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オマケ
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「アクア、フローライト様はご実家を気にされてるご様子はあるか? かつての栄光を望むご様子などは?」
「話題にされた事すらありません。フローライトは元々目立つ事は嫌いなんです。今の穏やかな暮らしを望んでいます。本人に確かめて頂いても構いません」
「いや、無駄にお心を乱す必要はない。アクアの言葉を疑う理由もないしな」
「どうされましたか?」
「フローライト様の元旦那、例の王子だが乱心したらしくてな。幽閉されたそうだ。愛しい伴侶と一緒にな」
「……それって、ホントに幽閉なんですか?」
「幽閉で済んでるのかは、我々に知る術はない。あの国は今ボロボロだぞ。フローライト様のご実家は、不正な輸出をしていたと取り潰されたらしい。そんな事したら普通は王子の伴侶も離婚だが、かの王子はもう離婚が出来ないからな。表向きは、愛しい伴侶を守る為表舞台から去った事になってるが、姉妹で伴侶を取り替えた節操なしの王子って噂もある。ま、真実は後者だな」
「おかげでオレは可愛い妻と結婚できましたからね」
「うむ、姫の大事にされていたお孫さんを保護してくれて感謝している」
「他も身内でしょう? アレらは救わなくて良いんですか?」
「あのロケットはな、姫が大事にしていた人物にだけ渡されるんだ。複数個あった筈だが、フローライト様のお話だとお婆様はフローライト様にだけ渡したと仰っていた。ひとつしかないから秘密にしろとな。どちらにしても、いくら姫の大事な人でも傲慢な者を救う気はない。我々はそこまで優しくはないんだ」
「フローライトは大歓迎したじゃないですか」
「当然だ、姫の忘れ形見なんだからな」
「忘れ形見、他にもいますけどね……」
「ひとりは爵位を失い借金を返す為に強制労働、もうひとりは愛する人と一緒に幽閉なんだから幸せだろ」
「強制労働、幸せですか……?」
「傲慢な貴族の体力が持つかは知らん。今までしてきた事の報いを受けてるだけだし、生きてるだけ幸せだろ」
「まぁ、そうっすね」
「むしろ幽閉の方が地獄だろうな。嫌いな奴と四六時中一緒に居るくらいなら、私なら強制労働を選ぶ」
「え? 愛し合ってんじゃないんですか?」
「幽閉される前に国同士の会議で夫婦と会ったが、仮面夫婦のフリすら出来てなかったぞ。仲は最悪のようだ。フローライト様の話を振ったら、必死の形相で居場所を知ってるかと聞かれた。もちろん言わなかったが、知ったらどうするのかと聞いたら、探し出して側妃にするそうだ。仕事をさせると言っていた。あまりにも自分勝手な言い分で呆れた。腹が立ったから、着の身着のまま国境の森に捨てられた貴族令嬢が生きているのかと聞いたら打ちひしがれていたな。既にフローライト様の噂は流しておいたから、各国の首脳から批判の嵐でなぁ。小さくなる王子はなかなか見ものだったぞ。今後フローライト様が表舞台に立てばトラブルになるのは間違いない。このまま存在は隠し続ける。どうか生涯大事にしてくれ」
「御意」
「話題にされた事すらありません。フローライトは元々目立つ事は嫌いなんです。今の穏やかな暮らしを望んでいます。本人に確かめて頂いても構いません」
「いや、無駄にお心を乱す必要はない。アクアの言葉を疑う理由もないしな」
「どうされましたか?」
「フローライト様の元旦那、例の王子だが乱心したらしくてな。幽閉されたそうだ。愛しい伴侶と一緒にな」
「……それって、ホントに幽閉なんですか?」
「幽閉で済んでるのかは、我々に知る術はない。あの国は今ボロボロだぞ。フローライト様のご実家は、不正な輸出をしていたと取り潰されたらしい。そんな事したら普通は王子の伴侶も離婚だが、かの王子はもう離婚が出来ないからな。表向きは、愛しい伴侶を守る為表舞台から去った事になってるが、姉妹で伴侶を取り替えた節操なしの王子って噂もある。ま、真実は後者だな」
「おかげでオレは可愛い妻と結婚できましたからね」
「うむ、姫の大事にされていたお孫さんを保護してくれて感謝している」
「他も身内でしょう? アレらは救わなくて良いんですか?」
「あのロケットはな、姫が大事にしていた人物にだけ渡されるんだ。複数個あった筈だが、フローライト様のお話だとお婆様はフローライト様にだけ渡したと仰っていた。ひとつしかないから秘密にしろとな。どちらにしても、いくら姫の大事な人でも傲慢な者を救う気はない。我々はそこまで優しくはないんだ」
「フローライトは大歓迎したじゃないですか」
「当然だ、姫の忘れ形見なんだからな」
「忘れ形見、他にもいますけどね……」
「ひとりは爵位を失い借金を返す為に強制労働、もうひとりは愛する人と一緒に幽閉なんだから幸せだろ」
「強制労働、幸せですか……?」
「傲慢な貴族の体力が持つかは知らん。今までしてきた事の報いを受けてるだけだし、生きてるだけ幸せだろ」
「まぁ、そうっすね」
「むしろ幽閉の方が地獄だろうな。嫌いな奴と四六時中一緒に居るくらいなら、私なら強制労働を選ぶ」
「え? 愛し合ってんじゃないんですか?」
「幽閉される前に国同士の会議で夫婦と会ったが、仮面夫婦のフリすら出来てなかったぞ。仲は最悪のようだ。フローライト様の話を振ったら、必死の形相で居場所を知ってるかと聞かれた。もちろん言わなかったが、知ったらどうするのかと聞いたら、探し出して側妃にするそうだ。仕事をさせると言っていた。あまりにも自分勝手な言い分で呆れた。腹が立ったから、着の身着のまま国境の森に捨てられた貴族令嬢が生きているのかと聞いたら打ちひしがれていたな。既にフローライト様の噂は流しておいたから、各国の首脳から批判の嵐でなぁ。小さくなる王子はなかなか見ものだったぞ。今後フローライト様が表舞台に立てばトラブルになるのは間違いない。このまま存在は隠し続ける。どうか生涯大事にしてくれ」
「御意」
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