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第2章 町の名はコイロ。カイロじゃないです。
2-3 ニャンシュッシュ=200パンダです。
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帆掛け船を降りて、通りを越えると、目の前はもう賑やかな町の一角だった。ポリは城壁があったから、門番がいたけど、このコイロは自由に町に入っていいらしい。
まずは商品を仕入れて、商売が出来る場所を探さないと。出来るだけ、人の目に付く所がいい。でも、またショバ代なんて、言われても困るし、出来るなら太陽を避けた日陰がいい。
あっ! 通りから細い路地に入ると、小さな店が両脇にぎっしり並んでいた。スークってやつかな? そんな店の中に、クジャクか何かの鳥の羽で作った、扇子を売る店があった。
ここが、いい! 店主に交渉だ。
「すみません! こちらの店の前で、少しの時間だけ、商売させてもらえないですか?」
声を掛けると、小さな店の中には、暇そうな男達が3人。誰が店主だ?
「見慣れない顔だな。旅人か?」
男達の中で、一番若そうな男が聞いてきた。
「あ、はい。商人です。旅をしながら、商売をしてます」
「露天商か。道は誰の者でもないんだ。俺に聞かなくても、好きに商売すればいい」
交渉成立だ。でも、後で因縁を付けられるのは、嫌だ。ここは何か、お近づきの印を。
んー、あっ、これだ!
チョコサンドビスケット、1箱、78円!
さすが、フードマートユウキだ。自分の店ながら安い。特売でもないのに、この値段は安すぎる。
「あのぅ、皆さん、お茶の時間みたいですから。よかったら、これ召し上がってください」
箱を開けて、ビスケットを差し出す。手を伸ばす男達。
「んっ、何だ? こんな美味い菓子は食った事がない」
「ああ、美味い。もう一枚いいか?」
「いえ、全部どうぞ」
箱ごと一番若そうな男に差し出す。
「お前いい奴だな。俺はモーハンだ。こっちは俺の親父と叔父さん。で、お前の名前は?」
「俺は偉介です」
「イスケか。お前も一緒に飲むか?」
モーハンがお茶の入った器を差し出してくる。
「ありがとうございます。また後でいただきます。とりあえず商売の準備してから、戻って来ます」
暑すぎて、すぐに喉も渇くけど、今はお茶より商売だ。何を売るかは、もう決めている。砂漠を歩いている時には、閃いていたんだ。俺も早く試したい。
モーハンの店への戻り方を確認しながら、ニイル川まで戻ってきた。涼を取るには、水が必要だ。……さて、幾つ売れ残っているだろう。
んー、残50って。1個も売れなかったって事か。こんなにかわいいのに。……では、全部購入。タップ、タップ、タップ!
ネコ型霧吹き"ニャンシュッシュ"
1個680円×50個で、34,000円!
実物見ても、やっぱりかわいい。何でこれが一つも売れなかったのか、理解に苦しむ。まぁ、いいや。で、これにニイル川の水を汲んで、俺にシュッシュと。
んー、涼しい、涼しい。快適だ。
あまりにも機嫌のいい顔をしていたからか、一人の老人に声を掛けられた。
「それは、何じゃ?」
「あ、これは涼を取るための魔道具です」
「魔道具なのか。わしも試して良いか?」
「もちろん」
ニャンシュッシュを手に取る老人に、使い方を教える。……教えると言っても、要はただの霧吹きだ。シュッシュと霧を吹きかけるだけ。
「何と気持ちがいいんだ。これをわしに譲ってくれんか?」
「売り物なんで、お譲り出来ますよ」
「幾らじゃ?」
「えーっと、200パンダです」
それが高いのか、安いのかは不明だけど、頭に浮かんだパンダ200頭を口にする。
「200パンダか。安くはない。じゃが、こんな魔道具が200パンダと考えれば、安いとも言える……」
あれ? 200パンダは安くない? んっ? あの帆掛け船の船頭は、どれだけ吹っ掛けてきていたんだ?
「分かりました。150パンダでお譲りしますよ」
「おお、買った! ところで幾つ持っている?」
「50ですけど」
「おお、そうか。分かった。……皆の者! この男が、世にも珍しい魔道具を200パンダで売っておるぞ! 数に限りがあるから、早い者勝ちだ!」
老人の声に、一瞬にして人だかりが出来た。ニャンシュッシュを手に取るコイロの人達。200パンダというのは、金貨2枚の事らしい。
飛ぶように売れていくニャンシュッシュ。ポケットが金貨で重くなっていく。
「……わしは150パンダで良かったのぅ」
老人が穏やかに笑いながら、金貨1枚と、銀貨1枚を手渡してくる。その間にもニャンシュッシュは次々と売れていく。これじゃ、モーハンの店に戻る前に売り切れてしまう。もちろん自分の分も残しておきたい。とりあえず2個はキープ。
「ごめんなさい! この2個は売り物じゃないんで! 残りはあと一つです!」
一瞬だった。誰が最後の一つを買っていったかは、見ていなかったけど。ニャンシュッシュ、48個完売です。
あー、ポケットが重い。とりあえずアイテムボックスに入れながら集計しないと。
まずは商品を仕入れて、商売が出来る場所を探さないと。出来るだけ、人の目に付く所がいい。でも、またショバ代なんて、言われても困るし、出来るなら太陽を避けた日陰がいい。
あっ! 通りから細い路地に入ると、小さな店が両脇にぎっしり並んでいた。スークってやつかな? そんな店の中に、クジャクか何かの鳥の羽で作った、扇子を売る店があった。
ここが、いい! 店主に交渉だ。
「すみません! こちらの店の前で、少しの時間だけ、商売させてもらえないですか?」
声を掛けると、小さな店の中には、暇そうな男達が3人。誰が店主だ?
「見慣れない顔だな。旅人か?」
男達の中で、一番若そうな男が聞いてきた。
「あ、はい。商人です。旅をしながら、商売をしてます」
「露天商か。道は誰の者でもないんだ。俺に聞かなくても、好きに商売すればいい」
交渉成立だ。でも、後で因縁を付けられるのは、嫌だ。ここは何か、お近づきの印を。
んー、あっ、これだ!
チョコサンドビスケット、1箱、78円!
さすが、フードマートユウキだ。自分の店ながら安い。特売でもないのに、この値段は安すぎる。
「あのぅ、皆さん、お茶の時間みたいですから。よかったら、これ召し上がってください」
箱を開けて、ビスケットを差し出す。手を伸ばす男達。
「んっ、何だ? こんな美味い菓子は食った事がない」
「ああ、美味い。もう一枚いいか?」
「いえ、全部どうぞ」
箱ごと一番若そうな男に差し出す。
「お前いい奴だな。俺はモーハンだ。こっちは俺の親父と叔父さん。で、お前の名前は?」
「俺は偉介です」
「イスケか。お前も一緒に飲むか?」
モーハンがお茶の入った器を差し出してくる。
「ありがとうございます。また後でいただきます。とりあえず商売の準備してから、戻って来ます」
暑すぎて、すぐに喉も渇くけど、今はお茶より商売だ。何を売るかは、もう決めている。砂漠を歩いている時には、閃いていたんだ。俺も早く試したい。
モーハンの店への戻り方を確認しながら、ニイル川まで戻ってきた。涼を取るには、水が必要だ。……さて、幾つ売れ残っているだろう。
んー、残50って。1個も売れなかったって事か。こんなにかわいいのに。……では、全部購入。タップ、タップ、タップ!
ネコ型霧吹き"ニャンシュッシュ"
1個680円×50個で、34,000円!
実物見ても、やっぱりかわいい。何でこれが一つも売れなかったのか、理解に苦しむ。まぁ、いいや。で、これにニイル川の水を汲んで、俺にシュッシュと。
んー、涼しい、涼しい。快適だ。
あまりにも機嫌のいい顔をしていたからか、一人の老人に声を掛けられた。
「それは、何じゃ?」
「あ、これは涼を取るための魔道具です」
「魔道具なのか。わしも試して良いか?」
「もちろん」
ニャンシュッシュを手に取る老人に、使い方を教える。……教えると言っても、要はただの霧吹きだ。シュッシュと霧を吹きかけるだけ。
「何と気持ちがいいんだ。これをわしに譲ってくれんか?」
「売り物なんで、お譲り出来ますよ」
「幾らじゃ?」
「えーっと、200パンダです」
それが高いのか、安いのかは不明だけど、頭に浮かんだパンダ200頭を口にする。
「200パンダか。安くはない。じゃが、こんな魔道具が200パンダと考えれば、安いとも言える……」
あれ? 200パンダは安くない? んっ? あの帆掛け船の船頭は、どれだけ吹っ掛けてきていたんだ?
「分かりました。150パンダでお譲りしますよ」
「おお、買った! ところで幾つ持っている?」
「50ですけど」
「おお、そうか。分かった。……皆の者! この男が、世にも珍しい魔道具を200パンダで売っておるぞ! 数に限りがあるから、早い者勝ちだ!」
老人の声に、一瞬にして人だかりが出来た。ニャンシュッシュを手に取るコイロの人達。200パンダというのは、金貨2枚の事らしい。
飛ぶように売れていくニャンシュッシュ。ポケットが金貨で重くなっていく。
「……わしは150パンダで良かったのぅ」
老人が穏やかに笑いながら、金貨1枚と、銀貨1枚を手渡してくる。その間にもニャンシュッシュは次々と売れていく。これじゃ、モーハンの店に戻る前に売り切れてしまう。もちろん自分の分も残しておきたい。とりあえず2個はキープ。
「ごめんなさい! この2個は売り物じゃないんで! 残りはあと一つです!」
一瞬だった。誰が最後の一つを買っていったかは、見ていなかったけど。ニャンシュッシュ、48個完売です。
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