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第2章 英雄の最期
第28話 覚悟の業火
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「ちょっとベレニス! フィーリア! こんな時にまでケンカしないの‼」
我らが神になるはずだった、ただの魔女の女が仲裁に入るが、2人の口論は止まらない。
私は……こんな奴らに負けたのか? 何故だ! 何故なのだ‼
「お前さんら、いらぬなら、この魔女ルシエンとやらはこっちで始末するぞ」
しびれを切らしたのか、ドワーフどもが斧を片手に包囲を狭めてくる。
ローゼマリー様? がそれを制止する。
「待ってください! 少しだけ時間をください!」
「時間だと?」
私の自嘲の笑いが止まらない。
この状況は何だ? 私は道化師ではない。
これ以上の屈辱は耐え難い‼
「ルシエン。フィーリアとベレニスがこの策を使ったのは、貴方たちの目的をはっきりさせるため。……それと私についても想定外だったけど想像内だったみたい。う~ん、自分が魔王の器って凹むわ~」
魔女ローゼは勝手に落胆している。
「リョウを狙ったのが本来のルシエンの目的だった。邪教崇拝の集団の魔女、それがルシエンの正体」
「語った内容から、ジーニアっていう魔女と同じ感じだったわよね。傭兵を狙ったのは、脅威になりうる英雄になる恐れがあるから? ばっかばかしい。あんたの敗因はこの私を狙わなかったことよ!」
ベレニスとかいうエルフの小娘が高らかに笑う。
「いやいやベレニスさん。実際にベレニスさんがターゲットだったら、ご飯あげるからの毒殺で終わるっすよ……」
「私、そこまで食いしん坊じゃないわよ!」
ドワーフの娘とエルフの小娘がまた言い争いを始める。
「俺を狙ったのは光栄だな。矢の雨をローゼに向けたのも、俺が庇うと見越してか」
「くふっ。用心深く猜疑に溢れ、己の見たもの以外は信じぬのに、大事な存在を作った貴様を仕留めるには最高の策だったろう」
「そうだな。だが、俺なら矢を無数に受けて倒れた相手を放置せん。確実に首を刎ねていた」
「ちょっとリョウ! 話が変わるからそれは別の機会にして!」
「そっすよ。リョウ様も、少しはローゼさんの魔力を浴びて覚えているかもしんないっすけど、死んでからの記憶はないはずっす。ここは黙って、その後の話をさせてくださいっす」
「ぷぷ。傭兵は仲間はずれになるのが嫌なのね。お子ちゃまねえ」
魔女にドワーフにエルフに言われ、リョウ・アルバースは憮然とした顔になる。
「仮にリョウ様が、その時死亡状態じゃなかったとしても、全身に矢を浴びた状態っす。最高の神聖魔法の使い手がいなければ、確実にリョウ様は死んでいたっすよ」
フィーリアという小娘の言葉に、私は架空の出来事だった時間の最後を思い出す。
……あの時、この傭兵はピクリと身体を動かし、そして私を凝視していた⁉
獲物を仕留めようと、動かぬ身体でも尚も機会を窺う修羅の目に、私は恐怖した。
その獲物が私だという事実に震えたのだ!
混沌を欲する我らとは真逆の存在。
全てを無に帰す、この世界の理から外れた化け物。
リョウ・アルバース。
こいつは英雄になる器だから殺さねばならない。
だが、そんなのは些事だ。
この化け物は必ず殺さねば……世界は混沌にもならず、殺され尽くすだろう。
「ルシエンさん……それで私の魔王の器なんだけど、私は絶対に魔王にならないと宣言する。貴女や背後にいる邪教の連中の企みも暴いて、世界を混沌なんて馬鹿らしいことはさせない。だから……」
魔女ローゼは手を差し伸ばしてくる。
「だから貴女にも協力してほしい。平たく言うと仲間になってくれると嬉しいかなあって」
何を言っているのだ? この女は?
「無論リョウを狙うのは、もうさせないし殺させない。当然、ベレニスやフィーリア。私の目に届く範囲の仲間は何があっても護る。だからルシエンさんにも、その仲間になってくれたら嬉しいかなって」
「ホント、ローゼって頭がお花畑っていうか。でもそういうの、私は嫌いじゃないのよね」
「自分的には、ルシエンさんの背後の組織のことが気になるっす」
「ローゼがそうしたいならそうすればいい。俺の命を狙い続けていても構わん」
……そうだろうよ。リョウ・アルバース。
貴様はそういう人間だ。
私をこのような人生を歩ませた、ノイズ・グレゴリオに育てられた元少年兵よ。
「ふふ……はは……はーっはっはっは! 答えはノーだ! 我らが神、魔王ローゼマリー様の目覚めに散れ! リョウ・アルバーーーーーース!」
私は叫んだ。全身に魔力を渦巻かせ。
身構える小娘3人に、ドワーフの戦士ども。
それに、もしかしたら共にノイズ・グレゴリオを倒すために手を組んだかもしれなかった傭兵の少年よ。
私が拒否するのは予測済みだろう。
多勢に無勢。無力化されて私が負けるが必定。
だから私はこう選択する。
炎が私の全身を焼いていく。
「な⁉ 氷魔法で……くっ!」
無駄な足掻きをする魔女ローゼよ。
炎魔法が得意と聞いたが私には劣るだろ?
なにせ私は産まれてすぐに母体を焼き、己の右目上の皮膚すら焼き剥がしてしまったのだからな‼
貴様の炎など、この右目上が受けた熱に比べれば何するものぞ。
私の身体は業火に包まれ、やがて骨すら残さず消え去るだろう。
貴様らは何も出来ずに我が死を見てるがいい‼
おっと、最期にこう告げて悔しがらせよう。
「ノイズ様。お世話になりました」
「何⁉ ノイズを知っているのか‼」
フフ、その驚愕の顔よ。私の勝ちだリョウ・アルバース。
共にノイズに歪まされた人生を歩みし者同士よ。
魔女ローゼよ、貴様もリョウと同じく歪に育ってしまったようだ。
だから私の存在は、最期の土産として受け取りたまえ。
魔王の器たるものよ。
いずれ必ず魔王となりて、世界を混沌にするその日を地獄より眺めていようぞ‼
ふふふ……はーっはっはっは……
我らが神になるはずだった、ただの魔女の女が仲裁に入るが、2人の口論は止まらない。
私は……こんな奴らに負けたのか? 何故だ! 何故なのだ‼
「お前さんら、いらぬなら、この魔女ルシエンとやらはこっちで始末するぞ」
しびれを切らしたのか、ドワーフどもが斧を片手に包囲を狭めてくる。
ローゼマリー様? がそれを制止する。
「待ってください! 少しだけ時間をください!」
「時間だと?」
私の自嘲の笑いが止まらない。
この状況は何だ? 私は道化師ではない。
これ以上の屈辱は耐え難い‼
「ルシエン。フィーリアとベレニスがこの策を使ったのは、貴方たちの目的をはっきりさせるため。……それと私についても想定外だったけど想像内だったみたい。う~ん、自分が魔王の器って凹むわ~」
魔女ローゼは勝手に落胆している。
「リョウを狙ったのが本来のルシエンの目的だった。邪教崇拝の集団の魔女、それがルシエンの正体」
「語った内容から、ジーニアっていう魔女と同じ感じだったわよね。傭兵を狙ったのは、脅威になりうる英雄になる恐れがあるから? ばっかばかしい。あんたの敗因はこの私を狙わなかったことよ!」
ベレニスとかいうエルフの小娘が高らかに笑う。
「いやいやベレニスさん。実際にベレニスさんがターゲットだったら、ご飯あげるからの毒殺で終わるっすよ……」
「私、そこまで食いしん坊じゃないわよ!」
ドワーフの娘とエルフの小娘がまた言い争いを始める。
「俺を狙ったのは光栄だな。矢の雨をローゼに向けたのも、俺が庇うと見越してか」
「くふっ。用心深く猜疑に溢れ、己の見たもの以外は信じぬのに、大事な存在を作った貴様を仕留めるには最高の策だったろう」
「そうだな。だが、俺なら矢を無数に受けて倒れた相手を放置せん。確実に首を刎ねていた」
「ちょっとリョウ! 話が変わるからそれは別の機会にして!」
「そっすよ。リョウ様も、少しはローゼさんの魔力を浴びて覚えているかもしんないっすけど、死んでからの記憶はないはずっす。ここは黙って、その後の話をさせてくださいっす」
「ぷぷ。傭兵は仲間はずれになるのが嫌なのね。お子ちゃまねえ」
魔女にドワーフにエルフに言われ、リョウ・アルバースは憮然とした顔になる。
「仮にリョウ様が、その時死亡状態じゃなかったとしても、全身に矢を浴びた状態っす。最高の神聖魔法の使い手がいなければ、確実にリョウ様は死んでいたっすよ」
フィーリアという小娘の言葉に、私は架空の出来事だった時間の最後を思い出す。
……あの時、この傭兵はピクリと身体を動かし、そして私を凝視していた⁉
獲物を仕留めようと、動かぬ身体でも尚も機会を窺う修羅の目に、私は恐怖した。
その獲物が私だという事実に震えたのだ!
混沌を欲する我らとは真逆の存在。
全てを無に帰す、この世界の理から外れた化け物。
リョウ・アルバース。
こいつは英雄になる器だから殺さねばならない。
だが、そんなのは些事だ。
この化け物は必ず殺さねば……世界は混沌にもならず、殺され尽くすだろう。
「ルシエンさん……それで私の魔王の器なんだけど、私は絶対に魔王にならないと宣言する。貴女や背後にいる邪教の連中の企みも暴いて、世界を混沌なんて馬鹿らしいことはさせない。だから……」
魔女ローゼは手を差し伸ばしてくる。
「だから貴女にも協力してほしい。平たく言うと仲間になってくれると嬉しいかなあって」
何を言っているのだ? この女は?
「無論リョウを狙うのは、もうさせないし殺させない。当然、ベレニスやフィーリア。私の目に届く範囲の仲間は何があっても護る。だからルシエンさんにも、その仲間になってくれたら嬉しいかなって」
「ホント、ローゼって頭がお花畑っていうか。でもそういうの、私は嫌いじゃないのよね」
「自分的には、ルシエンさんの背後の組織のことが気になるっす」
「ローゼがそうしたいならそうすればいい。俺の命を狙い続けていても構わん」
……そうだろうよ。リョウ・アルバース。
貴様はそういう人間だ。
私をこのような人生を歩ませた、ノイズ・グレゴリオに育てられた元少年兵よ。
「ふふ……はは……はーっはっはっは! 答えはノーだ! 我らが神、魔王ローゼマリー様の目覚めに散れ! リョウ・アルバーーーーーース!」
私は叫んだ。全身に魔力を渦巻かせ。
身構える小娘3人に、ドワーフの戦士ども。
それに、もしかしたら共にノイズ・グレゴリオを倒すために手を組んだかもしれなかった傭兵の少年よ。
私が拒否するのは予測済みだろう。
多勢に無勢。無力化されて私が負けるが必定。
だから私はこう選択する。
炎が私の全身を焼いていく。
「な⁉ 氷魔法で……くっ!」
無駄な足掻きをする魔女ローゼよ。
炎魔法が得意と聞いたが私には劣るだろ?
なにせ私は産まれてすぐに母体を焼き、己の右目上の皮膚すら焼き剥がしてしまったのだからな‼
貴様の炎など、この右目上が受けた熱に比べれば何するものぞ。
私の身体は業火に包まれ、やがて骨すら残さず消え去るだろう。
貴様らは何も出来ずに我が死を見てるがいい‼
おっと、最期にこう告げて悔しがらせよう。
「ノイズ様。お世話になりました」
「何⁉ ノイズを知っているのか‼」
フフ、その驚愕の顔よ。私の勝ちだリョウ・アルバース。
共にノイズに歪まされた人生を歩みし者同士よ。
魔女ローゼよ、貴様もリョウと同じく歪に育ってしまったようだ。
だから私の存在は、最期の土産として受け取りたまえ。
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ふふふ……はーっはっはっは……
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