死を見る令嬢は義弟に困惑しています

れもんぴーる

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ブトナ男爵令嬢 1

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 ジェラルドはブトナ男爵令嬢を名誉棄損で訴えると、男爵に告げた。
 初めは突っぱねていた男爵も、個性のある手紙の筆跡を見て娘の所業を知った。

 問い詰めると、シャルロットと男の関係は本当だとまだ言い張る。ブトナ男爵令嬢は訴えるなら、公の場でそれを証言する、恥をかくのはそちらだと開き直った。
 そして、シャルロットと婚約を解消し、自分と婚約をしてくれれば口外しないとジェラルドとシリルに迫った。

「男爵、娘の教育は不十分であったようだな。残念だが家の存続は難しいだろう。これから訴訟の準備をするので失礼する。」
「お待ちください!慰謝料を!慰謝料をお支払い致します!何卒お許しください!」
「そんなもので許されると思っているのか!うちの娘の名誉と心が傷つけられたのだ、金などで解決できるはずがないだろう。」
「で、では・・・どうすれば・・・」
「お父様!謝る必要も慰謝料必要ありません!だって嘘なんてついていませんもの!シャルロット様が抱えられるように部屋に入っていくのを見たのですもの。」
「入っていくのを見ただけでしょう?僕はその部屋に入りましたよ、それで具合悪くて介抱されていた姉を連れて帰ったのです。あなたの言うようなことはないばかりか、他人の名を騙り脅迫めいたことをしてただで済むと思っているのか?」
「わ、私は別に・・・シリル様が騙されているのをお助けしようと・・・」
「話にならんな。シリル、もうよい。男爵、では失礼する。」
「モーリア侯爵!!娘を・・・娘を籍から抜きます!もうこれはうちの娘ではございません。どのようにしてもかまいません、どうぞお許しくださいませ。」
 ブトナ男爵はこれ以上ないほど頭を下げた。

「お父様?!ひどいわ!」
「本気か?」
「もちろんでございます!」
 ブトナ男爵は男爵家と、妻、嫡男ともう一人の娘を守らなくてはいけないのだ。
 確かに目の前の娘を愛していたが、すべてを崩壊させる娘をこれ以上庇うことは出来なかった。
「では、娘を預からせてもらおう。」

 ジェラルドはブトナ男爵令嬢を娼館で働かせることにした。
と言っても下働きだ。
 洗濯に掃除、シーツの交換など下位といえども貴族の令嬢が出来るはずもない。周りから怒られ、いじめられながら必死で与えられた仕事をこなした。
 そうしないと鉱山行きに変更すると言われている。ここの娼館で下働きを3か月我慢すれば解放されるのだ、それ位で済むのならと逃げずに踏ん張っている。
 おとなしくここで働けば、貴族籍から抜かずこれからも男爵令嬢として生きてよいとモーリア侯爵からも許しを得た。

 早く社交界に戻らないとみんなが心配しているわ。結局あの女に皆騙されてしまったのね、シリル様も侯爵家の名誉を守るために仕方がなかったのよ・・・かわいそうに。
 そうだわ、あの時の令息を探しだしたらシリル様も納得されるに違いないわ!私を妻にしてくれたら誰にも言わないから安心して。私はあの女からシリル様をお助けしたいだけなのだから!

 ブトナ男爵令嬢は、反省することができない人間だった。
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