スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの

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第2章 町の名はコイロ。カイロじゃないです。

2-8 亡霊退治対策本部長です。

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 コーヒー牛乳を飲み乾した時。窓の外に知らない男の顔が見えた。もしかして、あの人がラージュの父さん?

「すみません。あのぅ、ラージュのお父さんですか?」

「ああ、そうです。お客さん。ゆっくり休まれましたか?」

「あ、はい」

 本当は一睡もしていないけど、それは宿のせいじゃない。

「……で、これ宿代です。もしかしたら、もう一泊するかもしれないんですが、これで足りますか?」

 金貨1枚、100パンダを手渡す。

「いやいや、充分過ぎますよ。もう一泊と言わず、一週間はゆっくりしていってください」

「ありがとうございます」

 軽く礼を言って、頭を下げると、モーハンとラージュが揃って姿を見せた。……ちょうどいい。亡霊退治対策本部長の所へは、モーハンと一緒に行けと、ハル君に言われていた。

「モーハン。今日、俺に付き合ってもらいたいんだけど」

「えっ? 付き合うって?」

「まぁ、仕事と言うか、何と言うか」

「付き合ってもいいけど、俺、店があるしなあ」

「あ、もちろん報酬は渡す。これを」

 金貨1枚を取り出し、モーハンへと渡す。

「え? 100パンダも! 店は父さんと叔父さんに任す!」

 快諾してくれたモーハンに感謝だ。この後は町役場に連れて行ってもらって、亡霊退治対策本部長のボルードに交渉だ。

「……モーハン兄ちゃん、いいなあ。一日100パンダの仕事なんて、コイロ中探しても見つからないよ」

 モーハンの横で、ラージュが口を尖らせている。

「もしよかったら、ラージュも一日付き合ってくれるか?」

「えっ! いいの?」

 ラージュにも金貨1枚を手渡す。ハル君は20人くらい人手を借りろって言っていた。人手は多ければ多いほどいいって事だ。

 モーハンに、ボルードに会いたい事を話したら、すぐに町役場へと案内してくれた。宿からモーハンの店のある路地へ向かい、さらにニイル川を目指した。ニイル川沿いを、流れに沿って少し歩く。すると一目で町役場だと分かる、立派な建物が表れた。

「ここが町役場だけど。亡霊退治対策本部長のボルードさんだよな?」

「ああ。頼み事があるから、そのボルードって人に会わないといけないんだ」

 モーハンが町役場の受付で、話を通してくれている間、椅子に座って、待っていると。

「亡霊退治の報酬5万パンダって! 金貨500枚! もし俺が亡霊を退治できたら、父ちゃん喜ぶだろうなー」

 壁に貼られたポスターを見て、ラージュが興奮していた。亡霊が出ないようにするって、ハル君は言ってたけど、それって退治になるのか?

 あっ! 退治しますって言って、亡霊が出なくなれば、退治したと思ってくれるはず。そうだ! ボルードさんには、退治するから人手を20人貸してくれって言えばいい。……そうすれば、金貨500枚!

「イスケ。ボルードさんに会わせてくれるって」

 案内の女性の後ろを歩くモーハンに並ぶ。……うーっ。腹痛い。急に緊張してきた。きっとボルードさんは、強面の将軍みたいな人で、俺なんか威嚇されて、小っちゃくなっちゃうんだろうなあ。あー、怖い。

「……ボルード様。客人で御座います」

「あら? 朝から若者の訪問なんて、しかも3人も! もうヨダレものじゃない! さあ、さあ。入ってちょーだい。座ってちょーだい。あ、やだ! 椅子は二つしかないの。だから1人はアタシの膝の上に座ってちょーだい!」

 えっ? 何、この不気味なテンション。このオ◯マ口調。腹が痛くて、項垂れていた頭を、恐る恐る上げる。えっ? いつの間に? 二つしかない、椅子にモーハンとラージュがもう座っている。

 はい? 俺、膝上ですか? 

 ってか、はい? 想像通り、強面の将軍みたいな人が、玉座っぽい椅子に座っている。これがボルード? さっきのオ◯マ口調の?

「ヤダ! 大変。椅子がもうないわ。仕方ないから、あなたはアタシの膝上決定! かわいがってあげるから、いらっしゃい!」

「……いえ、遠慮しておきます」

 めっちゃ怖いんですけど。ボルード、やばすぎ。ギャップ、やばすぎ。ハル君、どんな設定なのよ? この仕打ち。

「あら、残念。でも、疲れたらいつでも膝上に来てちょーだいね。……で、今日はどんな御用件かしら?」

 ボルードがウィンクしてくる。げっ! 想像されてるような用件ではありませんよ。……ここは、さっさと用を済ませて逃げ帰らないと。

「あのぅ、亡霊退治したいので、人手を20人ほど貸して頂きたいんですが」

「亡霊退治? 人手? いいわよ。20人でも、100人でも。……なんなら、アタシでも」

「いえ、20人で充分です」

「分かったわ。そうねー。じゃあ、正午過ぎに町役場前で!」
 
 ボルードが投げキッスをしてくる。げっ! でも、これで退散できる。長居していたら、どんな絡みをしてくるか、分からないんだから、さっさと逃げ帰ろう。
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