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第四章 守りたいもの
14.幸せな日々
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「お姉様! おかえりなさい!」
「ただいま。ソフィアにお祝いをあげたくて早く帰って来ちゃったわ。受け取って。ミリアからも祝いを預かっているの。後で手紙を書いてあげて」
「むぅ……分かりました! 祝いを贈るなんてちょっとはお姉様の代理らしくなったじゃないの」
「そうね。あの子はもう大丈夫。ソフィアの好きな茶葉を手に入れたの。一緒にお茶しましょう」
「嬉しいですお姉様!」
あれから更に時が経ち、ビオレッタのお腹には子どもがいる。すっかり大人になったビオレッタは、子どもは里帰りして産みたいと言ってくれた。安定期になってからゆっくりと帰省して来たわ。
ソフィアは半年後に結婚する。トーマスも成人して、婚約が決まった。来年結婚する予定だ。
ソフィアは大きくなってもビオレッタが大好きで、一時期はミリアを敵視していた。だけど何度も交流を重ねるうちに親しくなったようだ。
ミリアは、夫や周りの支えもあり立派にビオレッタの名代を務めている。帝国の属国になったので、うちとの取引も復活した。
トーマスは従兄弟であるピーター様の娘と結婚する事になった。国に残り、王となったお兄様を支える仕事に就く。お兄様はいずれ宰相にしたいと言っているが、まだまだ勉強が必要だからだいぶ先の話になるだろう。トーマスは末っ子で甘えん坊だけど、持ち前の明るさで皆に可愛がられている。
少し甘いところのあるトーマスをいつも叱るのがソフィアだ。ソフィアは他国に嫁ぎ、王妃になる。わたくしの時の反省を活かして、しっかり調査をした。お相手に問題ない事は確認済みだ。妹が可愛いビオレッタも独自に調査をしていた。大丈夫、良い人だと手紙が来たわ。
ソフィアはきっと幸せになれる。それでも心配で、困った事があれば隠さず言うようにと何度も言ったら、しつこいと喧嘩になってしまった。
子ども達とうまくいかない時、助けてくれるのはいつもクリスだ。クリスがわたくしとソフィアの間に入ってくれて、仲直りできた。その時のやりとりは、なんだかとても可笑しくて、家族を世界中に自慢したい気持ちだったわ。
その日の事は日記に書いてあるから、ビオレッタにだけ見せて自慢すると頬を膨らませてその場に居たかったと言われたわ。
----------------------------------------
XXXX年XX月XX日
ソフィアと喧嘩してしまったけど、クリスとトーマスのおかげで仲直りできた。ソフィアを信じて任せようと思う。その時のみんなの会話が楽しかったので、記録として残しておくわ。
「お母様が心配してくれるのは嬉しいの。でも、もっと信用して欲しくて……わたくしは、あの方が好きなの」
「ごめんなさい。わたくし、子離れできていなかったわ。もっとソフィアを信じる。ソフィアは困ったらちゃんと教えてくれるもの」
「さすが母様です! ほら、姉様も僕の事を信用して下さいよ! 毎日毎日うるさいったら……」
「それはトーマスがやる事をやらないからでしょ! 少しはお姉様を見習いなさいよっ! そんなんじゃ宰相になんてなれないわよっ!」
「ひぃ! ごめんなさい姉様!」
「ほらほら、それくらいにしておけ。トーマス、鍛錬の時間だから行こうな」
「父様が一番鬼……」
この後、トーマスはクリスに連れられて行った。夕飯の時は、筋肉痛だと騒いでいたわ。
こんなふうに過ごすのもあと少し。子ども達が結婚して城を出れば、クリスと二人きりの食卓になるわ。
寂しいけど、子ども達の成長が嬉しい。
あと一年、子ども達と過ごす時間を大切にしていきたいわ。
----------------------------------------
すっかり大人になったビオレッタも、わたくしの前では子どもに戻る。それがとっても愛おしくて、嬉しい。
ビオレッタは母親になり、今のように甘えた表情を見せてくれる事も少なくなるだろう。だけどそれで良い。娘の成長が、母として最大の幸福だから。
「ビオレッタ、愛してるわ」
「わたくしも愛してますわ、お母様!」
「ただいま。ソフィアにお祝いをあげたくて早く帰って来ちゃったわ。受け取って。ミリアからも祝いを預かっているの。後で手紙を書いてあげて」
「むぅ……分かりました! 祝いを贈るなんてちょっとはお姉様の代理らしくなったじゃないの」
「そうね。あの子はもう大丈夫。ソフィアの好きな茶葉を手に入れたの。一緒にお茶しましょう」
「嬉しいですお姉様!」
あれから更に時が経ち、ビオレッタのお腹には子どもがいる。すっかり大人になったビオレッタは、子どもは里帰りして産みたいと言ってくれた。安定期になってからゆっくりと帰省して来たわ。
ソフィアは半年後に結婚する。トーマスも成人して、婚約が決まった。来年結婚する予定だ。
ソフィアは大きくなってもビオレッタが大好きで、一時期はミリアを敵視していた。だけど何度も交流を重ねるうちに親しくなったようだ。
ミリアは、夫や周りの支えもあり立派にビオレッタの名代を務めている。帝国の属国になったので、うちとの取引も復活した。
トーマスは従兄弟であるピーター様の娘と結婚する事になった。国に残り、王となったお兄様を支える仕事に就く。お兄様はいずれ宰相にしたいと言っているが、まだまだ勉強が必要だからだいぶ先の話になるだろう。トーマスは末っ子で甘えん坊だけど、持ち前の明るさで皆に可愛がられている。
少し甘いところのあるトーマスをいつも叱るのがソフィアだ。ソフィアは他国に嫁ぎ、王妃になる。わたくしの時の反省を活かして、しっかり調査をした。お相手に問題ない事は確認済みだ。妹が可愛いビオレッタも独自に調査をしていた。大丈夫、良い人だと手紙が来たわ。
ソフィアはきっと幸せになれる。それでも心配で、困った事があれば隠さず言うようにと何度も言ったら、しつこいと喧嘩になってしまった。
子ども達とうまくいかない時、助けてくれるのはいつもクリスだ。クリスがわたくしとソフィアの間に入ってくれて、仲直りできた。その時のやりとりは、なんだかとても可笑しくて、家族を世界中に自慢したい気持ちだったわ。
その日の事は日記に書いてあるから、ビオレッタにだけ見せて自慢すると頬を膨らませてその場に居たかったと言われたわ。
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XXXX年XX月XX日
ソフィアと喧嘩してしまったけど、クリスとトーマスのおかげで仲直りできた。ソフィアを信じて任せようと思う。その時のみんなの会話が楽しかったので、記録として残しておくわ。
「お母様が心配してくれるのは嬉しいの。でも、もっと信用して欲しくて……わたくしは、あの方が好きなの」
「ごめんなさい。わたくし、子離れできていなかったわ。もっとソフィアを信じる。ソフィアは困ったらちゃんと教えてくれるもの」
「さすが母様です! ほら、姉様も僕の事を信用して下さいよ! 毎日毎日うるさいったら……」
「それはトーマスがやる事をやらないからでしょ! 少しはお姉様を見習いなさいよっ! そんなんじゃ宰相になんてなれないわよっ!」
「ひぃ! ごめんなさい姉様!」
「ほらほら、それくらいにしておけ。トーマス、鍛錬の時間だから行こうな」
「父様が一番鬼……」
この後、トーマスはクリスに連れられて行った。夕飯の時は、筋肉痛だと騒いでいたわ。
こんなふうに過ごすのもあと少し。子ども達が結婚して城を出れば、クリスと二人きりの食卓になるわ。
寂しいけど、子ども達の成長が嬉しい。
あと一年、子ども達と過ごす時間を大切にしていきたいわ。
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すっかり大人になったビオレッタも、わたくしの前では子どもに戻る。それがとっても愛おしくて、嬉しい。
ビオレッタは母親になり、今のように甘えた表情を見せてくれる事も少なくなるだろう。だけどそれで良い。娘の成長が、母として最大の幸福だから。
「ビオレッタ、愛してるわ」
「わたくしも愛してますわ、お母様!」
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