転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 翌日からなるべくビアンカを連れて歩くようになった。元公爵に会う時も、王城に上がる時も常にビアンカを後ろに従えて、話を聞かせる様にしている。

 転移が使える事も既に話してある。領地のプレイースやロンダールにも連れて行き、ゼルマキア家の現状もだいぶ把握出来た様だ。

 流石に帝国には連れて行っていないが、いずれは大森林の向こうの事も話す日が来るだろう。僕の右腕なら、知って居て貰わないと困る事になる。

 ちなみに戦闘能力は皆無なので狩りには連れて行かない。まあ、狩りは僕のストレス発散の場でもあるし、1人の方が効率が良い。

 僕が狩りに出ている間はセリーの仕事を見て学ぶ様に言ってある。流石に貴族学院を出ているだけあって、政務についての知識はある様で、最初は戸惑っていたが、今では手伝い程度ならこなせるようになって来た。

 まあ、貴族学院を出ていきなり公爵家の政務を行うと言うのは無茶ぶりだったかもしれない。

 ビアンカは魔法が使えない。厳密に言えば使えないのではなく知識が無いだけなのだが、参謀の知識と魔法の知識を同時に覚えるのは大変なので、現状では参謀の知識を覚える事を優先させている。

 僕の方は未だに時間を戻す魔法は完成していない。時越えの魔法や、時間逆行の魔法、時を止める魔法等、様々な時空魔法は覚えられたのだが、何故か世界の時間を戻す魔法だけが発動しない。理論が間違っているのだろうか?

 時を止める魔法は3分位なら時間を止める事が出来る様になった。これはこれで色々と使い道がありそうだ。時間を止めて自分だけが動けるのなら、僕の戦闘能力と併せて使えば、瞬時に数万人の敵を無効化出来そうだ。

 さて、僕と一緒に行動しているビアンカだが、当然の事ながら、クラ―ネルとの接点が多くなる。ビアンカはクラ―ネルに憧れているらしいが、クラ―ネルはどうなのだろう?

「なぁ、クラ―ネルも伯爵になったんだから、そろそろ第二夫人の事を考えないと行けないんじゃ無いか?」

「はぁ、実際に見合いの話が大量に来ていて困ってる状態です。僕としてはマリーカの出産が終わるまでは第二夫人の件は考えられないんですけどね。」

「しかし、伯爵ともなると上級貴族だ。最低でももう一人嫁を貰わないと周りが煩いぞ。マリーカ嬢を第一夫人にしたいのなら、子爵か男爵の次女辺りを嫁にするしかないな。」

「僕としてはマリーカ一人で十分なんですけどね。貴族って面倒ですね。」

「そう言う事ならうちのビアンカを嫁にしたらどうだ?マリーカ嬢の友達だし、男爵家の次女なので分はわきまえているぞ。」

 そう言ったら、後ろで話を聞いていたビアンカが間抜けな声を上げた。

「ビアンカさんを僕にですか?エイジさんの参謀に育てているんですよね?大丈夫なんですか?」

「ビアンカももう16歳だからな。何時までも嫁に行かない訳にも行かないだろう?まぁ、救済の箱舟と戦う同志だし、色々と秘密も知っている。誰にでも嫁に出せるって訳じゃ無いんだ。その点クラ―ネルなら僕の事を良く知ってるから安心なんだよね。」

「なるほど、確かにそうなりますね。解りました、後でマリーカに相談してみます。」

 そう言ってクラ―ネルは仕事に行った。パーティーメンバーの育成もかなり進んでいる様で、既にSランク相当まで引き上げた様だ。

 クラ―ネルの姿が見えなくなるとビアンカが、凄い勢いで抗議をして来た。

「な、何を言ってくれるんですか!明日からどうやってクラ―ネルさんと顔を合わせれば良いのか解りませんよ!!」

「ん?おかしな事を言ったか?ビアンカも貴族の娘ならこう言う話の一つや二つ聞いた事があるだろう?」

「それは、そうですが、自分の話となるとまた別ですよ。」

「あれ?クラ―ネルと結婚するのは嫌だったか?」

「いや、その、別にそう言う訳ではありませんが。」

 あら?ビアンカさん語尾がだんだん小さくなって居ますが?

「それに、良く考えてみろ。第二夫人だとしてもクラ―ネルは伯爵だぞ。こんな事を言っては失礼かもしれんが、男爵家の次女が貴族の嫁になれる可能性は低いんじゃないか?」

「そうですね、男爵の次女なんて半分平民の様な物です。それなりに裕福な商人に嫁げれば良い方です。貴族に嫁げることはまず無いでしょう。良くてお金のある貴族の妾が精々ですね。」

「だろう?だったら伯爵家の第二夫人と言うのは破格の条件だと思うが?」

「そう言う事を言ってるのではありません。なんで本人が居る前でそう言う話をするんですかと言ってるんです。」

 まあ、ビアンカの言いたい事は解るが、僕もクラ―ネルも忙しいので、こう言うタイミングで無いとなかなか話が出来ないんだよね。

「でもさ、正式な話じゃ無いし、本人が居た方が意思の確認も出来るでしょ?僕としてはビアンカが嫌な結婚を無理やりさせる様な事をしたく無いんだよ。」

「正式な話じゃなくても公爵様が口にしたら断われる貴族って居ないんじゃ無いですか?」

「そんな事は無いぞ。クラ―ネルは僕の弟子だからな。嫌な物は嫌だとちゃんと言える様に教育してある。ビアンカも同じく僕の弟子になる訳だから、嫌なら嫌だと言えば僕は違う道を考えるぞ。」

「公爵様なのに変わった考え方をするんですね。」

「僕は冒険者から貴族になったからね。生まれつきの貴族とはちょっと違うかもしれないね。」

 って言うか、日本人の感覚では貴族の世界はなかなか理解出来ないぞ。

「ちょっとと言うかだいぶ違いますよ。そもそも、男爵家の次女を文官として抱える貴族はまず居ません。更に言えば女性に参謀をやらせる事もまず無いでしょうね。」

「そうか?才能があるのなら男女の区別は関係ないと思うけどな?」

「そもそも、貴族社会では女性は政治に参加出来ないのが普通ですよ?」

 ああ、完全な男尊女卑の世界だったな、日本人の感覚だとそれって忘れがちなんだよね。

「冒険者の世界では強さが全てだ。そこに男女の差は無い。そもそも魔物は男性だろうと女性だろうと構わず襲って来るだろう?僕はそう言う世界で育ったからね、女性だから何もできないとは考えないんだよ。むしろ使える者は使うと言う主義だ。」

「やはり変わってますよ。」

「まあ、その話は良い。クラ―ネルとの結婚、考えて置いてくれよ。嫌なら断るから、遠慮なく言え。」

「嫌ではありませんが、結婚したら参謀はどうなるのですか?」

「貴族の結婚は色々と面倒だ。まあ、結婚が決まっても1年位は時間がある。その間にみっちり鍛えてやるよ。そして、実戦もして貰う。全てが片付いた頃にようやく結婚って感じになると思うぞ。」

「結婚後は?」

「そうだな、結婚後はクラ―ネルの参謀になれば良いんじゃないか?まあ、君が働きたいと言うなら継続して雇っても良いが、子供とか欲しいだろう?」

 正直、今から1年後には全ては終わっていると思いたい。そうなれば参謀は必要が無くなる。ビアンカには平和な世界で子育てをして欲しい物だ。

 それにはなるべく短時間でビアンカを1人前の参謀に育てないと行けない。知識は武器だ、本当はじっくりと教え込みたいのだが、何時何が起こるか解らない現状ではそう悠長にはして居られない。

 あまりビアンカに負担は掛けたくないが、魔法で脳に戦略と戦術の知識を書き込もうと思う。おそらく、現代日本人の僕の持っている知識を理解するのは普通では無理だろう。

 さて、知識を得たビアンカがどんな参謀になるか、楽しみでもあるが、不安でもある。

 僕と同レベルでは困る。僕が思いつかない作戦を考えられて初めて参謀と呼べるようになる。

 ビアンカの才能と僕の知識、それがどんな化学反応を起こすのか、そしてそれを得たビアンカがこの先どんな人生を送るのか、これは一種の賭けだな。
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