【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第4章 竜は泉で静かに踊る

第5話 エルフの女王

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 おお! 美形揃いの種族だけあって、男性も女性もベレニス級ばっかり!
 全員、ベレニスを一回り成長させたような見た目だなあ。

 駆け寄ってきたエルフたちに羨望の眼差しを向ける私だったが、なんか弓矢を構えているのもいっぱいいるんですけど⁉

「人間3人はこのまま立ち去れ。ドワーフの娘は特別に里に入ることを許可する。従わぬなら始末する」

 エルフの1人が厳かな声で言ってきた。
 人間3人って、私とリョウとヴィレッタは帰れってこと⁉
 いやいや、ここまで来てそれは酷くない?

「えっと~。ローゼといいます。ベレニスの友人です♪」

 ここは敵意なしだと伝えないと。
 ベレニスとは仲良くしているんだし、この人たちもわかってくれるでしょ?
 そんな期待を込めて口にしたのだが、無反応なんですが⁉

 ……無視は傷つくよ。

「初めまして。自分はドワーフのフィーリア・メルトダと申しますっす。突然の訪問の非礼をお詫びするっす。人間のこの御三方も、こちらにいるエルフのベレニスさんの友人で、他の皆さんに危害を加えるつもりも拐うつもりもないので、一緒に入れてほしいっす」

 さすがフィーリア、度胸と舌先三寸が凄いよ。
 頼むよ~私もエルフの里に入れるように説得してくれ~。

「ドワーフの小娘よ。そなたはまだ若い。人間というのは魔族の次に忌むべき種族だ。その者たちにどうして肩入れする?」

「知ればわかると思うっすよ」

 フィーリアの子供スマイルが炸裂する。
 キュン死しそうになったのは内緒だ。

「もう! 私の友達なの! 御託はいいからさっさと中に入れて、温かい食事とベッドを用意してよね!」

 ベレニスがキレた。
 ちょ⁉ あんた家出娘だろ!
 そんな態度をしていたら向こうもブチギレするだろ!

「しかしベレニス様、この里に人が立ち寄ったのはフォレスタ様のお仲間たちのみ。そのような偉大なる御方たちと、この者たちを同じような扱いは致しかねます」

 ん? ベレニス様? あ~、エルフって上品な種族だもんね。
 きっと年齢関係なく、互いを様付けて呼び合っているんだなあ。

「何? クーリンディア? 私の言うことが聞けないってわけ‼」

 ん? ちょっ⁉ ベレニス‼ 絶対年上だろうに、その言い方はマズいでしょ!
 ほら、クーリンディアさんてエルフの人が怒っているよ‼
 私やリョウやヴィレッタに‼

 って! なんでだよ。

「おのれ人間! ベレニス様を誑かしおって‼ スーリオン! マブンルグ! アグラリエン! 弓を構え、人間どもを射殺せ‼」

 ちょ⁉ なんでそうなるんじゃあああああああ。

 間髪入れず飛んでくる弓矢。
 おにょれ、命令されるのを待っていたな。

 だが私の魔法障壁が弓矢を弾くとリョウが飛び出し、瞬く間に弓を無力化した。

「なっ⁉」

 絶句するエルフたち。

「ええい! 全員だ! 里の総力を持って、ベレニス様を悪しき人の手から奪還するのだ‼」

 クーリンディアって人の命令が響き渡る。

 もうこうなったら、ボコって実力で認めさせるしかないかと腹をくくっていると、ベレニスが喚いた。

「いい加減にしないと、私はもう二度と里には帰らないわよ!」

 ベレニスの言葉に、クーリンディアたちエルフが騒ぎ出す。

「そ、それは困ります。女王陛下」

 んん? なんだって?

「その呼び名は止めてって言ってるでしょ! ララノア、とりあえずクーリンディアたちを下がらせて、私たち5人を里で休ませて。それから、この人間たちは極悪非道じゃないから安心するように。ただのアホよ」

 ベレニスの言葉に、ララノアと呼ばれたエルフが目を白黒させた。
 そしてクーリンディアたちエルフは、慌てて私たちに謝罪するのだった。

 なんかよくわからんが、とりあえず私たちは里へ入れてもらえることになったようだ。

「ただのアホって……」

「儲け話や出世を望まないで誰かのために旅をしているのをそう表現しただけよ。っへ、いひゃいはよローへ」

 とりあえず両頬をつねってやった。
 するとエルフ全員から睨まれたんですけど⁉
 こ、これはヤバいかも。

「もうベレニスったら~。私のことをよくわかっているんだから~」

「なんか精霊が祝福していないようなセリフね。……って! みんなもこれは大丈夫だから安心しなさい!」

 なんとかベレニスのおかげで、一難去ったのであった。

 私たちはララノアさんに案内されて、エルフの里へと足を踏み入れる。

 木々に溶け込むように建てられた住居は、樹皮で覆われた壁と葉で編まれた屋根を持ち、自然との調和を感じさせた。
 建物の周りには、精巧な模様が彫り込まれた石の彫刻が点在し、エルフたちの芸術性の高さを物語っていた。

 里のど真ん中にはでっかい大木がある。

 あれが世界樹かな?
 世界樹は、他の木々を遥かに凌駕する巨大さで、その幹は何十人もの人が手をつないでも囲めないほどだった。
 幹から伸びる枝は空高く伸び、葉は青と金が混ざったような不思議な色合いを放っていた。
 樹の周りには、目に見えない力が漂っているような独特の空気感も感じられた。

 そして私たちを案内するララノアさんは、他のエルフたちよりも少し年下に見えるが、人間で言えば20代前半ぐらいだろうか?
 長い金髪に整った顔立ちでスタイルも抜群。

「ベレニスはエルフの女王なのですか?」

 里を歩きながらのヴィレッタの質問。

「知らないわよ。本当に女王なら、勉強しなさいって追いかけ回したりしてないじゃない?」

 ベレニスがそう答えると、ヴィレッタはちょっと苦笑い。

「ベレニス様は紛れもなく女王ですよ。偉大なる先の女王フォレスタ様が木々と同化し消滅した直後に、数百年振りに誕生した我が一族の赤子だったのですから」

 と、ララノアさんが答えてくれた。

 その理屈は、輪廻転生は亡くなった直後に誕生した命に宿るって感じなのかな?
 神話にそういう逸話がちらほらあるし、エルフは信じているのかな?

 私はロマンがあっていいとは思うが、母親の胎内で生命として誕生すると考えるのが魔女の思考なので信じてはいない。

 そして、一つの建物の中に私たちが案内されて室内を見渡すと、そこは板張りの床と丸太で組み立てた円形の家具、ベッドが幾つかある素朴な空間だった。
 加工されたテーブルや椅子はなく、代わりに部屋の中央には切り株がある。
 岩をくり抜いて作られた暖炉には火が灯り、暖かい空気を与えてくれた。

 さすが森の民のエルフ。無駄を排したシンプルな生活だね。
 てかクーリンディアたち他のエルフが建物の外に集まって、ソワソワしているのはこっちも落ち着けないぞ。

「ベレニスが帰ってきて嬉しいのでしょう。でもどうして帰ってきたのか? なぜ人を連れているのか? またいなくなってしまわれないか、と心配しているのだと思われます」

「青髪の人の仰る通りですね。一つ付け加えるなら黒髪の人の男との関係は? とヤキモキもしております」

 ベレニスがウンザリしながら頬杖をついていると、ララノアさんがシチューを用意しながら呟いた。

 おお、キノコがいっぱい♪ うん温かい。美味しいなあ♪
 リョウとの関係でヤキモキ?
 エルフもそういうの考えるんだ。

「ララノア、傭兵を見てよ。これどう思うの?」

 ベレニスに言われてララノアさんはリョウの顔を見て、ちょっとビクッとしてそっぽを向く。

「美しい女4人と同行している男の容姿にしては……いえ、なんでもございません」

 お~い。リョウはそこまで酷くないぞ?
 ちょっと目つきが悪くて無愛想で鈍感なだけで。
 ……あれ? やっぱり酷いのかな?

 そして私たちは、食事を終えてお風呂に入ってさっぱりしたところで、エルフたちが集まる広場へと連れて行かれる。

 エルフたちは、木の葉や花を模した繊細な刺繍が施された緑や茶色の衣装を身にまとい、耳には木の実や小さな宝石をあしらった装飾品をつけていた。
 彼らの動きは優雅で、まるで風に揺れる木々のようで、話す時も言葉の一つ一つに音楽性があるかのような響きがある。

 おお! 世界樹が近い! えへへ、ちょっと抱きついてみようかな?
 いかんいかん、警備しているエルフたちがいるな。
 まずは説得してどいてもらわないと駄目かな?

「ローゼさん駄目っすよ。てか世界樹の活用はエルフしか無理っす。そのエルフたちも原理をよくわかっていないっすから、エルフの機嫌を害するだけの行動っすよ?」

 おにょれフィーリア。私の行動を読むんじゃない。
 てかエルフしか効果を出せないのか、無念。

 壇上が用意されていて、そこにベレニスがあがると一斉にエルフたちが跪く。

 ララノアさんの話によると、この里で一番偉いのはベレニスで次席がクーリンディアらしい。

 ちなみに私たちも壇上に上げられて、いかにも興味深そうに観察されるので居心地が悪い。

 リョウだけは堂々としているが、こいつ今、何も考えてないな。

 そしてララノアさんが厳かな口調で口を開いた。

「ベレニス様の帰還の挨拶を賜りたいと思います。ベレニス様お願いします」

 ベレニスの演説が始まる。
 その横顔は、私が知っているぐ~たらな普段とは違う凛々しさがあった。

「は? 別に帰還したわけじゃないし。ていうか、ここにわざわざ上がったのは都合がよかっただけ。簡潔に答えて。最近森で魔獣の出没が増えているのでしょう? その原因を知りたいの」

 ベレニスの言葉にエルフたちがざわめく。
 すると1人の男性が前へ進み出ると、ベレニスに一礼した。
 なんか知的な感じの緑髪イケメンさんだ。

「森で最近異変が起きているのは我らも承知しております。里には被害が出ていないので、特に何も対処はしておりません」

「そう。ありがとうイズレンディア。じゃあ私たちが調べるで問題ないわね。みんなは普段通りにしてて。でも、もし魔獣の出没が頻発するようなら私かララノアに連絡を頂戴。じゃあ解散!」

 ベレニスの言葉にイズレンディアと呼ばれたエルフの男性も、他のエルフたちも一礼して去っていった。
 そして私たちに向き直るベレニス。

「はひい……疲れた~メンドイ~。もう帰るわ~」

 おいおい、さっきのキリリとしたベレニス、もうちょっと見せてよ~。

 ともあれ、こうして私たちはエルフの里にてお世話になりながら、森の異変についての調査を開始するのだった。
 
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