婚約破棄は夜会でお願いします

編端みどり

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第二十七話

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「とーさま! とーさまが大好き!」

「団長、貴族はキスはダメなんでしょう?」

「わかってる! 分かってるけどな!!!」

わたくしは、カルロと結婚して現在は産休中です。わたくしのお腹には、第二子が宿っています。

第一子のレイラは、カルロが大好きです。

「おっきくなったら、とーさまと結婚するの!」

いつもそんな事を言っておりますわ。

今は、ヘレナがお子さんを連れて遊びに来てくれています。ヘレナは、既に4人のお母さんです。最近騎士に復帰しました。

大変だけど、レオンの協力もあるから大丈夫だそうです。騎士同士で結婚すると、大抵どちらかは辞めてしまうのですが、わたくしも辞める気はありませんし、ヘレナもレオンも騎士を続けています。

色々と働きかけて、多少給料は減りますが、仕事量を減らして勤務できる体制や、子どもを預かる託児所等が騎士団にできました。カルロが、王太子殿下に直訴したらしいです。

騎士団のすぐ側に学校がありますから、学校が終わったら託児所で勉強をしたり、子どもの面倒を見たり、見よう見まねで騎士の訓練をする子もおります。騎士は交代制なので、託児所は24時間開いています。

親は、残業になっても子どもは託児所が見てくれるので安心して仕事が出来ると評判で、結婚や出産での退職が減りました。

最初は女性騎士の子どもが多かったのですが、レオンが率先して子育てをしている姿を見ていると周りの意識も変わってきたようで、今では騎士団の子どもの大半は託児所で預かっております。

貴族の子も、平民の子も関係なく通っていますから最初は様々な反発もありました。主に外部から。ですが、レイラが通い出してからは貴族の子を預ける騎士も増えました。

ニコラの子も、託児所に通っています。貴族は、家庭での教育もありますから週に1度通うだけなどの方が多いのですが、ニコラの子は毎日通っております。

ニコラのお家は、ご両親の教育がとても厳しく偏っておられるのだそうです。ニコラは、騎士か文官しか認めないと幼い頃から詰め込み教育をされたそうです。ニコラは騎士の仕事があり、奥様もご両親には逆らえず、このままでは子どもが自分のようにつらい思いをしてしまうと危惧していた時、託児所が出来たのですぐに預ける事にしたそうです。

最初は反対されたそうですが団長の子が毎日通っていると言えば、あっさり手の平を返してきたそうです。本当は、うちも毎日通ってはいないのですが見にくる訳じゃないし分からないとニコラは言っておりました。

わたくしや、ヘレナを見ているともっと強かに自分の子や妻を守らないといけないと気が付いたそうで現在は、着々と領地の仕事をして、社交を行い、ご両親の影響力を削いでいる最中だそうです。

テオは、いずれ結婚したいとは言っておりましたが、まだ遊びたいそうで休日は街中をフラフラしています。

実は、先輩がテオを好きらしくてアプローチをしています。テオも満更ではなさそうですから、うまくいくと良いなとヘレナと話しておりますの。

託児所は、何人も先生が居るのですが、たまに外部の講師も呼んで子どもたちにいろんな経験をさせています。

騎士の実演をした事もありますし、街の職人さんや、城の文官の方がお仕事の話をしてくださる事もあります。興味を持った子は、更に深く学べます。優秀な人材を確保出来るからと、外部講師は増えております。騎士の家庭は、ほとんどが規則正しく真面目なのだそうです。わたくしには分かりませんが、ヘレナに家での訓練等の話をしたら、そりゃ強くなるわと言われましたから、一般よりも多少厳しいのかもしれませんわね。

それ以外にも、更生した犯罪者の方が自分の経験を話す事もあります。もちろん、子ども達に何かあってはいけませんから、騎士がガッチリ周りを固めますけど、犯罪を犯す者にも事情があります。反省しており、自分のような人を減らしたいと考える人はいらっしゃるのです。

サブリナ様もそのひとりです。

彼女は、自分の経験を子ども達に話しております。子どもに向かない話は端折りますが、かなり具体的に自分の心情を話します。

失敗しても、生きていれば立ち直れる。だけど、私みたいな派手な失敗はしない方が良いからと仰います。

シャナさんに罪を擦り付けようとした事を心から悔いているそうで、今でも稼ぎの何割かをシャナさんに届けているそうです。

釈放されてみたら、自分の家は無くて絶望したそうですわ。だけど、数人の方が助けてくれたそうです。ただ、ほとんどの街の人はとても冷たかったそうです。

それは、家族にも及ぶのだから自分勝手な考えを持たず、周りの話を聞くようにと諭しておりました。騎士の子である貴方達は、悪い事をすれば親から仕事を奪う。それを忘れるなと言っておられました。

サブリナ様は、普段は宿屋で働いておられるそうですわ。
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