【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第3章 公爵令嬢の選択

第12話 リョウについて

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 リョウもお風呂でさっぱりして、エマさんが作った豪華な夕飯に舌鼓を打つ。

 私の大好きなサンドイッチもある!
 美味しい! 美味しすぎる!
 パンも柔らかいし、卵のフワフワ感が最高じゃないですか!

 エマさんて、公爵令嬢の従者兼メイドとして完璧じゃない?
 何、このハイスペック⁉ どこでヴィレッタはエマさんを雇ったの?

「私でございますか? 5年前にレスティア領にて雇っていただきました」

「エマをわたくしの専属メイドにしたのも、才覚に知識、胆力が他の者より群を抜いていたからでございます。わたくしのメイドをしているより、もっと才覚を発揮できる場所はあると思ってはいるのですが……」

「お言葉だけで十分でございます。私は今後もお嬢様に仕える所存でございます」

 なんか良いなあ、ヴィレッタとエマさんの関係って。
 ちょっと嫉妬しちゃうぐらい信頼関係が厚いのが伝わってきたよ。

 美味しい料理を味わい終わり、今後について皆で話し合う。
 まずは護衛するにあたって、ヴィレッタのこれからの予定の確認だ。

「夏季休暇が終わり、明日から王立学校で勉学に励む日々となります。平日は夕方まで授業があり、休日は社交界や教会への訪問、他にも4大公爵家の一員として意見を求められることがあり、王宮へ出仕することもございます。……ただ、レスティア家は形骸化したお飾りとしてですが」

「学校かあ。護衛も一緒に通えるのかな?」

「その点はすでに手を打ってあります。学生としてお嬢様と同じクラスに転入できるよう、手続きを済ませてございます」

 おお。エマさん完璧! 頼りになる!

「ただ2名が限度でございました。人選はお任せします」

 そう締めくくったエマさんに、最初に口を開いたのはベレニスだ。

「私は嫌よ学校なんて。里にいた頃にさあ、ジジババ共のつまらない話で逃げ出したら、めちゃくちゃキレて追いかけ回されたし。他にも居眠りしたら叩き起こされたりした挙句、授業が終わるまで正座させられたりしたからね。あんな場所、絶対行きたくないわよ」

 ベレニス……どんな過去だよ。

 エルフの里の人たちは、きっとベレニスには相当苦労したんだろうなあ。
 容易に想像できたよ。
 しみじみ思っていると、フィーリアも続けて告げてきた。

「自分は見た目が、学校に通うのは不自然っす。自分も辞退するっす」

 ということは、私とリョウが学生になって、ヴィレッタの護衛をするのが決定ってこと⁉

 あれ? ちょっとソワソワしてきたかも。
 だって、学校に行けるんだよ! 学生だよ! 青春できるんだよ⁉
 小さき王女だった頃の私が夢見たぐらい、王立学校って憧れの場所なんだよ?
 学校生活……心躍るワードすぎるよ!

 リョウはどうだろう? やっぱり嬉しいよね? と見てみたら目が死んでいた。
 あ、あれ? なんでそんな絶望した表情をしているの?

「勉学……俺にこなせる……のか?」

 お~いリョウ? そんなに自信ないの?
 リョウは頭悪くないし、剣も強いから大丈夫だって!

 リョウはフィーリアに代わってくれと言わんばかりに目線を送るが、フィーリアはあえて無視して話を続けていった。

「では自分とベレニスさんは情報収集していくっす。商業ギルドにも顔を出したかったっすから」

「え? 私はこの屋敷を護ってるでいいんだけど?」

「それではベレニス様、私の代わりに掃除洗濯食材の買い出しに料理、屋敷に届く手紙の仕分けや、来訪者からの伝言を記録する業務をお願いいたします」

 エマさんが笑顔で告げると、ベレニスは無表情になった。

「フィーリア、一緒に商業ギルドへ行くからよろしくね」

 ……エマさん、恐ろしい人。

 こうして各自の役割が決まったのであった。

 その後、就寝前に少し雑談しちゃうのは、女子が4人集まれば仕方がないこと。
 そして話題になるはリョウのこと。

「皆様は何故、リョウ様と一緒に旅をしているのでございますか?」

 ヴィレッタのふとした質問が引き金だった。

「どうしてと言われたら、う~ん、成り行きかなあ」

「でございましたら、特にリョウ様個人に思い入れはないのでございますね?」

 ヴィレッタがずいっと顔を寄せてくる。
 うおっ! 改めてマジマジ見るとヴィレッタってやっぱり美人!
 スレンダーで凛としていて、私より背が高いし肌が白いし羨ましい……

 こんなことをされたら男なら絶対惚れるぞ。

 濃い青色の長い髪にキリッとした眉、碧眼の瞳、整った鼻筋、それに薄い唇。
 バランスの取れた顔のパーツが、ヴィレッタの美貌をより際立たせているよ。

「思い入れって……いや、まあ、その……あるといえば……あ、あるかな」

 なんか変な答え方になっちゃったけどしょうがないぞ……

「何? ヴィレッタ? 傭兵に興味あるの? フフン♪ 趣味が悪いわねえ。あいつは無趣味で剣だけが友達だし、モテているところも見たことないわよ?」

「いえ、特にリョウ様に興味はないです」

 ベレニスの軽口にバッサリのヴィレッタ。
 ……リョウが可哀想なんだけど。

「でもリョウ様って、若い女の子ばっかりに縁があるっすよね。縁があるだけで、何も起きないままなのはツボっす」

 フィーリアまでも毒を吐くけど、みんな言いたい放題だなあ。
 そこまで言わなくったっていいじゃないか~。

「そりゃあ、ずっと隣に誰かさんがいて、睨みを効かせているってのもあると思うわね」

「それはたしかにあるっすねえ。誰かさんもまた奥手っすからねえ。いやはや、難しい問題っす」

「ん? 誰? 誰かさんて?」

 私の問いにベレニスとフィーリアは、顔を見合わせて、ため息を吐いた。

 んん? なんか小馬鹿にされている気がするんだけど。

「……そういう感じなのですね。皆様の関係がわかりました。ですのでリョウ様には、わたくしの護衛をしてもらっている間に、最低限の教養と女性へのエスコートの仕方、及び、女性を魅了する笑顔の作り方を覚えてもらいましょう」

 ヴィレッタ? 何故にその結論に至るのだ⁉

「いいアイデアね! フフン♪ 目に浮かぶわ。傭兵の涙目が」

「そっすねえ、賛成するっす。リョウ様も、そういうのを学んでおいたほうが、今後動かしやすくなりそうっすから」

 ベレニスとフィーリアはニヤリとする。
 なんかもう、私1人が取り残されているんだけど⁉
 とにかくまあ、こうして就寝前の会話は終わったのだった。

 リョウには、なんかわからないけど、ごめん、と心の内で謝っておいた。
 
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