転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 と言う事で。僕は今回の王都での事件を救済の箱舟の仕業と考え、行動する事にした。

 もちろんビアンカも連れて行く。とは言え、手掛かりは非常に少ない。まずは西門に向かった。

「だいぶ復旧作業が進んでますね。」

 門の外側はかなりの被害だったが、内側は直径30センチ程度の穴が開いただけだったらしい。これじゃあ、魔物も通れないな。

 王都の外壁は場所にも寄るが、門の近くはかなり頑丈に出来ていて、厚さも2メートルを超える。しかし、グリーンドラゴンはドラゴンとしては小さいとは言え40メートル近い巨体だ。突き破る事を目的として突進したなら、2メートル位の壁なら物破れるはずだ。

「考えれば考える程おかしな点が多いな。」

「おかしな点ですか?」

「まあ、一見頑丈な外壁だが、ドラゴンのあの巨体を見たろう?それにドラゴンの体重プラス上空からの落下速度、爆発音の大きさ、それにしては被害が小さすぎるんだよね。」

「はあ、確かにあの大きさのドラゴンがぶつかったら壁は簡単に壊れそうでしたね。でも、クラ―ネルさんは首が折れていたと言ってましたので、ぶつかったのは頭だけなのでは無いでしょうか?」

「ふむ、そうなると更に不自然だ。ドラゴンの首が折れる程の速度でぶつかったなら、ドラゴンの損傷はもっと激しい物になっていたはずだ。解り易く言えば、熟れたトマトを壁に投げつけたようにな。」

 ビアンカが想像してしまったのか、吐きそうな顔になって居る。

「では、公爵様はこの状況をどう推理しているのですか?」

「まだ、ハッキリとこうだとは言えないが、ドラゴンが外壁にぶつかる瞬間に物理障壁を張った人間が居る可能性はある。」

「物理障壁ですか?何のために?」

「普通に考えれば、王都を守る為にだな。」

「誰かが王都を守ったのですか?でも、あれ?救済の箱舟の仕業じゃ無いのですか?」

 そうなんだよね。これは攻撃だと思っていたのだが、何かがおかしい。まるでこれでは救済の箱舟と誰かが争っていた様にも見える。

 ここへ来て第三の勢力の気配と言うのも、どうなんだ?何故、国王陛下暗殺の時には現れなかった?

 敵の敵は味方と言う訳でも無いと言う事か?

 しかし、第三の勢力が居たとしてもだ、グリーンドラゴンを止められなかった時点で実力はたかが知れている。問題は、救済の箱舟について何処まで知っているかに掛かって来るな。

 僕らはここにドラゴンが降って来る事を知らなかった。だが、少なくとも第三の勢力はそれを知って居た。予測したのかもしれないが、それでも僕らよりは救済の箱舟の情報に詳しいと言える。

「なぁ、ビアンカ。救済の箱舟が居て、僕らと争っている。そこに第三の勢力が居るとしたら、目的は何だと思う?」

「情報が少な過ぎますね。どちらにも与しないと言うのなら、目的は双方にとっての不利益と言う事になりますが、それが何かは解りません。」

 双方にとっての不利益?何だろう?そんな物があるのか?

 救済の箱舟にとっての不利益と言えば、その存在が明るみに出る事だろう。そして、僕らの不利益も似た様な物だ、僕らの能力が世間に知られるのは不味い。

 しかし、これらを暴いてどうなる?何か得をする人間が居るのだろうか?

 それにこれまで何度も救済の箱舟と戦ってきたが、第三勢力の存在を感じた事は無かった。今にして突然現れた理由も解らない。

 あるいは誰かが、ドラゴンの落下を見つけて偶然物理障壁を張ったと言う事か?でも、それも不自然な気がするんだよね。そもそも救済の箱舟がそんな適当な計画を立てるだろうか?

 救済の箱舟が仲間割れって言うのも考え難いし。正義の味方登場ってのも出来すぎな気がする。

 となると、相手が救済の箱舟と知らずに戦った者が居ると言う可能性が出て来る。それってちょっと不味いのでは?

 もし、そんな人物がいるのであれば、助けるか仲間に引き入れるかしないと死んでしまうぞ。

 救済の箱舟の情報を得るだけでも大変なのに、更に人探しもしないと行けないなんて、頭が痛いぞ。

 まあ、僕の仮定が正しければの話だが。とりあえず、ここで何かが起こったのは事実だ。ドラゴンの落下はただの偶然ではないと言うのだけは、正しいだろう。そこから先は、状況から推理するしかない。

 門番は轟音がするまで気が付かなかったと言って居る。他に見ていた者が居るかもしれないが、当日のその時間に誰が居たのかは判らない。門では出入りのチェックはするが、誰が何時に通ったかは記録されない。

 とにかく、ここで魔法を使った者が居る。しかもドラゴン相手にだ、目立たない訳はない。だが、僕やクラ―ネルなら完全にドラゴンを止められる。それが出来ずに外壁に損害を与えてしまった。魔法使いとしては優秀だが、未熟でもあると言う事になる。

 王都にまだ僕の知らない優秀な魔法使いが居る。これは意外な事実だ。冒険者だろうか?物理障壁だけなら、Bランク程度でも張る事は可能だ。だが、ドラゴンを受け止める程の物理障壁は相当な能力が無いと難しいだろう。

 その魔法使いに会ってみたいが、今の所手掛かりは無い。冒険者ギルドに行って情報収集してみるかな。

 さて、もう一つの異変。黒い雨だが、これは偶然の可能性が高い。だが、王都のみに降ったと言うのが引っかかっている。

 火山灰は空を飛んでいるので王都の真上に来てもおかしくは無い。だが、そのタイミングで丁度雨が降ると言うのはどうなのだろう?王都の東には大山脈がある。大抵の場合、そちらからの雨雲は大山脈を越えられない。と言う事は今回の雨は西から来たと考えるのが普通だ。だが、王都の北西には帝国がある。

 帝国では黒い雨は降らなかった。これが何を意味するのだろう?雨を自由に降らせる事が可能かと言えば、僕でも難しい。が、大量の水を雨の様に降らせる事は可能だ。

 だが、それをするには僕が噴煙の上に居る事が条件になる。

 全てを救済の箱舟のせいにするつもりは無いが、その可能性を考えるのは自由だろう。もし、天候を自由に操る能力者が居たらどうだろう?なんかあまり強そうでは無いな。

 では、水に特化した能力者かな?これなら強そうだ。

 そもそも、救済の箱舟は何故王都に拘るんだろう?王都転覆は救済の箱舟の目的では無い。本来の目的は、限られた人間による新しい統治国家だったはず。ならば、王都に拘らずにトゥーファルで行っても良かったのでは無いだろうか?

 現状、トゥーファルが蜂起して王都に戦争を挑んでも勝つ見込みは十分ある。まあ、僕らが居なければの話だが。なのに、目的の一手段である王都転覆を未だに狙っている理由が解らない。

 王都に救済の箱舟が欲しがる何かがあるのだろうか?

「なぁ、ビアンカ。王城の宝物庫には何か重要な物があるのか?」

「まあ、宝物庫ですから、お宝は沢山あるでしょうね。」

「そう言う事では無く。救済の箱舟が欲しがるような物が入って居るのか?」

「どうでしょう?確かに希少な物や歴史的価値のある物は入って居ますが、救済の箱舟が何を欲しがっているかは判りませんからね。」

「希少な物と言うと、アーティファクトなんかも入って居るのか?」

「あると思いますよ。でも、アーティファクトなんて今では誰も使えない古代の遺産ですよね?」

「確かに使えない者にはそうだが、使える者にとっては意味がある物なんじゃ無いか?」

 王城の爆破事件の時、宝物庫は無事だった。これは国王の暗殺を優先した為だとすると、もう一度王城が狙われる可能性がある。

 しかし、国王暗殺と宝物庫の探索を同時に行わなかったのは何故だろう?やはり爆破の能力を持つ長老は国王と心中したと見るべきなのだろうか?

 王城はそろそろ落ち着きを取り戻してきている。一度国王陛下に話を聞いてみる必要があるな。問題は現国王が宝物庫の中身を把握しているかどうかになるが。

 明日にでも行って見るか。
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