所詮私は他人でしたね でも対価をくれるなら家族の役割を演じてあげます

れもんぴーる

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デート

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 ルルにもずいぶん心配をかけたが、このままお付き合いは続けることになった。
 マルクの言う通り、セシルとマルクの運命が回りだすのか。それともやはり運命は決まっているのか・・・
 セシルは胸の奥底に一抹の不安を抱えながらも、二人で運命に立ち向かおうと決心した。

 マルクはあれから毎日また食事にくるようになった。
 マルクは、ルルに、「悪いのはアナベルだが、あんたにも反省すべきことはあるよ!」と怒られて謝罪し、セシルを幸せにしますと約束したのだった。



 セシルは一時の興奮が落ち着き、今回の事を冷静に振り返ってみた。
 シャリエ子爵と令息は今回、セシルを助けるために迅速に動いてくれた。おかげで、自分は直接傷つけられることも会うこともなかった。アナベルはマルクに近づき、あることないこと吹き込みセシルと引き離そうとしたのだろうがそれも失敗した。
 だからシャリエ子爵には感謝したのだが、よく考えるとそう簡単に抜け出せるような生活環境だったということだ。
 酷い虚偽やいじめ行為、そして殺人未遂。それだけ罪を犯した人物を領地に幽閉しているとはいえ、自由にさせていたのだろう。そう思うと感謝の気持ちも半減する。牢に入れるなり、警備を厳しくするなりしていれば今回の事は起きなかった。
 マルクとの間にわずかでも不信感が芽生えることもなかった。
 今回の決着はどうつけるつもりだろうか・・・領地にまた幽閉して幕引きとするのだろう。
 所詮私は他人なのだから、実の子を何とか助けたいのは当たり前だろうから。

 そう考えると、少し絆されていた気持ちがスーッと冷えていった。
 勘違いをしてはいけない。彼らは善良な人間だったから、自分たちのした事を後悔し、償っているだけだったのだ。
 決してセシルを愛しているわけではないのだから・・・
(うん。今回も慰謝料遠慮なく請求しよ・・・)
 むなしい思いでセシルはそう思った。


 そしてマルクとやり直してから二週間。
 今日は、マルクが新しくできたカフェに連れて来てくれた。
 あれから休みの度にどこかに遊びに連れて行ってくれる。
 マルクは昔に、アナベルとは会い、セシルと会った事がなかったのはサミュエル達から冷遇されていた証だと察したようだ。それを取り返そうとしてくれているかのように誘ってくれる。
「そんなにいつも誘ってくれなくていいのよ。仕事が大変なのだから、たまにはゆっくり休んでね。」
「優しいな、シルは。俺が会いたいからいいんだよ。ここのメニューを食べて欲しかったんだ。」
 そう言ってガラスの器にジェノワーズと生クリーム、ピスタチオクリーム、アイスとオレンジが盛り付けられ、そこにフロランタンが添えてある一品。
 街の女性たちに大変人気で、セシルもお客さんのうわさ話を聞いて一度は食べてみたいと思っていた。
「ふふ、ありがとう。」

 あれからもずっとマルクは謝り続け、セシルはもういいと許した。
 悪いのはアナベル。翻弄され、苦しんだマルクをこれ以上責めることは出来なかった。自分の心にはまだ確かな傷は残っているけれど、時間をかけて癒すしかないのだ。

「とてもおいしいわ。さすが人気になるだけあるわね。今度ルルさんにも食べさせてあげたいわ。」
「ルルさんは本当にお前の母親みたいだな。」
「うん。とても大事にしてくれるの。」
「・・・。そうだな。家族になるのに血のつながりなど関係ないということだよ。」
「人に寄るわ。ルルさんはそうだろうけど・・・そうじゃない人もいるわ。」
「確かにそうだけど・・・少なくともサミュエルはシルの事いつも気にしているよ。この間だって。」
「それは感謝してる。でも彼らの不手際から起こった事だから、考えたら当たり前のことだなあと思って。これからだっていつあの子が現れるかもしれないとずっと思って生きていかなきゃならないのよ?」
 セシルは不安そうに視線を窓の外に向ける。

「シル・・・」
 マルクはテーブルの上のセシルの手を握り、
「王都を離れよう。誰も知らない街に行って二人で暮らそう。シルがもう不安にならないで済むように。」
「そんなのだめよ。騎士になるためにどれだけ訓練と勉強が必要なのか知っているわ。気持ちだけで・・・そう言ってくれただけで十分よ。ありがとう。」

 シルもマルクの手を握り返し、二人は見つめ合いお互いを大切に思う気持ちを再確認したのだった。
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