【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第2章 英雄の最期

第34話 新たな仲間

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 そうこうしているうちに、ドワーフの里へ到着。
 ゲッペンさんたちドワーフの戦士が入口で迎えてくれた。

「フィーリアたちか。ザガンでの用は済んだのか」

「ハイっす。里はあれから変わりはあったっすか?」

「いや、特にない。それよりもフィーリアのことだ。どうせザガンの領主と、我らドワーフとの商談もあらかたまとめたんじゃろ。家に戻ってクルトに話すが良いぞ。儂も里の者らには話をしておく」

 で、ゲッペンさんたちと別れて、家に戻って両親と話をするフィーリア。

 フィーリアの両親のクルトさんとユーリアさんの鋭い質問が娘に向かうが、フィーリアは上手く説明していった。

 ドワーフの里の問題だし、私たちは口出しできないけど、ドワーフと人の交流は上手く行ってほしいな。

「話はわかった。詰めは必要だが、まずは儂とユーリアで話してから決める。御苦労だったなフィーリア」

「それでっすけど父ちゃん、母ちゃん。自分っすけど……」

「また旅に出るのは許さん」

 フィーリアが言い終わる前に、クルトさんの声が被る。

「なんでっすか! 自分はちゃんと5年間、旅をし続けた実績があるっす! もう大人の女性っす!」

 いや、自称11歳、それは無理があるぞ。

「ねえフィーリア。大陸に危機が迫っているからなんとかしたいという気持ちはわかるけど、それはフィーリアがしなくてはいけないことなの? 5年前に置き手紙だけを残して、旅に出てしまったのを私もお父さんもどれだけ心配したことか」

 ユーリアさんがフィーリアを諭すように話した。

「それは……」

「5年前は偉大なるシュタイン王が遺した魔導具『時の瞳』をフィーリアが所持していると判明していたから、どこか安心していた。でも今は違う。昨日の戦いで壊れただろう」

「ねえフィーリア。英雄探しや魔王の器を探すのは良いと思うわ。でもね、あなたが死んだらお母さんは自分を許せなくなっちゃう。どうしてあの時フィーリアを止めなかったのかって。お父さんもそう」

 クルトさんもユーリアさんも、フィーリアには厳しい意見だ。
 ただ娘を持つ親なら、当たり前の意見かもしれない。

 フィーリアも俯いたままだし、ここは私がフォローしないと。

 それが、ザガンで領主を言いくるめたフィーリアが出した条件だったし。

「あの! クルトさん! ユーリアさん! 娘さんを……フィーリアを私たちにください‼」

 ポカンとされた。

 フィーリアもポカーンとこっちを見ているし、ベレニスは何故かウンウンしているし、リョウはそっぽを向くし。

「あっ! えっと! 共に旅をする仲間としてです。フィーリアは仲間として、いえ1人の女性として私たちにとって大切な存在です。だから彼女を連れて行く許可を頂きたいのです。危ない目には遭わせるかもしれません。ですが必ず私たちが護ります」

 おお、上手く言えた、言ったぞ私!

 でもフィーリアのご両親は顔を見合わせて厳しい顔をしているし……

 え? なんか失敗した?

「黒竜を倒す実力者なのは知っておる。だが、口ではなんとでも言える。人の少女よ、その場の情でフィーリアを連れて行くと言い出しただけで、不要になればフィーリアを捨てるなんてこともあろう。だから簡単に娘をやる訳には……」

「絶対にそんなことはしません」

 クルトさんが言い終わる前に言ってやる。

「何故なら私が、5年前にクルトさんがフィーリアに教えた魔王復活の兆したる、魔王の器の1人なのですから」

 緊張が走っているのがわかる。
 次の言葉次第では、私はドワーフの里から生きて出られないだろうとヒシヒシ感じる。

「無論、私は魔王になるつもりなんてからっきしありません。それは、そんな可能性があると教えてくれたフィーリアへの恩を仇で返すことになります。私にとってフィーリアはかけがえのない存在であり、共に旅をして世界に光をもたらす存在であってほしい仲間なのです。それはここにいるリョウとベレニスもです。お約束します。この4人が過去の七英雄の再来にして、魔王復活を阻止し世界を救う存在になってみせると」

 私はクルトさんとユーリアさんの目を、しっかりと見つめて宣言する。
 暫しの沈黙の後、クルトさんはため息を一つ吐くと、やれやれといった態度を取った。

「大言壮語もここまで来ると、馬鹿馬鹿しくなってくるな」

「私は食事の支度をしてきますね」

 あ、あれ? なんか期待していた反応と違うんですけど?

「フィーリア、ローゼさんはあの本を読んでいたのか?」

「いや、まだっす。教えてもいないっすよ。だからちょっとビックリしたっすねえ」

「ええっと~、何の話?」

「ローゼさん、ローゼさんが言ったことって千年前にドワーフ王シュタイン様を仲間にすべく口説いた、魔女アニスの言葉そっくりじゃないっすか」

 え? ええええ⁉
 いや、さすが私。アニスマニアだから言えたのかも。

「ローゼってやっぱり頭がお花畑よね~。アニスってのもきっとそうだったのね。ま、私はフィーリアが仲間になってもならなくても別にいいけど」

 ベレニスに馬鹿にされるし。ぐぬぬう、後で覚えておきなさいよ!

「クルト殿。フィーリアの話術は俺たちにないものです。仲間になってくれるならありがたい」

 おお~、リョウが礼儀正しく頭を下げている。
 こういうところは弁えているよね。

「ふむ……小僧よ。一つだけ質問しても良いか?」

「はい、何でしょう」

「英雄になる気はあるのか?」

 クルトさんの目は真剣だ。
 恐らく、この回答で運命が決まると感じた。

「ないですね。俺は英雄と呼ばれる器でもないし、なろうとも思っていません。俺は目の前の戦いを、仲間と共に生き延びるので精一杯です」

 クルトさんはリョウの答えを聞き終えた後、天井を仰ぎ見た。

 数秒間の沈黙がこの部屋を支配する。

 私は緊張で心臓が破裂しそうだ。

 やがて……

「わっはっはっは。小僧も七英雄の筆頭である勇者レインと同じことを言いおって。良いだろう。フィーリアを頼みます」

 クルトさんが大笑いしながら答えたのだった。

 私は余りの緊張で体から力が抜けるのを感じた。

 ああ、良かったぁ~。本当に良かったよぉ~。

「ちょっと! ローゼがアニスで傭兵がレインなら、私はフォレスタってこと? 聖女の称号なんでしょ? フォレスタって。う~ん聖女かぁ……私にピッタリね‼」

 どの口が言っているんだかベレニスは。

「じゃあ、自分はシュタイン王っすかね? 自分だけ性別違うっすし性格も違うっすね。あっ! 性格が違うについてはベレニスさんと同じっすね」

「どういう意味よフィーリア!」

 ま~たこの2人は口喧嘩している。

 とりあえず、クルトさんとユーリアさんにはフィーリアの旅に同行することを承諾してもらったし、後は……

「えっと、クルトさん。シュタイン王の手記や、お勧めの本があれば教えてください。タイトルと筆者の名前を教えていただければ、自分で書庫に行って探してきます」

 シュタイン王が生きていた、魔王討伐後の時代がどんな世だったか知りたい。
 そして、この本を読めば七英雄のその後のこともわかる気がするし。

 クルトさんが口にしたタイトルと著者の名前を、私はメモ帳に書き写した。
 うん、これなら大丈夫そう。

「フィーリア、旅立ちの日は決めているの?」

「そっすねえ、里とザガン領の正式な取引が開始されるのを見守りたいっす。なので、1週間ぐらいしたら出発するっす。里の人たちに挨拶回りもしたいっすから、そんくらいっすね」

 1週間か。1週間あれば書庫にある数千の古書を全部読み切ることは可能ね。

 フフフ、久々に私の知識欲が燃え上がって来てるぞ~。

「1週間か。なら俺も、クルト殿やゲッペン殿に稽古を付けてもらうとするか」

「私は耳でも伸ばして休んでいるわ~。あ、傭兵! 稽古が終わったらちゃんとお風呂入ってよね! 汗臭いんだから!」

 ベレニスはそう言い残し、ユーリアさんが料理している台所へと向かっていった。

「やれやれっす。自分たちも食事にするっすか。さあリョウ様! ローゼさん行くっすよ!」

 私たちの手を引っ張るフィーリア。

 ちょっとだけ、クルトさんの目に嫉妬の色が宿ったのは見なかったことにしよう。
 リョウが身を震わせたのも見なかったことにしよっと。

「ときにローゼさん。これからは雇った冒険者ではなく仲間ですから聞くっすけど、ローゼさんは王女ローゼマリーの身分を取り戻すとは考えていないんすか?」

 台所へ向かう途中でのフィーリアからの問いかけ。

「う~ん、公的には死んでいるからなあ。名乗っても偽物として処罰されるだろうし、本物だと信じられても政争の道具にされたり、戦争が起きるキッカケになりかねないし。今のベルガー王のサリウス叔父さんに恨みなんてないどころか、可愛がってくれた記憶があるしなあ」

 私の本音だ。両親が死んだあの瞬間、私の人生は王女ではなく、魔女として生きる道が示されたのだ。

 この道を選んだことに後悔はない。
 だから私は魔女として生きていく。

「……わかったっす。ローゼさんの事情は内密にしとくっす。ですが魔女ルシエンが知っていたように、邪教とやらはローゼさんのことを知っているっす。今後、ローゼさんを利用してくる者たちが現れるかも知れないっす。だから護身用にこの魔石をどうぞ」

 フィーリアが腰のポーチから取り出したのは青紫色の綺麗な石。
 真珠と同じくらいの大きさで光沢があって綺麗……

「なにこれ、魔導具?」

「これは自分の魔力を込められる特殊な魔石っす。これに魔力を貯めておけば、いざという時に役に立つっす」

「へえ~。つまりは魔力回復アイテムか。ありがとうフィーリア」

 これがあれば黒竜戦後のルシエンとの戦いで、何もできずに死を目の当たりにするってことはなくなるかも。

 もうあんなことはさせない。
 敵だろうが何だろうと。
 私はフィーリアから魔石を受け取り、それを懐にしまう。

 それから私たちは料理の準備を進めて、食卓を囲むのだった。
 
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