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シャルロットの将来展望
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「それはヘンリー殿下がお気の毒でしたね。」
ニコラから暗殺事件のその後を聞いたシャルロットはヘンリー王子とアレクシア妃を気の毒に思った。
「そうですね、敵を欺くために何も知らせないまま一役買っていただきました。しかしそうしてエリック殿下が保護下に置かないとその場で口を封じられてしまう可能性がありましたしね。これもシャルロット様が見てくださったおかげです。」
あの時、無実だと叫ぶヘンリーの耳元でエリックは
「兄上たちの命が狙われている。保護するから拘束されるふりをして。犯人はわかっているから心配ない」
とぎりぎりになって打ち明けたのだ。
それを聞くまでのヘンリーの心境を思うと忍びない。
「今回、シャルロット様のおかげでこの国は救われました。感謝のしようがございません。」
頭を下げるニコラに、自分は何もできていないとあわてて止めた。
「いえ、最初にエリック殿下の暗殺が成功していたらそのままヘンリー殿下が犯人として断罪され、いずれはルーフェ殿下を思いのままに操る隣国に乗っ取られていたでしょう。あなたの功績は人一人の命を救っただけではない、この国を救ってくれたのです。そして私の領民も救っていただいている。私はあなたに生涯感謝と忠誠を誓います」
ニコラは跪くとシャルロットの手の甲に軽く唇をふれた。
「ニコラ様!」
あまりにもの真摯な態度に茶化すことも笑い飛ばすこともできなかった。
「本当は殿下の横に立ち、お二人でこの国の未来を作ってほしいと願っています。ですが私はあなた自身に幸せになってほしい。この国の救世主に幸あらんことを。」
再びキスを手の甲に落とすと照れくさそうに椅子に座りなおした。
「申し訳ありません。あなたにどうすればこの感謝が伝わるかわからなくて・・・こんな堅苦しくなってしまいました。」
「えと・・・あのそういっていただけて嬉しいです。」
シャルロットも顔を赤く染めながらそれを受け入れた。
その夜、ニコラに聞いた暗殺事件を思い出していた。
あの舞踏会の少し前、エリックに王族を見てほしいと頼まれた。
父のジェラルドはこうして王家に利用されていくことを常に懸念していたため断った。
しかしエリックは、「この一回で王位継承に絡む問題を一掃したい。きっと誰かの命が奪われる。これを最後にするので力を貸してほしい」と頼んできた。
シャルロットは自分の意思で了承し、シリルの付き添いのもと確認しに行くと第一王子のヘンリーとその母アレクシア妃が近衛騎士第一部隊長カインに剣で切られる場面を見てしまった。
それを告げるとエリックは考え込み、先ほど聞いた策を弄したようだ。
おそらくエリックが王太子となるだろう。そしていずれこの国の王として名を馳せるだろう。前回の地震時といい、今回の王位継承問題といいその手腕に疑うところはない。できれば、支えたいと思う。
そう思ったところで、自分の気持ちの変化に気が付いた。これまでは、父の役に立ちたい、自分の苦しみに意味を見出したかったなどの理由で、王族、国政に関わる重鎮たちを見てきたが、今は自らこの国の為に、この国を良くしようとするエリックのために力になりたいと思った。
「というわけなの。これからは少し前を向こうと思う」
自分の思いをシリルに打ち明けた。そう考えられるようになったのはシリルの力が大きいからだ。シリルがいなければそう考えることなどできなかった。
「そう。」
表情のない顔で、短くシリルは言った。
この間のニコラ様とのお茶会も不機嫌だったわねとシャルロットは思った。
「・・・姉上は、殿下の事・・・好きなんですか?」
「ええ、尊敬しているわ。地震の時、この殿下がいればこの国は大丈夫だとすごく安心したの。」
「もし姉上にこんな力がなかったら・・・殿下に嫁ぎたかったですか?」
シャルロットが望んだとしても乙女ではない彼女が王家に嫁ぐことはできない。そうしたのは自分だ。シリルは独占欲からくる嫉妬と、罪悪感でいっぱいだった。
「それはないわ。臣下としてお慕い申し上げてるけれど。だって。怖そうじゃない?あんな賢い人がそばにいると気が抜けなさそう。」
楽しそうにいうシャルロットにシリルはやっと笑うことができた。
「姉上はどなたか結婚したい方いらっしゃるんですか?」
「結婚はするつもりはないわ。お父様はずっとここにいていいと言ってくださってるけどそうはいかないし。貴方が結婚する前にはここを出るつもりだから心配しないでね。」
「そんな心配いりません。姉上はずっとここで暮らせばいい!」
「こんな人嫌いで怪しい姉がいたら奥さまがかわいそうだわ。私は大丈夫よ、先の事は色々考えているから。」
「色々?何を考えているんですか?」
「ニコラ様にも相談して、ルコント領で一人暮らしできるようにね。住む家と人に合わずに済むように刺繡や代筆の仕事を世話してもらうつもりなの。」
「どうして僕に相談してくれなかったんですか!」
シリルは思わず立ち上がり、詰め寄った。
ニコラから暗殺事件のその後を聞いたシャルロットはヘンリー王子とアレクシア妃を気の毒に思った。
「そうですね、敵を欺くために何も知らせないまま一役買っていただきました。しかしそうしてエリック殿下が保護下に置かないとその場で口を封じられてしまう可能性がありましたしね。これもシャルロット様が見てくださったおかげです。」
あの時、無実だと叫ぶヘンリーの耳元でエリックは
「兄上たちの命が狙われている。保護するから拘束されるふりをして。犯人はわかっているから心配ない」
とぎりぎりになって打ち明けたのだ。
それを聞くまでのヘンリーの心境を思うと忍びない。
「今回、シャルロット様のおかげでこの国は救われました。感謝のしようがございません。」
頭を下げるニコラに、自分は何もできていないとあわてて止めた。
「いえ、最初にエリック殿下の暗殺が成功していたらそのままヘンリー殿下が犯人として断罪され、いずれはルーフェ殿下を思いのままに操る隣国に乗っ取られていたでしょう。あなたの功績は人一人の命を救っただけではない、この国を救ってくれたのです。そして私の領民も救っていただいている。私はあなたに生涯感謝と忠誠を誓います」
ニコラは跪くとシャルロットの手の甲に軽く唇をふれた。
「ニコラ様!」
あまりにもの真摯な態度に茶化すことも笑い飛ばすこともできなかった。
「本当は殿下の横に立ち、お二人でこの国の未来を作ってほしいと願っています。ですが私はあなた自身に幸せになってほしい。この国の救世主に幸あらんことを。」
再びキスを手の甲に落とすと照れくさそうに椅子に座りなおした。
「申し訳ありません。あなたにどうすればこの感謝が伝わるかわからなくて・・・こんな堅苦しくなってしまいました。」
「えと・・・あのそういっていただけて嬉しいです。」
シャルロットも顔を赤く染めながらそれを受け入れた。
その夜、ニコラに聞いた暗殺事件を思い出していた。
あの舞踏会の少し前、エリックに王族を見てほしいと頼まれた。
父のジェラルドはこうして王家に利用されていくことを常に懸念していたため断った。
しかしエリックは、「この一回で王位継承に絡む問題を一掃したい。きっと誰かの命が奪われる。これを最後にするので力を貸してほしい」と頼んできた。
シャルロットは自分の意思で了承し、シリルの付き添いのもと確認しに行くと第一王子のヘンリーとその母アレクシア妃が近衛騎士第一部隊長カインに剣で切られる場面を見てしまった。
それを告げるとエリックは考え込み、先ほど聞いた策を弄したようだ。
おそらくエリックが王太子となるだろう。そしていずれこの国の王として名を馳せるだろう。前回の地震時といい、今回の王位継承問題といいその手腕に疑うところはない。できれば、支えたいと思う。
そう思ったところで、自分の気持ちの変化に気が付いた。これまでは、父の役に立ちたい、自分の苦しみに意味を見出したかったなどの理由で、王族、国政に関わる重鎮たちを見てきたが、今は自らこの国の為に、この国を良くしようとするエリックのために力になりたいと思った。
「というわけなの。これからは少し前を向こうと思う」
自分の思いをシリルに打ち明けた。そう考えられるようになったのはシリルの力が大きいからだ。シリルがいなければそう考えることなどできなかった。
「そう。」
表情のない顔で、短くシリルは言った。
この間のニコラ様とのお茶会も不機嫌だったわねとシャルロットは思った。
「・・・姉上は、殿下の事・・・好きなんですか?」
「ええ、尊敬しているわ。地震の時、この殿下がいればこの国は大丈夫だとすごく安心したの。」
「もし姉上にこんな力がなかったら・・・殿下に嫁ぎたかったですか?」
シャルロットが望んだとしても乙女ではない彼女が王家に嫁ぐことはできない。そうしたのは自分だ。シリルは独占欲からくる嫉妬と、罪悪感でいっぱいだった。
「それはないわ。臣下としてお慕い申し上げてるけれど。だって。怖そうじゃない?あんな賢い人がそばにいると気が抜けなさそう。」
楽しそうにいうシャルロットにシリルはやっと笑うことができた。
「姉上はどなたか結婚したい方いらっしゃるんですか?」
「結婚はするつもりはないわ。お父様はずっとここにいていいと言ってくださってるけどそうはいかないし。貴方が結婚する前にはここを出るつもりだから心配しないでね。」
「そんな心配いりません。姉上はずっとここで暮らせばいい!」
「こんな人嫌いで怪しい姉がいたら奥さまがかわいそうだわ。私は大丈夫よ、先の事は色々考えているから。」
「色々?何を考えているんですか?」
「ニコラ様にも相談して、ルコント領で一人暮らしできるようにね。住む家と人に合わずに済むように刺繡や代筆の仕事を世話してもらうつもりなの。」
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シリルは思わず立ち上がり、詰め寄った。
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