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12.幸せ
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「着いたぞ。まだあんまり物が揃ってねぇんだけど……」
フォッグの転移魔法で国外に退避したリリーは、呆然としていた。
「……あの、フォッグさん?」
「ん? どうした? リリー」
ようやくリリーと一緒に居れる。フォッグがリリーの頭を撫でるとリリーも嬉しそうに擦り寄った。が、すぐに慌ててフォッグに詰め寄る。
「なんで、こんなに豪華な部屋なの?! 小屋みたいな場所でも構わないって思ってたのに! わたくしの以前の部屋と変わらない広さじゃないの!」
「そんな所にリリーを連れて行けるかよ。前よりは豪華じゃねぇし、ドレスや宝石もまだこんくらいしかねぇんだ」
「待って! こんなドレス、フォッグのお給金で買える物じゃないわよね?!」
「悪どい事はしてねぇぞ。この国、魔法で稼げるんだよ。オレはそこそこ魔力が高いらしいからな。休みの日なんかに働いて稼いだんだ」
フォッグが転移した国は、国王も、国民も魔族の血を引いている。フォッグが迫害される事はない。リリーも知らない国だ。
「あんなに勉強したのに、全く知らなかったわ……!」
「ここ、大陸も別だからな。国交もないし、知らなくて当然だぜ」
「フォッグは、どうやってここに来たの?」
「オレみたい奴らで魔法が出来るとバレたら城に監禁されるだろ? ムカつくから、監禁場所探して助け出したんだよ。そしたら、その中の1人がここの出身でさ。転移して移住許可を取ってくれたんだ。内側からはどうしようもねぇけど、見張りも居なかったし、外から鍵ぶっ壊せば楽勝で助けられた。部屋を出ちまえば魔法は使い放題だからみんな逃げたよ。そのうちの1人に、なんかすげー泣かれて、恩返ししたいって言われたんだ。オレは気まぐれで助けただけなのに参ったぜ。だから、国外でどっか逃げられる所ねぇかって聞いたら速攻ここに連れて来てくれた。お忍びで旅してたお偉いさんだったんだ。おかげで避難場所を確保出来たし、仕事も貰えて助かったぜ」
「……もしかして、最近国王様がイライラしてたり、必死で外交しようとなさってたのって……」
「こき使ってたヤツらが逃げたからだろうなぁ。ホント、勝手な奴らだよな。リリーも利用しようとしてたし、絶対許さねえ」
また目が光り出したフォッグの頬をつねるリリー。
「もう! あちらがわたくしを要らないって言ったんだから、放っておきましょうよ。後はなんとかするでしょうし。それよりこれからどうするか考えましょう? ねぇ、わたくしも何か仕事をした方が良いんじゃないかしら? ここを維持するの、かなりお金がかかるわよね?」
「リリーが働きたいなら仕事を探すぜ。リリーは何でも出来るから、選択肢は無限だぞ。なぁ、リリーは何がしたい? もちろん、何もしないってもアリだ」
「ど、どうしよう! わたくしが……決めて良いのよね?」
「もちろんだ。リリーはもう自由なんだから。けど、オレから離れるのだけは勘弁してくれ」
「もちろんよ! だってフォッグと一緒に居たかったから自由になりたかったんだもの。フォッグが助けてくれなかったら、わたくしはどうなっていたか分からないわ。本当にありがとう。わたくし、今はとっても幸せよ!」
フォッグの転移魔法で国外に退避したリリーは、呆然としていた。
「……あの、フォッグさん?」
「ん? どうした? リリー」
ようやくリリーと一緒に居れる。フォッグがリリーの頭を撫でるとリリーも嬉しそうに擦り寄った。が、すぐに慌ててフォッグに詰め寄る。
「なんで、こんなに豪華な部屋なの?! 小屋みたいな場所でも構わないって思ってたのに! わたくしの以前の部屋と変わらない広さじゃないの!」
「そんな所にリリーを連れて行けるかよ。前よりは豪華じゃねぇし、ドレスや宝石もまだこんくらいしかねぇんだ」
「待って! こんなドレス、フォッグのお給金で買える物じゃないわよね?!」
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フォッグが転移した国は、国王も、国民も魔族の血を引いている。フォッグが迫害される事はない。リリーも知らない国だ。
「あんなに勉強したのに、全く知らなかったわ……!」
「ここ、大陸も別だからな。国交もないし、知らなくて当然だぜ」
「フォッグは、どうやってここに来たの?」
「オレみたい奴らで魔法が出来るとバレたら城に監禁されるだろ? ムカつくから、監禁場所探して助け出したんだよ。そしたら、その中の1人がここの出身でさ。転移して移住許可を取ってくれたんだ。内側からはどうしようもねぇけど、見張りも居なかったし、外から鍵ぶっ壊せば楽勝で助けられた。部屋を出ちまえば魔法は使い放題だからみんな逃げたよ。そのうちの1人に、なんかすげー泣かれて、恩返ししたいって言われたんだ。オレは気まぐれで助けただけなのに参ったぜ。だから、国外でどっか逃げられる所ねぇかって聞いたら速攻ここに連れて来てくれた。お忍びで旅してたお偉いさんだったんだ。おかげで避難場所を確保出来たし、仕事も貰えて助かったぜ」
「……もしかして、最近国王様がイライラしてたり、必死で外交しようとなさってたのって……」
「こき使ってたヤツらが逃げたからだろうなぁ。ホント、勝手な奴らだよな。リリーも利用しようとしてたし、絶対許さねえ」
また目が光り出したフォッグの頬をつねるリリー。
「もう! あちらがわたくしを要らないって言ったんだから、放っておきましょうよ。後はなんとかするでしょうし。それよりこれからどうするか考えましょう? ねぇ、わたくしも何か仕事をした方が良いんじゃないかしら? ここを維持するの、かなりお金がかかるわよね?」
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「もちろんよ! だってフォッグと一緒に居たかったから自由になりたかったんだもの。フォッグが助けてくれなかったら、わたくしはどうなっていたか分からないわ。本当にありがとう。わたくし、今はとっても幸せよ!」
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