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ちょろいのか優しいのか
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カフェで出くわしてから、エミリア様に何度も手紙を送った。
捨てられてるかもしれないと心配したが、ようやく返事をいただけた!嬉しくて叫んじゃったよね。
でも・・・封を開けるのが怖い。アイラの事は誤解だと分かってもらえたかどうか心配だ。しかし理由はどうあれ、エミリア様よりアイラを優先し、エミリア様をないがしろにしていた事実は変わらない。
封を切ったけど、怖い、見るのが怖いよ。
薄目でそっと読んでみた。・・・ぼやけて見にくい。
仕方なく目を開いて読み始めた。
「一度・・・お会いできませんか?!やった~!よおおっし!」
手紙を持ったままクルクル回った日は遠い日の出来事だった。
今僕は個室のある少し格式の高いお店でエミリア様と向かい合っている。
そして婚約解消を求められている。
「ですから!アイラの事は誤解なのです!彼女が僕の婚約をつぶすために企んだんです、それに・・・ひっかかったのはお恥ずかしい限りですが。」
「そのことはもうどちらでもよろしいのです。私はあなた方のおかげで夢を見つけました。本当に感謝しているのです。これからの人生が楽しみで仕方がないのです。夢に向かって私は生きたい。だからあなたとは結婚できません。こちらの身勝手な言い分ですので、こちら有責で破棄していただいて構いません。慰謝料も請求してもらって結構ですから。」
そういうエミリア様はキラキラと瞳が輝いていた。
「・・・それは・・・あの侯爵令息とのご結婚ですか?」
「え?ああ、全く関係ありません。彼とも今後は頻回に会うこともできないでしょうし。」
「・・・隣国へ行かれるおつもりですか。」
ああ、やっぱり聞かれていたかとエミリアは思った。
「はい。少し見聞を広めに行ってくるだけですけど。ただ・・・内緒にしていただけるとありがたいです。」
「わかりました、誰にも言いません。今度こそあなたの信頼を裏切るようなことは致しません。」
わかってないなあとエミリアはため息をつく。
縁を切ると言っているのだ。今後の信頼など関係ない。
数か月前まで会っていた彼は優しい男だった。
きっとその優しさであんな女にコロッと嵌められたのだろう。ちょっと騙されやすくてちょろくて可愛い所もあったヨハン。誠実で、家族として一緒にやっていけるとは思っていた。
「バランド様、貴方はお優しい方ですわ。きっとすぐに素敵な婚約者が出来ます。お願いですから私との婚約は解消・・・」
「絶対しません!僕はあなたとしか結婚しません。本当に僕は馬鹿で、あなたに不快な思いをさせてしまって反省しています。エミリア様がもう僕を見限った気持ちはわかります・・・でも、僕は本当にあなたを好きなのです。」
「・・・光栄ですわ。でもどうして最初からその思いが行動に反映しなかったのでしょうか。責めるつもりはありませんよ、本当にどうでもいいので。ただ不思議に思ったのです。」
「それは・・・弁解のしようがありません。貴女に話をしなかったのは、仕方がないとはいえ他の女性と会うことを知られたくなかったのです。貴女に嫌われたくなかったから・・・でもどうしても日程変更してほしいと泣きつかれて・・・次お会いした時にお詫びをしようと思いながら、毎回それが繰り返されてしまいこのようなことに。僕は気が利かないから代わりに何も行動をしなくて・・・本当に愚か者で、アイラの思惑に気が付きもせず、あなたに不誠実なことをしてしまいました。」
「そうでしたか。理由はわかりました。・・・それでは今日はこの辺りで。」
「も、もうですか?今度はいつお会いできますか?」
「そうですね・・・しばらくは卒業式とパーティで忙しいのでそれからでもよろしいでしょうか。」
「わかりました。お待ちしています。また一からあなたの信頼を得られるよう頑張りますのでどうかよろしくお願いします。」
エミリアは笑顔でヨハンと別れた。
これが最後の顔合わせ。もう二度と会うことはない。
捨てられてるかもしれないと心配したが、ようやく返事をいただけた!嬉しくて叫んじゃったよね。
でも・・・封を開けるのが怖い。アイラの事は誤解だと分かってもらえたかどうか心配だ。しかし理由はどうあれ、エミリア様よりアイラを優先し、エミリア様をないがしろにしていた事実は変わらない。
封を切ったけど、怖い、見るのが怖いよ。
薄目でそっと読んでみた。・・・ぼやけて見にくい。
仕方なく目を開いて読み始めた。
「一度・・・お会いできませんか?!やった~!よおおっし!」
手紙を持ったままクルクル回った日は遠い日の出来事だった。
今僕は個室のある少し格式の高いお店でエミリア様と向かい合っている。
そして婚約解消を求められている。
「ですから!アイラの事は誤解なのです!彼女が僕の婚約をつぶすために企んだんです、それに・・・ひっかかったのはお恥ずかしい限りですが。」
「そのことはもうどちらでもよろしいのです。私はあなた方のおかげで夢を見つけました。本当に感謝しているのです。これからの人生が楽しみで仕方がないのです。夢に向かって私は生きたい。だからあなたとは結婚できません。こちらの身勝手な言い分ですので、こちら有責で破棄していただいて構いません。慰謝料も請求してもらって結構ですから。」
そういうエミリア様はキラキラと瞳が輝いていた。
「・・・それは・・・あの侯爵令息とのご結婚ですか?」
「え?ああ、全く関係ありません。彼とも今後は頻回に会うこともできないでしょうし。」
「・・・隣国へ行かれるおつもりですか。」
ああ、やっぱり聞かれていたかとエミリアは思った。
「はい。少し見聞を広めに行ってくるだけですけど。ただ・・・内緒にしていただけるとありがたいです。」
「わかりました、誰にも言いません。今度こそあなたの信頼を裏切るようなことは致しません。」
わかってないなあとエミリアはため息をつく。
縁を切ると言っているのだ。今後の信頼など関係ない。
数か月前まで会っていた彼は優しい男だった。
きっとその優しさであんな女にコロッと嵌められたのだろう。ちょっと騙されやすくてちょろくて可愛い所もあったヨハン。誠実で、家族として一緒にやっていけるとは思っていた。
「バランド様、貴方はお優しい方ですわ。きっとすぐに素敵な婚約者が出来ます。お願いですから私との婚約は解消・・・」
「絶対しません!僕はあなたとしか結婚しません。本当に僕は馬鹿で、あなたに不快な思いをさせてしまって反省しています。エミリア様がもう僕を見限った気持ちはわかります・・・でも、僕は本当にあなたを好きなのです。」
「・・・光栄ですわ。でもどうして最初からその思いが行動に反映しなかったのでしょうか。責めるつもりはありませんよ、本当にどうでもいいので。ただ不思議に思ったのです。」
「それは・・・弁解のしようがありません。貴女に話をしなかったのは、仕方がないとはいえ他の女性と会うことを知られたくなかったのです。貴女に嫌われたくなかったから・・・でもどうしても日程変更してほしいと泣きつかれて・・・次お会いした時にお詫びをしようと思いながら、毎回それが繰り返されてしまいこのようなことに。僕は気が利かないから代わりに何も行動をしなくて・・・本当に愚か者で、アイラの思惑に気が付きもせず、あなたに不誠実なことをしてしまいました。」
「そうでしたか。理由はわかりました。・・・それでは今日はこの辺りで。」
「も、もうですか?今度はいつお会いできますか?」
「そうですね・・・しばらくは卒業式とパーティで忙しいのでそれからでもよろしいでしょうか。」
「わかりました。お待ちしています。また一からあなたの信頼を得られるよう頑張りますのでどうかよろしくお願いします。」
エミリアは笑顔でヨハンと別れた。
これが最後の顔合わせ。もう二度と会うことはない。
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