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5. 女の仮面は剥がれる ☆
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「あなた……王太子妃になる覚悟はあるの?」
「はいっ! もちろんありますっ!」
「リリーよりも、覚悟はあるのね?」
「……お姉様は……可哀想です。わたくしにした事を反省すれば、お父様から離縁なんてされなかったのに……」
王妃は、女の嘘泣きを見破り、淡々と話を続ける。
「まるで準備していたかのように早かったわよね。離縁状に魔法契約がかかっていて、撤回は不可能。仕方ないから、受理された瞬間に慌ててリリーを確保しようとしたのに……もう何処にも居なかった。見張りは全員、眠っていたわ」
「あ、あの……王妃様……でも……お姉様は意地悪で……」
「王太子の婚約者は、常に複数の見張りが付けられているの」
「は……?!」
「24時間、眠る時もね。リリーは常に王妃になる女性に相応しく、笑みを浮かべ、仕事をこなし、誰にでも優しい。どれだけ罵られても、反論はしない。そう躾けたのはわたくしよ。リリーは、理想の女性に仕上がった。わたくしが作った、完璧なお人形。あなたに意地悪をしたなんて報告に上がっていないわ」
「そ……そんな! 見張りの人が目を離したんですよ!」
「見張りは、夜は2人、更に隠密も複数付いてるの。昼間は10人以上がリリーを見張っているわ。10人の見張りが見落としたとでも?」
「……見落としたんです! あの女は意地悪なんですよ! 可愛がられるのは私!」
「……無様ね。そんな顔してちゃ、とても妃にはなれないわよ?」
「……し、失礼しました。姉は可哀想だったと思います。でも、わたくしも姉に意地悪されて、辛かったんです」
「どんな意地悪をされたの?」
「……そ、それは……わたくしの歩き方がはしたないとか、言葉遣いを直せとか……」
「優しいわね。リリーは。やっぱりわたくしの理想通りだわ」
「み……水をかけられた事もありましたっ!」
「ああ……アレ? あなたが自分から被ったんでしょ? 報告書に書いてあったわ」
「……ち、違います! お姉様がぁ……!」
「あなた、そうやって泣けば良いと思っていたの? 全く、どんな躾をされていたのよ。こんな嘘の涙に騙されるなんて、ホント、馬鹿ばっかりなんだから。うちの息子も、躾直さなければいけないかしら……」
そう言って微笑む王妃は、恐ろしい笑みを浮かべていた。
「まずは、リリーを手放した者達を処罰したわ。爵位は剥奪。あなたはもう単なる平民よ? でも、大丈夫。わたくしは、息子の愛した女を救う、慈悲深い王妃なの。リリーの倍の見張りを付けて、失敗する度にわたくしの元へ転移させて躾けるわ。覚悟はあると、言ったわよね?」
「……し、躾って……?」
「そうね……まずは体験してもらおうかしら……?」
王妃は、魔法で女を拘束した。
侍女達が王妃に淡々と道具を渡す。
道具は、女が見た事のないものばかりだった。
「安心してね。ちゃあんと治してあげる。死ぬ事はないわ」
王妃の笑みを見た侍女達は怯えた。
「ふふっ……久しぶりだから……ちょっと派手にやっちゃうかも……良いわぁ……新しいお人形……」
恍惚とした王妃を見て、侍女達は全員席を外した。表向きは王妃がゆっくりする為。本音は、怖すぎて居られなかったから。
だが、1人だけ逃げられない者が居た。
「ふふっ……ここは普段はお茶会を中継したりするの。素敵な場所でしょう? だけどもうひとつ機能があってね。こうすれば……ホラ。音が漏れないの。どれだけ叫んでも大丈夫よ」
「……い……いや……助けて!」
「あら? 覚悟はあるって言ったじゃないの。リリーはね、ずーっとこうやって躾けていたの。おかげで理想のお人形になったわ。だけど、最近は失敗しないから、つまらなかったの。婚約破棄されたなら確保して、一生飼おうと思ってたのに……わたくしのお人形を奪ったんだから、代わりになってちょうだい?」
拷問と呼ぶに相応しい悍ましい行為は、延々と続けられた。ある程度血が出ると、すぐに魔法で癒され、また同じ事の繰り返し。
女の叫び声と、王妃の笑い声は何処にも届かない……筈だった。
「今すぐ止めろ! 中継されている!!」
国王が飛び込んで来た時には、もう遅かった。
嘘吐きと、理想の王妃と讃えられた女の仮面は剥がれ、瓦解した。
「さーて、コレで2人……こんなモン中継されたら、あの馬鹿王子と結婚したがる女性は居なくなるだろうな。それにしても……あんなひでぇ事、リリーにしてたのかよ。絶対許さねぇ……」
「はいっ! もちろんありますっ!」
「リリーよりも、覚悟はあるのね?」
「……お姉様は……可哀想です。わたくしにした事を反省すれば、お父様から離縁なんてされなかったのに……」
王妃は、女の嘘泣きを見破り、淡々と話を続ける。
「まるで準備していたかのように早かったわよね。離縁状に魔法契約がかかっていて、撤回は不可能。仕方ないから、受理された瞬間に慌ててリリーを確保しようとしたのに……もう何処にも居なかった。見張りは全員、眠っていたわ」
「あ、あの……王妃様……でも……お姉様は意地悪で……」
「王太子の婚約者は、常に複数の見張りが付けられているの」
「は……?!」
「24時間、眠る時もね。リリーは常に王妃になる女性に相応しく、笑みを浮かべ、仕事をこなし、誰にでも優しい。どれだけ罵られても、反論はしない。そう躾けたのはわたくしよ。リリーは、理想の女性に仕上がった。わたくしが作った、完璧なお人形。あなたに意地悪をしたなんて報告に上がっていないわ」
「そ……そんな! 見張りの人が目を離したんですよ!」
「見張りは、夜は2人、更に隠密も複数付いてるの。昼間は10人以上がリリーを見張っているわ。10人の見張りが見落としたとでも?」
「……見落としたんです! あの女は意地悪なんですよ! 可愛がられるのは私!」
「……無様ね。そんな顔してちゃ、とても妃にはなれないわよ?」
「……し、失礼しました。姉は可哀想だったと思います。でも、わたくしも姉に意地悪されて、辛かったんです」
「どんな意地悪をされたの?」
「……そ、それは……わたくしの歩き方がはしたないとか、言葉遣いを直せとか……」
「優しいわね。リリーは。やっぱりわたくしの理想通りだわ」
「み……水をかけられた事もありましたっ!」
「ああ……アレ? あなたが自分から被ったんでしょ? 報告書に書いてあったわ」
「……ち、違います! お姉様がぁ……!」
「あなた、そうやって泣けば良いと思っていたの? 全く、どんな躾をされていたのよ。こんな嘘の涙に騙されるなんて、ホント、馬鹿ばっかりなんだから。うちの息子も、躾直さなければいけないかしら……」
そう言って微笑む王妃は、恐ろしい笑みを浮かべていた。
「まずは、リリーを手放した者達を処罰したわ。爵位は剥奪。あなたはもう単なる平民よ? でも、大丈夫。わたくしは、息子の愛した女を救う、慈悲深い王妃なの。リリーの倍の見張りを付けて、失敗する度にわたくしの元へ転移させて躾けるわ。覚悟はあると、言ったわよね?」
「……し、躾って……?」
「そうね……まずは体験してもらおうかしら……?」
王妃は、魔法で女を拘束した。
侍女達が王妃に淡々と道具を渡す。
道具は、女が見た事のないものばかりだった。
「安心してね。ちゃあんと治してあげる。死ぬ事はないわ」
王妃の笑みを見た侍女達は怯えた。
「ふふっ……久しぶりだから……ちょっと派手にやっちゃうかも……良いわぁ……新しいお人形……」
恍惚とした王妃を見て、侍女達は全員席を外した。表向きは王妃がゆっくりする為。本音は、怖すぎて居られなかったから。
だが、1人だけ逃げられない者が居た。
「ふふっ……ここは普段はお茶会を中継したりするの。素敵な場所でしょう? だけどもうひとつ機能があってね。こうすれば……ホラ。音が漏れないの。どれだけ叫んでも大丈夫よ」
「……い……いや……助けて!」
「あら? 覚悟はあるって言ったじゃないの。リリーはね、ずーっとこうやって躾けていたの。おかげで理想のお人形になったわ。だけど、最近は失敗しないから、つまらなかったの。婚約破棄されたなら確保して、一生飼おうと思ってたのに……わたくしのお人形を奪ったんだから、代わりになってちょうだい?」
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