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翳り
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その次の日、マルクはいつものように食事に来てくれた。
気まずそうにするマルクを、セシルはとびっきりの笑顔で迎えた。
急に元気が出たようにマルクは笑顔になり、大盛のご飯を注文するのだった。
セシルは一晩悩み続けた。
マルクも子爵夫妻も悪意はなく、両家が顔合わせをするのは当然のこと。事情を隠している以上、皆を責めることはできない。
それでも心のどこかがひどく痛み、裏切られたような気分に陥った。
でもマルクと結婚するのだ。
きっと結婚する前も、結婚してからも問題はたくさん起こる。二人で話し合って乗り越えていくしかないのだ。隠し事している自分がマルクを責める資格はないと思い、詳細ははぶきながら元家族との溝は深く、自分はまだ彼らと交流できるほど心の整理がついていないと打ち明けた。
マルクは、セシルの話に耳を傾けてくれた。
「ごめん、シルの気持ちを知らずに簡単に仲直りすればいいなんて言って。いつか・・・その理由を俺にも話してくれると嬉しい。」
とマルクは言ってくれた。自分を慮ったその言葉に心の中の重くるしい気持ちが和らいだのだった。
そしてマルクがどう伝えたのかわからないが、マルクの両親からの誘いも無くなった。
ほっとしながらも、それはそれでこれから婚姻をするのに大丈夫なのだろうかと不安に思ったが、いざとなると親が何を言おうと二人で暮らせばいいのだからとマルクは何も心配はないと言ってくれた。
ミルクとコーヒーは混ざり合ってしまったが、穏やかな日々の中で翳りも薄れ、また以前のような日々が戻ってきたのだった。
それからしばらくは何事もない日々が続いた。
毎日食堂に夕食を食べに来ていたマルクだったが、今日は顔を見せなかった。
仕事が忙しかったのかと思っていると、翌日マルクは疲れた顔で現れた。
しかも、どこか元気もなかった。
「お仕事忙しかったの?」
「・・・うん。」
「大丈夫?疲れているんじゃない?胃に優しいメニューにしようか?」
「いや・・・今日はいいよ。お茶だけくれる?」
「そう。ちょっとまっててね」
セシルは下がると、お茶にクッキーを添えて持ってきてくれた。
「これ、私が焼いたの。良かったら食べてね。お仕事そんなに忙しいの?」
「・・・うん。いや・・・なあセシル。」
「なあに?」
「セシルは・・・いや、何でもない。ごめん!ちょっと・・・色々あって」
「何もできないけれど、こうして会いに来てくれたら嬉しいわ。マルク様の元気が出るように美味しいお茶とお菓子をいつも用意しておくから!」
そう言ってセシルはマルクの手を握った。
「うん、ありがとう。ちょっと元気出たよ。じゃあ、また明日くる」
帰り際には少し元気になったマルクは笑顔を残して帰っていった。
しかし、その翌日マルクは来なかった。それどころか、四日間続けて食堂に顔を見せなかった。仕事が大変だと言っていたので仕方がないが、体が心配だった。
「シルちゃんの婚約者の騎士様、最近どうしたんだい?喧嘩でもしたのかい?」
「いいえ。仕事が忙しいとは言ってましたけど・・・」
体調を崩していなければいいけれど、と心配していたが、その心配は別の衝撃によって吹き飛んだ。
昼の空いた時間、休憩を兼ねて街に出たセシルはマルクが担当しているエリアに自然と足が向いた。運よく出会えたらいいなというくらいのつもりで。
そして運よく・・運悪くマルクを見かけた。
騎士服で仕事中にもかかわらずアナベルに腕を組まれてパンを買ってやっている姿を。
なぜ、あの子がここにいるの?領地にいるのではなかったの?
なぜ、マルク様があの子といるの?
セシルは何も考えられず、頭が真っ白になり店の自室に駆け戻った。
驚いたルルが何か声をかけてくれたが、それに返事もできなかった。
気まずそうにするマルクを、セシルはとびっきりの笑顔で迎えた。
急に元気が出たようにマルクは笑顔になり、大盛のご飯を注文するのだった。
セシルは一晩悩み続けた。
マルクも子爵夫妻も悪意はなく、両家が顔合わせをするのは当然のこと。事情を隠している以上、皆を責めることはできない。
それでも心のどこかがひどく痛み、裏切られたような気分に陥った。
でもマルクと結婚するのだ。
きっと結婚する前も、結婚してからも問題はたくさん起こる。二人で話し合って乗り越えていくしかないのだ。隠し事している自分がマルクを責める資格はないと思い、詳細ははぶきながら元家族との溝は深く、自分はまだ彼らと交流できるほど心の整理がついていないと打ち明けた。
マルクは、セシルの話に耳を傾けてくれた。
「ごめん、シルの気持ちを知らずに簡単に仲直りすればいいなんて言って。いつか・・・その理由を俺にも話してくれると嬉しい。」
とマルクは言ってくれた。自分を慮ったその言葉に心の中の重くるしい気持ちが和らいだのだった。
そしてマルクがどう伝えたのかわからないが、マルクの両親からの誘いも無くなった。
ほっとしながらも、それはそれでこれから婚姻をするのに大丈夫なのだろうかと不安に思ったが、いざとなると親が何を言おうと二人で暮らせばいいのだからとマルクは何も心配はないと言ってくれた。
ミルクとコーヒーは混ざり合ってしまったが、穏やかな日々の中で翳りも薄れ、また以前のような日々が戻ってきたのだった。
それからしばらくは何事もない日々が続いた。
毎日食堂に夕食を食べに来ていたマルクだったが、今日は顔を見せなかった。
仕事が忙しかったのかと思っていると、翌日マルクは疲れた顔で現れた。
しかも、どこか元気もなかった。
「お仕事忙しかったの?」
「・・・うん。」
「大丈夫?疲れているんじゃない?胃に優しいメニューにしようか?」
「いや・・・今日はいいよ。お茶だけくれる?」
「そう。ちょっとまっててね」
セシルは下がると、お茶にクッキーを添えて持ってきてくれた。
「これ、私が焼いたの。良かったら食べてね。お仕事そんなに忙しいの?」
「・・・うん。いや・・・なあセシル。」
「なあに?」
「セシルは・・・いや、何でもない。ごめん!ちょっと・・・色々あって」
「何もできないけれど、こうして会いに来てくれたら嬉しいわ。マルク様の元気が出るように美味しいお茶とお菓子をいつも用意しておくから!」
そう言ってセシルはマルクの手を握った。
「うん、ありがとう。ちょっと元気出たよ。じゃあ、また明日くる」
帰り際には少し元気になったマルクは笑顔を残して帰っていった。
しかし、その翌日マルクは来なかった。それどころか、四日間続けて食堂に顔を見せなかった。仕事が大変だと言っていたので仕方がないが、体が心配だった。
「シルちゃんの婚約者の騎士様、最近どうしたんだい?喧嘩でもしたのかい?」
「いいえ。仕事が忙しいとは言ってましたけど・・・」
体調を崩していなければいいけれど、と心配していたが、その心配は別の衝撃によって吹き飛んだ。
昼の空いた時間、休憩を兼ねて街に出たセシルはマルクが担当しているエリアに自然と足が向いた。運よく出会えたらいいなというくらいのつもりで。
そして運よく・・運悪くマルクを見かけた。
騎士服で仕事中にもかかわらずアナベルに腕を組まれてパンを買ってやっている姿を。
なぜ、あの子がここにいるの?領地にいるのではなかったの?
なぜ、マルク様があの子といるの?
セシルは何も考えられず、頭が真っ白になり店の自室に駆け戻った。
驚いたルルが何か声をかけてくれたが、それに返事もできなかった。
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