもしれないと言う事だ。

 まあ、5長老の一人でも潰せれば、救済の箱舟も大人しくなるかもしれない。

「ここからの作戦はあるんですか?」

「私の今までの経験と君たちの戦力、おそらく今までで一番救済の箱舟を追い込んでいる状態だろう。奴らは今までに無い窮地に追い込まれている。必ず何らかの反撃に出て来るはずだ。そこがチャンスだな。」

 確かに、地下組織の救済の箱舟がここまで追い込まれる状況は滅多に無いだろう。折角築き上げた組織も今ではボロボロだ。救いは、まだ5長老にまで手が伸びで居ない事だけ。でも、5長老がここで逃げると言う選択は無いのだろうか?

 若返りの秘薬があれば、暫くは隠れている事も可能なのでは?

「いや、恐らく、若返りの秘薬を購入する資金が足りなくなるはずだ。ならば、奴らはきっと、資金調達の為に表との繋がりを求めるはずだ。」

「しかし、闇ギルドは壊滅、裏ギルドも大打撃で暫くは関りを持たないでしょう。救済の箱舟は何処と手を結ぶつもりでしょうか?」

「君は、この王国以外に国があると言ったらどうする?」

 ん?元公爵は大森林の向こう側を知って居るのか?

「大森林の向こう側ですか?」

「これは驚いた。私以外にその事に気が付いている人間が居るとは思わなかったよ。これは、あくまでも想像だが、救済の箱舟の長老たちはこの国の人間では無いのでは無いかと思っている。」

「その根拠は?」

「知識だな。我々とは違う知識を持っているのでは無いかと思う事がある。」

「確かに彼の国では王国より進んだ文明を持っています。ですが、その知識だけでは王国を支配する程の力は無いと思いますよ。」

「君は、大森林の向こう側へ行った事があるのか?」

「はい、3つの国がありました。現在は3つの国がそれぞれ牽制し合いバランスが取れています。」

「では、5長老の知識は何処から来た物なのだろうな?」

「心当たりがあるとすれば古代の知識ですね。古代文明は今より遥かに進んでいたと言われて居ます。」

「古代文明か、それは可能性があるが、実際に使える者が居ると言う話は聞いた事が無い。」

「若返りの秘薬は古代文明の遺産ですよ。」

「ふむ、まあ、その話は一旦置いて置くとして、救済の箱舟が大森林の向こう側の国と手を結んだら、どうなると思う?」

 カルト教団の話に乗るかどうかは判らないが、王国の存在がバレたら、3つの国が同盟を結んで攻めて来る可能性は高い。僕が大森林を取り払わない理由でもある。

「それは、非常に危険ですね。救済の箱舟の意思に関係なく、この王国が侵略される可能性があります。」

「私もそれを心配している。救済の箱舟は別の国を使ってこの国を滅ぼさせようとしているのでは無いかと言う最悪のシナリオだ。」

「しかし、この国が滅びても、侵略した国をコントロール出来なければ救済の箱舟の目的は達成されないのでは?」

「私もそれが知りたくて5長老に直接聞きたいと考えている。」
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