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「君の言う事が正しければ、私の持っているリストに長老あるいは長老に繋がる者の名前が載っていると言う事になるな。」
元公爵はすっかり怪我のショックから立ち直っている。
「ちなみにそのリストって何人位の名前が載っているのでしょう?」
「若返りの秘薬は高価な上希少だ。それに幾ら金を持っていても販売ルートを知らなければ買う事が出来ない。よって購入者の数も絞られる。私のリストに載っている数はおよそ30人程度だ。しかも、昔から私が知って居る者もかなりの数載っている。それらを省けば、私の知らない人物は5人程度にまで絞れるぞ。」
「なるほど、それは敵も慌てるでしょうね。恐らく長老自らが秘薬を購入するとは考えにくい、だとすれば代理人を立てたはずです。そして、現在の救済の箱舟に人材は居ない。その代理人を突き止めれば、すぐに長老にまで辿り着けるでしょう。危機感を抱いた長老は、元公爵の抹殺に乗り出さずにはいられなかったと言った所でしょう。」
「ふむ、私の知らない5人のリスト、すぐに調べさせよう。」
ここからは元公爵の仕事になるが、向こうも対策を講じて来るだろう。クラ―ネルを護衛に付けよう。
「何か判ったら僕にも教えて下さいね。」
僕はクラ―ネルを連れて王城を辞す。王城から少し離れた場所で護衛の件を話し、侯爵家へ転移する。
しかし、今回の敵は洗脳を使うのか。異能者の厄介さは前回の時を止める能力を持つ長老で思い知った。
今回の敵は洗脳を使うとしかまだ解ってない。その効果範囲がどの位かも判らないし、多数の人間を一遍に洗脳できるのかも判らない。だが、長老の地位に付くほどの能力者だ、それなりの力を持っていると仮定した方が良さそうだ。
翌日、治療院へ行くと、受付嬢から昨日の状況を聞かされた。彼女は中央治療院に居たらしいが、急患が100人近く押し寄せたらしい。普段の中央治療院のキャパは1日60名前後だ、それが短時間に100人だと治療師が2人でもかなりキツイだろう。
更に言えば、マリオンの東治療院は実質マリオン1人しか治療師が居ない状態だ。彼女の弟子が軽症者に対応できたとしても、100人は対応できないだろう。
なるほど、僕の治療院にまで患者が回って来た理由が解った。
まあ、今回の患者ラッシュは言わばイレギュラーだ、そうそう起こる事では無い。
それに、ケルビンの西治療院なら治療師が5人居るから、100人以上に対応出来た可能性が高い。これから治療院が増えれば、こう言った事が起こっても対応できる可能性が高くなる。
今回、救済の箱舟が十分準備が出来て無い状況でテロを決行したのでこの程度の規模で済んだが、もし、救済の箱舟の全盛期に同時多発テロを起こされて居たらと思うと冷や汗が出る。
僕が治療院を始めたのは医学知識の拡散の為だ、決して、この事態を想定していた訳では無い。
だが、救済の箱舟は治療院の存在ありきの作戦を決行して来た。これは、一歩間違えれば治療院がテロの標的になって居た可能性があると言う事だ。
僕は弟子たちに治療魔法しか教えていない。自衛のための魔法が使える者はおそらく居ないだろう。これから、攻撃魔法を教えるのはどうなのだろうか?僕には悪手に思える。
元公爵が何処まで長老に迫れるかにも寄るが、これからも救済の箱舟は様々な攻撃を仕掛けて来るだろう。向かう先が、僕や元公爵なら何とでもなるが、治療院に向かうのは避けたい。
正直、僕一人では治療院全部を守り切るのは難しい。クラ―ネルは元公爵に付けているし、ルシルと竜王の爺さんを呼ぶと事態が余計にややこしくなりそうだ。
ここは守るより攻める事を考えた方が良いかもしれない。
元公爵が、疑わしい五人の調査をしている最中、五人の中の一人が自殺した。自殺したのは割と大きめの商会の商会長だそうだ。このタイミングで自殺とか、洗脳されて操られていたとしか思えない。
商会長はおそらく長老と繋がりがあるはずだ、だが、元公爵がいくら調べても長老の影さえ掴めなかったらしい。これで、手掛かりが無くなったと言う事になる。
「自殺ねぇ。あからさまに尻尾を切って来たのは驚くが、目的の若返りの秘薬は既に入手済みなんだよな?だとすれば、次の犠牲者がすぐに出る訳では無いと言うのが救いかな?」
僕はクラ―ネルに語り掛けた。情報を持って来たのはクラ―ネルだ。
「そうですね。恐らく、彼を消しても自分の正体に気付かれない絶対の自信があるのでしょうね。」
「一つ気になる事があるんだが、洗脳ってどうやるんだろうな?例えば魔法みたいな物だとすると効果範囲があるはずだ。10メートルも離れた位置から洗脳出来るとしたら防ぎようが無い。だが、今回商会長を消した事で解った事もある。恐らく洗脳するには実際に会わないといけないと言う事だ、でなければ商会長を消した意味が解らない。」
「なるほど、でもテロの実行犯は消されて居ませんよ?まだ元公爵が監禁しています。」
「ふむ、商会長とテロ実行犯の違いが判れば、首謀者の正体が判るかもしれないぞ。何故商会長が消されたか?それは長老の正体を知っているからだ。だが、テロ実行犯は自分に洗脳を掛けた相手の事を知らない可能性が高い。」
「でも、商会長も洗脳されて居たんですよね?なら、正体を知っていてもバラされる事は無いのではないですか?」
クラ―ネルは相変わらず頭が回るな。
「では、こう考えたらどうだ?洗脳には有効期限がある。無制限に洗脳が続くと言うのは不自然な気がしないか?」
「ああ、そうですね。確かに洗脳が解けないと言うのは不自然ですね。時間制限や効果範囲があっても不思議は無いです。」
「だとすればだ。テロの実行犯の記憶を探れば、正体は判らないが顔は判るかもしれないぞ。」
僕とクラ―ネルは急いで元公爵の元へ転移する。
事情を話し、監禁されているテロ実行犯の元へ連れて行って貰う。簡素な牢屋に10数人の男が薬で眠らされていた。
僕は、その内の一人の頭に手を置き、記憶領域を探っていく。なるべく最近の記憶の中から、この男とあまり接点の無さそうな人物を探る。すると一人のにこやかな初老の紳士が引っかかる。だが、この男が長老だとは決めつけられない。
そこで、次の男の記憶も探ってみる。やはりこの男の記憶の中にも初老の紳士の顔がある。男たちは言わば街の荒くれ者だ、明らかのこの紳士と繋がりがある様には思えない。
3人目の男の記憶を探り、それが確信に変わる。3人が共通で記憶している人物で比較的最近の記憶は、初老の紳士だけだ。僕はそのイメージをストレージを使い紙に転写する。粗いモノクロ写真の様だが、人物の特定は出来るだろう。鮮明なカラー写真を作る事も可能だが、それはアウトだろう。
僕はコピーを数枚作って、その内の1枚を元公爵に渡した。
「この人物について調べられますか?おそらく、この男が長老の一人で、洗脳を使う能力者だと思います。洗脳を使いますので、十分気を付けて調査して下さい。」
元公爵は紙を受け取ってじっくりと眺める。
「これはまた、精巧な肖像画だな。ここまで鮮明なら間違える事もあるまい。任せておきたまえ。」
「見つけてもすぐに戦闘は仕掛けないで下さい。どの様な能力を持っているかわかりません。出来れば我々を呼んで頂けると助かります。」
元公爵は少し考えてから答えた。
「解った。君たちの戦力は十分承知している。だが、君たちが洗脳され敵に回ると厄介だ。洗脳に対する対策はあるんだろうな?」
「問題ありません。相手が洗脳持ちだと最初から解って居るなら幾らでも対策は可能です。僕としては、元公爵が洗脳されるのが怖いですね。」
「ふむ、お互い様って事か?」
そう言って元公爵が大声で笑った。笑い声が邸宅に響く。
元公爵はすっかり怪我のショックから立ち直っている。
「ちなみにそのリストって何人位の名前が載っているのでしょう?」
「若返りの秘薬は高価な上希少だ。それに幾ら金を持っていても販売ルートを知らなければ買う事が出来ない。よって購入者の数も絞られる。私のリストに載っている数はおよそ30人程度だ。しかも、昔から私が知って居る者もかなりの数載っている。それらを省けば、私の知らない人物は5人程度にまで絞れるぞ。」
「なるほど、それは敵も慌てるでしょうね。恐らく長老自らが秘薬を購入するとは考えにくい、だとすれば代理人を立てたはずです。そして、現在の救済の箱舟に人材は居ない。その代理人を突き止めれば、すぐに長老にまで辿り着けるでしょう。危機感を抱いた長老は、元公爵の抹殺に乗り出さずにはいられなかったと言った所でしょう。」
「ふむ、私の知らない5人のリスト、すぐに調べさせよう。」
ここからは元公爵の仕事になるが、向こうも対策を講じて来るだろう。クラ―ネルを護衛に付けよう。
「何か判ったら僕にも教えて下さいね。」
僕はクラ―ネルを連れて王城を辞す。王城から少し離れた場所で護衛の件を話し、侯爵家へ転移する。
しかし、今回の敵は洗脳を使うのか。異能者の厄介さは前回の時を止める能力を持つ長老で思い知った。
今回の敵は洗脳を使うとしかまだ解ってない。その効果範囲がどの位かも判らないし、多数の人間を一遍に洗脳できるのかも判らない。だが、長老の地位に付くほどの能力者だ、それなりの力を持っていると仮定した方が良さそうだ。
翌日、治療院へ行くと、受付嬢から昨日の状況を聞かされた。彼女は中央治療院に居たらしいが、急患が100人近く押し寄せたらしい。普段の中央治療院のキャパは1日60名前後だ、それが短時間に100人だと治療師が2人でもかなりキツイだろう。
更に言えば、マリオンの東治療院は実質マリオン1人しか治療師が居ない状態だ。彼女の弟子が軽症者に対応できたとしても、100人は対応できないだろう。
なるほど、僕の治療院にまで患者が回って来た理由が解った。
まあ、今回の患者ラッシュは言わばイレギュラーだ、そうそう起こる事では無い。
それに、ケルビンの西治療院なら治療師が5人居るから、100人以上に対応出来た可能性が高い。これから治療院が増えれば、こう言った事が起こっても対応できる可能性が高くなる。
今回、救済の箱舟が十分準備が出来て無い状況でテロを決行したのでこの程度の規模で済んだが、もし、救済の箱舟の全盛期に同時多発テロを起こされて居たらと思うと冷や汗が出る。
僕が治療院を始めたのは医学知識の拡散の為だ、決して、この事態を想定していた訳では無い。
だが、救済の箱舟は治療院の存在ありきの作戦を決行して来た。これは、一歩間違えれば治療院がテロの標的になって居た可能性があると言う事だ。
僕は弟子たちに治療魔法しか教えていない。自衛のための魔法が使える者はおそらく居ないだろう。これから、攻撃魔法を教えるのはどうなのだろうか?僕には悪手に思える。
元公爵が何処まで長老に迫れるかにも寄るが、これからも救済の箱舟は様々な攻撃を仕掛けて来るだろう。向かう先が、僕や元公爵なら何とでもなるが、治療院に向かうのは避けたい。
正直、僕一人では治療院全部を守り切るのは難しい。クラ―ネルは元公爵に付けているし、ルシルと竜王の爺さんを呼ぶと事態が余計にややこしくなりそうだ。
ここは守るより攻める事を考えた方が良いかもしれない。
元公爵が、疑わしい五人の調査をしている最中、五人の中の一人が自殺した。自殺したのは割と大きめの商会の商会長だそうだ。このタイミングで自殺とか、洗脳されて操られていたとしか思えない。
商会長はおそらく長老と繋がりがあるはずだ、だが、元公爵がいくら調べても長老の影さえ掴めなかったらしい。これで、手掛かりが無くなったと言う事になる。
「自殺ねぇ。あからさまに尻尾を切って来たのは驚くが、目的の若返りの秘薬は既に入手済みなんだよな?だとすれば、次の犠牲者がすぐに出る訳では無いと言うのが救いかな?」
僕はクラ―ネルに語り掛けた。情報を持って来たのはクラ―ネルだ。
「そうですね。恐らく、彼を消しても自分の正体に気付かれない絶対の自信があるのでしょうね。」
「一つ気になる事があるんだが、洗脳ってどうやるんだろうな?例えば魔法みたいな物だとすると効果範囲があるはずだ。10メートルも離れた位置から洗脳出来るとしたら防ぎようが無い。だが、今回商会長を消した事で解った事もある。恐らく洗脳するには実際に会わないといけないと言う事だ、でなければ商会長を消した意味が解らない。」
「なるほど、でもテロの実行犯は消されて居ませんよ?まだ元公爵が監禁しています。」
「ふむ、商会長とテロ実行犯の違いが判れば、首謀者の正体が判るかもしれないぞ。何故商会長が消されたか?それは長老の正体を知っているからだ。だが、テロ実行犯は自分に洗脳を掛けた相手の事を知らない可能性が高い。」
「でも、商会長も洗脳されて居たんですよね?なら、正体を知っていてもバラされる事は無いのではないですか?」
クラ―ネルは相変わらず頭が回るな。
「では、こう考えたらどうだ?洗脳には有効期限がある。無制限に洗脳が続くと言うのは不自然な気がしないか?」
「ああ、そうですね。確かに洗脳が解けないと言うのは不自然ですね。時間制限や効果範囲があっても不思議は無いです。」
「だとすればだ。テロの実行犯の記憶を探れば、正体は判らないが顔は判るかもしれないぞ。」
僕とクラ―ネルは急いで元公爵の元へ転移する。
事情を話し、監禁されているテロ実行犯の元へ連れて行って貰う。簡素な牢屋に10数人の男が薬で眠らされていた。
僕は、その内の一人の頭に手を置き、記憶領域を探っていく。なるべく最近の記憶の中から、この男とあまり接点の無さそうな人物を探る。すると一人のにこやかな初老の紳士が引っかかる。だが、この男が長老だとは決めつけられない。
そこで、次の男の記憶も探ってみる。やはりこの男の記憶の中にも初老の紳士の顔がある。男たちは言わば街の荒くれ者だ、明らかのこの紳士と繋がりがある様には思えない。
3人目の男の記憶を探り、それが確信に変わる。3人が共通で記憶している人物で比較的最近の記憶は、初老の紳士だけだ。僕はそのイメージをストレージを使い紙に転写する。粗いモノクロ写真の様だが、人物の特定は出来るだろう。鮮明なカラー写真を作る事も可能だが、それはアウトだろう。
僕はコピーを数枚作って、その内の1枚を元公爵に渡した。
「この人物について調べられますか?おそらく、この男が長老の一人で、洗脳を使う能力者だと思います。洗脳を使いますので、十分気を付けて調査して下さい。」
元公爵は紙を受け取ってじっくりと眺める。
「これはまた、精巧な肖像画だな。ここまで鮮明なら間違える事もあるまい。任せておきたまえ。」
「見つけてもすぐに戦闘は仕掛けないで下さい。どの様な能力を持っているかわかりません。出来れば我々を呼んで頂けると助かります。」
元公爵は少し考えてから答えた。
「解った。君たちの戦力は十分承知している。だが、君たちが洗脳され敵に回ると厄介だ。洗脳に対する対策はあるんだろうな?」
「問題ありません。相手が洗脳持ちだと最初から解って居るなら幾らでも対策は可能です。僕としては、元公爵が洗脳されるのが怖いですね。」
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